読む、書くの雑多な日々、気まぐれな日常

好きなこと、雑多な日々、小説などを色々と書いていきます

異世界恋愛 

2021-05-27 14:11:14 | オリジナル小説

オリジナルを練習のつもりで書いてみました。

 黒服はモテない、ロングスカートは魔女みたいとか、えっ、もしかしてディスられているの、馬鹿にされているのと思ってしまったが、言い返すのも面倒で黙っているの自分はと思ってしまう。
 有名なブランドではないけど、今日は二回目のデートで服はモード系西田のがまずかったかと思ってしまった。
 多分、自分にも悪いところはあったのだ、最初のデートの時はふわゆるのスカートにブラウス、つまり、世間でいう可愛い系の恰好をしていった。
 二回目は少し大人っぽく、でも自分は好きではなかった、普段からユニクロ、量販店の無地のシャツに黒ズボン、つまり無難な恰好をしていたからだ。

 「えっ、何だよ、突然」

 「別れようっていったの、じゃ」

 「おい、待て、待って」

 何、その顔、何故か男の顔を見ても、ああ、こんなものかという感じだった。
 
 「最後ぐらい、奢って、いや、払うわ、さようならー」

 席を立ち、ひらひらと手を振って終わりだ、やはり年下の男は駄目だ、自分は彼より○歳上だが、元々はオヤジ、おっさん年上が好きなのだ、枯れ専なんて言葉が一時流行ったが、あの頃に相手が見つかれば、もしかしたら今頃は有閑マダムかもなんて思ってしまう。

 デートの後は友人の家に寄るつもりだったが、園気分も萎えてしまった。
 公園で寄り道して、確か屋台が出ていた筈だ、まだ、閉まってはいないだろう、ベーグルサンドとコービーを持ち帰って食べようかなと思っていると。

 「おい、待てよ」

 振り返ると、つい先ほど別れた筈の男が立っていた、文句でも言いに来たのだろうかと思っているといきなり、肩を掴まれて押されてしまった。
 いきなり何をするのかと思ったが、はっとした、後ろは池なのだ。

 水音がして冷たいと思った時、思わず目を閉じてしまった、人間って簡単に死ぬんだと知ったのは子供の頃だ、母が、父が、そして、今、自分も同じように。

 ああ、恋人がいないままか、歳とかイケメンとか、金持ちとか関係なくて、あたしだけを愛してくれる人が欲しかった。

 そんな事を思ってしまった、すると。


 「それは、それは、ささやかな望みですね」

 と、笑うような呆れた声が聞こえてきた。


 
 溺れるのは不可能だと思われるくらい浅瀬の中で尻餅をついていた。

 「ここ、どこ?公園じゃない、わよね」

 独り言のように呟き周りを見ようとして目が合った、知らない男性と。


 
 ずぶ濡れのままでは風邪をひくからといって男性の自宅に案内された、木造の家は決して大きくはない、まるで外国のログハウスというよりは物置のような感じ、いや、ライトノベルの挿絵なんかで見る、物置小屋に似ていると思ってしまった。(失礼だが)

 ここはどこ、知らない場所だ、まさか、公園の池が、こんなところに繋がっているとはびっくりだ。
 そういえばあの公園は以前行方知れずになった人がいたことを思い出した、危ない人、暴漢、強姦魔、襲われた相手、被害者が姿を消したのだ。
 
 「あそこは狐や狸がいるから、気の毒に思って連れて行かれたんだよ」

 年寄りの言葉を思い出した、すると自分も、もしかしたら。


 一週間ほどが過ぎた、不思議なもので知らない場所なのに馴染んでいる自分にびっくりだ、男性にもだ。

 「今から買い物に行くが欲しいものはあるかい、みっ、ミサ」

 名前を呼ぶとき少し、どもるようなのは言い慣れていないせいだろう、それがおかしいというか楽しく思えてしまう。

 「一緒に行きたいんですが、駄目ですか、街を見てみたいし」
 
 少し困った顔をする男性は説明してくれた。
 自分のように余所から迷い込んで来る人間というのは、昔は大勢いたらしい、それも様々な人種が、金髪、赤毛、中には白髪、だが、ここ数年は殆どいないらしい、つまり外国人だろうか、ところが黒髪というのはあまりいなかったらしい。
 数年ってどのくらいと聞くと三百年ほどといわれてしまった、いや、それって数年じゃないからと思わず突っ込みたくなった。
 服も靴も変わっているからじろじろと言われて、何だそんなこと、動物園の希少動物扱い、パンダかと思ってしまった。
 
