shinuma de cinema (映画ネタバレの部屋)

こちらは、shinuma de cinema の映画のネタバレができるお部屋です。
大好きな映画を語りましょう~♪

○Vフォー・ヴェンデッタ(2)監視社会

2006-05-05 | A-Z
政治的な側面、歴史的な側面から見てもとても面白い映画だと思いました。
いろいろなところにアイテムや過去の事件を臭わせるものがちりばめてありました。

●ネタバレしています。

●11月5日・・ガイ・フォークス・デー
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(イギリスの記念日/イギリスで花火をあげるイベントあり)
1605年11月5日、ガイ・フォークスは火薬を詰めた36個の樽とともに、議事堂の地下道に潜伏して
いるところを発見された。フォークスをはじめとするレジスタンス一派は、ジェイムズ一世を君主
とする圧政に反発し、政府の転覆を狙って“火薬の陰謀”をくわだてた。だが、一斉に摘発された
フォークスらは絞首刑、火あぶりの刑、四つ裂きの刑に処され、計画は未完に終わってしまった。
(公式ページから)

○最初に1605年11月5日「ガイ・フォークス」の説明から映画は入ります、
人間は死んでも理念は残ると映画の中ではくり返し語ります
※理念=哲学上の概念・イデオロギー・信条としての考え


●Vフォー・ヴェンデッタ(劇画)
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本作の原作にあたるのは、アラン・ムーア作/デイビッド・ロイド画による同名の劇画。81年から
イギリスの月刊コミック誌「ウォリアー」で連載がスタートし、瞬く間にカルト的人気を博した。
しかし、26話目にして「ウォリアー」が廃刊されることになり、連載も中断。その後、5年の休止
期間を経てムーアとロイドはシリーズを完結させ、89年にはDCコミックスより全集が出版され
た。
ストーリーの舞台はあくまで近未来だが、そこに描かれているのは近代の英国だ。「我々が描いた
一党独裁政権、警察国家はサッチャー政権時代の超保守体制をモデルにしています」とロイドは説
明する。「その体制を壊すのがVというキャラクターなんですよ」
(公式ページから)

○イギリスでは(ロンドンで)街中に監視カメラがあり。あの古い街に、監視カメラの設置台数は
250万台以上。国民一人当たりの台数で「世界一」。 ロンドンでは、通行人は5分に1回カメラに
映され行動の半分が記録されていると言う記述さえみつけました・・。私たちは監視されてま
すーーーって言うのがイギリスの国です・・ちょっと恐い。


●ブッシュー政権と9.11後のアメリカ、監視される社会
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9.11同時多発テロ以降、世界で「監視社会」への加速が止まらない。テロや犯罪を防止する目的
で、街角で、空港で、果ては住宅街や学校内でも監視カメラが、
人々の行動をチェックし続けている。
さらに怖いのは、我々が便利さゆえに、当たり前のように利用する携帯電話やメール、クレジット
カードも監視の道具になること。いつ、どこで、何をしたのか。
蓄積された個人データをトレースすれば、その人の行動を丸裸にすることも可能なのである。
技術の進歩を背景に、とめどなく進む監視。欧米の最新事情を紹介するとともに、
安全や利便性のためにどこまでの監視を許すべきなのか、その行方を探る。
http://www.nhk-jn.co.jp/002bangumi/topics/2004/004/004.htm

○9.11以後のアメリカではテロを取り締まると言う大義名分の中で自由の抑制がおこなわれている
らしいです。監視・盗聴・密告などがありそれに対して、疑われ公安のようなところから尋問され
被害にあった無実の住民のインタビューをある番組で見ました。
またつい最近では、飛行場に向かうタクシーのお客が、テロぽい言葉を含む音楽を聞いていたら警
察に捕まってしまいました。無実でしたがあえなく飛行機に乗れませんでした。(ヤフーニュース
より)
笑い話のようですが、アメリカの知識人は危機感を感じている人もいるようです。


