読む、書くの雑多な日々、気まぐれな日常

好きなこと、雑多な日々、小説などを色々と書いていきます

「親方様に頼まれたのだ」と煉獄槇寿郎は言った。

2020-10-24 09:33:00 | 二次小説

鬼滅の刃の二次創作です、悲鳴嶼行冥、煉獄槇寿郎、煉獄の父がメインとなっています。

 

 これで終わりだ、これで自分達の頭は褒めてくれるだろうと鬼は思った。
 地面に倒れた岩柱そっくりの鬼、その血肉を啜る、新鮮な血は自分達の血肉となる、人を食らえば鬼は力を得ることができる、この鬼には人の血が混じっている、だから殺した瞬間、思ったのだ。
 喰いたい、血と肉を全て、自分の中に取り込んで、糧とすれば新たなる力を得ることができると思ったのだ。
 ところが、異変が起きた、喰らったのはいい、頭の中に声が響いてくる、それは怨のように殺せと自分達に呼びかけた。
 鬼舞辻を、無惨を、殺せと。
 
 どういうことだ、自分の配下が襲いかかってくる事に驚いた、下位の鬼だ、命令は絶対の筈だ、それなのにまるで狂ったように襲いかかってくる。
 鬼舞辻が何かしたのか、いや、この鬼達から感じる血は人と交じり合った鬼の血だ。
 (狂ってしまえ)
 そういわんばかりの怨嗟、それは紛れもなく、人が鬼を呪った声、そして血の匂いだ。
 
 
 鬼が鬼を、戦っている、これはどういうことだろう、見たくない、怖い、助けて欲しい、だが、ここには、あの人はいない、悲鳴嶼さんは、ここにはいない。
 呼んでもこない事は分かっている、それなのに。
 「まったく、どういうことだ」
 忌々しいと言わんばかりに男は自分の足下に倒れた無数の鬼だった骸を見下ろした、瞬殺とまではいかない、だが、全部倒した、これも鬼舞辻無惨を自分が喰ったからだ、力が増しているのがわかる。
 元は自分の手下だったが、邪魔なだけだ、手下など力をつければ寝首をかかれるかしれない。
 
 鬼は手を伸ばした。
 「私は、お前の父でもあるのだ、鬼舞辻無惨を喰らった、故に、ここに父はいる」
 女の顔が歪んだ、聞いた事のない名前だ、その人を喰らったということだろうか、鬼ではないか、自分は人間だ、あの人と夫婦になって。
 (なれる訳がない、そんな事、最初からわかっていた筈なのに)
 この世から鬼がいなくなったら、鬼狩りの仕事が終わったら、そのときは、あの人と二人で暮らすなんて、ずっと一緒に、そんな夢を見た。
 だけど分かってしまった、夢だと、夢は見ているときが楽しく、そして儚いのだと。
 ここからいなくなって、消えてしまいたいと思った。
 
 お前の母親は自死だ、それだけではない、火をつけて夫を焼き殺そうとしたんだ。
 (燃えてしまえば全てが消え、なくなってしまえば全てが終わるのだろうか)
 女は目の前の鬼を見た、手招く鬼を、あの人ならいいのにと思ってしまう、迷うことなく、側に行き、その手を取ることができる。
 だが、あの人は来ない、悲鳴嶼さんは、ここにはいない。
 
 悲鳴が聞こえた先に駆けつけた煉獄槇寿郎は、その光景に目を見張った、思考が混乱したが、それは一瞬だ。
 
 「ひ、ひっっ、火が、消えん、っ、おまえか」
 
 片膝をつくように崩れかける鬼は自分を殺そうとしている相手を睨んだ。
 火が、燃える体を起こし、手を伸ばして女を掴もうとする、捉えようとしている。
 
 白、雪のような真っ白な肩口まで伸びた髪を今でも覚えていた。
 おかしいでしょ、おばあさんみたいでしょう。
 生まれつきだという、そんな事はないと否定したつもりだった、だが、あの人は泣いた。
 嬉しいわと言いながら泣いたのだ、それが何を意味するのか、わからなかった、ずっと。
 