 
 しかし、街までは結構距離があった。

 ちゃんとした店もあるが、露天のような店もある、日本でいうなら朝市、外国ならマルシェというところだろうか、野菜、果物、色々ななものが並んでいて見ているだけでも楽しい。
 欲しいものがあったらと聞かれて思わず果物と答えてしまった、この一週間、普通の食事、パンとスープ、茹でたジャガ芋や野菜はあっても果物、甘い物がなかったのだ。

 果物の並んでいる店の前、だが、並んでいるのは見たことのないものが多くて正直迷ってしまう。

 「おすすめはありますか、甘すぎなくて酸っぱいものとかいいんですが」
 「そうだな、この白いサンキツッ、酸味があって美味しいと思うが」

 柑橘、ミカン、オレンジだろうか、しかし、白い色というのは意外すぎて食欲が、いいや、ここは外国と思えばいいんだ
と。

 「あの、貴族様ですか」
 
 店の主、老婆の言葉に驚いてしまう、黒い服を着ているので、その言葉に驚いた。

 「いや、平民です、市井の人間です」

 「この国では黒い服なんて珍しいんです」

 日本ではモード系なんて古いと言われているけど、ここで貴族に間違われるとは驚いてしまった、だが、服だけではない、髪も関係しているらしい。
 長さもだが、自分は暑いので後ろでまとめて、アップにしている、だが、周りを見ても、そういう人はあまりいないのだ。
 店を離れたときにティムズさんに聞くと髪を伸ばしているのは金持ちや貴族が多いと言われて、だったら、切ろうかと呟いたら驚かれた。

 「綺麗な髪だから、そのままでいいんじゃないか」

 髪が綺麗なんて久しぶりに聞く言葉だ、別れた男からも言われなかったなあと思い出した。
 正直、今まで婚活、ナンパしたが、そんな相手から言われても、お世辞だなあと思ってしまって素直に喜べないのだ。
 気づかれないように隣を歩く男性の顔を見る、背はそれほど高くない、自分より少し低いかもしれない、そんな男性の顔は少し困った、いや、なんとなくだがこういう台詞、女を褒める事になれていないような感じで、凄く新鮮な感じがした。
 茶色というか焼けたような茶色に黒や白が混じっている、歳は確か、四十後半、五十ぐらいだろうか。

 


 外の国から人が来たとの報告が入った、城に呼び出された限られた貴族と騎士団の人間は驚いた、随分と久しぶりのことだ。
 吉報ではと皆が浮き足立ったのも無理はない。

 「そういえば、しばらく前からオウルランドの土地、日照り続きでしたが、十日程前から雨が降り始め、そのせいか作物の育ち具合も良くなってきたと報告が入ってきております、新種の作物の種つけも失敗続きだったのですが、それが」
 「おお、確か、かっての異国人の現れたときも、そのような報告があった」
 「外の国の人が現れると自然や天候などに変化が現れると聞きます」

 喜びの声を聞いていた国王が初めて口を開いた。 

 「皆の者、もし、異国人を見かけてもしても過度の接触などは避けるように」

 その言葉に皆が緊張した顔つきになった。

 「彼らは同じ人ではある、だが、違う世界から来た故に物の見方、考え方は違う、一部の心ない人間達の行いによって我々の先代達が、どんな眼に遭ったか、それを踏まえた上で行動してほしい」

 人々の間に緊張が走った、アーシャ国は人間しかいない、妖精、精霊、獣人や亜人などはいない、珍しい国だ。
 そんな国にとって、違う世界から突然、現れた人間というのは珍しくもあった。

 
 王国騎士団に勉めているコンラッドは、突然の召集に驚いたが異国の人が来たということが、そんなにも重要な事なのかと改めて思い知った作物や天候の異変は別の世界からこちらへくる際に色々な形で現れるもので、他国では国の半分が消失するほどの災害にもなるらしい。
 昔の文献、言い伝えではアーシャ国では、それが起こったのは彼らが帰郷するときだ。
 一説によると、神にも似た力、世界の理が国に罰を与えたのではないかと言われていた。
 
