潮路のとはずがたり雑記 **shioji's notes

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血霧

2013-06-06 19:51:00 | 本・小説
 お約束ですので、順番が来たから読んでみました>パトリシア・コーンウェル『血霧』上・下(講談社文庫)。いつもの検屍官シリーズです。
 流れからすると、前の『変死体』から続いているようですね。ある重要キャラと血縁関係のあった人物が、また出てきます。その身内も。
 前回「もう末期的」と嘆いたこのシリーズですが、それよりは多少ましだったかも。それでも初期のあの鋭さ、わくわく感を思うと「なんでこーなったの?」と残念でたまりません。

 なんなんでしょうね、このがっかり感は。 今回も「なにが起きるの?」から「なにか起きた」までが異常に長くて、残り頁数を見つつ、「次巻に続く」で結果が持ち越されたらどうしようかと思いました(笑)。ミスリードを誘っているとも思えない回り道のような描写が異常に多いんです。胃の内容物についての記述なんて異様に詳細で……食事前後の方は、気をつけられた方がいいかもしれません(経験者w)。
 キャラ同士がこんがらがってしまって、収拾がつかなくなっているような気もします。ルーシーとジェイミーの関係がその典型例ではないでしょうか。そしてケイとルーシーも決して良好一方ではないようだし、ケイ、ベントン、マリーノの奇妙な三角関係……というかカップルプラスお邪魔虫一人も、にっちもさっちもいかない様子。こんなことを描写するのに字数を割いていては、肝心のストーリーやトリックなどが埋没して当然かも。
 ごく個人的な意見ですが、ケイとベントンを(不倫っぽい関係の末)結婚させたのは失敗じゃなかったかと思ってます。スーパーウーマンがそのしもべと馴れ合っている話はあまり読みたくないんじゃないですかねえ、みなさん。

 犯罪者とはいえ、この中の女性たちは数奇な人生を歩んできたわけですが、そちらを焦点に話を作っていったらむしろ面白く読めたかも。もっともオチはちょっと今回ありきたりでしたけど。そこに伝家の宝刀よろしく決着をつけたルーシーには、ちょっととうてい共感できません。
 同じ作者の切り裂きジャックのノンフィクション『真相』なんかは面白かったんですけどね……。いやいや、このシリーズ、どうなるんでしょう?

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