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東京(23区内)の餓死者はこの10年間で240人

2007年03月07日 | Weblog
3月3日(土)午後、豊島区勤労福祉会館で開催された「教科書問題を考える小石川高校有志の会」公開学習会に参加した。
前・東京都庁職員労働組合委員長・氏家祥夫氏の講演「いま、都政に何が求められているか――石原都政の8年間を検証して」の要旨を紹介する。
 はじめに紹介した餓死者が10年で240人、2004年の孤独死4339人というショッキングな数字は4に登場する。

1 地方自治体とは何か
地方自治については憲法92~95条に規定されている。92条「地方自治の基本原則」で規定する「地方自治の本旨」とは、地方の運営はその地方の住民の意思によって行われるべきという住民自治と、国とは別の独立した自治権を持つ地方公共団体等により行われるべきという団体自治の2つの複合概念と解される。
なお、普通の府県は府県事務のみ執行しているが、東京都は通常、基礎的自治体が行う事務(例 都営交通、水道、下水道、23区内の病院、都営住宅など)も行っている。
現在、道州制の議論が地方制度調査会などで展開されている。道州制になると都は首都圏州となり、その下に位置する市は人口80万人程度の規模が想定されているようだが、それで住民の声が届くのかどうか問題である。

2 石原都政は何をしてきたのか
石原は、もともと青嵐会幹事長の極右の政治家だった。1995年に国会議員を辞職したあと、一橋大学出身のブレーンと新自由主義・グローバル国家戦略の研究を行い、99年に都知事に就任した。知事になってからは専制・独裁・トップダウンの都政を行い、次第に本性を現した。
政策としては、まず福祉・医療の事業削減、廃止、有料化、民間移譲を推進した。具体的には美濃部都政時代に築いた老人医療費助成(マル福)、老人福祉手当(寝たきり手当)を段階的に削減し、都立病院を廃止・統合した。1期目には基幹病院だけは残すと言っていたが、2期目には大久保病院・荏原病院も公社化した。また国の基準より劣悪でかつ高額の認証保育所の認可を進めた。さらに児童施設(例 中井児童学園)、障害者施設(例 立川福祉作業所)の統廃合、民間移譲も強引に進めている。
石原は福祉を「富裕者の寄付」という発想で捉えている。美濃部都政時代に全国トップクラスだった福祉水準はいまでは全国最低レベルになっている。
教育面では教育基本法改悪を先取りし、競争と統制を進めている。具体的には国旗国歌の強制、一斉学力テストによる学校の序列化、30人学級の拒否(全国でただ一つ)、大学の自治がない「世界のどこにもない」首都大学東京の創設、など教育破壊が進んだ。
逆に、オリンピック招致を口実に都市間競争に勝つための投資は高速道路多摩新宿線、外郭環状道路整備など総額8兆5000億円にも上る。半径10キロ圏内にコンパクトに施設を配置するといっているが、これは環状メガロポリス構造(2000年発表)のセンター・コア(首都高中央環状線の内側)とエリアがみごとに一致している。
その他、横田基地の航空自衛隊司令部化中小企業の選択的支援など問題をはらむ多くの政策を推進中である。

3 貧困と格差の拡大が集中的に進む東京
上記の石原都政の結果、1995年から2004年の23区内の餓死者(専門用語では栄養失調死)が240人(02年34人、03年24人、04年26人)、昨年NHKのドキュメント番組で話題になった孤独死が4339人(23区内、2004年)水道供給停止者は9万6000件、ガス供給停止者が24万件、電気供給停止者が5万件(いずれも2001年)生活保護世帯は138153世帯(2004年 なお2000年は103359世帯だったので4年で33%増加したことになる)という悲惨な状況になっている。また足立区の就学援助が10人に4人と昨年話題になったが、東京全体では188000人(2004年)に上る。

4 都政はどのように転換することが求められているか
「憲法25条に基づく、貧困と格差および社会的排除のない、人権が保障される都政」ほか7か条。
そのための財源としては基金残高9261億円(2007年度末)など潤沢にある。たとえば中学生までの医療無料化、高齢者寝たきり手当ては200億円程度で実現できる。

   参考 柴田徳衛編著「明日への東京宣言」(本の泉社 2007年1月)

☆HPの年表を作成していて、石原都政の全体構造がもうひとつわからなかったが、少し見えてきた気がしました。主催者の方に感謝です。
またこの日の成果として年表の素材がいくつか発見できました。近々追加する予定です。
なお、わたくしは小石川高校とは、まったく縁はありません。(都立高校出身ではありますが)


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