 「騎士団長就任、おめでとうございます」
 「ありがとうございます、ですが」

 「貴方には市内の見回り強化をお願いしたいのです、異界、異国の人間に対して自国の人間は何もしない、ですが、異国人を奇跡の人と敬う国もあります、他国では医術や魔法を使わず難病の怪我人を直したという伝承もあります」
 「なっ、本当ですか」
 「知らないのも無理はありません、これは王族、皇族の間でしか知られていないことです、でも、いつかは、そんな事が秘密ではなくなったら」

 公になったらどうなります、宰相と国王の表情にウォーレン・コンラッドは、はっとした。

 「少し前から旅行者、商人の取引など厳しく取り締まっています、理由はおわかりですね、貴方方、騎士団に協力してもらいます」

 

 

 

 


息子が帰ってくるらしいので(ノックス)マルコーさんと一緒に暮らすことになりました

2021-05-26 18:16:16 | 二次小説

ハーメルンとpixivにもアップしています、今回少し時間がかかってしまった。 

 

 

 マルコーさん、包むの上手ですねと言われて思わず隣を見る、自分は夢中になっていたらしい、皿の上並んだ餃子は最初の頃よりは綺麗な形になっているのが嬉しくなり、教え方が上手だからだよとマルコーは隣で小麦粉を練っている彼女に笑いかけた、今日は友人宅で餃子作っている。
 飲み屋に行くより安くつくし、酔ったらすぐに寝られるからというノックスの言葉に頷くが餃子の量は半端ではない。

 「マルコーさん、ノックスさんから聞きました」
 
 思わず手を止めて何をと尋ねると、聞いてないんですかと少し困った顔で見られた、仕方ないなあと小さな呟きにそういえばとマルコーは思い出した、頼みたいことがあると言われたのだ。


 「おおっ、美味そうだ」

 できあがった料理を前にして、嬉しそうな友人にマルコーは尋ねた、頼みたい事って何だと。

 「いや、この間、俺が言ったら、引き受けてくれたじゃねぇか」

 「何を、覚えがないんだが」
 
 もしかして自分は酔っていたかと呟きながら、まあいいかと話し始めた。

 「実はな、ネェちゃんを預かってくれ、おまえ、まだホテルだろ」

 こういうのは寝耳に水というのだろう、しかも友人は自分が断るとは思っていないようだ、一体どういうわけでと聞くと帰って来るんだよとノックスは一瞬、真顔になった、その言葉に家族かと尋ねる。
 確か奥さんは再婚して遠くで暮らしていると昔に聞いた事がある、もう、会う事もないようだ、だが、子供は尋ねてくるようだ。


 「確か息子さんだったな、子供ができたから結婚するといってたが」

 するとノックスは首を振った。

 「子供も結婚もなしになった」

 なんだか妙な言い方だし、表情からして、おかしいなとマルコーは思ってしまった。
 
 「まあ、騙されていたわけだ」

 妊娠も嘘だったというノックスは、更にショックな言葉を続けた、有り金持って逃げたんだ、それを聞いて二人は、えっと顔を見合わせた、気の毒という言葉では言い表せないというか、慰めようがない。

 「その人、本当に実の息子さんですか」

 驚くというよりは、別の意味もあるのだろう、女の言葉にノックスは正真正銘、俺の息子で女に騙されたのは二度目だと呆れたように呟いた。
 
 踏んだり蹴ったりではないかと思ったマルコーに放っておけねぇだろとオヤジとしてはと言われて納得した。

 「で、帰って来たらオヤジの家には若いネェちゃんがいるなんてこと、落ち込むだろうが」
 
 そう言われてしまうと確かに辛いだろうとむ思ってしまう、頼むぜと言われてしまっては断れないマルコーだった。

 


