もらった手紙は、後にも先にも、あの一通だけだった。
私はあのとき、体がちぎれる思いで声を殺して泣いたけれど、本当は何に対して泣いているのか、分かっていなかった。
その手紙はしばらく持っていたが、月日を重ねたのち、結局破って捨てた。未練になるのが嫌だったからだ。
そしてまた月日を重ね、あの時、私はたぶん未来を捨てようとしている自分に対して泣いていたんだと、今更ながらにやっと自分の心中を察した。おかしなものだと、つくづく思う。
部屋の明かりを消して、いくつもロウソクをつけ、お気に入りのぬいぐるみの写真を撮りながら、帰りを待っていた夜があった。
ずっと忘れていたけど、似たようなシーンをテレビドラマで見て、思い出した。
私はあのとき、体がちぎれる思いで声を殺して泣いたけれど、本当は何に対して泣いているのか、分かっていなかった。
その手紙はしばらく持っていたが、月日を重ねたのち、結局破って捨てた。未練になるのが嫌だったからだ。
そしてまた月日を重ね、あの時、私はたぶん未来を捨てようとしている自分に対して泣いていたんだと、今更ながらにやっと自分の心中を察した。おかしなものだと、つくづく思う。
部屋の明かりを消して、いくつもロウソクをつけ、お気に入りのぬいぐるみの写真を撮りながら、帰りを待っていた夜があった。
ずっと忘れていたけど、似たようなシーンをテレビドラマで見て、思い出した。
考えることはみんな同じ、みたいなことが散りばめられた世界で、今この瞬間にも、その同じようなことが夜の隅のどこかに出現しているのだろうか。
その人たちも、ロウソクの灯りをいつかまた忘れていくのだろうか。
あの手紙はもう世界のどこにも存在しないけれど、私の中にはまだ淡く残っていたことを知る。
それは『思い出』と呼ぶべきものなのだろうか。
わからない。
私はあのとき、自分の決断に泣いたけれど、一方で、初めて手紙を書いてくれたことが、とても嬉しかったんだと思う。
私はあのとき、自分の決断に泣いたけれど、一方で、初めて手紙を書いてくれたことが、とても嬉しかったんだと思う。