(2014 3/25~3/27 に1話~3話まで放送 続きは8月と10月)
人形劇がこんなに面白いものだとは思いませんでした。何気なく子供と見ていましたがあっという間に作品に引き込まれました。
三谷幸喜さんの脚本はさることながら、三谷さんの作成スタッフ、パペット(人形)、声優の方への敬意も感じられました。(インタビューから)
三谷さんが云うように、たかが人形とはいえず、同じ表情でも演出の工夫次第ではドヤ顔に見えたりします。あのすごく大きい手の作りは新宿にあるプーク人形劇で見た事があるなと思いましたが、実際ホームズの人形を製作したのはプークから独立したスタジオノーヴァとのことでした。人形の動きもプークの流れを汲んでいるのかなと思います。声優陣も豪華過ぎます。山寺宏一さんのホームズ役はぴったりハマり過ぎだと思います。三谷さんもこんなにもぴったりハマるとはと驚いたそうです。
続きは8月にとのことですが楽しみでなりません。
(話からイメージして描いてみました。)
「カルメン」芥川龍之介著 初出版 文藝春秋 1926
(話の内容)
主人公である「僕」と友人のTが帝国劇場で「カルメン」を観覧している場面から話が始まり、2人ともカルメン扮するロシア人女優イイナをお目当てにして帝劇に訪れていた。ところが舞台に現れたのはイイナではなく貧相な別の女優であった。イイナが舞台を休んでいる理由は、イイナを(講演が行なわれている東京まで)追いかけてきた某帝国の侯爵が、イイナが既に別の男(アメリカ人商人)の世話になっている事に絶望し、昨晩自殺をしてしまったからだと友人Tは話す。
ところが2人がしばらく観覧をしていると、客席に派手ないでたちのイイナが複数の連れと共に現れる。おそらくアメリカ人商人の旦那もその中におり、イイナは愉快そうにしていた。
それから2,3日後、「僕」は友人Tから、「イイナが、あの晩以来左手の薬指に包帯をしていたのに気付いたかい?」と訊かれる。イリナは皿を壁に投げつけ、その欠けらをカスタネットがわりにして血が出るのも構わずに踊ったと友人Tは云う。2人は表には出来ないイイナの深い哀しみを思う。
(心情変化について)
この話は心情変化に着目して読むと面白いと思いました。メリメの「カルメン」を読んでからだと尚更面白いと思います。
話の展開の中で2人のイイナへの気持ちは、「憧れ→失望と怒り→哀れみ 」へと変化していきます。最後の哀れみはイイナへのより一層の愛おしさに発展していくと思いますが。
これはメリメの「カルメン」も伍長であるドン-ホセのカルメンに対する気持ちの変化と同じ変遷を辿っています。最初カルメンに対する憧れから始まり、カルメンの心が闘牛士にいってからは絶望と怒りにかわり、カルメンを殺してしまったあと哀しみと愛おしさがホセの胸を激しく突き上げます。2作品とも最後は逆転的カタルシスをむかえます。
芥川作品の心情変化の手法については、彼の多くの短編作品の中に随所でうかがわれます。例えば「トロッコ」でもトロッコに乗り込んだ少年たちが、トロッコが遠くへ行くにつれて気持ちが、楽しい→不安に変化していく様子が情景描写とともに面白く書かれています。