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築地市場の豊洲移転問題

2007年03月02日 | Weblog

2007年2月22日(木) 都議会予算特別委員会総括質疑
〇曽根委員 築地市場の豊洲移転は、一九九九年九月に石原知事が突然築地を視察し、狭い、古い、危ないと述べたことから、それまでの築地での再整備がほごにされ、豊洲移転に転換したものです。  

参考  東京都中央卸売市場のHPの「5 豊洲新市場の建設」         http://www.shijou.metro.tokyo.jp/tonai/03/02.html
平成13年4月18日開催の第55回東京都卸売市場審議会「答申」の中で、築地市場の整備計画については、「早急に豊洲地区を候補地として移転整備に向けた検討を進めるべきである。さらに、移転するまでの間、現在地の市場の機能を維持し、流通の変化に対応するための整備が必要である。」とされた。  
平成13年7月開催の築地市場再整備推進協議会において、1)移転までの築地市場整備方法の進め方、2)新市場の基本計画づくりの手法と手順(案)を説明し、了承されるとともに、同月には築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガス(豊洲地区の地権者)との基本合意がなされた。 平成13年12月の第7次東京都卸売市場整備計画において、
築地市場の豊洲地区移転を決定した。  
築地市場の豊洲地区移転の決定を受け、平成14年4月、これまでの行政と業界の協議機関であった「築地市場再整備推進協議会」を、「新市場建設協議会」と改め、同協議会に「基本問題検討会」等を設けるなど改組した。 現在、平成15年5月に策定した「豊洲新市場基本構想」を踏まえ、平成16年7月に「豊洲新市場基本計画を策定した。  
豊洲新市場の
開場は、平成24年~28年度の予定となっている。