●ナチスを思わせる表現・ゲイ
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○アウシュビッシュとか感じさせる場面とかありますが(収容所内での人体実験・穴に捨てられる
死体)収容所ではユダヤ人の他に、同性愛者や、ジプシーなどのマイノリティ(少数派)の人々が
収容されました。この映画では、そのへんを取り入れながら、人とは違う少数派の人の悲しみなん
かも表現されていました。
それとブッシュ大統領は保守派で敬虔なカトリック教徒なのでゲイの結婚とかも否定しているよう
です。(カトリックではゲイは許されません)



●岩窟王『モンテ・クリスト伯』
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『モンテ・クリスト伯(-はく)』(Le Comte de Monte-Cristo, 邦題『巌窟王』)は、アレクサンド
ル・デュマ・ペールによる小説。主人公エドモン・ダンテスが無実の罪で監獄に送られ、そこで長い
年月を過ごしたのち、脱獄して巨万の富を手にし、モンテ・クリスト伯爵として自らを陥れた者た
ちに復讐する物語である。1844年から46年にかけて、フランスの当時の大手新聞「デバ」紙に連載
されて好評を博しました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E4%BC%AF

○この映像が映画の中でたびたび出てきます。Vは自分をエドモン・ダンテスだと思っていたのかも
知れないです。イヴィーはこの映画をVを見て、女性より復讐を選んだ主人公のことを悲しいと言っ
ているところも意味ありげでした。



●ラストで国会議事堂に向かう民衆。
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○私はこの場面でベルリンの壁の崩壊を思い浮かべました。
沢山の白い仮面の顔が押し寄せる人の壁のように見えたからです。
ベルリンの壁の崩壊の理由は、ハンガリーの民主化に始まります。
そして大勢の東ドイツの人を安全に西へ向かわせる
「ヨーロッパ・ピクニック計画」が始められます。

http://www.city.kazuno.akita.jp/kokusai/sopron/picnik.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%8E%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%83%BB%E3%83%94%E3%82%AF%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF

NHKのドキュメントで見たんですがーー壁の崩壊を兵士たちが阻止しなかったのは
偶然の重なりだったそうです。指示系統がマヒして、仮面の群集を打てなかった
(心情的にも打ちたくなかったような感じ)兵士たちを乗越えて議事堂へと押し寄せて
行く姿がベルリンの壁の崩壊のようにドラマチックに見えました。

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★『Vフォー・ヴェンデッタ(1)人間の尊厳』も合わせて読んで下さい。v(^^)

○Vフォー・ヴェンデッタ(1)人間の尊厳

2006-05-04 | A-Z
3次世界大戦後のサトラーが支配する近未来のイギリスで仮面をつけた一人の男が国家に反旗をひるがえす。「人民が政府を恐れるのではない、政府が人民を恐れるのだ。」
V(ヒューゴ・ウィービング)はただの人殺しなのか、それとも正義のヒーローか・・家族を失った孤独な女性イヴィー(ナタリー・ポートマン)を巻き込み話は混迷を極めていく・・。
感想を久しぶりに書きます。鑑賞は2回目、内容的にはかなり過激な部分もありますが、いろいろな要素が混ざりとても面白い映画になっていると思いました。
この映画のひとつの魅力は、ダークヒーロー「V」の複雑なキャラクターにあると思いました。次々と人を殺めていく残酷さ、紳士的とも思える態度、高い知性、そしてお茶目とも思えるユーモア。冷酷な殺人を犯しながら、笑いが出るような行動をしたり、なんとも個性的なキャラです。
それとこれは事前に知識を貯えて見ると面白いと思うんですが、一見過去をなぞっている映画(ドイツのヒトラーとか・・)にも見えますか、ブッシュ政権に対する反発とか時代を反映している映画にも見えるのでそのへんも面白いと思いました。
政治色が強いし、個性的な映画なので見る人を選ぶようです。好き嫌いがわかれてそうーー。
監督はジェームズ・マクティーグ、製作と脚本は「マトリックス」のウォシャウスキー兄弟、主演はマトリックスのスミス役の、ヒューゴ・ウィーヴィング(顔は出ないけど..)、SWのナタリー・ポートマン 、スティーヴン・レイ 、スティーヴン・フライ 、ジョン・ハート など・・。
http://wwws.warnerbros.co.jp/vforvendetta/


