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【竜王戦】封じ手局面の評価値と勝敗の関係

2019-11-05 21:28:16 | プロ棋士雑学
今期も大注目の竜王戦。豊島名人ファンの私としては1局1局ドキドキしながら観戦しています。
一日目が終わると、AI先生と共に封じ手やその先を調べるのですが、翌日の勝敗が気になりすぎて毎回同じ疑問が湧きます。

封じ手の局面の評価値からだいたいの勝率がわからないものか?

評価値と勝率の関係式なるものはネットで検索すればヒットするのですが、それはAI同士の話。
人間同士ではどうなのか?
この疑問を解消すべく、過去十年の竜王戦(第22期~第31期)の全54局について統計をとることにしました。



封じ手局面評価値(*絶対値)とリード側の勝敗
 
800以上  5局(4勝1敗)
500~799 8局(7勝1敗)
300~499 10局(6勝4敗)
100~299 24局(12勝12敗)
0~99  7局(4勝3敗)
中央値 257.5

*評価値の見方 0~299で互角、300以上で有利、800以上で優勢



互角と評価されたのが54局中31局(0.574)で、リード側の勝敗は16勝15敗(0.516)のほぼ五分です。
まだまだどちらが勝つか分からない。勝敗は二日目次第です。

一方、封じ手局面で既にどちらかが有利と判定されたのが54局中23局(0.426)にも上りました。
リードが300~499点まではリード側が6勝4敗(0.600)でまだまだこれからの勝負ですが、500点以上差が開くとリード側11勝2敗(0.846)と大きく勝ち越しています
よって500点が一つの目安になりそうです。1日目を終えて500点以上豊島名人リードなら「よっしゃ!」と叫ぶことにします(笑)

ただし、一日目評価値 -1364点(後手勝勢に近い)から先手逆転勝ち、というのもありましたから油断は禁物。
まあ私が油断しようがするまいが対局者には関係ないですけど。
トップ棋士同士の対局でも稀に終盤の大逆転が起きる、というのも人間将棋の醍醐味かもしれませんね。



あと、余談ですが竜王戦の先後勝率のデータについて。
54局の内、先手勝ちが24局・後勝ちが30局と、実は後手の方が勝ち越しています。(先手勝率 0.444)
特に第3局は過去十年で先手2勝・後手8勝と差がついています。その前も後手ばっかり勝っていたような…。竜王戦第3局のジンクスですね。
果たして豊島名人がこのジンクスを破れるのか?そこも楽しみに観戦したいと思います。
(第32期竜王戦 投稿時現在 広瀬竜王0勝ー豊島名人2勝 第3局は豊島名人先手)

ただし、封じ手局面の評価値(+-を考慮)は+が33局で-が21局、中央値が117.5でしたので、その段階では先手リードのケースが多いです。

また、一日目先手リードから後手が逆転する確率は 15/33(0.455) だったのに対し、
一日目後手リードから先手が逆転する確率は 6/21(0.286)と低くなっています。先手より後手の方が2日目に逆転勝ちしやすい?。

サンプルが少ないので断定はできませんが、次のような解釈ができるのではないでしょうか?

「元々将棋は先手が少し有利なゲームである。一日目終了段階で先手リードというのはごく自然な流れであり、必ずしも先手が流れを掴んだというわけではない。したがって、2日目次第で十分に逆転は起こりうる。しかし、一日目終了段階で後手リードというのは後手が流れを掴んだ結果と解釈でき、ゆえに逆転が起こりにくい」

いずれにせよ、統計を見る限りでは後手番の方が落ち着いて指せるかもしれません。


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