勝手に思うままに 榊原秀光のブログ

日頃 思っていることや感じたことを思うままに書きます。

惻隠の情 勝手に思うままに 115

2020-06-19 10:55:50 | 
昨今のAIの進歩には目を見張るものがあります。
産業用、医療用等々人間では太刀打ちできないものが数多く出て
参りました。
えっ、そのうち人間っていらなくなっちゃうの? あるかも?

でも、人間には心があります。
心でかたる「以心伝心」「言外の意」「惻隠の情」等、日本で古く
から伝えられていることであります。

目に見えない、形として現れない何かを感じ取る力が備わっています

勝手に思うままに 115 惻隠の情

1942年、太平洋戦争の真っただ中、日本は連合国と戦争
インドネシア ジャワ島の北東スラバヤ沖で激しい戦いを繰り広げていた
工藤が艦長を務める駆逐艦 雷も参戦
当時の戦況は日本海軍が圧倒的に優勢

イギリスをはじめとする連合国海軍は猛攻撃を受け
フォール少尉が乗る艦エンカウンターは日本軍の戦闘艦に包囲されていた
砲弾がエンカウンターに命中しエンジンが停止
もはや脱出する以外 方法はなかった
こうしてイギリス兵 全員が救命ボートで脱出
その直後、エンカウンターは日本海軍の攻撃によって炎上 海に沈んだ
近くには沈没した他の船の乗組員も含め400名以上が漂流
救命ボートは8隻しかなく全員が乗るには不十分
オランダ軍が助けてくれる、と信じていた
逃げる前に近くにいた味方のオランダ軍の基地にSOS救助要請の無線を
打っていた、しかし漂流から20時間経っても助けは来なかった
誰もが死を覚悟していたその時、フォールの前に現れたのが駆逐艦 雷だった
乗組員220人の小型軍艦だが、連合軍の船を3隻も撃沈していた

この辺りは前日 日本の輸送船が潜水艦から魚雷攻撃を受け沈没したばかり
の危険な海域に漂流物を発見した工藤は戦闘用意を命令
潜水艦に注意するよう指示、漂流物を射程距離に捕らえた
工藤が見たのはボートに掴まり必死に助けを求める400名のイギリス兵

目の前に現れたのは敵国の艦、イギリス兵たちは死を覚悟した
しかしどういうわけか攻撃を仕掛けてこない日本軍
その時、工藤は苦悩していた…
目の前で必死に助けを求めるイギリス兵がいる
日本軍戦闘艦の艦長という立場でありながら、もしも救助活動中に攻撃を受け、
艦が沈没するようなことが起きれば処罰され職を失う

工藤が下した決断は「敵兵を救助せよ!」
工藤は武士道の惻隠の情を貫いた

こうして始まった世紀の救助劇
飲まず蔵図で漂流し続けたイギリス兵は縄梯子も昇れない状況
「船の動かすのに必要な最低限の人間だけを残し、あとは全員 救助に向かえ!」
それは日本海軍史上、極めて異例の命令だった
危険海域でありながら戦闘のための人員を裂いて敵を救う
自らの命を顧みない捨て身の救助
さらに日本兵たちは自ら海に飛び込み、体力の限界を迎えていた
イギリス兵を救助
自力で上がることができないイギリス兵は体にロープを巻き付けて引き上げた
甲板では油や汚物にまみれているイギリス兵の体を優しく拭き労わる
日本海軍にとっても貴重な食料や真水を与えた
「目の前で救いの手を求めている人間を救う事より大切なことなどない」
と、さらなる漂流者の救助を支持
工藤は溺れていた全てのイギリス兵を救助、その数422人
「諸官は勇敢に戦われた 我々はあなた方を殺めるような事はしない
戦いが終わった今 諸官たちは日本海軍の名誉あるゲストである」
工藤は武士道の精神をもって弱っているイギリス兵たちを労い、
最大限の敬意を払った
その後、422人のイギリス兵は、翌日にボルネオ島の病院へ引き渡された

実は、これは第二次世界大戦から21世紀になるまで世に出る事のない
知られざる話だった
工藤が敵兵を救助した1942年は第二次世界大戦中、420人もの敵国兵
を救った、という話を公表してしまうと工藤は非国民扱いされ非難の
的になる可能性があった
工藤から報告を受けた当時の上官:南雲忠一 中将は、「この話を公に
するのはやめよう、お前は非国民扱いされてしまう。しかしお前は決
して間違っていない」

2003年、イギリス人のフォールさんが来日し、初めて日本で語られた物語


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