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●ここからネタバレです

久しぶりにハマリそうな予感がする映画に出合えて嬉しさがフツフツ湧いてきました。
まずはキャラクターがよかった・・・
漫画(アニメ)的とも思えるけど、複雑な性格がとても面白いです。

『Vフォー・ヴェンデッタを見て考えたこと・・・(1)』
(あくまでも個人の見解です~~)

ウイルス実験によって化物になってしまったV、自分の過去さえ(記憶)、政府に奪われてしまい。心に残されたのは復讐のみだったでしょう。牢屋の中でトイレットペーパーに書かれた隣の女性の生涯の記録を読みながら彼はそれを生きるささえにしたんでしょうか?イヴィーが牢屋での体験で生まれ変わったように、V(ヒューゴ・ウィービング)も炎の中で生まれかわり、復讐の鬼となってしまったのかな~と思いました。

イヴィーがさらわれ、眠りから覚めた部屋には沢山の積み上げられた本がありました。彼の過去がどうあれ、そこで彼は、シェークスピアのマクベスや十二夜を語れ、芸術を愛でる知性を身に付けたようです。これは映画の中でたびたび出てきた『岩窟王(モンテクリスト伯)』が、裏切られワナにかけられ、孤島の牢獄に流されて、そこで学識のある司祭ファリアに学問と知識を教えられ島を脱出して、大富豪モンテクリスト伯として生まれ変わり復讐者となる姿と似ています。

イヴィーが、崩壊する国会議事堂の前で(ラスト)語る名前、エドモン・ダンテスは岩窟王(モンテクリスト伯)の元の名前です。

イヴィーを助けて自己紹介をするシーンは絶対だれでも引くぞーーと言うぐらい異常ぽいですが、チャイコスキーの音楽を奏でながら政府の象徴である建造物を爆破す姿はほとんど芸術家です。正直こういう美学のある人は私のツボでしたーー。(><)

イヴィーは父母を政府に奪われ、矯正機関に入れられます。イヴィーはそこで人間の誇りを失います。そして残ったのは命だけでした。彼女は家族を失うだけではなく、人間の尊厳も奪われます。Vもイヴィーに出会うことによって失ったものを思い出したのかも知れないです(愛)。そして歪んだカタチですが、Vはイヴィーに彼女にとって(人間にとって)一番大事なものを牢獄のなかで取り戻させます。イヴィーは雨の中で生まれかわりました。命より大事なものそれは人間としての尊厳です。(誇り・理念)彼女はそれを得ることによって死ぬ事が恐くなくなります。

Vはイヴィーに化物と言われます。自分が化物だと一番自覚していたのはV自身だと思いました。彼は一番愛するものから拒絶されます。(当たり前ですが・・)Vも少しづつイヴィーによって変化させられたんだと思いました(愛するってことによって)でも血にそまり化物の自分が彼女を愛する資格はないともしっていたと思います。彼は政府とともに自分を抹消することによってすべてに終止符をうちます。彼は復讐によって生き、愛によって死ぬ事ができたんだと思いました。

この映画の言葉が好きです。イヴィーの列車の中で語る希望とか・・最後の彼は(V)はエドモン・ダンテスであり、父であり、母であり、そしてみんななんだって言葉もーー誰しもVなる可能性をひめていた、Vは誰でもない自分自身だってことなんだろうと思いました。(間違った政府を野放しにしたのも自分達であり、未来を作ることができるのも自分たち)

●映画部門でblogRanking参加してます
実は仮面持ってます(^^;)ヘヘヘプチーー(^^)と一日一回有効です。

★『Vフォー・ヴェンデッタ(2)監視社会』も合わせて読んで下さい。v(^^)