仲間4人と東日本大震災の被災地を回った。大震災半年後に出掛けた東松島、石巻、女川方面に次いで2回目の東北旅行。仙台駅前でレンタカーを借り、南三陸から気仙沼、大船渡、釜石を走り抜けた。被災から立ち直った全国有数の水産基地、気仙沼では復興イベント「秋刀魚祭り」に出合い、市民らの行列に加わって、炭火焼のサンマを試食、東北の新鮮な味覚をちょっぴり味わった。
陸前高田市に近づくと、異様な光景が広がり驚く。巨大ベルトコンベヤー網が出現し、途中で幾重にも分岐しながら、対岸の山から盛り土用の土砂を運ぶ。総延長3キロ。津波で1本だけ残った「奇跡の一本松」を背景にベルトコンベヤーはさら地の中をくねくね回る大蛇のように構築された。川に架かったつり橋は「希望のかけ橋」と命名され、夜間はライトアップされ、観光名所になったと聞いた。
カーナビを頼りに走ったが、途中で道路が付け替えられたりして、画面指示が案内不能に陥ることも。知り合いに紹介された新規開店の寿司屋を見つけるのに苦労した。うっかり電話番号を入力して検索したため、被災地のど真ん中に案内された。周囲はかさ上げの盛り土工事の真っ最中。鉄骨だけが残った防災庁舎脇の仮設道路を通ってようやく新店舗の看板を見つけた。名物の海鮮丼が特上だった。
自動車保険(任意)の更新書類を見て驚いた。保険料が過去3年間より約50%近く引き上げられていた。契約期間中に事故の経験もなく、間違いではないかと、損保会社に問い合わせると、昨年年齢別の料率が改定され、70歳以上が大幅に引き上げられたという。それにしても前年より一挙に50%アップはないだろうと嘆いてみたが、高齢者ドライバーの事故増加が改定要因と指摘されると、反論のすべもない。
確かに高齢者の事故が増えている。警察庁によると、昨年の高齢者(65歳以上)の交通事故件数は、10年前に比べ1・17倍、75歳以上だと同1・59倍に増加した。高齢者以外の各年齢層が年々減少している中で、高齢者の発生件数だけは下がらない。先日もブレーキとアクセルを踏み間違え、乗用車がコンビニ店内に突っ込む事故が起きた。運転手は79歳の自営業者で、アルバイト店員1人が車の下敷きになって死亡した。
保険料アップと突発事故の危機意識から、運転免許証の返納を考える年代になった。2年前に決断した仲間からは「不便を覚悟していたが、案じたほどでもない」と返納を勧められた。重い買い物の運搬には苦労するが、店が提携している有料配達制度を利用する方策もある。ただ、車がないとスーパーや食事などの利用店が限られ、日ごろの行動範囲も一挙に狭まるだろう。高齢者にとってマイカー卒業問題は悩ましい。
今年も自家製のブルーベリージャムが出来上がった。滑らかな舌ざわりと、とろみ感が出てなかなかの出来栄えと、自賛しながら味わっている。ブルーベリー狩りに出掛け、ジャム作りを始めてから10年近くになる。当初はなかなかうまくいかず、試行錯誤を繰り返した。摘み取ったブルーベリーを一晩冷凍するという話を聞き、さっそく確かめると、皮がはじけとろみ感が一段と出るようになった。
「東京でブルーベリー狩り」と聞いて、当初は意外に思ったこともある。ところが地域別の生産量を調べて驚いた。東京は断トツの長野県に次いで、茨城、群馬と並んで国内第2位の生産地と分かった。収穫期が約2カ月間と短いが、今年は友人の奥方に紹介され、例年と違う近郊の農園に出掛けた。作柄、品質とも平年並みというが、猛暑の中、汗だくになりながら約1キロのブルーベリーを摘み取り、早々と退散した。
ブルーベリーは冷凍の輸入製品などを入れると、1年中、スーパーの店先でお目にかかれる。しかし値段が高く、ジャム作りには手が出ない。それに比べ東京都産は100グラム、150~200円と手ごろだ。自家製のジャム作りは、丹念なあく取りが決め手と言われ、鍋から離れられない。ジャム作りを始めると、いろんな種類のジャムに挑戦したくなるという愛好家の話を聞いたことがある。確かに凝りだしたら切りがない。
