恵比寿の丸山酒店で、美味しい酒を買って飲もうと思ったら、火曜日が定休日になっていて閉まっていた。がっかりして日比谷線の恵比寿駅のホームで電車を待っていたら、何かが唇にぶつかって、胸にとり付いた。怖々と半袖シャツの胸ポケットの上を見ると、なんと生きたトンボが停まっている。
まさか電車の中までは憑いてこないだろうと思っていたら、おとなしく停まっている。中目黒で東横線に乗り換えようと下車しても、相変わらずそのまま。周りの人は誰も気付いていない。ひょっとしたら、魔法を掛けられたお姫様かもと、55歳の中年が考えた。まーその資格は無いと自覚はしているのだが。
記念に携帯で写真を撮ってみたが相変わらずおとなしい。特急が来たが、学芸大学の「舌雅」で焼酎を飲ませると魔法が解けるかもしれないと思い、次の鈍行に乗り込む。学芸大学で下車してトイレに行ったが、相変わらずそのまま。本当にお姫様だったらまずいなと思いながらも、生理現象は我慢できない。
「舌雅」に行く途中で、LP・CDのガレージセールみたいなものをやっている店があり、ふらふらと中に入っていって物色していたら、トンボが離れていった。天井の明るい蛍光灯にトンボの本能が蘇ったようだ。心の中で、お姫様、戻っておいでと念ずるが、そのうち見えなくなってしまった。
失意の内に、「舌雅」で泡盛や黒糖酒を飲んで、後悔の念にうたれる。あそこでLPに心を奪われなかったら、ここで一緒に焼酎を飲めたかもしれないと。お酒はうまいのに心は重い。
帰りに念のため、またあの店に入っていってトンボを探すが、やはり見当たらない。念のためお店の人に聞いてみても、いたことには気付いていたが、いつの間にか居なくなったとの返事あり。がっかり。でも一つだけ良いことがあった。一生懸命探したわけではないのに、私の大好きなオーストラリアのヴォーカル・グループ、The SeekersのLPが目に付き、購入。寂しいながらもなんとなく満足して家路に就いたのだった。
今日は本当にあった大人の童話みたいなものを書いてみた。これからは私のことを、「虫も殺せない男」または「トンボに唇を奪われた男」とでも呼んでもらおう。決して「虫にも逃げられた男」とは呼ばないように。
まさか電車の中までは憑いてこないだろうと思っていたら、おとなしく停まっている。中目黒で東横線に乗り換えようと下車しても、相変わらずそのまま。周りの人は誰も気付いていない。ひょっとしたら、魔法を掛けられたお姫様かもと、55歳の中年が考えた。まーその資格は無いと自覚はしているのだが。
記念に携帯で写真を撮ってみたが相変わらずおとなしい。特急が来たが、学芸大学の「舌雅」で焼酎を飲ませると魔法が解けるかもしれないと思い、次の鈍行に乗り込む。学芸大学で下車してトイレに行ったが、相変わらずそのまま。本当にお姫様だったらまずいなと思いながらも、生理現象は我慢できない。
「舌雅」に行く途中で、LP・CDのガレージセールみたいなものをやっている店があり、ふらふらと中に入っていって物色していたら、トンボが離れていった。天井の明るい蛍光灯にトンボの本能が蘇ったようだ。心の中で、お姫様、戻っておいでと念ずるが、そのうち見えなくなってしまった。
失意の内に、「舌雅」で泡盛や黒糖酒を飲んで、後悔の念にうたれる。あそこでLPに心を奪われなかったら、ここで一緒に焼酎を飲めたかもしれないと。お酒はうまいのに心は重い。
帰りに念のため、またあの店に入っていってトンボを探すが、やはり見当たらない。念のためお店の人に聞いてみても、いたことには気付いていたが、いつの間にか居なくなったとの返事あり。がっかり。でも一つだけ良いことがあった。一生懸命探したわけではないのに、私の大好きなオーストラリアのヴォーカル・グループ、The SeekersのLPが目に付き、購入。寂しいながらもなんとなく満足して家路に就いたのだった。
今日は本当にあった大人の童話みたいなものを書いてみた。これからは私のことを、「虫も殺せない男」または「トンボに唇を奪われた男」とでも呼んでもらおう。決して「虫にも逃げられた男」とは呼ばないように。