(その3) 2月4日(土)―――――第2日目
ベッドが変わって少し眠りが浅かったようだが翌朝7時半ごろ起床。
食堂での朝食は和食と洋食が選べる。
私は洋食を申し込んでおいたので、
食パン、ロースハムサラダ、ハッシュトポテトとコーヒー。
朝の目覚めのコーヒーは格別に美味しい。
トースターがもう数台あってもよいと思った。皆待っていた。
8時半から館内の広い場所で皆とラジオ体操。
何年ぶりだろうか、ラジオ体操は。懐かしい。
9時半からはMさんに案内されて映画室へ。
映画室にはゆったり座れるビジネスクラス並みの青い椅子が
10席くらい配置されている。
スクリーンもかなり大きい。機内のそれの2倍くらいだろうか。

この日の映画は「きみに読む物語」。
7-8人の方が見に来られていた。
泣ける映画だと聞いていたが、途中、何回もメガネが曇った。
最近の映画はやたらアクションやセックスやSFなどが多いが、
やっぱり映画はこのような人の心に響くドラマが良い。
このときは音声は英語、字幕は日本語だった。
実は、全くの余談だが、今我が家には、
貸しビデオ屋さんで借りてきたこの映画のDVDがある。
もうあと2回見るためだ。
1回は音声英語、字幕も英語で。
最後は字幕無しの英語音声のみでどこまでfollow できるかを試す。
というのも、この映画の中の会話の英語が
標準的な分かりやすいきれいな英語だから。
そういう映画に出くわすと、こうすることにしている。
それにしても立派な映画室まで完備している老人ホームなんて素晴らしい。
もっと大勢の人が見に来ないとモッタイナイ。
昼食はこの日もMさんが付き合ってくれ、映画の話などで会話がはずんだ。
メニューは鍋焼きうどん、おにぎり、水菜のおしたし、漬物、みかん。
鍋焼きうどんで身体が温まった。

昼食の後は1時半から、申し込んでおいたカラオケ・サークルの見学。
Mさんがカラオケ室まで案内してくれ、サークルのリーダーに引き合わせて下さった。
リーダーは背筋の伸びた長身の男性で、
皆で新しい曲にどんどん挑戦していることを熱っぽく語って下さった。
根っからのカラオケ好きな方であることが一目見てわかった。
この日はたまたま参加者が少なかったらしく、
私含めて男性二人、女性二人の4人だけだった。
一人の方は若干障害のある方だったが、周りの人に歌詞を助けられて、
伸びのある、透き通るような声で上手に歌われているのが印象的だった。
ここには街中のカラオケ・ハウスと同じデンモクの設備が入っているので、
何万曲の中からどんな歌でも歌える。
リーダーが歌われる演歌はビブラートがよく利いてプロ並の腕前。
それに、歌う前と歌った後に必ず皆に一礼される。礼儀正しい方だ。
他の人も歌う歌は100%演歌。しかも、私の知らない新しい演歌が多い。

(得意の演歌を歌われるリーダー)
座っている順に次々と次の曲の予約の順番が回ってくる。
「見学」に来た私も誘われて持ち歌を披露。
ナットキンコール、プレスリー、カーペンターズ、ジョニー・ホートンなどなど。
私一人お構い無しに横文字の歌ばかり歌わせてもらった。
結局午後4時前まで歌い、リーダーや皆さんにお礼を述べて部屋をあとにした。
別れ際にリーダーから言われた一言は、
「体験入居であなたほど歌った人は今まで一人もいません」だった。
これって、褒められているわけではないことは確かだが、
かといって、嫌みでもないように、楽天的な私は、受け取った。
単にこの日の参加者が少なく、順番がよく回ってきただけのことだ。
二日間の全ての楽しいスケジュールを無事に終え、
チェックアウトのために部屋に戻る。
戻る途中、長いローカを歩いていると、
このホームのメンテナンスの良さを象徴するかのように
外の光を反射してローカの床がピカピカに光っている。