 目を開けて起き上がろうとすると頭がクラクラする、いや、視界が定まらないというか、ぐるぐると回っている気がする、ああ、まずい、これは自分の限界がきてしまったんだと思って体を横にして寝ようとしてはっとした。
 あれっ、自分は講義を受けていたはずではなかったかと思い出した。
 何故、ベッドで寝ているんだろうと、ここもしかして医務室、なんとなく学生時代の保健室を思い出した。

 「気分はどうだい」

 男の人の声に思わずマルコーさんと呼んでみる、疲れがたまっていたんじゃないかい、そう言われて思わずはいと答えてしまう。


 それって、きっとストレスだよ、我慢のしすぎじゃない、若くても女性なら更年期は珍しくないよ。
 医者と友人からも言われた言葉を思い出す、ああ、やっぱり若くないから、女性ホルモンが年々減少するから、メンタルも弱くなってしまうんだわ、仕事もだけど結婚失敗したのも原因ねと。

 「講義が終わっても机に突っ伏したままで、スカー君もおかしいと思ったらしい」

 思い出した、まさかと思うが、ここまで運んでくれたのはスカーさんと聞くとそうだよと言われて落ち込んだ。

 「持病とかあるのかね」
 
 すると、ストレスだろうとノックスの声がした。
 
 「あれだ、ストレス、自律神経失調症ってやつだ、女の場合、歳は関係ない、更年期だな」

 言葉がぐさぐさと心臓に突き刺さる、オッサンは本当に遠慮がない、思わずノックスさーんと呼びかける。

 「これでもガラスのハートなんです、もう少し優しく」

 「まあ、全然知らない場所で生活してるんだ、色々あるだろう、ネェちゃんは、よくやってるぜ、これでいいか」

 とってつけたような言い方だけど、やっているというのは褒めて、いや、慰めてもくれているんだろう、うん、全然知らない場所で生活するって楽しい事もあるけど、大変なんだと、この日、改めて実感した。
 
 「今夜はマルコーと一緒にホテルに泊まれ」

 「お任せします、ううっ、気持ち悪っ」

 「おおっ、寝とけ、世話は医者のマルコーがやってくれる、安心して任せろ」

 お世話をかけますマルコーさんと心の中で繰り返していつの間にか眠っていたらしい。 
 

 
 
 
 その日、ノックスはロイ・マスタングに頼みがあると呼び出された。
 話を切り出した途端、自分は軍酢になる木はないと答えが即答で返ってきた、予想通りの返事だとマスタングはがっくりとなった。
 それにしても、何故、この医者、オッサンは自分に対して遠慮なくずけずけと文句が言えるのだろうと思った、やはり医者という職業のせいだろうか。

 「まあ、ここで断ったら人でなしといわれそうだからな、代わりの医者が来るまでは引き受けるぜ」
 
 「本当か、ノックス先生」
 
 「だが、一日中、こっちにいると自宅の療養所にも支障がでる、年寄りの病人とかいるんだ、だから協力してもらうぜ、友人に」

 最近、入ってきた若手の医者がブリッグズに移動することになった、引き抜きといえば聞こえがいいが、オリヴィエ・アームストロングのごり押しというやつだ。
 若い医者はセントラルの給料よりも破格で引っこ抜かれた、代わりの医者の打診をしているが、すぐに来ると言う訳にはいかず、白羽の矢がノックスに当たったのだが、
だが、自分の仕事を放っておいてと言う訳にはいかない。


 

 それで私にも協力しろと、マルコーは友人の話を聞いている間、質問も反論もしなかった、無駄だとわかっていたからだ。

 「錬金術講座は、もう少し続けるみたいな事を上は言ってる、おまえ、すぐに帰らないとまずいか、駄目なら若い医者を派遣して」
 
 「おい、そこまでしなくても」

 半ば呆れたというか脱力した友人の顔を見てノックスは、条件をつけてきたぜと笑った。
 
 「古いがな、一軒家を借りてきた、そこから、おまえさんは通えばいい、自炊はできるし、勿論、家賃光熱費はだだ、大佐が出す、若い頃から、お互い軍に、こき使われたんだ、これぐらい安いもんだろと言ったら文句は言わなかったな」
 