 気配を感じたのか、女が振り返った。
 真っ白な髪の、あの人がいた、亡くなった、鬼に殺された筈の、真っ白な髪の。
 
 
 ああ、夢ね、これはと女は思った、笑って大丈夫だと伝えなければ、言わなければ。
 助けに来てくれないなんて、そんな事を少しでも思ったりして、なんて非道い人間だろう、悪い女だろう。
 ありがとうと言いたかった、だが、炎の熱、その熱さに喉がひどく渇いて声がでない。
 
 「伝えてくれ、俺は、このまま、家に戻ると」
 追いかけてきた黒づくめの隊士は、顔全体を布で覆われて表情は見えない、だが、明らかに、この状況に驚きを隠せずにいた。
 元、柱である男は気を失ったままの半裸の女性を抱きかかえたまま、自身も衣服が焼けている手当をしなければと言っても、この程度はかすり傷だという。
 「親方様から頼まれたのだ、煉獄槇寿郎、責任を持って預かると」
 


鬼を観てきた

2020-10-23 11:11:35 | 日記

 原作もアニメも観ていたので内容は分かっている、知っている、でも、これは映画館で観たいと思っていたので、行ってきました、そして今、とても満足しています。
 主人公が若くて少年と子供の中間、エヴァのシンシ達の年齢、曖昧で中途半端でありながら成長している最中です、だからこそ、彼らの言葉や行動が若いと思い、それがまた羨ましくもあります。
 主人公達が挫折と敗北感を味わい成長していく中、今回、柱である煉獄さんが彼らに生き方を教えてくれます、柱であっても上限の鬼には叶わない、勝てないという現実は主人公達にとって非常な現実となって突きつけられます、でも、それは柱達にとっても同じです。
 アニメ放映を観ていた人なら、鬼側にも言い分があるのだと、好きで鬼になった訳ではないとわかります。
 ただ、中には望んで鬼になった人間もいるでしょう、今回の魘夢に幸せな夢を見せてくれると言われて心の隙を突かれてしまえば、人は強い、でも弱く、もろい部分もあると改めて実感させられます。
 彼がどんな過程を経て鬼になったのか、わかりません。
 ただ、彼の最期と心残りが、鬼ではなく人間なら持っている感情、後悔のようなものに見えて魘夢を心底悪だと思えませんでした。
 ちゃんと準備をして、勝てるという見込みがあった、けれど柱の存在が、主人公達が予想外の動きをした、自分の過程の範疇を超えていた。
 そんなこと、現実では多々あります。
 
 煉獄杏寿郎という柱の存在、たった、あれだけの短い時間で、思い入れが深く涙するのはというのは、そんな意見をネットでたまに見かけますが、長く付きあったから、自分は相手をよく知っているからという理由だけでは人の気持ちや感情は割り切れないと思います。
 だから、炭治郎が自分の無力さを嘆き、善逸が柱なのに、あんなに強いのにという驚き、絶望が伝わります。
 でも、それ故に嘴平伊之助の泣くな、自分達は立ち止まれない、前を向いて行かなければいけないという言葉が、今の社会に対する叱咤激励の言葉ではと思えてしまいます。
 
 映画の中に上限の鬼達がチラリと出できます、こんなのを見せられたら、鬼滅は、この映画で終わりではないよねと期待をしてしまうのは自分だけではないと思います。
 


鬼滅の刃 「鬼、再び」

2020-10-19 13:02:41 | 二次小説

pixiv、ハーメルンで以前投稿してい鬼滅、続編として書いています。

オヤジ、年上キャラが好きな作者なのです。

オリジナルヒロイン、煉獄槇寿郎、悲鳴嶼行冥などが出てきます

 

 

 

