さやえんどう21のお部屋

何かものをつくろうと考えたり、作ったり、修理したりするのが好きです。いろいろなことについて書いています。

秋川まりえ『騎士団長殺し』村上春樹

2024年05月26日 | 本の感想

ブックオフで買ってきて『騎士団長殺し 還ろうメタファー編』を読んでいます。

イデア編を読み終えてから随分時間がたってから読んでいます。前半いろいろなことが謎だらけで終わっていましたがこのメタファー編で解明されていくのだろうと楽しみながら読んでいます。

免色さん、秋川まりえ 騎士団長 雨田具彦 スバル・フォレスターの男 等々 魅力的で謎めいたキャラの今後が楽しみです。

イラストは秋川まりえをイメージして描いてみました。

 

◆「男女の仲はある種のゲームと考えられる。お互いがルールをもっていて、お互いに相手のルールを尊重し合わないとうまくいかない。ゲームがうまくすすまないようになると試合を中断して、新たな共通ルールを定めなくてはならなくなる。あるいはそのまま試合を止めて競技場から立ち去らなくてはならない」

 

◆「記憶は時間を温めることができる。そして もしうまくいけばということだが、芸術はその記憶を形に変えて、そこにとどめることができる」

 

◆「『人に訪れる最大の驚きは老齢だ』…老齢は人にとって、あるいは死よりも意外な出来事なのかもしれない。それは人の予想を遥かに超えたものかもしれない。自分がもうこの世界にとって、生物学的に(そしてまた社会学的に)なくてもいい存在であると、ある日誰かにはっきり教えられること」

 

「壁はもともとは人を護るために作られたものなのです。…しかしそれはときとして、人を封じ込めるためにも使われます。…壁の高さにはずいぶん威圧感があります。そこにはある種の無力感が生まれます。私は同じような壁をしばらく前にパレスチナで目にしました。イスラエルがこしらえた八メートル以上あるコンクリートの壁です。(免色の言葉)

「我々は生きている限りその制約(時間と空間と蓋然性に縛られていること)から逃れ出ることはできない。言うなれば我々は一人残らず、上下四方を堅い壁に囲まれて生きているようなものだ。たぶん。」(主人公の言葉)

 

◆「この人生にはうまく説明のつかないことがいくつもありますし、また説明すべきではないこともいくつかあります。とくに説明してしまうと、そこにある一番大事なものが失われてしまうというようば場合には」(免色の言葉)

 

◆「完成した人生を持つ人なんてどこにもいないよ。すべての人はいつまでも未完成なものだ。」(主人公の言葉)

 

◆「私が生きているのはもちろん私の人生であるわけだけど、でもそこで起こることのほとんどすべては、私とは関係のない場所で勝手に決められて、勝手に進められているのかもしれないって。つまり、私はこうして自由意志みたいなものを持って生きているようだけれど、結局のところ私自身は何一つ選んでいないのかもしれない。」(ユズの言葉)

 

◆「外に広がる太平洋を眺めた。水平線がせり上がるように空に迫っていた。私はそのまっすぐな線を端から端まで目で辿った。それほど長く美しい直線は、どんな定規を使っても人間には引けない。そしてその線の下の空間には、無数の生命が躍動しているはずだ。この世界には無数の生命と、それと同じ数だけの死が満ちているのだ。」

 

◆「心臓の出血は続いていたが、勢いは弱まっていた。右手をとってみたが、ぐにゃりとして力がなかった。肌にはまだ少し温もりは残っていたものの、皮膚の感触には既によそよそしさのようなものが感じられた。生命が着々と非生命に向かっているときに漂わせるよそよそしさだ。」

 

読み終えてみて

すみません、あまり難しく考えることをしないで、窓を開けて風を部屋に招き入れベランダ近くで陽光を浴びながらさらっと読みました。村上春樹の作品は音楽を聴くように読むと気持ちがよいと自分は思っています。

