心人-KOKOROBITO-

亡き先人と今を生きる人に想いを馳せて
慰霊活動や神社参拝で感じ取った事を書き綴った日記と日々の雑感コラム

白梅同窓生と沖縄で5 【ようやく会えました】

2010年05月07日 | 慰霊
木々に覆われた白梅之塔に近づき、わたしは慰霊碑へと目をやった。すでに白梅同窓生の皆さんが石のベンチに座り、待っている姿が見えた。車をそのまま駐車場に入れ、エンジンをかけたまま、わたしはダッシュで走って行った。ベンチに座られていた方の一人が近づいて来るのが見えた。中山きくさんだった。

『遅れまして、大変申し訳ありませんでした。はじめまして、○○でございます。この度は、大変なご無理を申しまして、わざわざ来て頂き、有難うございました。』と深々と頭を下げた。
『ようこそ、おいで下さいましたね。色々とこれまでお供えを戴いて、こちらの方こそ御礼を言わないといけなかったのですが、ほんと、よく来て下さいました。』と、わたしの顔を見つめ、こう仰ってくださった。

わたしは、もうその姿に触れただけで感極まり、すでに涙目になっていた。感情レベルはピークになっており、そばにいた同窓生の方2名に目をやるのも時間を要したほどだった。

『今日は、同窓生のこの子たち2人と来たんですよ。この子は足が悪くてね。今日来れなかった3人は、来たかったんですが、明日の普天間基地の県民大会に行くので、もう年寄りなもんですから、なかなか体も思うように動かなくて。○○さんにも宜しく伝えておいて下さいって言ってましたよ。わたしは、明日も大会には参加するんですけどね。』と仰った。

目の前でそう語る中山きくさんの話を聞いて、普天間基地移設の問題にも胸が痛んだ。貴重な時間をここに来られた方々は吟味し、そしてお二人駆けつけて下さった事を改めて思い知らされた。そして、中山さんは同窓生の方をいつもの呼び方で呼ばれ、わたしに紹介して下さった。

帽子をかぶられた方が、武村豊さん、髪の毛を束ねた方が、東恩納道子さん。同窓生の方々にもご挨拶を済ませ、そしてドライバーとして同行された女性にもご挨拶を済ませたわたしは、こう切り出した。

『今日、お供え物を持ってきていますので、荷物を下ろします。すみませんが、少しお待ちください。』と告げ、わたしはダッシュで車へ向かい荷物を持ち運びしようとした。同窓生の方々も駐車場近くまで来て下さり、荷物を持って下さった。ああ、恐縮するばかりである。そして、献花台に供えられたお供えを見ながら、どうしようかと思案し始めたのだった。




中山さんは、『わたしたちのものはお下げしますから、どうぞ、供えて下さい。』と仰って下さった。『宜しいんでしょうか?』と切り返すと、『うんうん、これみんな後でウサンデーするでしょ?』と尋ねられたので、『もちろん、どうぞ皆様で持って帰って下さい。』と告げた。
(ウサンデー:おさがり。神仏への供物のさげたもの。また、人の使用したあとを頂戴したもの。)

まずは正面の献花台にお花。中山さんはご自身で持ってこられすでに献花されたものと入れ替えをしようとされたが、武村さんがステンの筒を手に持たれ、『これに入れたらどうかしら?』と勧めて下さった。そのステンに水を注ぎ、花を入れた。

ビニールが敷かれた献花台に、わたしは持ち込んだアルミのお皿を置き、あの時慌てて購入したお供え物、そして持ち込んだお供え物などを丁寧に並べ、盛り付けていく。それを黙って静かに同窓生の方々は見守っていた。

わたしは、おもむろに、『沖縄では、甘酒とこんぺいとうを探すのが難しくて、こちらで購入したのですが、他の物は沖縄で揃えたんですよ。』と話すと、武村さんがその話に反応された。



(左:武村豊さん 右:東恩納道子さん)

『こんぺいとう・・・・うわぁ・・・・なつかしい・・・・』そう一言、つぶやいた。
『前回こちらへお伺いした際、少女達がお供えして欲しいものに”こんぺいとう”と仰ったので、それで今回も用意したんです。』と伝えた。すると、こう話始めた。
『いや、戦争中兵士から食事が支給されたカンパンがあってね、それにほんのわずかなこんぺいとうがくっついていたの。だから、こんぺいとうと聞いて、うわ~、わたしびっくりして。そう、そうだったの。あの子たち、これが食べたかったのね。』と優しい口調で語られた。



(中山きくさん)

少女達にとって、甘いもの、これがどれだけ食べたかったか、それは前回霊視されたIさんから聞かされていた。はちみつもこんぺいとうもそうだ。少女達が残していった想いの一端でもある。この話に触れ、同窓生の方々は、わたしたちは何を供えていいものやら、季節のものをといつも持ち込んでいたけど、そうやって欲しいものがあると知って、本当に良かった、これから、欲しいものを供えてあげたいと話された。


(つづく)

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