ラジオ体操仲間の「人気もの」だった大型犬のヘンリーが急死した。年齢は10歳2カ月。異変に気付いて病院に搬送し、胃捻転と分かって手術を受けたが、あっけなく亡くなったという。ヘンリーはスイス原産のバーニーズ・マウンテン・ドッグ。体長170センチ近く、体重60キロを超える堂々たる体型。温和な性格から体操会場に集まる飼い犬の中でも、存在感は抜群。子犬と戯れる親分肌の光景に毎朝、癒やされた。
ヘンリーの名前は購入店で飼い主の奥方が即断して命名したと聞いた。毛足が長く暑がりで、涼しい木陰を好んだ。大型犬の平均寿命は10歳(人間で54歳)ぐらいといわれているから、早すぎたヘンリーも惜しまれながら天寿を全うしたことになる。数年前に飼い犬をなくした女性が体操会場でヘンリー宛ての感謝状を読み上げた。犬や猫を飼ったことのない未経験者にはわからないが、飼い主同士の強い絆を垣間見た。
近隣住民によるラジオ体操が始まって今年で約10年になる。毎朝、大きなラジカセを担いでNHKの放送時間に合わせて駆け付ける創始者の尽力で継続されてきた。町内会の一催事としてスタートしたというが、当初は参加者一人だけの時もあったと述懐する。現在は会場も富士山が眺望できる広い公園に移動し、参加者は5~60人に増えた。愛犬たちも急増し、餌を持参しないとなかなか犬の世界に入れない。
(14/07/14 マニラ新聞コラム)
携帯電話をスマートフォンに変更したが、どうもしっくりいかない。操作が簡単な「らくらくホン」仕様で基本料金が安いためか、スピードが遅い。歩数計で毎日、歩数をチェックする機能も、グラフが起動するまで20秒近くかかる。ソフトの欠陥ではないかと申し出たが、機能的にはそんなものだとつれない。そのくせ使いもしない体重計からの自動受信装置や消費脂肪など余計なソフトがいろいろ組み込まれている。
変更当初はアプリの追加できない機種選定が正解と納得していたが、使用しているうちにアプリがダウンロードできない機種の不都合さを痛感するようになった。今は企業などの専用ページはほとんどアプリに負うところが多い。家電量販店の中には来客に専用アプリを使ってポイントを付与するサービスもあるが、アプリが取得できない機種では、入力機に接触してもポイントがもらえない。
スマホの利点は外出中でも自宅のパソコンのメールがチェックできることだが、低機能機種のためか、添付資料は開封できない文書が多い。本文を読んで内容を知るしかない。公衆無線のワイファイ接続も悪戦苦闘し、機種にアプリがないため代理店に持ち込み設定してもらった。しかし、利用途中で操作を間違え、間もなくダウン。ここでもアプリが使えない機種の不便さに泣かされた。
(14/06/02 マニラ新聞コラム)
日本初の女性報道写真家として知られる笹本恒子さんの軌跡を紹介する写真展が4月5日から神奈川県横浜市の日本新聞博物館で開かれている。25歳で写真家を志し、今年9月で100歳の誕生日を迎えるが、現在も取材や執筆活動に飛び回っているという。会場には戦前から戦中、そして戦後の昭和、平成にかけての日本の歩みと、それぞれの時代に各界で活躍した人物写真など134点が4部門に分けられ展示されている。
戦前ではドイツ・ナチス党の青少年組織「ヒトラーユーゲント来日」「日独伊三国同盟婦人祝賀会」など緊迫した日米開戦前夜の写真。戦後に入ると、進駐軍兵士の姿や東京のPX、労組の銀座デモ、60年安保闘争などが並ぶ。日劇で歌う笠置シズ子の写真には動き回る姿を追い掛けた苦労話がされ。反対に岡本太郎(画家)の説明には「ずっと無言で撮影に応じ、すべてポーズを(自分で)決めた」とあった。
「明治生まれの女性たち」の部門では、宇野千代(小説家)、杉村春子(女優)、石垣綾子(評論家)ら28人が登場する。社会参加が難しかった時代に、各分野で活躍する女性の姿を後世に残そうと精力的に取り組んだ意欲作だという。「100歳展」の初日には同じ年代のジャーナリスト、むのたけじさんと記念対談し、ともに日本人の戦争記憶の風化を懸念し、秘密保護法や原発事故を批判した。衰えない、そのバイタリティーに感服する。(14/04/28 マニラ新聞コラム)
