ニューヨークの大手法律事務所ケナー・バック&レディーンに所属する、マイケル・クレイトンは表舞台ではなく裏舞台フィクサー(もみけし屋)として働く弁護士。仕事に対しても表舞台に出れず、私生活では離婚や大きな借金を背負い、ギャンブルにも手をだし、八方塞がりの状態だった。
そんな時、同僚のトップ弁護士アーサーがクライアントの巨大農薬会社U・ノース社と訴訟中原告の前で、服を脱ぎ出してさわぎだすと言う奇行を演じた、その問題を収拾するために向かった、マイケルだったが・・・。
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監督はトニー・ギルロイ
主演ジョージ・クルーニー 、トム・ウィルキンソン
ティルダ・スウィントン
この映画でティルダ・スウィントンは助演女優賞を受賞しています。
オフィシャル・サイト
http://www.fixer-movie.com/
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映画って比喩的なことがらを暗示的に出すことがよくあります、この映画でもはっきり言わないけど・・・何かを感じさせるって言う描き方をしていることがあります。
マイケルは汚い仕事を解決してきた男、彼はきっと酷いことも見てきたろうし、揉み消してきただろうと思う。かといって良心のかけらもないと言う男でもない、息子にたいする姿勢でそれがわかります。
人は生きて行くうちに汚いものを見たり聞いたりするし、実際に自分がかかわったり、黙っていたりすることもあると思います。心の中の、良心をチクチク痛めながら。でも生活があるし、生き残らなくちゃならない、ただある時我慢できなくなるーー自分の汚さに吐き気がする・・自分の行動が許せなくなる・・そんな気持ちになることもあると思う・・自分をごまかしきれなくなる・・そんな人のドラマだと思いました・・。
社会派の映画です。私は好きです。ひさしぶりに心に響く社会派を見た気がしました、人間ドラマだと思います。でもーー硬派の映画かもしれないです。むずかしのかも・・(私はそうは思いませんが人の感想を見ると)
社会派の好きな方にオススメしたいと思います。
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●ここからネタバレです。
アーサーの興奮したしゃべりと、少年の部屋のファンタジー小説『王国と征服』
の本の表紙から映画は始まります。
マイケルを結果的には助けた3匹の馬もどこか、お伽の国のファンタジーの
世界にその時だけ迷いこんでしまったような神秘的な感じがしました
私は、彼の生き方をかえる「運命の啓示」のような感じがしました。
子どもの頃には持っていた、正しいことが正しいと思える純粋さ
大人になると失ってしまう、いろいろなことがら夢や冒険心や勇気、
そんなものを、アーサーも『王国と征服』なかで見つけたのかも
知れないと思いました。
この映画は人間の内面をずっと追いかけています。
U・ノース社の法務担当のカレン(ティルダ・スウィントン)
のギリギリまで追い詰められながら、必死で仕事の為に打ち込む姿
わきの下に汗をベッタリかきながらも、人を殺しながらも
自分の会社を、自分ひとりの決断でやりきろうとしています。
その姿はあわれさえも感じました。
そして何年も、人殺しの片棒をかついできたアーサーは
自分の仕事にいやけがさしキレてしまいます。
農薬のために何十人何百人(もっとなんでしょうか?)
も死に追いやった会社を、さもすばらしい企業だといいながら
クライアントを守るために仕事をしてきたでしょう
吐き気がするような仕事です。人殺しの手助けです。
原告のの女性のことはただのきっかけだったような気がします。
(悲しいけど、こういう仕事は社会には、
いっぱいあるし今もやっている人はいると思います)
そしてマイケル、彼も法廷に立てずに裏の仕事を10年もやってきました。
そんな自分の気持ちに折り合いがつかずにギャンブルをやっていたのかもと思いました。
アーサーを殺したのがU・ノース社だとわかっても、8万ドルのお金と引き換えに
黙まらないといけなくなって、やめてしまったギャンブルに手をだしてしまっている
姿にも彼のなかの葛藤を感じました。そしてもみ消し屋のくせに
仕事を放棄してしまったような映画の最初のクライアントに
対する行動にもーー。
正しいことだけして生きてしていける人間はほとんどいないと思います。
マイケルはアーサーを助けたかった。でも助けることができませんでした。
私は馬の場面、そして自分の子どもに、
「お前は強いからおじさんみたにはならない、お前は強い子だ」
といいきかせる場面がとても好きです。
子どもにとってこれは神の啓示のようにインパクトのある
言葉なんじゃないかと思いました。
父親の子どもに対する信頼と愛情を感じました。
そして映画の冒頭に繋がるようなラスト、馬の美しい姿、
時間が止まったような神秘的な時、そしてマイケルは命を救われ
彼は自分の立場を捨ても大企業を葬りさる決意をする。
ラストの場面は途中からすじが読めましたが
すごく見ごたえがあって、よかったです。
そして弟の「遠くにいくなって」言う兄を思うような言葉と
タクシーに乗り50ドルで行けるところまでといった
マイケルの心の孤独、安堵、やるせなさみたいな者が広がってきました。
人間の弱さと強さを見れてとても深い気持ちになって
いい映画をみたな・・・と感じることができました。
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馬ってなんてやさしい目をするんでしょうかプチーー(^^)と一日一回有効です。