 そんな事を言ったのか、大佐の顔が目に浮かぶようだとマルコーは思った、にっこり笑っていないことは確実だ。

 「炊事、洗濯、掃除はネェちゃんにやらせろ、体調よくなったみたいだが」

 自分の知らないところで話はどんどんと進んでいる、一人の方が気楽だと思ったが、一軒家となると持て余すだろうと思いながらマルコーは構わないかと思った。


 それから数日が過ぎた。

 「おまえさん、出てきたんじゃねぇか」

 友人の言葉にマルコーは一瞬、はっとなった、友人の視線が自分の腹に向いていてぎくりとした。
 出ているというのは、やはり、腹だなと思う、いや、自分でも少し自覚はあったのだ、ズボンのベルトが最近、すこーし、きついなと、今まではホテル住まいだったので少しでも節約しなければと思いながら、食事は簡単なものが多かったのだ、だが、生活環境が変わり、自炊となると体を動かすことも多くなり、食欲も増してきた、その反動だ。

 「少しぽっちゃりぐらい、いいじゃないですか、可愛いですよ」

 ノックスの言葉に隣でサンドイッチを食べていた彼女が手を休めてマルコーを見た。

 「あのなあ、ネェちゃん、それ、本気で言ってるか」

 「ぽっちゃり熊さん、いいじゃないですか、夢の国ではクマさんはモテモテです、永遠のアイドルですよ」

 「あのなぁ、おまえさんぐらいだよ、そんなこというのは」

 だから、マルコーのようなオッサンと一緒でもと感心してしまった。

 「ところで息子さんは、どうです」

 「ああ、家に来てから夜になると飲んでるぜ、愚痴に付き合わされるこっちはたまったもんじゃねぇが、そろそろ、仕事を手伝ってもらうつもりだ」

 「お医者さんですか」

 「とにかく仕事をさせる、いつまでも未練がましく、酒ばかり飲んでって訳にもいかんだろう」

 父親の顔で呟くノックスは頭が痛いといわんばかりだ。
 見合いはどうですと女がノックスを見た、身元のちゃんとした、結婚願望のある女性なら大丈夫ではと言うと。
 
 「理想が高すぎるんだ、若くて、美人でボイン、優しい女がいいとか」

 それは高すぎるというよりは高望みしすぎているのでは歳は幾つですというと、ネェちゃんと同じくらいくらい、見た目は老けてるかもなとと言われて、聞いていたマルコーの表情までが、んんっとなった。

 「洒落になりませんよ、オッサンが芸能人やアイドルに恋してるみたいですよ、現実を見た方がいいって教えないと」

 「ガキの頃から教えてるがな、全然だ、親のいうことなんて右から左の耳の穴、風が吹き抜けてるみたいなもんだ」

 困ったと呟くノックスの顔は疲れた顔で二人が同情したのも無理はない。
 
 


 「マルコーさん、ノックスさん、ちゃんと食べてますかね」

 夕飯の支度をしていた彼女の言葉に心配しているんだなとマルコーは思った。
 友人の息子が帰ってきて一週間が過ぎた、一度、挨拶に行こうと思って覗いた事があったが、飲み屋とデリバリー、弁当屋という食生活だった、見かねて簡単な料理を作って冷蔵庫に入れておいたが、あれから気になって自分は何度か様子を見に行っているのだ。
 
 「息子さんは自炊とかするんですか」
 「そこはノックスと似ているというか、そっくりだ、料理はできない」
 「じゃ、容姿とか、顔立ちはどうです、似ているんですか」

 どう答えていいのか迷ったのも無理もない、子供の頃、一度、会った事がある、少し小太りの少年だったが、ところが、大人になった彼は背は高く、中肉中背というより
は少し痩せ過ぎではないかと思ったぐらいだ、しかも、髪も髭も伸び放題だ、ふられたショックなのだろうかと思ったが、あれではスラムの住人と間違われても無理はない
と思ったぐらいだ。

 「掃除とかしてるんでしょうか、部屋の埃ぐらいじゃ死にませんが、洗濯物は」
 「週に一度、まとめて行ってるみたいだな」
 「シーツや枕とか干してるんでしょうか、今は暖かいから汗もかきますよ」

 ああ、そういうのは、あまりやっていないだろう、多分、自分も一人なら、そこまで気が回らないかもしれない、一度、掃除に行ってみましょうかという彼女に、そうだなとマルコーは頷いた。

