あんまり、寒くない日が続いています。
金曜日から三日間、大阪のホリスティック心理分析講座でした。
2週間前の東京のテーマと同じ、「アニマアニムス」でした。
宿泊はいつも、展望温泉のあるホテルです。
金曜日の夜おそく、露天風のお湯につかっていたら、突然雨が降ってきました。
温泉につかりすぎて、少しのぼせ気味だったボクには恵みの雨。
冬の雨。
きっと、雪国であれば、雪が舞うところなんでしょうが、そんな風情はありませんでした。
冬といっても、都会育ちのボクにとっては、北国の冬をまともに生活の中で体験したことはありません。
寒いのが苦手ですから、きっと、薪ストーブのそばを離れない生活が続いてしまう様な気がします。
『極北の犬トヨン』
『おおかみに冬なし』
この2冊は、極北の冬の厳しさと同時に、ボクの冒険心を刺激する素敵な物語です。
どちらも、実際にあったお話。
『極北のトヨン』ニコライ・カラーシニコフ
1888年、シベリアに生まれたニコライは、当時皇帝の統治する専制国家であったロシアで、16歳から人民解放運動に加わっていました。
そのことで、22歳で政治犯として東シベリアの極北地区に流されたのです。
イルクーツクから、ヤクーツクを経て流刑地に送られていく途中、ヴェルホヤンスク山脈を越えたあたりで、ニコライが実際に体験したことに基づいています。
ロシア兵二人と、ガイド、そしてニコライは吹雪の中を何日も馬に揺られて極北へ向かっています。
1週間ほどの行程を、ひたすら氷と吹雪の寒さの中を行くのです。
とても考えられません!
ある日、「裕福なグランの家に泊めてもらいましょう」とロシア兵の一人が言います。
おまけに、あたたかい火や食事が豊富にあるというのです。
ニコライたち一行は、グランのテントにたどり着くと、グランだけでなく家族も一緒に生活するものたちも一斉に出迎えてくれたのです。
極北に暮らすものたちにとって、政治犯とか兵隊とか言う区別はなく、ただ寒さの中を尋ねてきてくれた大切な「お客」なのです。
彼らは大歓迎されました。
当時禁制品であったウォツカを飲み、おいしい肉やスープを堪能します。
その大きなテントの中に、一頭の犬がいます。
トヨンと呼ばれるその犬は、めったに人になつかないのですが、ニコライの元を離れようとしません。
グランは、そんなニコライを気に入りました。
そして、「トヨンは私たち家族にとって、神様と同じなのです」と話し始めます。
3日間の間、グランはトヨンの話を続けました。
トヨンがいかにして、グランに豊かさを運んできてくれたのか。
トヨンが家族一人ひとりをどのように救ってきたのか。
トヨンは、極北の地でも有名な猟犬でした。
誰も見つけられないような貴重な動物を自ら捕まえてきます。
あるとき、銀ぎつねのみごとなメスを運んできます。
翌日には、逃げ回っていたもう一頭のオス狐も。
またあるときは、冷たい川に落ちた娘や、氷の中に閉じ込められてしまった少年を救います。
グランの大自然に対して誠実な態度や、トヨンの見事な働きを見ていると、「生きることの原点」を教えてくれているような気がします。。
都会育ちのボクにとって、寒さは恐怖です。
しかし、この物語を読むにつれ、自分の中にも大自然の中で生き抜いてきた確かなDNAを感じます。
人間の普遍的な強さや弱さを見事に表してくれている作品です。
もう一冊の「オオカミに冬なし」リュートゲン
これも実話です。
100年も前の、アラスカからグリーンランド、そして北極海にかけてのお話です。
ある年の秋、いつもよりも早く来た冬のお陰で、北極海のバロー岬に捕鯨船が流氷に閉じ込められてしまいます。
乗船している人数は275人。
はるか南にいた「牡グマ号」の船長は大統領から救助の命令が下ります。
12月の始めに航海を始めたところ、早すぎる冬は牡グマ号も流氷に閉じ込めてしまうのです。
はるか、何百キロも北上しなければならない海が氷で閉ざされてしまった今、牡グマ号の船員たちにできることはなくなりました。
タトル船長があきらめかけたときに、船員のジャービスが「彼らを死なせてはならない」と、言い続けるのです。
そして、ジャービスと人類学研究で乗船していたマッカレンの二人が上陸して救助に向かうのです。
救助といっても可能性はまったく見えません。
バロー岬では275人の食料の確保もできないし、ましてや陸路でたどり着けること自体が奇跡なのです。
一見無謀に見えるこの旅も、ジャービスさらにはエスキモー(原文)のジョーという男の勇気と機転で、見事になされるのです。
*現在はエスキモーという呼び方はせずに、イヌイットと呼ばれています。
12月の始めに始めたこの救助のたびは3月の下旬に成就します。
約4ヶ月もの間、船に閉じ込められていた人々を助けることだけを考え、行動し続けたんですから、ものすごい決意ですよね。
世間にはおそらくほとんど知られないところで、人間としての気高い行いが、今この瞬間も積まれているのでしょう。
この物語を読んでいると、ジャービスと、ジョーという存在がまるでボクたち人間の理想の心の在りかたのように見えてきます。
寒い冬の日に、暖かい部屋の中で、じっくりと読んでみてはいかがでしょうか。
金曜日から三日間、大阪のホリスティック心理分析講座でした。
