ハナミズキ便り

日常の何気ない思いや出来事を自由気ままにつづります。

斑鳩の里の秋 ~倭は国のまほろば~

2020年12月03日 | 旅の絵日記

奈良斑鳩の里の法隆寺夢殿の秘仏

救世観音さまにお会いしてきました。

そして、法隆寺のもう一人(?)の観音さま

百済観音さまにもお会いしました。

 

斑鳩の里は聖徳太子ゆかりの地。

 

やまとは くにのまほろば

たたなづくあをがき やまごもれる

やまとし うるはし・・・

小雨の朝、中門の前に佇む。

 

《中門》

 

やがて、雲の合間から青空が現れて

陽ざしが届く穏やかな日和になりました。

 

境内の玉砂利を踏むたびに”しゃっ、しゃっ”と音がする。

 

聖徳太子がこの地にお寺をお造りになったのは推古天皇の15年の頃

その頃、歩かれた時と同じ音、なのでしょうか?

 

1400年の時の流れのひとコマ、ひとコマの

昔々の記憶を呼び戻す ”音” ・・・

 

《 金堂(左)・五重塔(右)》

 

金堂には本尊釈迦三尊像が安置され

その四方を12面の荘厳な壁画で飾られている。

中でも西大壁を飾る”阿弥陀浄土”は最高傑作と云われています。

 

《再現壁画6号壁 阿弥陀浄土》

《勢至菩薩》
         《阿弥陀如来》         《観音菩薩》 

《西院伽藍回廊の連子窓》

 

東大門をくぐり抜けると

夢殿の宝珠が石畳の道の奥に輝いて見える。

 

回廊に囲まれた夢殿の境内は思いのほか狭い。

この堂は観音の化身と伝える聖徳太子を

供養するための殿堂

粛然とした雰囲気が漂っています。

 

「夢殿」

 

この名前がとても素晴らしい。

このお堂には奈良の時代からの

”希望・理想・未来”や極楽浄土への

万人の願いや祈りも詰まっている。

 

夢殿の救世観音にまつわる話を読んだことがありますが

この観音さまへ託す祈りの気持ちには無縁のもの。

このお顔の穏やかさ、優しさ、微笑みの口元に拝すると

煩悩に囚われたわが身から余計なものが洗い流されたような

とても清々しい心持ちになります。

 

《夢殿》

 

優美で慈悲深い表情のすらりとした姿の百済観音

『以和為貴』を祈念された聖徳太子等身の救世観音。

百済観音は大宝蔵院百済観音堂、救世観音は夢殿に安置されている。

共に飛鳥時代の作と云われています。

 

《 百済観音(左)》           《 救世観音(右)》

                               《写真集法隆寺より》

 

中宮寺は聖徳太子の

御母・穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后崩御の後、

その住いを太子が寺院にされたと伝わります。

 

中宮寺ご本尊の如意輪観世音菩薩さまは

本堂修復工事の間、他所にご出陳のため留守になっていました。

この間、瓜二つの大正生まれと平成生まれの

お二人(?)の御身代わりご本尊さまが

お位牌堂で特別公開でご出座されていました。

 

《中宮寺》

 

 

なんと言い表していいのでしょうか。

言葉にならない・・・

ただ、静かに合掌するのみでした。

 

《如意輪観世音菩薩》

                            《絵葉書より》

 

このご本尊礼讃の言葉は

和辻哲郎氏著の『古寺巡礼』に委ねることとして

陽が西に傾くころ、今日の宿のある奈良市内にもどりました。

 

チェックインまでしばらく時間があったので

春日大社から若草山、二月堂、東大寺へと奈良公園を

紅葉を楽しみながらぐるり歩きました。

 

《奈良公園》

《春日大社伏鹿手水所》

《水谷(みずや)茶屋》

《若草山》

《猫段の紅葉》

《東大寺南大門阿形・吽形像》


若草山に向かう途中の水谷茶屋の風情は昔と変わりなく

日本の原風景の趣きを醸していました。

久し振りの古都奈良

倭は国のまほろば

優しく迎えてくれました。