東京近郊にもようやく春の兆しが見え始め、近くの公園の梅の花がようやく咲きそろった。今年の東京は連日、寒い日が続いた。中でも2月の記録破りの2度の大雪には参った。自宅のベランダは40センチ以上の雪で埋まり、集合住宅の周回道路や駐車場は、一面信じられないような雪景色に変わった。昼間になっても気温が上がらないため、早朝からなれない除雪作業に奮闘する羽目になった。
平日で人手が足りず、高齢者と女性陣が半日掛かりで悪戦苦闘した。休み休みの作業になったが、途中から作業を終えた援軍部隊が駆け付け、手助けしてくれ助かった。苦労したのは大量の雪の捨て場所。駐車場横の生け垣越しの斜面や、周回道路の両側にうず高く積まれた雪山が、10日ぐらい経っても消えなかった。高速道路が各地で寸断され、近くのスーパーからパンや一部食品がなくなる騒ぎもあった。
雪国に住む知人に大雪の苦労話を伝えと、先方も今年の降雪量は桁違いらしく、連日、除雪作業にせき立てられたという。毎年、さまざまな除雪道具をそろえてきたが、今年の大雪では、いずれも太刀打ちできず、10分も作業するとヘロヘロになったと嘆いていた。作業の負担軽減のため、来年は思い切ってネットで見つけた電動除雪機を購入する決断をしたと意気込む。時たま起きる都会の除雪苦労どころではないと笑われた。(14/03/24)
正月に東北の知人から毎年、孫の成長を箇条書きに寸評した年賀状が届く。今年も孫、ひ孫計9人の近況が面白おかしく書き添えてあった。高校球児だった最年長の孫は、生まれた2人目の子どもに、早々と「野球選手以外の進路は認めない」と親ばか宣言したと紹介。希望を託されたひ孫の項では「6カ月検診で乳児用体重計の針が振り切れ、大人用で測ったら医師もびっくりの11キロ」と驚きを伝え、笑わせた。
年賀状の利用者離れが止まらないという。日本郵便によると、今年元日に配達した年賀状は前年比3.8%減の約18億万通、5年連続して前年実績を割り込んだ。原因は相次ぐ投稿情報サービスの登場で伝達環境が変化したためといわれる。近年、フェイスブックやラインなどで、年賀状を発信する電子族が増加した。大手文房具販売の調査でも、電子年賀状に移行すると答えた人が全体の半数を超えたという。
今年、わが家にも孫たちからスマートホンのラインを使って電子年賀状が届いた。簡単な添え書きと大きな年賀スタンプ(画像)が4個添付されていた。スタンプだけで気持ちを表現しようという苦心の作品だった。ラインは個別対応のチャットと無料電話、スタンプなど斬新さと勝手良さが受けて急速に拡大している。利用者離れが続く中で、年賀状はこれから先、どう様変わりしていくのだろうか。
食材の偽装表示問題が後を絶たない。大阪の阪神阪急ホテルズに始まり、全国の主要ホテルや大手百貨店などでも相次いで発覚し、関係者の謝罪会見が続く。日本百貨店協会の調査だと、加盟85社のうち6割の飲食店で、メニューと違う食材を使い、中華料理店が3分の1をを占めていたという。「思い違い」「誤表記」などという釈明では済まされない。長年、消費者をだまし続けた偽装商法にあ然とする。
牛肉ステーキに牛脂注入肉や成形肉があることを初めて知った。肉質が固い輸入肉などに和牛の脂を注入して霜降りの高級ステーキに仕上げるという。牛脂注入肉の製造工程を紹介するテレビ番組を見た。大量のカット肉がベルトコンベヤーで機械の中に運ばれると、何十本もの針が下りてきて牛脂が注入された。ホテルの中には、この牛脂肉を「柔らか和牛ステーキ」と偽装表示していた。
市販品のパンやパック詰めのジュースを自家製と偽って販売していたケースも、どうかと思う。自家製という定義は法的にはないそうだが、フレッシュジュースと表記されていたら、客は特製の搾り立てジュースと思って注文する。醸造アルコール入りを純米酒として虚偽表示していた酒造メーカーも名乗り出たが、いまや偽装列島の感がある。東京オリンピック招致で一躍脚光を浴びた日本式の「おもてなし」の言葉もむなしい。(13/12/2)