ははは、融合したぞ鬼舞辻 無惨を自分の中に取り込んだ、今までの鬼ではない、だが、もっと完璧、いや完全になる為には必要なもの、者がある。
 鬼殺しだと、鬼殺隊、だが、あやつらは人間ではないか、ただの人間だ。
 恐怖はない、だから、お前は手を取らなければいけないと呼びかけた女に。
 
 
 帰って来るなと言われたとき父は怒っていた、だからといって弟から手紙を受け取り相談されては見過ごすことなどできない。
 「実は数日前に遠出をなさって、それからなのです」
 珍しいと思ったのも無理はない、普段、家から殆ど出たことはなかったからだ、自分が鬼殺隊に入ってから父との交流は殆どない、疎まれているのではないかと最初の思うことがあった、母が亡くなってせいもあるのだろう。
 弟が不安になり、自分に手紙をよこしたこともあり一度、家に帰ろうと杏寿郎は思った、だが、近頃では鬼の出現が以前よりも増えている。
 昼間は大丈夫だと思っていると、日が陰る夕方、雨の降る日にも彼らは現れる、人を襲うこともあるが、何もせずに逃げる事もあるので隊員達は苛立ちを感じ、何かの前触れではないかと不安を感じていた。
 こんなときこそ、柱である自分達がしっかりとしなければと思うが、正直、杏寿郎は迷っていた、一度、親方様に相談してみようか、それから答えを出しても遅くはないだろうと考えていた。
 
 「煉獄さん、でしたよね」
 声をかけられて振り返ると女性がゆっくりとした足取りで近づいてきた、屋敷の離れに住んでいる女性は色々と噂のある不思議な女性だ、軽く右足を引きずっている、怪我をしたのかと尋ねると具合の悪そうに言葉を濁された。
 「鬼ではないですか」
 真っ白な髪の女は顔を上げると首を振りかけたが小さく頷いた。
 「親方様が呼んでいましたよ」
 「待ってくれ、聞きたい事がある」
 悲鳴嶼行冥と恋仲だったという噂がある女性は、今は、彼にそっくりな鬼と住んでいる、そのことに対して柱である悲鳴嶼行冥は何も言わない、だが、苦しんでいるのはわかるのだ、同じ柱の仲間として自分には何もできない事が無力で歯がゆい、そんな自分に女が小さな声で言った。
 「近いうちに、ここを出て行くんです」
 ぽつりと呟くようにだ。
 
 「よく来てくれた、煉獄槇寿郎殿」
 頭を下げられた、これで自分はと槇寿郎は拳をぎゅっと握りしめ、次の言葉をまった。
 「頼みたいことがある、断らないでくれるとありがたいのだが」
 ここまできて、そんな事をいうのかと目の前の男、親方様と呼ばれる青年に頭を下げた、数日前の呼び出しから答えを出すのに時間はかからなかった。
 「もし、断ると言ったらどうするつもりで」
 最後まで続かない言葉だ、だが、内心、ほっとする自分がいた。
 「君にしか頼めないと言ったら」
 
 そのとき、悲鳴が聞こえた、屋敷の、こんな近くで。
 
 鬼は両手を広げた、邪魔をする者はいない、柱に似たあの鬼は家の中だ、自分の手下達が足止めをしている、柱の能力を持ってしても、数ではこちらが上だ。
 そして、敵陣である鬼殺しの屋敷似近い場所とはいえ、柱の殆どはいない。
 「さあ、おいで一緒に行こう」
 生まれ変わった鬼は両手は両手を広げた、だが、女はわずかに首を振る、怯えているのだ、だが、それは鬼の自分に対する恐怖からではない。
 「ここにいれば、いずれ疎まれるだろう、お前の中に流れる血が鬼を、人を、男を惑わせる、それを断ち切れば楽になれる」
 
