派遣各社、正社員を増員 パソナ系は100人採用
特定派遣が大きな意味を持ち始めたようです。
派遣業のあるべき姿に近づいているのかもしれません。
2014/3/22 0:32 情報元 日本経済新聞 電子版
人材派遣各社が正社員の採用を拡大する。メイテックは2015年4月に575人の理系新卒学生を採用する。パソナグループも15年5月までに半導体技術者を100人雇う。景気回復に伴い人手不足が顕在化するなか、製造業やIT(情報技術)関連で高い技能を持った派遣従業員の需要が急増。資格が必要な介護なども含め正社員として人手を囲い込み、自社の正社員を派遣する「特定派遣」に活用する動きが広がっている。
技術者派遣のメイテックは15年4月に575人の新卒を採用する。理工系では国内最多となる650人を採用予定の三菱電機に次ぐ規模だ。
自動車部品メーカーなどの需要が大きく、リーマン・ショック後では最多の14年4月とほぼ同水準を維持する。転職者も積極採用しており、13年度は前年度比で3割増の375人を採用した。
派遣会社が正社員を顧客企業に派遣する特定派遣は、高度な技術や資格が必要で、長期の需要が見込める職種が多い。こうした職種では、派遣先が派遣会社に支払う料金は1時間あたり3千円以上と一般事務(1千円台)の2~3倍。ボーナスや福利厚生費の負担も増すが、派遣する人材を確保するため正社員としての採用が増えている。
パソナは子会社のパソナテック(東京・千代田)で、家電に搭載する半導体について性能確認をする技術者を100人採用する。メーカー勤務経験のあるシニア層や理工系学部の新卒者などが対象。家電メーカーに派遣する。高精細テレビなどの需要回復で、家電メーカーでは繁忙感が高まり、要員が足りず設計・開発担当者らが検査を兼務する例もあるという。
インテリジェンスは16年3月までの2年間で、プログラミングなどの基礎知識を持つ新卒や転職者を対象に、90人程度を正社員などで新たに採用する。データ分析を外注する企業は増えており、高付加価値なアウトソーシング事業を拡大する。
リクルートホールディングス傘下のスタッフサービスグループは、高齢者施設に派遣する介護職で10年後に計4千人を目指し正社員雇用に乗り出した。パソナ子会社のキャプラン(東京・港)は14年度に新卒と転職者の採用を計250人に倍増させる。英語力の高い人材を貿易事務のスペシャリストとして育て、商社などに派遣する。
厚生労働省によると、正社員が「不足」と答えた事業所から「過剰」を引いた指数は2月、プラス22と6年ぶりの高水準だった。ファーストリテイリングや全日本空輸が契約社員の正社員化を決め、新卒や中途の採用も産業界では活発だ。
ただ、企業は総人件費を大きく増やす余力がなく、派遣従業員やパートなど、労働市場の約4割を占めている非正規雇用がどこまで正社員に置き換わるかは不透明だ。