将棋王 ツメルモンスターズ

目指せ真の詰キスト!
主に短編詰将棋について書きます

A級棋士の恐るべき大局観(プロ棋士との指導対局より)

2019-10-20 14:31:14 | 角換わり
今回はAIではなく、某現役A級棋士からご指導いただいた(五面指し・平手定先・戦型指定)ときのお話です。

角換わりの中盤戦、攻めの桂を活用すべく、ここから▲4五歩△同歩▲同桂△4四銀▲4六歩と仕掛けたのですが、これが疑問手だったとのご指摘を受けました。



単に▲5五銀左や▲7五歩では攻めが単調だと思い、攻めに厚みを増そうとした工夫が間違いだと指摘されて困惑しましたが、理由を聞いてあまりの簡明さに感銘を受けました。

仕掛ける前、盤面の左辺の金銀の数は3VS2で先手が勝っていますが、仕掛けの後、後手の右銀が中央に効くようになった上、△4三金と活用する筋も生じて数の優位が崩れました。桂1枚を攻めに使うよりも、後手の右辺の金銀2枚を遊ばせる方針が良かったのではないでしょうか、と。



何と素朴な!しかし、本質を突いている。
五面指しの状況下でも一目で見抜かれている。これがトッププロの大局観か!

Best of Bestsの手を指すには読みを入れる必要があるのでしょうが、One of Bestsは一目で見抜くことができる。トッププロの大局観を以ってすれば。本当に凄い・・・。

そんな大局観が身についていれば、より一層将棋を楽しめるようになるでしょう。今後AIとの対局の日々の中で、その域に少しでも近づいていけたらと思います。

因みに後日ソフトで解析したところ、▲4五歩に替えて▲7七桂と力を溜めるのが最善で、次に▲6五歩や▲5五銀左を狙えば+700点くらい先手が有利だったようです。現代将棋では玉側の駒=守り駒とは必ずしも言えませんね。





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2 コメント

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マルテンサイト千年 (グローバルサムライ)
2024-05-08 08:16:52
最近はChatGPTや生成AI等で人工知能の普及がアルゴリズム革命の衝撃といってブームとなっていますよね。ニュートンやアインシュタインの理論駆動型を打ち壊して、データ駆動型の世界を切り開いているという。当然ながらこのアルゴリズム人間の思考を模擬するのだがら、当然哲学にも影響を与えるし、中国の文化大革命のようなイデオロギーにも影響を及ぼす。さらにはこの人工知能にはブラックボックス問題という数学的に分解してもなぜそうなったのか分からないという問題が存在している。そんな中、単純な問題であれば分解できるとした「材料物理数学再武装」というものが以前より脚光を浴びてきた。これは非線形関数の造形方法とはどういうことかという問題を大局的にとらえ、たとえば経済学で主張されている国富論の神の見えざる手というものが2つの関数の結合を行う行為で、関数接合論と呼ばれ、それの高次的状態がニューラルネットワークをはじめとするAI研究の最前線につながっているとするものだ。この関数接合論は経営学ではKPI競合モデルとも呼ばれ、様々な分野へその思想が波及してきている。この新たな哲学の胎動は「哲学」だけあってあらゆるものの根本を揺さぶり始めている。こういうのは従来の科学技術の一神教的観点でなく日本らしさとも呼べるような多神教的発想と考えられる。
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日本刀ファン (明鏡止水)
2024-06-16 11:02:58
やはり世界を引っ張るハイブリッド日本車の技術力の前に、EVシフトは不調をきたしていますね。特にエンジンのトライボロジー技術はほかの力学系マシンへの応用展開が期待されるところですね。いくらデジタルテクノロジーを駆使しても、つばぜり合いは力学系マシン分野がCO2排出削減技術にかかってくるのだとおもわれます。
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