二〇〇一年に東京都と東京ガスの間で結ばれた豊洲の用地の譲渡に関する合意文書がありますよね。東京都側の代表はどなたですか。
〇比留間中央卸売市場長 築地市場の豊洲移転に関する東京都と東京ガスとの基本合意は、東京都副知事と東京ガス株式会社副社長とで調印をされておりまして、東京都副知事は、当時の中央卸売市場担当の浜渦副知事でございます。
〇曽根委員 昨日、豊洲の防潮護岸工事の補正予算が採択されましたが、基本合意書には、その防潮護岸の整備経費は土地区画整理事業の事業費から除外すると書いてあります。また、基本合意によれば、防潮護岸の整備経費は開発者負担の仕組みを見直すとしていますが、見直しの内容はどういうものですか。
〇津島港湾局長 開発者負担の見直し内容についてでございますが、築地市場の移転決定前におきましては、埋立部は土地区画整理事業区域に編入することとし、防潮護岸の整備費の負担割合は、公共負担と開発者負担がそれぞれ二分の一でございました。  
その後、平成十三年に築地市場の豊洲移転が決定し、当初の土地利用に大幅な変更が生じたことなどによりまして、埋立部は土地区画整理事業区域に編入されないこととなりました。そのため、防潮護岸の整備費の負担方法については、市場が市場予定地前面部の防潮護岸の所有権を取得することなどを勘案し、適正な負担となるよう見直しを行ったものでございます。 
具体的には、全体事業費のうち、市場予定地前面部の防潮護岸は、所有権を取得する市場が整備事業費を開発者負担として市場会計で負担し、残りの防潮護岸は、防潮機能とともに親水性にすぐれた緑地を都民に提供する公共的な目的から、公共負担として一般会計と臨海会計とで負担することとしたものでございます。
〇曽根委員 浜渦副知事が担当です。知事の発言を受けて、豊洲の用地を所有していた東京ガスに日参し、譲渡を迫っていました。しかし、東京ガスは自社での開発を計画して、土地の譲渡を渋っていた。これは当時、報道されました。実際に東京都に譲渡を拒否する文書の申し入れも行われていたはずです。  
それが一転して譲渡に至った。知事、豊洲移転を進めるために、東京ガスに何らかの譲歩あるいは便宜を図ったのではありませんか。
〇比留間中央卸売市場長 築地市場の豊洲移転につきましては、平成十年から業界団体と時間をかけて協議を進めてまいりまして、十三年十二月に東京都として決定をしたものでございますけれども、この間に東京ガスとは十分に協議をしながら、この点については進めてきているものでございます。
〇曽根委員 本来、防潮護岸整備費は区画整理事業の経費に計上され、土地利用者がその受益に応じて負担するのがルールですよね。そして、防潮護岸部分を区画整理事業から切り離すという意味は、現所有者の東京ガスの負担とならないようにすることになります。負担区分の見直しは、東京ガスが換地後の所有者としても負担が発生するために、その分を外すことを目的としたものです。 
このため、負担割合は、「ゆりかもめ」の駅前の一等地を所有する東京ガスがゼロになって、かわって市場が開発利益の見合いで四六%、残りの五四%を一般会計と臨海副都心事業会計が二分の一ずつ負担することとなりました。当初案で六百億円、変更された後は四百四十四億円のこの事業費は、市場が二百六億円、一般会計と臨海副都心事業会計が百十九億円ずつ負担することになったんです。  
なぜこんな譲歩、都が巨額の負担を引き受けてまで移転をしなければならなかったのか。そこからは、何が何でも築地市場を豊洲移転しなければならない背景があったとしか思えません。  
築地市場は、知事のトップダウンで始められた二〇一六年のオリンピックのメディアセンターの会場予定地とされています。しかし、築地市場を豊洲に移転させることには、多くの市場関係者や消費者団体などから反対の声が上げられ、食の安全の問題としても疑問の声が上げられているんです。  
一つは、豊洲に移転することで不便になるということです。現在の築地は高速道路のランプが近くにあり、地下鉄も日比谷線と大江戸線が直結しており、徒歩圏内には浅草線、有楽町線などの駅があります。一方、豊洲は「ゆりかもめ」があるだけで、しかも新橋や有楽町からは三十分もかかり、徒歩圏に幾つも駅がある築地とは歴然の差があります。市場関係のある新聞は--電車で買い付けに来る人が結構まだたくさんいるんですよ。個人商店には足回りの悪い立地でも、大型トラックで大量輸送する大手には良好な交通条件だと指摘しているほどです。  
第二には、世界の築地のブランドがなくなることです。築地は今、世界最大の水産物市場で、それこそ世界各国から魚が集まり、競り落とされた魚は首都圏を超えて出荷されています。また、都内には築地の名前を冠にした飲食店や商店が多数ありますが、これらのお店は今後、築地の名前が使えなくなってしまいます。 アーチストの坂本龍一氏は、ロハスクラブというホームページの対談で、あんなすばらしい場所を壊しちゃうなんて理解できないね、築地市場を世界遺産にしてもいいと思うと語っています。また、世界スローフード協会のカルト・ペトリーニ会長は、築地市場の移転など必要ないと述べ、協会として反対を表明しています。  