(いつもピカピカに光っているローカ)
部屋から電話でMさんにリーダーのコメントを添えて、
カラオケが終了したことを報告すると、「結局、何曲歌われたのですか?」と聞くので、
「7曲」と答えたら、電話の向こうで彼女が笑いこけていた。
二日間、私にフル・アテンドして下さったMさんに丁重にお礼の言葉を述べて
車のハンドルを握った。
私の車が数十メートル先の表通りに出るまでMさんが見送って下さっていた。
私はハザードランプを5回点滅してこのホームを後にした。
(次は最終回)
ベッドが変わって少し眠りが浅かったようだが翌朝7時半ごろ起床。
食堂での朝食は和食と洋食が選べる。
私は洋食を申し込んでおいたので、
食パン、ロースハムサラダ、ハッシュトポテトとコーヒー。
朝の目覚めのコーヒーは格別に美味しい。
トースターがもう数台あってもよいと思った。皆待っていた。
8時半から館内の広い場所で皆とラジオ体操。
何年ぶりだろうか、ラジオ体操は。懐かしい。
9時半からはMさんに案内されて映画室へ。
映画室にはゆったり座れるビジネスクラス並みの青い椅子が
10席くらい配置されている。
スクリーンもかなり大きい。機内のそれの2倍くらいだろうか。
この日の映画は「きみに読む物語」。
7-8人の方が見に来られていた。
泣ける映画だと聞いていたが、途中、何回もメガネが曇った。
最近の映画はやたらアクションやセックスやSFなどが多いが、
やっぱり映画はこのような人の心に響くドラマが良い。
このときは音声は英語、字幕は日本語だった。
実は、全くの余談だが、今我が家には、
貸しビデオ屋さんで借りてきたこの映画のDVDがある。
もうあと2回見るためだ。
1回は音声英語、字幕も英語で。
最後は字幕無しの英語音声のみでどこまでfollow できるかを試す。
というのも、この映画の中の会話の英語が
標準的な分かりやすいきれいな英語だから。
そういう映画に出くわすと、こうすることにしている。
それにしても立派な映画室まで完備している老人ホームなんて素晴らしい。
もっと大勢の人が見に来ないとモッタイナイ。
昼食はこの日もMさんが付き合ってくれ、映画の話などで会話がはずんだ。
メニューは鍋焼きうどん、おにぎり、水菜のおしたし、漬物、みかん。
鍋焼きうどんで身体が温まった。
昼食の後は1時半から、申し込んでおいたカラオケ・サークルの見学。
Mさんがカラオケ室まで案内してくれ、サークルのリーダーに引き合わせて下さった。
リーダーは背筋の伸びた長身の男性で、
皆で新しい曲にどんどん挑戦していることを熱っぽく語って下さった。
根っからのカラオケ好きな方であることが一目見てわかった。
この日はたまたま参加者が少なかったらしく、
私含めて男性二人、女性二人の4人だけだった。
一人の方は若干障害のある方だったが、周りの人に歌詞を助けられて、
伸びのある、透き通るような声で上手に歌われているのが印象的だった。
ここには街中のカラオケ・ハウスと同じデンモクの設備が入っているので、
何万曲の中からどんな歌でも歌える。
リーダーが歌われる演歌はビブラートがよく利いてプロ並の腕前。
それに、歌う前と歌った後に必ず皆に一礼される。礼儀正しい方だ。
他の人も歌う歌は100%演歌。しかも、私の知らない新しい演歌が多い。
(得意の演歌を歌われるリーダー)
座っている順に次々と次の曲の予約の順番が回ってくる。
「見学」に来た私も誘われて持ち歌を披露。
ナットキンコール、プレスリー、カーペンターズ、ジョニー・ホートンなどなど。
私一人お構い無しに横文字の歌ばかり歌わせてもらった。
結局午後4時前まで歌い、リーダーや皆さんにお礼を述べて部屋をあとにした。
別れ際にリーダーから言われた一言は、
「体験入居であなたほど歌った人は今まで一人もいません」だった。
これって、褒められているわけではないことは確かだが、
かといって、嫌みでもないように、楽天的な私は、受け取った。
単にこの日の参加者が少なく、順番がよく回ってきただけのことだ。
二日間の全ての楽しいスケジュールを無事に終え、
チェックアウトのために部屋に戻る。
戻る途中、長いローカを歩いていると、
このホームのメンテナンスの良さを象徴するかのように
外の光を反射してローカの床がピカピカに光っている。
(いつもピカピカに光っているローカ)
部屋から電話でMさんにリーダーのコメントを添えて、
カラオケが終了したことを報告すると、「結局、何曲歌われたのですか?」と聞くので、
「7曲」と答えたら、電話の向こうで彼女が笑いこけていた。
二日間、私にフル・アテンドして下さったMさんに丁重にお礼の言葉を述べて
車のハンドルを握った。
私の車が数十メートル先の表通りに出るまでMさんが見送って下さっていた。
私はハザードランプを5回点滅してこのホームを後にした。
(次は最終回)