イデアあるいはメタファーといった観念としての世界や人物を認識するようになった主人公そして秋川まりえの話。

次の展開が気になって気になって一気に読めてしまう作品でした。

登場人物やストーリーについて深く考察して読むというよりは、物語の世界観を主人公の言葉を通して楽しんで読むという読み方をしました。

だから気持ちよくさらっと読めました。

多分本来は一つ一つのイデアやメタファー(比喩)が意味するものは何かを考えながら読むのが、この本の読み方だったと思いますが。

村上作品の文章は一つひとつが平易で分かりやすく女性的でとても綺麗で、外国語訳したときはきっと綺麗なフレーズになるのではないか、それが海外の若者にうけている理由の一つではとも思いました。

 

免色渉 秋川まりえ 騎士団長 など魅力的なキャラクターのことを時々振り返り思い出したいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


DAWN PURPLE 5月の時期のきれいな紫色の空

2024年05月23日 | 呟き

さきほど横浜市までクレーム対応でお詫びにいって帰りに圏央道を走って7時すぎごろ

うろこ状の雲が夕焼けで紫色に染まっていた。

松任谷由美のアルバム「DAWN PURPLE 」を連想して黄昏気分になりましたが、

後で調べたらDAWN PURPLE は朝焼けの紫のことで、何かの始まりを暗喩する言葉のよう。

ずっと夕暮れの紫のことだと思っていた。

あっ始まりの暗喩だからアルバム1曲目は、「Happy Birthday to You ヴィーナスの誕生」 なのか。30年以上たって今頃気が付いた。

 

 

家に帰ってこられたのは9時過ぎ

窓をあけて涼しい風を部屋に入れながらイラストを描きました。

イラストの女性は何の意味もないものです。

 

翌朝4時に目が覚めて、空をみたら朝焼けが少し紫がかっていました。

「紫だちたる雲の細くたなびきたる(枕草子)」

Happy Birthday to Youを聴きながらブログを書いています。

あらためてすてきな曲だなと思いました。

 


傘を忘れてしまいました。雨の日に齋藤茂吉の短歌をおもう

2024年05月21日 | 呟き

会社で残業して、7時半ごろ、さあ帰ろうとしたら、しっとりとひんやりとした風が吹いてきたと思ったらザーッとすごい雨が。

雨具を着て自転車にのって雨に叩かれながらかえってきました。雨で濡れた顔を拭きながらでずが、この時期の雨は生暖かく、雨に打たれて気持ちよくもありました。

雨というのはなんと喜ばしい感触をもったものなのだろう。なんと生命力に溢れたものなのだろう。

イラストは題して「傘を忘れちゃいました」です。ずぶぬれになって終わった今日一日を今日の美しくイラストを描くことによて、せめてもの慰めにしようと思いました。

イラストですが、タブレットのタッチペンが壊れてしまってマウスで描きました。いつもだいたいマウスで描いています。なんだかもうこっちの方に慣れてしまいました。

イラストを描いているうちに雨がやんだようです。外からは田んぼの蛙の声がなり響きます。都会育ちのうちの嫁さんは蛙の合唱が気持ちわるいそうですが、自分にとっては心地よい響きです。

「死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる」の齋藤茂吉の短歌での表現のように、蛙の声は、その音でもって静寂をより強調している。

これは日本人独特の感性であって、海外では理解されないと聞いたことがあります。

たとえば齋藤茂吉の短歌をGoogle翻訳すると「He is sleeping with his mother who is close to death. The quiet voices of frogs in the fields can be heard all the way to the heavens」のようになんとも無機質で味気のない表現になってしまいます。この表現から感動は得られにくいと思います。

ところでGoogle翻訳してみて、天はheavens(天国)と訳されていました。自分は、この短歌の「遠田」と「天」について、「遠田」で平面的な奥行を表し、「天」ははてしない高さを表現し、併せて縦横高さの広大な立体感を表現して、蛙の声が広大に響き渡っているという表現だと思っていました。一般的にもこの解釈じゃないかなと思っています。

ですがheavens(天国)と翻訳されてびっくりしました。「死に近き」という表現から天から天国を連想するのも不自然ではない。天は「はてしなく高い空」と「天国」を掛けているのでしょうか。

「天国」というとらえ方をすると、蛙の声は静けさを表現するというよりも「死に近き」を濃厚にする静寂の表現になると思います。

この短歌「天」の言葉のとらえ方次第で「かわづ(の声)」の役割もまるで変わり「静けさ」と「死」どちらを引き立たせるのかが変わります。

ロールシャッハテストのように読み手の心情でどちらが濃厚に感じられるのか変わるものかもしれません。自分も今はこの短歌から「静けさ」を感じとっているけど、人の死を間近にしたら「死」を感じ取るようになるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


