たとえば僕の愛しい人が痔を患い。
日常歩くことすら困難なそんなんで。夜は、
風呂からうぎゃああああぁぁぁと断末魔のようなものが聞こえて布団の中では、
うううう、ううう、眠れないよお眠れないよお痛いよお、と、
しみしみ泣いている。そんなとき僕は、
そんな女を不憫に思い、
出来ることなら代わってあげたいと願い、
そうなってしまった原因の一端が自分にもあるかもしれないことを心底悔やみ、
可哀想な痛そうな辛そうな地獄的状況から女を、救ってやりたいと、
強く強く念じても、
どーしても、笑ってしまうのですん
けつが痛いっつー現実に、単純な僕はどーしても笑いを堪えることが出来ないのですん
夜中、苦悶の表情で号泣している女の背を撫でながら、笑ってしまうのですん
それだから女は余計に怒り、絶望落胆して激痛に参りながらも辛辣な言葉で僕を非難中傷罵倒する。
薄情者!!
頼りなし!!
タコ助!!
もう次、首が痛いとか歯が痛いとかゆっても何もしてあげないからね!!タコ助!!
あたしも笑ってやる!!
絶対、笑ってやる!!笑ってやる!!
と、泣きながら言われて収拾不能。
うわ~めちゃくちゃ言われんな~と、客観的に状況を捉えながら反省しながら頭にキテ言い返してしまわないように、
細心の注意を払いながら鉄の忍耐力を磨きながら事柄の根底が「けつ」なのを思い出して
また笑ってしまって火に油。負のスパイラル。
賑やかな悲鳴と怒声の中で、黙々と笑いを堪える午前4痔。
たとえばの話。
来年結婚しようかと思っている。
たとえばの話、
痔も愛も過去も未来もひっくるめて候。