千曲川のうた

日本一の長河千曲川。その季節の表情を詩歌とともに。
人生は俳句と釣りさ。あ、それと愛。

はがきの木

2019年11月07日 | いただきもの歳時記
仕事で行ったお宅の庭に見慣れない木がありました。小さな赤い実が房状にびっしり付いて、厚い葉がつやつやと輝いています。
ご主人に聞くと、葉書の木だと言って、その由来を教えてくれました。
聞いているうちに思い出しました。多羅葉です。



話としては知っていたし、むかし多羅葉の葉を見せてもらったこともありました。しかしその木は初めて見ました。
葉を1枚欲しいとお願いすると、「ああ何枚でも取ってっていいよ」とのこと。でも1枚だけいただいてきました。

葉の裏に千枚通しの先で文字を書くと、すぐに黒い線になっていきます。


こんな感じ。

鉛筆で書いたくらいの濃さになりました。

ちなみに、我が家の椿の葉でも同じようにやってみましたが、違いは歴然。


光の加減でなんとか見える程度です。

多羅葉は歳時記には登載されていません。


  多羅葉をみだれ打つたる霰かな   京極杞陽

これは霰が季語。多羅葉の葉の硬そうな感じが生きていますね。

  多羅葉の実の真つ赤なる修二会かな 細川加賀

インドで葉の裏に経文を書いたことにちなんで、多羅葉はお寺に多く植えられています。(ただしインドのタラ樹とは別種)。
修二会は3月ですから、赤い実はそのまま冬を越すのでしょうか。
来年の春偵察に行ってみようと思います。