2週間前の東京のテーマと同じ、「アニマアニムス」でした。
宿泊はいつも、展望温泉のあるホテルです。
金曜日の夜おそく、露天風のお湯につかっていたら、突然雨が降ってきました。
温泉につかりすぎて、少しのぼせ気味だったボクには恵みの雨。
冬の雨。
きっと、雪国であれば、雪が舞うところなんでしょうが、そんな風情はありませんでした。
冬といっても、都会育ちのボクにとっては、北国の冬をまともに生活の中で体験したことはありません。
寒いのが苦手ですから、きっと、薪ストーブのそばを離れない生活が続いてしまう様な気がします。
『極北の犬トヨン』
『おおかみに冬なし』
この2冊は、極北の冬の厳しさと同時に、ボクの冒険心を刺激する素敵な物語です。
どちらも、実際にあったお話。
『極北のトヨン』ニコライ・カラーシニコフ
1888年、シベリアに生まれたニコライは、当時皇帝の統治する専制国家であったロシアで、16歳から人民解放運動に加わっていました。
そのことで、22歳で政治犯として東シベリアの極北地区に流されたのです。
イルクーツクから、ヤクーツクを経て流刑地に送られていく途中、ヴェルホヤンスク山脈を越えたあたりで、ニコライが実際に体験したことに基づいています。
ロシア兵二人と、ガイド、そしてニコライは吹雪の中を何日も馬に揺られて極北へ向かっています。
1週間ほどの行程を、ひたすら氷と吹雪の寒さの中を行くのです。
とても考えられません!
ある日、「裕福なグランの家に泊めてもらいましょう」とロシア兵の一人が言います。
おまけに、あたたかい火や食事が豊富にあるというのです。
ニコライたち一行は、グランのテントにたどり着くと、グランだけでなく家族も一緒に生活するものたちも一斉に出迎えてくれたのです。
極北に暮らすものたちにとって、政治犯とか兵隊とか言う区別はなく、ただ寒さの中を尋ねてきてくれた大切な「お客」なのです。
彼らは大歓迎されました。
当時禁制品であったウォツカを飲み、おいしい肉やスープを堪能します。
その大きなテントの中に、一頭の犬がいます。
トヨンと呼ばれるその犬は、めったに人になつかないのですが、ニコライの元を離れようとしません。
グランは、そんなニコライを気に入りました。
そして、「トヨンは私たち家族にとって、神様と同じなのです」と話し始めます。
3日間の間、グランはトヨンの話を続けました。
トヨンがいかにして、グランに豊かさを運んできてくれたのか。
トヨンが家族一人ひとりをどのように救ってきたのか。
トヨンは、極北の地でも有名な猟犬でした。
誰も見つけられないような貴重な動物を自ら捕まえてきます。
あるとき、銀ぎつねのみごとなメスを運んできます。
翌日には、逃げ回っていたもう一頭のオス狐も。
またあるときは、冷たい川に落ちた娘や、氷の中に閉じ込められてしまった少年を救います。
グランの大自然に対して誠実な態度や、トヨンの見事な働きを見ていると、「生きることの原点」を教えてくれているような気がします。。
都会育ちのボクにとって、寒さは恐怖です。
しかし、この物語を読むにつれ、自分の中にも大自然の中で生き抜いてきた確かなDNAを感じます。
人間の普遍的な強さや弱さを見事に表してくれている作品です。
もう一冊の「オオカミに冬なし」リュートゲン
これも実話です。
100年も前の、アラスカからグリーンランド、そして北極海にかけてのお話です。
ある年の秋、いつもよりも早く来た冬のお陰で、北極海のバロー岬に捕鯨船が流氷に閉じ込められてしまいます。
乗船している人数は275人。
はるか南にいた「牡グマ号」の船長は大統領から救助の命令が下ります。
12月の始めに航海を始めたところ、早すぎる冬は牡グマ号も流氷に閉じ込めてしまうのです。
はるか、何百キロも北上しなければならない海が氷で閉ざされてしまった今、牡グマ号の船員たちにできることはなくなりました。
タトル船長があきらめかけたときに、船員のジャービスが「彼らを死なせてはならない」と、言い続けるのです。
そして、ジャービスと人類学研究で乗船していたマッカレンの二人が上陸して救助に向かうのです。
救助といっても可能性はまったく見えません。
バロー岬では275人の食料の確保もできないし、ましてや陸路でたどり着けること自体が奇跡なのです。
一見無謀に見えるこの旅も、ジャービスさらにはエスキモー(原文)のジョーという男の勇気と機転で、見事になされるのです。
*現在はエスキモーという呼び方はせずに、イヌイットと呼ばれています。
12月の始めに始めたこの救助のたびは3月の下旬に成就します。
約4ヶ月もの間、船に閉じ込められていた人々を助けることだけを考え、行動し続けたんですから、ものすごい決意ですよね。
世間にはおそらくほとんど知られないところで、人間としての気高い行いが、今この瞬間も積まれているのでしょう。
この物語を読んでいると、ジャービスと、ジョーという存在がまるでボクたち人間の理想の心の在りかたのように見えてきます。
寒い冬の日に、暖かい部屋の中で、じっくりと読んでみてはいかがでしょうか。
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