日本年金機構から年金記録の「訂正お知らせ」の書類が届いた。入力データに間違いが見つかり、給付金を追給するとあった。まさか消えた年金問題の該当者になるとは思いもよらなかったので驚いた。通信社在職中の年金納付記録で、1カ月分が空欄のまま未納処理されていたいたという。紙台帳の年金記録をオンライン化でコンピュータに転記する際、処理ミスがあったと釈明していた。
同機構が記録を修正し、給付金額を再算定したところ、年間で4千円近く増額になった。同封の返信用書類に記入して、手続きをすると、会計法上の5年間の時効撤廃を決めた年金時効特例法が適用され、1回目にさかのぼって差額が追加給付された。利息に当たる遅延特別金まで加算されて振り込まれてきたが、喜ぶのもおかしいし、何とも奇妙な気分にさせられた。
それにしても、よく見つけたものだと日本年金機構の見直し作業に感心していたら、最近になって時効特例法関連で、新たに約1300件の給付ミスが見つかったと同機構が発表した。特例法に基づく時効給付の基本ルールを現場に徹底していなかったと釈明、理事長らが一部報酬を返上して頭を下げた。空白期日の発見に「喝采」したのも束の間、同機構のイメージは再び「大喝気分」に逆戻りした。(13/10/26)
猛暑続きの東京を離れ、信州の秘境・秋山郷に出掛けた。同行したのは同じ年ごろの仲間4人と運転手役の女性フリーライター。上越新幹線の途中駅で落ち合い、レンタカーで目的地に向かう。信州でも有数の豪雪地帯といわれ、山間部に入ると、田園風景が一変し、断崖絶壁の曲がりくねった狭い山道になった。ところどころに対向車とすれ違う退避区域があるが、運転手はいっときも気が抜けない。
「信州百名山の宿」として紹介されている秋山郷の一軒宿に泊まった。山あいに本家(食事所)と7戸の分家(コテージ)が配置され、建物同士は豪雪でも耐えられるという屋根付の長い渡り廊下でつながっている。江戸時代の文人が世に紹介した文献を基に再現したという。雪除けに傾斜した本家の黒光りの屋根が美しい。露天風呂から残雪を頂いた2千メートル級の荒々しい山肌が目の前で眺望できた。
同行した女性フリーライターは高齢者の両親を抱え、仕事の合間に車で福祉施設への送り迎えをしている孝行娘。年齢は適当に召しているが、運転技術はプロ並みの腕前。口やかましい年配者たちの難題にも即座に対応し、どこへ行くにも同行をいとわない。「高齢者の扱いは手慣れたもの。楽ちん楽ちん」と毎回、楽しんでいる様子だが、こんな孝行娘と一緒に生活している両親がうらやましい。(13/9/23)
世界遺産に登録された富士山の登山者が急増している。山開きした7月1日以降、山梨県側からの登山者が過去最速で10万人を突破した。登山者の増加に備え、今年から10日間限定で、一人千円の入山料の試験徴収が実施された。トイレ整備や安全対策など施設拡充が目的のようだ。夜通しで山頂を目指す弾丸登山者も相変わらず後を絶たない。富士山ブームで日の出前の山頂付近は身動きできない混雑が続いているという。
インターネット検索大手のグーグルが富士山のストリートビューを公開した。特殊カメラを搭載した「トレッカー」と呼ばれるバックパック型の機材を背負って、山頂まで尾根道や岩場を登りながら地元自治体の許可を得て撮影した。臨場感たっぷり、手軽に富士登山の気分が味わえるのがみそだ。全行程の登山距離は約15キロ。3日間かけて撮影した全方位のパノラマ写真は約1万4千枚に上る。
グーグルは最近、車が入れない鳥取砂丘や屋久島、小笠原、軍艦島(長崎市)など文化・自然遺産を積極的に撮影し、次々と公開している。撮影機材の貸し出しも始まり、観光機関などが制作した魅力的なスポットが紹介される日も近い。ただ驚かされるケースもある。知り合いの戸建て住宅の全景がストリートビューで映し出され、表札まで撮影されていた。仮想体験が楽しめる反面、勝手に公開される怖い一面も垣間見える。(13/08/19)