 「そうしてくれたらありがたいが、行ってみるかい、一度会っておくのもいいかもしれない」

 

 その日は講義もないので、昼を食べると差し入れの常備菜と料理、掃除道具を持ってマルコーと彼女はノックスの家を訪れた、診療所のスペースは、一応の体裁は保っている、だが、住居スペースは清潔、片づいているとはいいがたい。
 窓を開けて部屋の埃を外に掃き出して、洗濯、掃除に取りかかって、その間にマルコーは台所で持ってきた料理の準備を始めた。

 「大物の洗濯は今日は無理ですね、明日、朝一でコインランドリーに行きます、診療所のベッドの敷布とかも、この際、まとめて洗った方がいいですよね」
 
 半日では無理だったかと思いながら診療室で患者を診ている友人をちらりと見る、医者の腕はいいのだが、夫婦生活が続かなかったのは、自分の自堕落な部分が問題だといっていたのを思い出した。
 今、自分は料理、食材の買い出しぐらいなものだ、それ以外のことは全部やってくれるのだ、彼女が不満や文句を言うことはない、凄く楽だと思ってしまう。
 
 「おお、綺麗になったじゃねぇか、すまねぇな、二人とも」
 「明日、来ますね、シーツとか洗濯します、ところで息子さんはお出かけですか」
 
 返事がすぐには返ってこない。

 「実は軍医募集の話を聞いて面接に行ったんだ」
 
 腕が確かなら受かるのではないだろうか、でも、父親が軍の建物内で働いているとなると、親子で同じ職場になる、気にする人はいる、そういうところはどうなのだろう。

 「受からなければいいんだがな」
 
 とノックスはぽつりと呟いた。 


BOOKOFFで、アバンチュリエを

2021-05-23 13:52:09 | 小説

 少し前にBOOKOFFで西村さんのアルコールを三巻まで揃っているのを見つけてしまった、以前持っていたんだけど湿気で駄目になって処分したのだ。
 今、古い漫画って殆どKindleになっているんだけど、電子は嫌だと思っていたので、この際、買おうと思っていたら雨続きでBOOKOFFに行く機会がなかったのだ。
 そして今日は日曜日だけど、とりあえずと思っていって来たのはいいんだけど、なんと、アバンチュリェが五巻までを見つけてしまった。
 ルパンの漫画なんてなかなかないんだけど、中身を見たら愛蔵版と殆ど変わりない、だったら買わなくてもいいかなあと、とりあえずアルコールだけでも買っておこう。
 しかし、久しぶりの外出で足腰がガタガタ、帰り道に転んでしまったわ。、


ポメラの接続ケーブル

2021-05-22 14:03:24 | 日記

 ポメラ100はminiUSBなんだが、30はMicro USB Micro-B、実は100を使っていたけどケーブルの違いに気づかなかったわ、なんてこったい。
近所のドラッグストアに買いに行って、あれっと買った後で気づいたわ、なんてこったい。
 肩こりが激しくてサロンパス、ボディソープも買って、さて書こうかなあと思うけど、今、肩がばりばりだ。
 疲れているときってモチベーションも上がらないのよね。

 


異世界、オッサンに恋したアラサー女は美女、らしい

2021-05-21 13:08:31 | オリジナル小説

久々にオリジナルの練習をしようと思って書き始めました。

キャラの名前は変更するかもしれません、なろうかアルファポリスにUpするつもりです。

 

 黒服はモテない、ロングスカートは魔女みたいとか、えっ、もしかしてディスられているの、馬鹿にされているのと思ってしまったが、言い返すのも面倒で黙っているの自分はと思ってしまう。
 有名なブランドではないけど、今日は二回目のデートで服はモード系西田のがまずかったかと思ってしまった。
 多分、自分にも悪いところはあったのだ、最初のデートの時はふわゆるのスカートにブラウス、つまり、世間でいう可愛い系の恰好をしていった。
 二回目は少し大人っぽく、でも自分は好きではなかった、普段からユニクロ、量販店の無地のシャツに黒ズボン、つまり無難な恰好をしていたからだ。

