勝手に思うままに 榊原秀光のブログ

日頃 思っていることや感じたことを思うままに書きます。

勝手に思うままに 37

2010-01-25 08:59:52 | 平和
私が師事します掃除の先生、鍵山秀三郎氏に以前お言葉をいただいたことがあり、
それを自分の本の裏表紙に書いていただいた言葉が、「心あるところに宝あり」です。

たかが掃除と思って取り掛かるのか、今日も何か新しい発見をするぞ(宝を見つ
ける)と取り掛かるのか、心のあり方ひとつで大きく違ってきます。
今日はすばらしい若者のお話です。

勝手に思うままに37 荒川祐二さんの勇気

まだ夜が明けきらない二月の朝六時、新宿駅東口前広場の掃除をしてくれている
若者たちの姿が目に入ります。その中の一人の背中には、「お手伝いをしてくれ
る人募集中」と書かれたダンボールの看板がくくりつけられています。
その呼びかけに応じて集まってきた人たちは、皆さんが大学生ですので、その日
によって人数は異なります。
しかし、常連ともいえる人たちによって、東口一帯がきれいに掃き清められています。

今冬は暖かかったとはいえ、夜明前の街頭は冷え込んで、濡れたゴミを分別する
手先は凍えてしまいます。
そうした中で、黙々と掃除に取り組む若い人たちの姿には頭が下がります。
この人たちはとても格好がいいと思います。
そして身なりだけを飾った上流気取りの人たちより素敵な姿であるとも思います。
また、このような人たちが現れてきたことに、日本の将来への光明を見出すこと
ができます。

看板を背負った大学生の名は荒川祐二さん。
昨年十一月、ただ一人で掃除を始めた荒川さんの勇気に敬服します。
ダンボールで作った看板を背にして公衆の面前に立つ勇気を、皆さんはお持ちで
しょうか。

外の掃除といえば、自分の住まいや職場の周囲を掃くだけでも人の目が気になり、
ちょっと躊躇(ちゅうちょ)するものです。ましてや、まったくかかわりのない
場所で、好奇の目にさらされる中での行いは、よほど志と真の勇気を備えた人で
なければできないことです。
掃除に限らず何事でも、大勢の中の一人としての行いは、比較的気が楽なものです。
衆を頼むという心理が働くのと、周囲の目が自分だけに集中しないという気安さ
もあります。

それに対しても、普通人がやらないことを一人で実行すると、衆目を一身に浴び
ることになってしまいます。
体験者なら誰でも知っている通り、これは耐え難いほど辛いことであり、とても
緊張を強いられることであります。
その場に立ってみなくても、想像するだけで大変なことであるとわかっていただ
けるでありましょうその大変なことに取り組んだ、荒川さんの志と善行を踏みに
じるように、遠くから冷笑したり嘲笑する人が少なくありません。

時には、せっかく集めたゴミを蹴散らすような輩(やから)さえ現れます。
自分が良いことをする勇気を持たず、実践できない人間は、善行をなす人の妨害
をすることに情熱を燃やすしか能がないのでありましょう。

せっかくの善意を打ち砕こうとする悪意に対して、いつも笑顔を絶やさずやり続
けることは並大抵のことではありません。

荒川さんの不屈の精神に賛同して協力を申し出てくれた仲間が現れたことは、荒
川さんにとってはもちろんのこと、社会にとっても一大朗報となりました。
(3年前の話ですから 今では全国各地から集まってきます。)

“いまどきの若者は”と決め付けている人もいますが、各地で若者によるこうし
た活動が行われています。そうした現実もよく見てほしいと思います。