自分セラピー

「自分を好きでいる」ことは人生を豊かにしてくれます。そこに気づかせてくれる沢山のファンタジー文学を紹介していきます

さぶの被災地からのアートセラピーレポート-11 「ファイルの中身」

2011-04-10 06:39:29 | さぶの被災地からのアートセラピーレポート
避難所から第二次避難所へ大移動。


小野町の避難所での関わりもあと少し。


ここでも別れがあって、さぶのレポートに涙があふれました。


東北人の強さと、愛情と、誇り…


さぶにしかできない関わりのようにも感じます。



**************************

2011年4月9日 23:43


今日の報告です。



今日は…


移動の日です。


300人中200数名の方達が移動します。



午後には順次移動して行くので、私も午前中からお邪魔しました。



いつもとは違って皆さん慌ただしく荷物を運んでいます。


体育館の中に入ります。


子供達が寄ってきます。


三年生の女の子が言います。


『もう荷物はまとめたから絵を描こうよ!まだ時間あるし、最後の思い出の絵…それとも、お手紙にしようかな?』


お手紙をそれぞれに描きます。


三年生の女の子がお花ちゃんに、お花ちゃんが私に、私が三年生の女の子に。


イラスト付きで描きます。


描いていると、お花ちゃんのお母さんがやって来ました。


『これ、昨日みんなで、さぶちゃんにメッセージを描いたんです。あんまり集まらなくて、ファイルの枚数が余ってますけど、受け止って下さい。』


ファイルを開くと…


みんなからのメッセージや可愛い絵が!


もう言葉もありません。

(文章を打っている今も泣きそうです。)


本当に嬉しかった!






昨日、私が帰った後、画用紙をハガキサイズに切って、みんなで描いたのでしょう。


なんて、素敵な贈り物!


私は私は…


本当に幸せ者です。


アートセラピーしに行ったつもりが、


勝手に使命に燃えて行ったつもりが…


そして勝手に疲れていた私が…


今アートセラピーを受けています。


体と心、全身全霊で。



お母さんに何度もお礼を言って(昨日も青色のシュシュをもらいました)


移動先へ行く約束をして


握手もして…


可愛い子供達の元へ戻ります。


みんな

絵を描いています。

自由に

カラフルに



昨日の車椅子の奥様が来てくれました。


大人の塗り絵がもっとほしいとのこと。


どれがいいか、一緒に選びます。


田植えや山菜、桜、菜の花の塗り絵を持って行かれました。


子供達と沢山お話をして。


移動先でゆっくり色を塗るそうです。


『色鉛筆を買わなきゃ』と張り切った様子でした。



またお会い出来る日を楽しみにしています。



絵手紙が完成しました。お花ちゃんからの可愛い絵手紙。


私も三年生の女の子に渡します。


この子の事は敢えて、「三年生の女の子」と呼んできました。


私が大人として彼女を見ていたように思います。


けれど、彼女も無邪気に泣き真似をしたり、笑ったり、怒ったりする普通の、三年生の女の子です。


彼女にあだ名をつけるとしたら…


笑顔が本当に素敵だから…


「スマイルちゃん!」


爽やかで正義感があって可愛い笑顔のスマイルちゃんです!

スマイルちゃん

お花ちゃん

オシャマちゃん

妹ちゃん

そのまた妹ちゃん

チューリップ君

キカンボ君

マイルド君

4コマ君

ネギボーイ

ドライブ君

お笑い担当君





まだまだいるお話していない子供達


みんなみんな可愛い子供達です。

大好きです。


地震があって

本当に怖い思いをしました。

私達が想像出来ないくらいに。



けれどみんな力強く生きています。

笑顔を見せてくれます。

これからもっともっと辛いことがあるでしょう。


友達と別れ、大好きな故郷を離れ…。


でも子供達も何人かお話しした大人の方もみんな口々に言ってくれます。


『落ち着いたら広野に遊びに来て下さい。』


『広野の海辺に素敵な神社があるから、行けるようになったら行ってみてね。』


『家に泊まりに来てね!家はお部屋が沢山あるの!』


『広野のみかん公園で寝っ転がると気持ちいいの!』


みんな、広野を愛しているのが、ひしひしと伝わってきます。


私はその想いを分けてもらえて本当に嬉しく、幸せを感じています。


一人、二人と体育館を後にします。


この体育館で出会った思い出に、みんなで写真を撮りました。


広野のサクラの前でも。。


また一人、二人体育館を出ます。


半分以上の人が出て、がらんとなった体育館。


子供達の声がまだ耳に残ります。


『さぶちゃーん』


と、私を呼ぶ声が聞こえてきそうです。


片づけもスムーズに進みます。


誰も私の手を止めようとする人はいません。


子供達の折った折り紙

落書き帳の絵

折れたクレヨン

行方不明だったクーピーや、スマイルちゃんのヘアピンがマットの下から顔を出します。


がらんとした体育館がいつもより寒く感じました。


本の整理をしていると、一人の男性が声をかけてきました。 50代くらいの男性です。


ボランティアで今日、この避難所に入ったみたいです。


私の事もボランティアだと思い、声をかけたそうです。


その方は東京から来たそうです。

黒子のようにして、皆さんの役に立ちたいとのこと。

『私は東電の人間で… 』

私の聞き違いでしょうか?