 「えっ、何だよ、突然」

 「別れようっていったの、じゃ」

 「おい、待て、待って」

 何、その顔、何故か男の顔を見ても、ああ、こんなものかという感じだった。
 
 「最後ぐらい、奢って、いや、払うわ、さようならー」

 席を立ち、ひらひらと手を振って終わりだ、やはり年下の男は駄目だ、自分は彼より○歳上だが、元々はオヤジ、おっさん年上が好きなのだ、枯れ専なんて言葉が一時流行ったが、あの頃に相手が見つかれば、もしかしたら今頃は有閑マダムかもなんて思ってしまう。

 デートの後は友人の家に寄るつもりだったが、園気分も萎えてしまった。
 公園で寄り道して、確か屋台が出ていた筈だ、まだ、閉まってはいないだろう、ベーグルサンドとコービーを持ち帰って食べようかなと思っていると。

 「おい、待てよ」

 振り返ると、つい先ほど別れた筈の男が立っていた、文句でも言いに来たのだろうかと思っているといきなり、肩を掴まれて押されてしまった。
 いきなり何をするのかと思ったが、はっとした、後ろは池なのだ。

 水音がして冷たいと思った時、思わず目を閉じてしまった、人間って簡単に死ぬんだと知ったのは子供の頃だ、母が、父が、そして、今、自分も同じように。

 ああ、恋人がいないままか、歳とかイケメンとか、金持ちとか関係なくて、あたしだけを愛してくれる人が欲しかった。

 そんな事を思ってしまった、すると。


 「それは、それは、ささやかな望みですね」

 と、笑うような呆れた声が聞こえてきた。


 
 溺れるのは不可能だと思われるくらい浅瀬の中で尻餅をついていた。

 「ここ、どこ?公園じゃない、わよね」

 独り言のように呟き周りを見ようとして目が合った、知らない男性と。


 
 ずぶ濡れのままでは風邪をひくからといって男性の自宅に案内された、木造の家は決して大きくはない、まるで外国のログハウスというよりは物置のような感じ、いや、ライトノベルの挿絵なんかで見る、物置小屋に似ていると思ってしまった。(失礼だが)

 ここはどこ、知らない場所だ、まさか、公園の池が、こんなところに繋がっているとはびっくりだ。
 そういえばあの公園は以前行方知れずになった人がいたことを思い出した、危ない人、暴漢、強姦魔、襲われた相手、被害者が姿を消したのだ。
 
 「あそこは狐や狸がいるから、気の毒に思って連れて行かれたんだよ」

 年寄りの言葉を思い出した、すると自分も、もしかしたら。


 一週間ほどが過ぎた、不思議なもので知らない場所なのに馴染んでいる自分にびっくりだ、男性にもだ。

 「今から買い物に行くが欲しいものはあるかい、みっ、ミサ」

 名前を呼ぶとき少し、どもるようなのは言い慣れていないせいだろう、それがおかしいというか楽しく思えてしまう。

 「一緒に行きたいんですが、駄目ですか、街を見てみたいし」
 
 少し困った顔をする男性は説明してくれた。
 自分のように余所から迷い込んで来る人間というのは、昔は大勢いたらしい、それも様々な人種が、金髪、赤毛、中には白髪、だが、ここ数年は殆どいないらしい、つまり外国人だろうか、ところが黒髪というのはあまりいなかったらしい。
 数年ってどのくらいと聞くと三百年ほどといわれてしまった、いや、それって数年じゃないからと思わず突っ込みたくなった。
 服も靴も変わっているからじろじろと言われて、何だそんなこと、動物園の希少動物扱い、パンダかと思ってしまった。
 
 
 しかし、街までは結構距離があった。

 ちゃんとした店もあるが、露天のような店もある、日本でいうなら朝市、外国ならマルシェというところだろうか、野菜、果物、色々ななものが並んでいて見ているだけでも楽しい。
 欲しいものがあったらと聞かれて思わず果物と答えてしまった、この一週間、普通の食事、パンとスープ、茹でたジャガ芋や野菜はあっても果物、甘い
物がなかったのだ。

