オリジナルを練習のつもりで書いてみました。
黒服はモテない、ロングスカートは魔女みたいとか、えっ、もしかしてディスられているの、馬鹿にされているのと思ってしまったが、言い返すのも面倒で黙っているの自分はと思ってしまう。
有名なブランドではないけど、今日は二回目のデートで服はモード系西田のがまずかったかと思ってしまった。
多分、自分にも悪いところはあったのだ、最初のデートの時はふわゆるのスカートにブラウス、つまり、世間でいう可愛い系の恰好をしていった。
二回目は少し大人っぽく、でも自分は好きではなかった、普段からユニクロ、量販店の無地のシャツに黒ズボン、つまり無難な恰好をしていたからだ。
「えっ、何だよ、突然」
「別れようっていったの、じゃ」
「おい、待て、待って」
何、その顔、何故か男の顔を見ても、ああ、こんなものかという感じだった。
「最後ぐらい、奢って、いや、払うわ、さようならー」
席を立ち、ひらひらと手を振って終わりだ、やはり年下の男は駄目だ、自分は彼より○歳上だが、元々はオヤジ、おっさん年上が好きなのだ、枯れ専なんて言葉が一時流行ったが、あの頃に相手が見つかれば、もしかしたら今頃は有閑マダムかもなんて思ってしまう。
デートの後は友人の家に寄るつもりだったが、園気分も萎えてしまった。
公園で寄り道して、確か屋台が出ていた筈だ、まだ、閉まってはいないだろう、ベーグルサンドとコービーを持ち帰って食べようかなと思っていると。
「おい、待てよ」
振り返ると、つい先ほど別れた筈の男が立っていた、文句でも言いに来たのだろうかと思っているといきなり、肩を掴まれて押されてしまった。
いきなり何をするのかと思ったが、はっとした、後ろは池なのだ。
水音がして冷たいと思った時、思わず目を閉じてしまった、人間って簡単に死ぬんだと知ったのは子供の頃だ、母が、父が、そして、今、自分も同じように。
ああ、恋人がいないままか、歳とかイケメンとか、金持ちとか関係なくて、あたしだけを愛してくれる人が欲しかった。
そんな事を思ってしまった、すると。
「それは、それは、ささやかな望みですね」
と、笑うような呆れた声が聞こえてきた。
溺れるのは不可能だと思われるくらい浅瀬の中で尻餅をついていた。
「ここ、どこ?公園じゃない、わよね」
独り言のように呟き周りを見ようとして目が合った、知らない男性と。
ずぶ濡れのままでは風邪をひくからといって男性の自宅に案内された、木造の家は決して大きくはない、まるで外国のログハウスというよりは物置のような感じ、いや、ライトノベルの挿絵なんかで見る、物置小屋に似ていると思ってしまった。(失礼だが)
ここはどこ、知らない場所だ、まさか、公園の池が、こんなところに繋がっているとはびっくりだ。
そういえばあの公園は以前行方知れずになった人がいたことを思い出した、危ない人、暴漢、強姦魔、襲われた相手、被害者が姿を消したのだ。
「あそこは狐や狸がいるから、気の毒に思って連れて行かれたんだよ」
年寄りの言葉を思い出した、すると自分も、もしかしたら。
一週間ほどが過ぎた、不思議なもので知らない場所なのに馴染んでいる自分にびっくりだ、男性にもだ。
「今から買い物に行くが欲しいものはあるかい、みっ、ミサ」
名前を呼ぶとき少し、どもるようなのは言い慣れていないせいだろう、それがおかしいというか楽しく思えてしまう。
「一緒に行きたいんですが、駄目ですか、街を見てみたいし」
少し困った顔をする男性は説明してくれた。
自分のように余所から迷い込んで来る人間というのは、昔は大勢いたらしい、それも様々な人種が、金髪、赤毛、中には白髪、だが、ここ数年は殆どいないらしい、つまり外国人だろうか、ところが黒髪というのはあまりいなかったらしい。
数年ってどのくらいと聞くと三百年ほどといわれてしまった、いや、それって数年じゃないからと思わず突っ込みたくなった。
服も靴も変わっているからじろじろと言われて、何だそんなこと、動物園の希少動物扱い、パンダかと思ってしまった。
しかし、街までは結構距離があった。
ちゃんとした店もあるが、露天のような店もある、日本でいうなら朝市、外国ならマルシェというところだろうか、野菜、果物、色々ななものが並んでいて見ているだけでも楽しい。