 強そうな名前ね、将来は何になるのと彼女は笑った、答えられなかったのは恥ずかしかったからだ。
 あの人は大人で背が高く、自分は子供で、ちびだった、だが、数年もしたら背も高くなる、体も大きく大人になって強い男に、そうしたら誰にも何も文句なんて言わせない。
 あなたを娶る、夫婦になって欲しいと言う、男だから自分から言わなければと思っていた、いつも子供扱いされていた、だが、あの日、初めて呼ばれた。
 
 「煉獄槇寿郎さん」
 
 だが、鬼に殺された、あの人は。


風邪をひきました、ニュースは(小室正○氏)の声で

2020-10-17 22:56:27 | 二次小説

 二週間も宿に泊まるなんて、生前、いや、あっちで生活していたときもなかった、これが海外旅行と珍しくないけど、とにかく、あまり外出せずにおとなしく過ごそうなんてことを思っていたのに、一週間目にして風邪をひいてしまった。
 
 「先生、本当に風邪でしょうか」
 医者であるマルコーの言葉を疑うわけではないが、思わず尋ねてしまう。
 「この国の人間じゃないし、もしかして悪い病気じゃ」
 昨日も、この質問をされたなあと思いながら、マルコーは、ただの風邪だよと笑いかけた。
 「鼻水はとまらないし、くしゃみはたまにだけど、全身だるくて」
 いや、それは風邪の症状、普通だからとマルコーは思ったが、彼女の恨めしそうな視線にやれやれと思った。
 「昔は普通の風邪なら寝てれば、すぐに治ったのに」
 「何も食べてないからだ、寝ているだけでも体力は消耗するからね」
 そう言ってマルコーはパンがゆをスプーンで掬って彼女の口元に運んだ。
 ベッドから焼き上がるのも疲れる、だるいという彼女は食べる気力がないという、そして寝込んでから限界がきたのか、食べさせてくださいとと言ってきた。
 いや、そんな子供みたいな事をと思ったが、今では慣れてしまったというか、仕方ないと言わんばかりに食べさせているのだ。

 ドクター、客だ、スカーの声がして入ってきたのはラストだ、見舞いに来てあげたわよという彼女はマルコーの手にしたスプーンを見るとニヤニヤと笑った。
 「あらー、甘えまくりじゃない」
 普通なら恥ずかしがるのだろう、だが、ラストの言葉に彼女は、いいでしょうと、どこか自慢げだ、風邪のせい、病人だから大丈夫という思考になっているのかもしれない。
 「そのうち下の世話もさせられるわよ、ドクター」
 何を言うのかと、むっとした顔で睨む彼女だが、ラストは気にする様子もない、ただ、ちらりとマルコーを見た、呆れたような顔で甘やかしすぎよといわんばかりに。
 
 見舞いのラストが帰ると、そろそろ寝なさいとマルコーの言葉に彼女は首を振った。
 「お願いがあるんです」
 退屈だから本、いや、新聞でもいいから読んでくださいと言われて、ああ、退屈なのかと思ってしまった。
 
 軍の医療室で治療をしているときに付きあっている恋人の話を軍人達はたまに漏らすことがある、外食、豪華なレストランで美味しい物が食べたいとか、プレゼントが欲しいとか、高官ならともかく、安月給の下級軍人ともなると決して楽ではない。
 そんな話を聞くと羨ましいというより気の毒だと思ってしまうくらいだ。
  彼女、美夜のお願いなど些細なものだと思ってしまうのだ。