 果物の並んでいる店の前、だが、並んでいるのは見たことのないものが多くて正直迷ってしまう。

 「おすすめはありますか、甘すぎなくて酸っぱいものとかいいんですが」
 「そうだな、この白いサンキツッ、酸味があって美味しいと思うが」

 柑橘、ミカン、オレンジだろうか、しかし、白い色というのは意外すぎて食欲が、いいや、ここは外国と思えばいいんだと。

 「あの、貴族様ですか」
 
 店の主、老婆の言葉に驚いてしまう、黒い服を着ているので、その言葉に驚いた。

 「いや、平民です、市井の人間です」

 「この国では黒い服なんて珍しいんです」

 日本ではモード系なんて古いと言われているけど、ここで貴族に間違われるとは驚いてしまった、だが、服だけではない、髪も関係しているらしい。
 長さもだが、自分は暑いので後ろでまとめて、アップにしている、だが、周りを見ても、そういう人はあまりいないのだ。
 店を離れたときにティムズさんに聞くと髪を伸ばしているのは金持ちや貴族が多いと言われて、だったら、切ろうかと呟いたら驚かれた。

 「綺麗な髪だから、そのままでいいんじゃないか」

 髪が綺麗なんて久しぶりに聞く言葉だ、別れた男からも言われなかったなあと思い出した。
 正直、今まで婚活、ナンパしたが、そんな相手から言われても、お世辞だなあと思ってしまって素直に喜べないのだ。
 気づかれないように隣を歩く男性の顔を見る、背はそれほど高くない、自分より少し低いかもしれない、そんな男性の顔は少し困った、いや、なんとなくだがこういう台詞、女を褒める事になれていないような感じで、凄く新鮮な感じがした。
 茶色というか焼けたような茶色に黒や白が混じっている、歳は確か、四十後半、五十ぐらいだろうか。

 

 外の国から人が来たとの報告が入った、城に呼び出された限られた貴族と騎士団の人間は驚いた、随分と久しぶりのことだ。
 吉報ではと皆が浮き足立ったのも無理はない。

 「そういえば、しばらく前からオウルランドの土地、日照り続きでしたが、十日程前から雨が降り始め、そのせいか作物の育ち具合も良くなってきたと報告が入ってきております、新種の作物の種付けも失敗続きだったのですが、それが」
 「おお、確か、かっての異国人の現れたときも、そのような報告があった」
 「外の国の人が現れると自然や天候などに変化が現れると聞きます」

 喜びの声を聞いていた国王が初めて口を開いた。 

 「皆の者、もし、異国人を見かけてもしても過度の接触などは避けるように」

 その言葉に皆が緊張した顔つきになった。

 「彼らは同じ人ではある、だが、違う世界から来た故に物の見方、考え方は違う、一部の心ない人間達の行いによって我々の先代達が、どんな眼に遭ったか、それを踏まえた上で行動してほしい」

 人々の間に緊張が走った、アーシャ国は人間しかいない、妖精、精霊、獣人や亜人などはいない、珍しい国だ。
 そんな国にとって、違う世界から突然、現れた人間というのは珍しくもあった。

 
 王国騎士団に勉めているコンラッドは、突然の召集に驚いたが異国の人が来たということが、そんなにも重要な事なのかと改めて思い知った作物や天候の異変は別の世界からこちらへくる際に色々な形で現れるもので、他国では国の半分が消失するほどの災害にもなるらしい。
 昔の文献、言い伝えではアーシャ国では、それが起こったのは彼らが帰郷するときだ。
 一説によると、神にも似た力、世界の理が国に罰を与えたのではないかと言われていた。
 
 「騎士団長就任、おめでとうございます」
 「ありがとうございます、ですが」

 「貴方には市内の見回り強化をお願いしたいのです、異界、異国の人間に対して自国の人間は何もしない、ですが、異国人を奇跡の人と敬う国もあります、他国では医術や魔法を使わず難病の怪我人を直したという伝承もあります」
 「なっ、本当ですか」
 「知らないのも無理はありません、これは王族、皇族の間でしか知られていないことです、でも、いつかは、そんな事が秘密ではなくなったら」

 公になったらどうなります、宰相と国王の表情にウォーレン・コンラッドは、はっとした。

 「少し前から旅行者、商人の取引など厳しく取り締まっています、理由はおわかりですね、貴方方、騎士団に協力してもらいます」