欲しいものがあったらと聞かれて思わず果物と答えてしまった、この一週間、普通の食事、パンとスープ、茹でたジャガ芋や野菜はあっても果物、甘い物がなかったのだ。
果物の並んでいる店の前、だが、並んでいるのは見たことのないものが多くて正直迷ってしまう。
「おすすめはありますか、甘すぎなくて酸っぱいものとかいいんですが」
「そうだな、この白いサンキツッ、酸味があって美味しいと思うが」
柑橘、ミカン、オレンジだろうか、しかし、白い色というのは意外すぎて食欲が、いいや、ここは外国と思えばいいんだ
と。
「あの、貴族様ですか」
店の主、老婆の言葉に驚いてしまう、黒い服を着ているので、その言葉に驚いた。
「いや、平民です、市井の人間です」
「この国では黒い服なんて珍しいんです」
日本ではモード系なんて古いと言われているけど、ここで貴族に間違われるとは驚いてしまった、だが、服だけではない、髪も関係しているらしい。
長さもだが、自分は暑いので後ろでまとめて、アップにしている、だが、周りを見ても、そういう人はあまりいないのだ。
店を離れたときにティムズさんに聞くと髪を伸ばしているのは金持ちや貴族が多いと言われて、だったら、切ろうかと呟いたら驚かれた。
「綺麗な髪だから、そのままでいいんじゃないか」
髪が綺麗なんて久しぶりに聞く言葉だ、別れた男からも言われなかったなあと思い出した。
正直、今まで婚活、ナンパしたが、そんな相手から言われても、お世辞だなあと思ってしまって素直に喜べないのだ。
気づかれないように隣を歩く男性の顔を見る、背はそれほど高くない、自分より少し低いかもしれない、そんな男性の顔は少し困った、いや、なんとなくだがこういう台詞、女を褒める事になれていないような感じで、凄く新鮮な感じがした。
茶色というか焼けたような茶色に黒や白が混じっている、歳は確か、四十後半、五十ぐらいだろうか。
外の国から人が来たとの報告が入った、城に呼び出された限られた貴族と騎士団の人間は驚いた、随分と久しぶりのことだ。
吉報ではと皆が浮き足立ったのも無理はない。
「そういえば、しばらく前からオウルランドの土地、日照り続きでしたが、十日程前から雨が降り始め、そのせいか作物の育ち具合も良くなってきたと報告が入ってきております、新種の作物の種つけも失敗続きだったのですが、それが」
「おお、確か、かっての異国人の現れたときも、そのような報告があった」
「外の国の人が現れると自然や天候などに変化が現れると聞きます」
喜びの声を聞いていた国王が初めて口を開いた。
「皆の者、もし、異国人を見かけてもしても過度の接触などは避けるように」
その言葉に皆が緊張した顔つきになった。
「彼らは同じ人ではある、だが、違う世界から来た故に物の見方、考え方は違う、一部の心ない人間達の行いによって我々の先代達が、どんな眼に遭ったか、それを踏まえた上で行動してほしい」
人々の間に緊張が走った、アーシャ国は人間しかいない、妖精、精霊、獣人や亜人などはいない、珍しい国だ。
そんな国にとって、違う世界から突然、現れた人間というのは珍しくもあった。
王国騎士団に勉めているコンラッドは、突然の召集に驚いたが異国の人が来たということが、そんなにも重要な事なのかと改めて思い知った作物や天候の異変は別の世界からこちらへくる際に色々な形で現れるもので、他国では国の半分が消失するほどの災害にもなるらしい。
昔の文献、言い伝えではアーシャ国では、それが起こったのは彼らが帰郷するときだ。
一説によると、神にも似た力、世界の理が国に罰を与えたのではないかと言われていた。
「騎士団長就任、おめでとうございます」
「ありがとうございます、ですが」
「貴方には市内の見回り強化をお願いしたいのです、異界、異国の人間に対して自国の人間は何もしない、ですが、異国人を奇跡の人と敬う国もあります、他国では医術や魔法を使わず難病の怪我人を直したという伝承もあります」
「なっ、本当ですか」
「知らないのも無理はありません、これは王族、皇族の間でしか知られていないことです、でも、いつかは、そんな事が秘密ではなくなったら」
公になったらどうなります、宰相と国王の表情にウォーレン・コンラッドは、はっとした。
「少し前から旅行者、商人の取引など厳しく取り締まっています、理由はおわかりですね、貴方方、騎士団に協力してもらいます」