 「先生の負担にならない程度に、でも、我が儘ですよね、あたし」
 「どうしたんだね、急に」
 生憎と読書用の娯楽といった本はないので、新聞でも読もうかと考えていたが、そんな事を言われてマルコーは、はあっという顔になった。
 「ご飯食べさせてくほしいとか、退屈だから何か読んでくれとか、赤の他人が図々しいと思いませんか」
 確かに言われてみれば、我が儘と撮られても不思議はないかもしれない、だが、あまり嫌だと思わずに自分はきいてしまっているのだ。
 「別に構わんよ、ただ、他の人には、あまり、こういうことは、我が儘というか、誤解されかねないから、気をつけなさい」
 これを男にやってしまうと、いや、あらぬ誤解をされてしまうかもしれないというと、女は真顔になった。
 「大丈夫です、先生以外に、こんなこと言えません、というか、お願いしたり、甘えたりしません、そんなことしたら大変ですよ」
 ああ、一応分かっているのか、ならいいんだがと思いつつ、いや、それは本当にいいのだろうかと思ってしまう。
 「少し待ってなさい」
 マルコーは部屋に戻ると、ここ数日の新聞を盛って部屋に戻った。
 
 「先生、眼鏡、かけてましたか」
 ベッドのそばの椅子に座り、新聞を手にすると驚いた顔で彼女が尋ねてくる。
 軍で働くからと作ったんだよとマルコーは説明した、歳のせいか、細かい字か段々と見えづらくなってきたからねと説明すると、彼女は、じっと自分の顔を見ている。
 「なんだね、そんなにじっと見て」
 「その、先生、かっこいいなと思って」
 マルコーはぎこちない笑いを返した。
 「はは、嬉しいね、こんな顔だが」
 いや、先生は男前ですという、断言するような力の籠もった声にマルコーは少し照れた鰐委を浮かべた。
 
 まるで、ニュース番組、渋いニュースキャスターの声で朗読されているようだ。
こういうのを耳福というんだろう、それに眼鏡をかけた先生の顔というのも初めて見る。
 見ているだけで新鮮で眠るのがもったいないと思いながらも、いつの間にか眠ってしまった。
 
 
 新聞記事、ニュースだけでは退屈だろう、明日、帰りに本屋にでも寄ってみようとマルコーは思った、ただ、どんなジャンルがいいのだろう、まさか、自分の分野、医療知識、技術の本を延々と読み聞かせるというのは聞いているのも退屈だろう、本屋に行けばなんとかなるだろうと思った。
 だが、それは思っているほど簡単な事ではなかったのだ。
 
 大きい本屋なら大丈夫だろうと思ったが、色々と沢山ありすぎて迷うというよりも困ってしまった、自分よりも高い棚に並んだ本を見上げていると首も疲れてきた。
 恋愛物がいいのか、いや、色恋ごとに関してあまり、積極的ではないというか、いい思い出もなさそうだ、だったら推理、謎解きなどの本がいいのか、ホラーな内容は眠れなくなったら考え、悩んでいると声をかけられた、振り返ると、そこにはラストが立っていた。
 マルコーはエプロン姿の彼女を不思議そうに見た、バイトしてるのよと言われて、驚いたのも無理はない。
 「結構楽しいのよ、色々と出会いもあるし」
 「そうか」
 「で、何をお探しですか、ドクター」
 医学書かしらと尋ねたラストだが、マルコーの話を聞くと難しいわねという顔になった。
 
 
 
 

 

 


モテたいと男は友人に土下座した、たとえゲームの中でもと

2020-10-15 09:06:03 | オリジナル小説

突発的に書いてしまいました、女性が男性アバターでプレイするという内容です、一話目、結構ノリだけで書いてしまいました。

 

ある日、友人に呼び出された、真剣な顔で言われたのは俺の代わりにゲームをしてくれと言われて最初は意味が分からなかった。

 俺はこのゲームの中でモテモテのハーレムを作りたいんだと友人は言う、現実世界では恋人もいない、もてないから、せめてゲームの世界ではと思ったらしいが、その考えが間違っていると思ったのだ、最初から大体モテようとゲームをプレイしたところで、現実の対人スキルがなさ過ぎると言うと激高された。
 お前みたいにモテモテ女に俺の気持ちが分かってたまるかと言われてしまった、そして土下座されてしまった。
 「頼む、春雨、お前は男だけでなく女にもモテル、そのスキルを生かして俺に夢を見させてくれ」
 「一応働いているのよ、パートだけど、あんたみたいにゲームに命を賭けられない」
 「暇な時でいいんだ、この間のギャルゲーで告白されたそうだな」
 「ああ、恋愛フラグが立った覚えはないのよ、箱庭ゲームで普通の生活をしていただけなのに」