小声で良く聞こえません。

こちらから聞き直す事はしませんでした。


話は続きます。


『着いたはいいのですが、状況も良く掴めてなくて、この避難所の方たちもボランティアをあまり受け入れていないような気がしているのですが…』


『入り込めないというか、そんな雰囲気で…、私、何でもやりますので!片づけも手伝いますし、声をかけて下さい!あ、私風船も出来るんです。キリンとか犬とか。でも割れたらびっくりさせちゃいますよね…。』


私は、その男性に、広野町さんは今日は移動の日だという事を説明しました。

男性は社会福祉協議会には連絡せずに来たそうです。

受付は通れたみたいですが、何をしたらよいのか分からない様子。


そもそも福島県は、もしかすると東北自体が、あまりウエルカムな状態ではないのかもしれません。


これは、私も肌で感じています。


大々的にボランティアを募集する事はありませんし、地域で何とかするという仲間意識が昔から強く、よそから来た人には迷惑をかけたくないという意地もあります。


東北は特殊なのです。


でも東北人も同じ人間です。

赤い血が流れています。

情に熱い人も沢山います。

初めはギクシャクしていたとしても、分かり合えれば、強い絆が生まれます。

米や野菜もすぐ送りたがります。



受けた恩も絶対に忘れはしません。


三倍にして返すくらいの気持ちを持った人が多いのです。(平均的にみて)


その代わり、恨みも忘れませんが…。


とにかく、ボランティアに入るのも難しい土地なのです。



本題に戻ります、


私は残っている数人の子供達に声をかけました。


オシャマちゃんとそのお友達。


『二人とも風船好き?このおじさん風船でキリンやワンちゃん作れるんだって!』


子供達は興味津々です


『わー!凄い!見たい見たい!』


男性は急いで車に風船を取りに行きます。


私は子供達を引きつけて待っていました。


男性が風船を持って戻ってきました。


子供達が集まります。

お花ちゃんのお母さんにも声をかけます。

大人達も集まります。

いつの間にか人だかりに!


男性は子供達の人気者になりました。


車椅子の奥様が私の側を通りました。


出発されるようです。


奥様も風船が気になる様子。


リクエストをお聞きして、犬の風船を二つ作ってもらいました。


お渡しすると、笑顔を浮かべ、体育館を後にされました。


車椅子の後ろのカバンから犬の風船が私を見ていました。


子供達も一人二人といなくなりました。


風船の男性は仕事がみつかったようです。

灯油を運んでいました。


お笑い担当君が私の元へ来てくれました。

一人、友達を連れて。


『俺、11日出発だから…。ここに来てやれんの、後は俺くらいだなっ!』


私、この子にいちいちトキメキます。


優しくて硬派?で。

不器用な男の子。

将来が楽しみです。



マットの上が綺麗になりました。


いつも通り過ぎるおじさんが本を取りに来ました。


『子供いなくなったな~。ここはこれからどうする?』


『お茶飲み場でもなんでも自由に使って下さい。』と私が返します。


おじさんは笑って

『喫茶店にするか?あ、スナックでもいいな。酒持って来ーい。』


こんなやりとりをして、おじさんは去って行きました。


夕飯の時間になるので帰ることにしました。


体育館は100人以下になりました。


帰り際にまたお笑い担当君に会いました。


『ああ帰るのね。ブタサン、バイバーイ』

『ブタじゃない!サブ!』


私もまた大人気なく反応してしまいましたが、このやりとりが嬉しいです。

明日は休んで

月曜日にまた小野の体育館に顔を出します。

お笑い担当君と約束しました。


火曜日には移動先のホテルの一つに行く予定です。

(最初に考えていた予定から、少し変更します)


明日はお花ちゃんのお母さんにメールをしてみます。


みんな今頃どうしているかな。。


ゆっくり休めますように…。


また来週から新たに出発します。



報告は以上です。


読んでくれてありがとう(^^*)


‐さぶ‐










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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
さぶさんへ (miwaji)
2011-04-12 01:43:35

さぶさん、レポートいつも拝見してます。

胸がいっぱいになるばかりです。

さぶさんの勇気と温かさを感じています。


わたしは小学生クラスのセラピストです。

さぶさんの飾らない語り口に、

こどもたちのようすが目に浮かぶようで、

にやにやしたり、感心したり、

きゅんとなったりしてます。


子どもたちの特徴をユニークにとらえて、

そのまんまを受け止めているさぶさん、

素敵だと思います。


応援してます!



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伝えます (しばしば)
2011-04-14 06:38:17
miwajiのコメント、さぶにメールしておきます。

ありがとう。

miwajiも是非、サポートに行きませんか?
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