千曲川のうた

日本一の長河千曲川。その季節の表情を詩歌とともに。
人生は俳句と釣りさ。あ、それと愛。

行者にんにくをいただいた

2019年04月22日 | いただきもの歳時記
友人のNさんから今年も行者にんにくを頂きました。



とりあえず、少し茹でてうどんの具に。





うまい。
残りはどうしようか。
炒め物に使う、てんぷらにする、味噌汁、……。刻んで醤油漬けにしておいて、夏に冷奴に載せるのもいいなあ。ドイツの知人によれば、彼の地ではパスタに入れるのが定番とか。


ところで、「いただきもの歳時記」と銘打っていますが、行者にんにくの俳句はあまり見たことがありません。

  とりかぶとアイヌねぎなど萌えにけり 鈴木洋々子
  水芭蕉行者大蒜迷路なす       右城暮石

ネットで探しても例句は乏しく、感心するような句には出会えませんでした。そして自分で作ろうと思っても、難しい。

素材があまり一般的でないという難しさもありますし、7音の季語というのは扱いにくいものです。ギョウジャニンニクの7音を中七にすると、平板で散文的な句になりがち。そしてこの7音が3・4なので中七から下五への句跨がりの形にもしにくい。
結局字余りとして頭に置くのが一番まとまりやすいでしょうか。


俳句弾圧不忘の碑・2019春

2019年04月20日 | 信州吟行
俳句弾圧不忘の碑・檻の俳句館


  獄凍てぬ妻きてわれに礼をなす 東京三(秋元不死男)

この「礼」はおそらく「ゐや」と訓ずるのでしょう。

秋元不死男は1941年2月治安維持法違反により検挙され、2年間獄中で過ごしました。面会・差し入れに来た妻が、他人行儀とも見える礼をする。その動作に、この夫婦が置かれた深刻な状況が現れているのだろうと思います。

除幕から1年あまり、俳句弾圧不忘の碑を見に行ってみました。


良い天気。





不忘碑も、すっかり風景になじんでいるようです。


碑面に映っているオヤジは誰だ?



碑のすぐ横に、「檻の俳句館」があります。



弾圧された俳人の句を展示しています。入場無料。


戦争が廊下の奥に立つてゐた   渡辺白泉


兵隊が征くまつ黒い汽車に乗り  西東三鬼


墓標立ち戦場つかのまに移る   石橋辰之助


「檻の俳句館」での催しについては、マブソン青眼氏のブログ等をご覧下さい。





アクセス

上田インターより車で35分
上田交通別所線「塩田町」駅より徒歩30分
付近には、無言館・前山寺・生島足島神社などがあります


網掛十六夜観月殿

2019年04月17日 | 信州吟行
網掛十六夜観月殿・春


   いさよひもまだ更科の郡哉  芭蕉

ここは合併前は更級(さらしな)郡でした

小高い山の上に二間四方の萱葺きのお堂が建っています。普段はこんな風に閉ざされていますが、年に一回ここで十六夜観月俳句会が開催されます。


十六夜観月殿(坂城町網掛)

平成30年の観月俳句会は9月23日に行われました。
この俳句会の異色なところは、俳句の団体や組織でなく地区の自治会行事として実施されることです。

地区の子どもたちは全員参加 2018/09/23


お堂の中では来賓の町会議員さんも席題に挑戦 2018/09/23


2019年4月某日、観月殿に登ってみました。

動画はけっこう退屈かも。






登り切るとこんな感じです

観月殿の周辺にはたくさんの句碑が建立されています。


これが芭蕉句碑

左が正面で「桃青霊神」とあります。桃青は芭蕉の別号。文字通りの芭蕉神格化ですね。
側面に「十六夜も」の句が刻まれています。


山も春


鹿の落とし物もあって野趣豊か


柏の巨木は芽吹き始めたところ


岩を噛むこの力強さ!


観月殿より長野市方面を望む



観月殿の建物も地区住民の俳句会も、ともに重要な文化財であり、俳句史の中でもユニークな存在だと思います。

しかし人口減少などの問題はここにも大きな影響を及ぼしつつあるようです。観月殿の萱葺き屋根も傷みが深刻で、地元の方々は改修費用の捻出に苦労しておられます。





アクセス

坂城インターより車で10分
しなの鉄道「坂城」駅より徒歩40分
すぐ近くに日帰り温泉施設「さかき湯さん館」があります