 何故なら、自分はガンアクションとか、モンスターを倒していく、バイオとかが好きなのだ。
 友人は最近どんなゲームをやっているのか知らなくて、アバターを見たとき驚いた、男なのはいい、しかし、百キロは軽く超えているだろう巨漢、いや、ただ大柄なだけならいいのだ、ぶくぶくと太っている、どういうこだろう。
 「いや、ここ最近プレイしてなくてだらだらと過ごしていたら、アバターが太ってしまった」
 仕方ないと一週間、走って、川で泳いで、モンスターを倒しまくった、だが、気がついたら熱中しすぎてゲームプレイ時間を見ると一年が過ぎていた、チートとか浸かった覚えはないのにどういうことだろうと思ったら、鍛錬の内容があまりにも激しい、過酷過ぎてボーナスポイントがついたらしい。
 説明書、メッセージボードはモニターに出てこないのは、このゲームは開発途中で新機能は告知などされずにアップデートされるらしい、これが人気の秘密らしいのだ。

 とにかく、モテよう、ハーレムを作ろうと思っては駄目だ、アバターの体格、巨漢デブから見られるような普通の見た目にしなくてはいけないと思い、体を適度に動かして、食べ物も肉ばかりではなく、魚や野菜とバランス良く、少しでも金が入ったら着ている物、装備品を整えた。
 ギルドとかで冒険者登録をしたほうがいいのかと考えたが、勇者を目指しているわけではない、魔王を倒すなどという目的はないのだ、守備、防具を整えて、体術の本を参考にしてアバターに柔術、武術を覚えさせた、武具など手入れがいるから、面倒な事はなるべく省いたのだ、結構時間がかかったけど、準備はこれくらいでいいだろうか。


 森の入り口付近なら、凶悪、強いモンスターはいないと思っていたが甘かった、ブラックウルフに、こんなところで会うなんて、低級なそれほどレベルが高くないモンスターなら魔物除けの薬草でなんとかなるが、自分は、ここで殺されてしまうと思った。
 ウルフはゆっくりと、距離を縮めてくる、だが、その足が突然止まった、首を自分他の後ろに傾げるようにして何かを感じとろうとしているような仕草に仲間が来たのか、それと他のモンスターがと女は恐怖を覚えた。

 「誰か、いるんですか」
 男の声だ、女は助けてと声を上げようとした、だが、足が、体も震えて声が出ない。
 突然、ブラックウルフは自分に向かって突進してきた、食われる、殺されると思った瞬間、風が吹いた、いや自分の頭上飛び越えたと知ったとき、草むらの影から一人の男性が現れた。

 森の奥から現れたのは中年の男性だ。
 「薬草採取ですか」
 「ええ、実は今、ブラックウルフか現れて」
 娘は男の姿を見て驚いた、あまりにも軽装すぎる、腰には短剣を刺しているが、長剣や弓、防具の盾はない、森の奥には様々な種類のモンスターがいるのだ、この男性は魔法使い、賢者なのかと思い尋ねたが、自分は只の市井の人間、百姓ですよと笑われてしまった。

 「まあ、ケイジさん、どうしたんです」
 ギルドの建物の前まで来ると男は籠を渡して帰ろうとしたが、突然、ケイジさんと女の声がした。
 「どうしたの、もしかして冒険者登録でもするの」
 「俺は百姓だよ」
 声をかけてきたのは明らかに娼婦と見られる女性だ。
 「もう、そんなこと言って、あら、この子は」
 「森で出会ったんだよ、籠が重たそうだからね」
 子供ねと言わんばかりの視線を向けられて内心、少女は、むっとした