五月。
俺はいろんなことでモヤモヤとしていた。不完全燃焼のような物足りない気持ち悪さ。なのにやりようもなく、何かが詰まっている。
どうにもつき抜けない自分の中の何かが、コツコツと内側から催促をする。
「どうなんだ?」と。
スカッとしたかった。
昔の悪友に誘われ久しぶりに都心へ出た。
随分明るくなった夕方の繁華街を歩く。いくつか店を出入りするうち、そろそろと夜がやって来た。向かったのはマニアックな狭い「小屋」。爆音と閃光の現実逃避。
ステージに立つ彼らを幾度となく見てきた。かつては俺もそこにいた。
相変わらず、と思いかけ、今までとは違う気配の音色に気づく。発信する彼らの変化か、それとも俺か。無性に話したくなる。同時に何かが急激にしぼんでいく。
俺はいろんなことでモヤモヤとしていた。不完全燃焼のような物足りない気持ち悪さ。なのにやりようもなく、何かが詰まっている。
どうにもつき抜けない自分の中の何かが、コツコツと内側から催促をする。
「どうなんだ?」と。
スカッとしたかった。
昔の悪友に誘われ久しぶりに都心へ出た。
随分明るくなった夕方の繁華街を歩く。いくつか店を出入りするうち、そろそろと夜がやって来た。向かったのはマニアックな狭い「小屋」。爆音と閃光の現実逃避。
ステージに立つ彼らを幾度となく見てきた。かつては俺もそこにいた。
相変わらず、と思いかけ、今までとは違う気配の音色に気づく。発信する彼らの変化か、それとも俺か。無性に話したくなる。同時に何かが急激にしぼんでいく。
内側から巨大な壁がめりめりとそそり立ち、四方を囲んで世界を拒む。自分の中のコツコツという催促が大きくなる。
矛盾の渦に溺れそうになる。
楽屋には寄らず、心寒い夜の繁華街をそろそろとひとり戻る。
駅前の大きな橋にさしかかり、人ごみを分けて欄干越しに川を眺めると、ビル街の賑やかなネオンが川面を彩り、それはとても綺麗だけれど、なんだか妙に冷たい気がした。
終電に乗り地元の駅に降り立つ。静かな暗闇が俺の壁と混じり合う。
すっぽりと包まれた穏やかな夜の結び目で、満月に近い月が輝いていた。