『バトルゲーム 知の闘争』 学問の異種格闘技戦

2024年05月19日 | 短編小説

学問の異種格闘技戦 第一回戦 数学VSイギリス古典文学 - バトルゲーム 知の闘争 - ハーメルン

 

学問の異種格闘技戦 第二回戦 数学VSグリーンランド気候学 - バトルゲーム 知の闘争 - ハーメルン

 

学問の異種格闘技戦 第三回戦 数学VS薬草学 - バトルゲーム 知の闘争 - ハーメルン

 

学問の異種格闘技戦 第四回戦 数学VSヴェラロジア論理学 - バトルゲーム 知の闘争 - ハーメルン

 

 

 

 

 


『ぼくのとなりのぶたこさん』

2024年05月18日 | 短編小説

 

ぼくのとなりのぶたこさん - ぼくのとなりのぶたこさん - ハーメルン

ぼくのとなりのぶたこさん - ぼくのとなりのぶたこさん - ハーメルン

ぼくのとなりの席で仕事をしているその人。 あるときからその人が豚にみえるようになり、そして「美」についての認識も変わり始めた。

ハーメルン - SS・小説投稿サイト-

 

ショートな話です。ずっと書いてみたかった話です。

 

ぶた子さんリアルの日記

◆8月某日 事務所室のエアコン設定温度は、汗っかきのぶた子さんに合わせた設定温度です。まるで冷蔵庫で寒くて体調が悪くなりそうです。実際体調を悪くしている人もいます。ある人が「設定温度を上げよう」とぶた子さんにいったところ、「冷風がとどかないところに自分の机を移動して」と言われた始末でした。

◆8月某日 自分が昼飯のオカズに鰯缶を食べていたところ、横から健康志向のぶた子さんが「それって塩分と油分濃いよね。塩分何g入っているの? 健康に悪いって分かってる?」と言ってきました。毎年ぶた子さんには生活習慣病の健康診断のあと医療機関から特別な封筒が届いています。

 

 

 


「ジーキル博士とハイド氏 スティーブンソン著」 ハイド氏の人格をまとめてステッカーにしました。

2024年05月17日 | 本の感想

「ジーキル博士とハイド氏 スティーブンソン著」を読んでいます。

ブックオフで100円で売ってた薄い本で、すぐに読み終わるだろうと思っていたら、これがなんか読みづらい。

有名な二重人格者の話なので、話の大筋はわかりますが、見慣れない文章表現や理解しづらい比喩表現が多く、自分のごときには大変読みづらかったです。

 

ただハイド氏の人格についての説明表現がものすごくカッコイイです。

タイトルステッカーとハイド氏人格ステッカーを作成してみました。

 

これをシール紙に印刷してステッカーにしますが、さて何に貼ればよいものか?

この本を読んでいて何度か寝落ちしました。

 

今日よかったこと、ホッケ定食880円をおごってもらったことかな。


京極夏彦を読む 自分流の京極読み 京極きたーっ!

2024年05月15日 | 本の感想

京極夏彦の小説を読む。

まずはページを繰りながら京極ワールドにじっくり浸る。

そして、「ところで、あなたはもう死んでますよね」のような、京極お決まりのびっくりどんでん返しの展開になると、

「京極きたっーーーー!」と心の中で一人絶叫する。

酒を用意しながら、一人乾杯しながら心の中で絶叫する読み方もあります。

これが自分の京極夏彦の読み方です。

プロレスを観て、お気に入りのレスラーが期待通りのパフォーマンスをしたときに、一人盛り上がるような感じと言えばわかるでしょうか。

「冥談」「幽談」はこの読み方をしました。

 

「虚談」については、前半はこの読み方で読めましたが、途中から本のタイトルも「虚談」であることから

「どうせ、これは真実ではないって、最後はいうんでしょ」という感じで先読みができるようになり、

後半の話は、京極先生も、自分のような読者がしているような先読みを、いい意味で裏切ろうとしてか、かえって何をいいたいのかわからない話に仕上がっていいました。

 