今年もフィリピンから経済連携協定(EPA)に基づいて看護師・介護福祉士候補者が大勢来日した。昨年まで就労前の語学研修は中部、関西圏が多かったが、今年は関東圏で行われたため、取材を申し込み、初日の開講式に出掛けた。研修生は介護福祉士候補者80人。第2陣以降、年々若年化して、今年の第5陣の平均年齢は約25歳。第1陣の候補者に比べ6歳近く若返り、1年目からのインドネシア人介護福祉士候補者とほぼ同年代になった。
開講式後の初対面で思わぬ出来事に出くわした。受け入れ施設関係者と個別のミーティングが始まったが、候補者が1人もいないテーブルがあった。関係者に聞くと「だれも来ないのよ」と困惑顔。さぞや大騒ぎしてると思いきや、主催者側の担当者は「部屋に戻っちゃたかな」と慌てている様子もない。「さっきも言ったのに、何もしてくれないのよ」。対応が遅そいと施設関係者は憤慨する。
怒りのご当人は中国地方の社会福祉法人の理事長さん。「今回初めて候補者を受け入れるが、前回も直前にキャンセルされている」と苦笑い。会場内をあちこち探しているうち、お目当ての候補者3人が、別のテーブルに座っているのが見つかった。照れくさそうに移動してきたが、理事長さんらに声を掛けられ、ちょっぴり緊張ムードが和らいだ。対面直前に何が起こったのか、困惑していた理事長さんも、表情がほころびほっとした。(13/07/15)
遊び仲間の友人が脳梗塞で倒れた。暇があると近くの温水プールに通い、健康には人一番気を配っていた。定期健康診断で心電図に少し乱れがあると指摘され、精密検査を受ける矢先だったらしい。脳梗塞の前兆など全く気付かなかったというが、自宅で倒れ、救急車で運ばれた。右半身に障害が残り、言語もままならない。これから長く厳しい回復訓練が続くことになる。
1カ月半後、久しぶりに面会に行くと、治療病棟からリハビリ棟に移っていた。相手の言葉は理解できるが、まだ自分の意思が十分に表現できず、イライラが募るそぶりを見せた。介助者の勧めでボール投げの相手をした。2メートルほど離れて、動く方の腕を使いボールを投げ合った。車いすなしでつえを突き、ゆっくり歩行できるようにもなった。運動しないで食べる一方だから体重が増えたと笑っていた。
テレビのワイドショーで脳梗塞の怖さを取り上げていた。後遺症を防ぐには、発症後の4時間半が応急治療のタイムリミットと紹介。血流を劇的に回復する特効薬が使用できるかどうかにかかっているという。様子見で遅れるケースが多く、特効薬を使える患者は5%にも満たないとか。友人の場合、特効薬は使用できたが、投与途中に症状が起きて、急きょ中止したと聞いた。(13/6/10)
「ゆめぴりか」「つや姫」「森のくまさん」…。いずれも2~3年前から市場に出回り始めた新銘柄米の商品名だ。毎年行われる日本穀物検定協会の「食味ランキング」で、連続して最高評価の特Aランクに選ばれた。うわさを聞いて北海道産の「ゆめぴりか」を試食してからすっかりはまった。外観の見た目、柔らかさ、粘り気、ともに抜群の食味。これが一昔前まで全く不評だった北海道産のコメかと驚かされた。
開発に取り組んで約10年余。全国デビューしたのは2年前というが、評判は上々だと聞く。コメの食味は冷めてからが勝負だが、「ゆめぴりか」はおにぎりにして食べても実にうまい。ラジオ体操の会場で知り合いに話したら口コミで伝わり、「ゆめぴりか」の愛用者が一気に増えた。北海道らしいネーミングも気に入った。公募して決めたというが、「夢」とアイヌ語で美しいを意味する「ピリカ」を合わせて名付けられた。
新銘柄米の相次ぐ登場で、日本のコメのランキング地図が大きく変わってきた。昨年産の特Aランクには北海道と同様、食味には程遠かった九州から7品種が選ばれた。中でも熊本産の「森のくまさん」は歴代の超有名ブランド米を抑えて最高位にランクされたという。日本の米作技法はすごい。環太平洋経済連携協定(TPP)参加が決まり、コメ防御論が盛んだが、うまいコメを作れば高くても外国産米に負けない。そう信じたい。(13/05/06)