第三に、何より重大な問題は、移転先の豊洲の用地が、かつて東京ガスの生成工場があったことから、砒素やベンゼン、シアン化物、水銀などの危険な有害物質が基準値をはるかに超える数値で見つかっていることです。砒素は大変な猛毒で、環境基準の四十九倍もあります。発がん性物質であり揮発性のあるベンゼンは千五百倍、青酸カリのもととなるシアン化物は四十九倍、水銀は二十四倍です。  
現在、原因者である東京ガスが、東京都の基準に沿って行った土壌調査に基づいて土壌改良を実施していますが、専門家や市場関係者からは、東京ガスの土壌調査は極めて不十分だという批判が上げられており、再調査を求める声が上げられています。 知事、少なくとも法で定める調査を都の責任で実施すべきではありませんか。知事、いかがですか。
〇比留間中央卸売市場長 豊洲新市場予定地では地下水の飲用の可能性がないことから、土壌汚染対策としては、盛り土による封じ込めを行うこととしてございます。対策といたしましては、地下四・五メートルまでの健全土による入れかえ等の処理や、地盤面での三十から四十センチメートルの厚さのアスファルト舗装及び堅牢な建物による封じ込め等を行うこととしてございます。 
なお、平成十五年に施行されました土壌汚染対策法や改正されました東京都土壌汚染対策指針では、対策として封じ込めを行う場合は、五十センチメートル以上の盛り土あるいは三センチメートル以上のアスファルト舗装を行うこととされております。 
平成十年の東京ガスの調査と平成十五年に施行されました土壌汚染対策法とでは調査方法に違いがございますけれども、新市場予定地では、汚染物質が未検出の区域も含めまして敷地全面にわたって対策を講じるため、法や新たな東京都の指針に照らしましても安全性に問題はなく、再調査の必要はないというふうに考えております。
〇曽根委員 到底納得できない答弁です。 第一に、私が聞いたことに答えていません。聞いたのは、法に沿った調査を実施することです。対策は調査結果に基づいて実施されるものです。不十分な調査からは不十分な対策しか生まれません。法にのっとった調査が実施されていないのに、よく安全性に問題がないといえるものです。  
東京ガスが行った調査というのは、土壌汚染対策法以前の東京都のものに従ったもので、調査地点は九百平方メートルに一地点、しかもボーリングは原則三メートル、汚染が見つかったところは七メートルと、大づかみな調査で済まされていることです。これに対して土壌汚染対策法では、百平方メートルに一地点、深さは規定がなく、汚染土壌のあるところまで実施することになっています。 
調査地点以外のところに汚染物質がある可能性が高いわけだし、調査した深さよりも深い地層にも汚染がある可能性は、専門家から現に指摘されています。 
さらに、土壌改良について答弁されましたが、東京ガスが実施している土壌改良に対する専門家の意見も厳しいものがあります。東京ガスの対策の内容は、第一に、環境基準を十倍以上超える物質を含む土壌は基準以下にする。第二に、環境基準が十倍以下の物質を含む土壌、現在の地盤面から深さ二メートルまでは基準値以下にする。しかし、現在の地盤面から二・五メートルの高さの覆土をすると。したがって、新市場予定地の基盤面から四・五メートルのところまでは環境基準を超える有害物質はなくなるというものです。
問題の一番は、環境基準の十倍というのは、土壌汚染法にはない規定だということなんです。専門家は、十倍値というのは水質汚濁法や下水道の排出基準ですが、これは工場排水に適用するものであって、土壌や地下水には適用すべきでないと指摘しています。一般の土地利用を前提にした環境基準を、多くの人が口にする食品、しかも生鮮品を扱う市場の用地に当てはめることは間違いです。 
しかも、豊洲は埋立地であって、地震の際の液状化や、地盤が横に数メートルも移動する側方流動の危険がある場所です。地下四・五メートルまで土を入れかえるから大丈夫だ、三、四十センチのアスファルトを敷くから大丈夫だなどというのはいえません。 
我が党は、阪神大震災で被害を出した神戸のポートアイランドを視察してきましたが、埋立地全体が液状化して、土や砂が一面に吹き出していました。日本土木学会は臨海部について警鐘を鳴らしています。 
私が残念なのは、都の姿勢に、都民の食の安全の問題という認識が見られないことなんです。最近も、キンメダイにメチル水銀が高濃度に蓄積されていることが大問題になったように、食の安全というのは都民の最大の関心事の一つです。食品汚染は絶対にあってはなりません。 
市場用地には、水俣病の原因となった水銀や、劇薬である砒素やシアン、六価クロムまで汚染されているんです。ところが、ある雑誌では、都が、環境局が安全だと証明していること自体、安全宣言となっていると答えたと報道されています。豊洲は安全宣言ができる状態なんでしょうか。  
  (略)
〇比留間中央卸売市場長 再々ご答弁申し上げておりますけれども、土壌汚染の問題につきましては、手厚い対策を講ずることによりまして安全性に問題はございませんので、諸手続を含めまして、二十四年の開場に向けて確実に進めてまいります

☆かつて築地7丁目に住んでいたことがある。まだ朝日新聞社はなく、勝鬨橋のたもとにニチロとニチレイの倉庫(家族寮だったか?)が並んでいた。わたくしの部屋の隣の方も市場関係で働いていた。

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