はっきりとした落ちがない、あの湿っぽい文章を読んでいるだけで、京極ワールドに浸ることができて満足です。

先日も図書館で読み返しました。

 

明日は雨ということで涼やかな風を部屋に入れて、いま窓を開けながらラジオを聴きながら、ブログを描いています。

静かな夜です。窓の外は漆黒が広がるばかりです。

ラジオからは浜崎あゆみの曲が流れています。「ばいばいばい、ばいばばいばい♪」という曲です。

イラストは題して、ホームセンターで、紅あずまを眺める、紅あずま女子です。意味なく描きました。

 

 


ヴァンパイアーハンターD グローベック・マーカスのシューティングゲームを作ってみた。

2024年05月13日 | 呟き

グローヴ・マーカスをゲームキャラ風にマウスで描いてみました。

https://scratch.mit.edu/projects/1017610999

ヴァンパイアーハンターD に登場する、グローベック・マーカス(通称グローヴ・マーカス)のシューティングゲームをスクラッチで作成してみました。

スクラッチで作成するのは5作目になります。

グローベック・マーカスをゲーム化したらどんな感じかなと思い作成してみました。

 

 

 


「日々是好日」 森下典子著を読んで 

2024年05月09日 | 本の感想

『日々是好日』

 

映画も見て、本も読みました。

風流心というものが皆無な自分には、お茶の世界の良さがわかりませんでしたが、

また時間がたってまた見れば、今度は良さが分かるのかもしれません。

世の中には。すぐにわかるものと、すぐにはわからないものの2種類あるとこの本は教えてくれています。

 

◆◆◆読んでいて自分に刻まれた言葉◆◆◆

 

「きまりごとを離れたとっさのアドリブこそが、人としての実力のみせどころなのだ」P168

「個性を重んじる学校教育の中に、人を教育に追い立てる制約と不自由があり、厳格な約束事に縛られた窮屈な茶道の中に、個人のあるがままを受けれる大きな自由がある」「いったい本物の自由とはなんだろう」「そもそも、私たちは何と競っているのだろう」「学校はいつも他人と比べ、お茶はきのうまでの自分と比べることだった。」p229


均整がとれていて美しい絵キュビズム

2024年05月07日 | 呟き

◆◆キュビズムの絵にうっとりしていました◆◆

昨日図書館でピカソの画集に魅入っていました。

モネの睡蓮の絵を見るのが目的でしたが、キュビズムの絵に引き込まれていました。

一見何次元の絵か分からずめちゃくちゃな絵に見えますが、全体的に色彩や対象物のバランスが素晴らしく、天才の戯れという感じがしました。見ていて惚れ惚れしていました。美しすぎる絵でした。

自分は色彩的な幾何学画を描くのが好きですが、キュビズムの絵は難しいです。どうやって描けばいいのかわからないです。何度描いても失敗します。

上の絵は幾何学画です、はじめキュビズムの絵を描こうと思いましたが、まず完成のイメージがどうしてもわかず、断念しました。何度描いても変な絵どまりです。美術学校で教えているとは思いますが、そもそも人に伝えられるような描き方はあるのでしょうか。

結局自分が好きな幾何学画を描きました。たまには人を際立たせるような絵にしようと思いました。女性のモデルというかイメージはいちおう小松菜奈さんです。

マイクロソフトのディフォルトソフトのペイントを使って、マウスだけで描いてみました。

ペイントの中にある○や△などの図形と直線と曲線を描く機能を使い、それを組み合わせて描いています。

いつかは自分の部屋にでも飾れるようなキュビズムの絵を描いてみたいですね。


スクラッチでゲームや動画を作成してみました。

2024年05月05日 | 呟き

GWの中、暇つぶしにブックオフで、初心者用プログラミング本を220円で買い、スクラッチが初心者用教材としてはよいと紹介されていたので、試しに3作作成してみました。他の人のプログラムを参考にして作成しています。

なんでもいいから「作る」とか「なおす」とか「絵を描く」とかやっているときが、一番気が晴れますし、心が落ち着きます。自分の中のもやもやしたものを形にして吐き出す作業とでもいうのでしょうか。

雑用や片づけ作業や草刈などをするときも、作品をつくる心持ちで、やっているので自分にとってはあまり苦じゃないです。

 

とはいっても、ふざけて作った。しょうもないものです。スクラッチを使ってどんなことができるか試してみただけです。

ショートゲーム 「ゼータ刻をこえて」

https://scratch.mit.edu/projects/1011596236

 

マウスで動画用ハロを描いてみました。

このゲームは記念すべき第一作です。

ショート動画「ガウを木馬にぶつけてやる」

https://scratch.mit.edu/projects/1011959269

 

マウスで動画用ガウを描いてみました。

ショートゲーム 「ブラックサバスゲーム」

https://scratch.mit.edu/projects/1013861159

 

マウスでブゲーム用ラックサバスを描いてみました。

ショートゲーム 「マンハッタントランスファー射的ゲーム」

https://scratch.mit.edu/projects/1013932456

 

マウスでブゲーム用マンハッタントランスファーを描いてみました。

 

グローヴ・マーカス(バンパイアーハンターD)シューティングゲーム

https://scratch.mit.edu/projects/1017610999

 

 

 


いわゆる宗教臭さが全くなく完全肯定しないざっくばらんな学術的な居酒屋的トークがとにかく面白い 『聖書を語る』佐藤優 中村うさぎ

2024年05月04日 | 本の感想

読んでいて自分に突き刺さったところです。

◆◆「カルヴァン派の特徴(生まれる前から神に選ばれる人は決まっているという考え)は、試練に対して強いことなんです。選ばれいるに違いないから、目前の試練を乗り越えようとするわけですよ。競争にも強い。絶対にあきらめないから。欧米で資本主義がこんなに発展したのは、実はカルヴァン派ガプロテスタントの主流だからでもあるんです。」◆◆

(感想)西欧の資本主義の発展の要因としてカルヴァン派の考え方が大きく影響していたことはなんとなく暗記程度に知っていましたが、理由がよくわからないままでしたが、こうもあっさりと短文で明朗解決してしまう佐藤優は流石です。

 

◆◆「人間はそれほど合理的な生きものじゃないっつうの。あらかじめ美味と安全を与えられると、今度はまた違う病理を抱えることに絶対なると思う。マルクスだってさ、頭のいい人だったけど、理論どうりにはいかなかったわけじゃない。

私が思うに、経済学にしろ何にしろ、人間の「非合理性」を計算に入れていない理論ってのは必ず失敗するんじゃないかな。

人間は常に予想外というか計算外の非合理的な動きをするの。したがって完璧な理論は人間の非合理性によって、必ず失敗する運命にある、と。

幸せのマニュアルは書けない。」※途中中略しています。◆◆

 

(感想)中村うさぎさんの言葉で、まったくその通りだと思いました。

たとえば会社の給与システムを、毎月完全定額支払い制(固定残業制など)を導入するなどして給与保証をすると、だんだん働く意欲を減退させるという病理現象が生じ会社の体質に変調をきたします。

定額給与保証は、安定感を第一に求める女性はまだしも、本質的に競争原理の中で生きている男性にとっては、労働の活力を削がれ、今度は欲求のベクトルが「なるべく楽をしたい」に向かうと思います。従業員全体に広がってしまえばこれは会社の病理現象となってしますと思います。

ですので、賞与として成果に基づく報奨制をプラスするなど、働く人の欲求を計算しコントロールしない給与設計は失敗すると思います。

すこしずれてはいますが、話の内容に自分の経験として符合した部分があり、自分の中に突き刺さりました。

 

◆◆現代社会において神様は収縮して小さくなり、そのぶん人間に自由をくれたわけです。だから人間は、自由の限界まで自分たちの力でやらなければならない。◆◆

 

(感想)昔大学の授業で、西欧ではギリシャ神話の話を子供に教えていて、その内容は、人間は創造神から地球創造の際に不要として捨てられたパズルのかけらの存在だから自由を持っている、と言っていたことを思い出しました。

神様はよく思われているような平等で博愛精神をもっている存在ではないと、今でも思っており、そう考えたほうが世の中に不条理が横溢していることを説明できるのでは、と思っています。

村上春樹「海辺のカフカ」にも「神様のやることはだいたいにおいてよくわからないんだ。怒りっぽいし、あまりになんというか、理想主義的な傾向があるしね。」ということが書かれています。