Yahoo!ニュース - 共同通信 - カナダ産牛肉輸入問題なし BSE確認で農相
中川昭一農相は24日の閣議後の記者会見で、昨年12月に牛肉の輸入を再開したカナダで、6歳の牛が牛海綿状脳症(BSE)感染牛と確認されたことについて「日本が(輸入を)認めているのは生後20カ月以下なので、輸出プログラム上は問題ない」と述べた。
政府は昨年末、特定危険部位の除去などを条件に米国産とカナダ産の牛肉輸入を同時に解禁したばかり。農相は「事実関係で詳しい情報が欲しい」と語った。
米国産牛肉にBSEの特定危険部位が混入していた問題で、政府の輸入再開決定が拙速だったとの批判に対しては「食品安全委員会で専門家の(審議、答申という)手続きを踏み、パブリックコメント(意見公募)もきちんとやってきた。拙速だとは思っていない」と答えた。
ま、専門家と言う人たちは関係省庁の方達なのでしょうか?
ちなみに、昨年5月のリスクコミュニケーションでの主な意見です。
1:米国産牛肉等の輸入に対する我が国の姿勢
・飼料規制、SRMの除去などを個々にリスク評価し、総合的に評価すべき。(消費者)
・飼料規制の実態についても諮問すべきではないか。(消費者、生産者)
・全頭検査を米国・カナダに要求すべきではないか。(消費者)
・米国の圧力によって輸入再開を早めているのではないか。(消費者、食品製造)
・早期輸入再開をお願いしたい。輸入に当たっては十分な安全確保をしてほしい。(外食)
2:米国・カナダの姿勢
・報道からは米国では安全について考えていないように感じる。生産現場が見えない分、国内の基準より厳しくしてもよいのではないか。(消費者)
3:米国・カナダのリスク管理の状況
・米国でも牛の肉骨粉の牛への使用は禁止されているが、流通はしており、農家が自家配合する際に混入するのではないか。(消費者)
・飼養頭数や日本の検査件数からみると米国の飼料検査件数は少なすぎるのではないか。(消費者)
・牛肉の格付制度( 40以下)の正確さについて疑問がある。(消費者)
・日本向け輸出プログラムに対する査察はしっかりとやるべきだ。(消費者、飼料販売業者)
・米国のSRMの除去方法や処理に問題はないのか。(食品製造、自治体)
・米国のサーベイランス体制は不十分ではないか。(消費者)
・米国のリスク管理がいい加減であるとの報道がある。問題がないことを十分に確認すべき。(消費者、生産者)
4:その他
・最終リスクは消費者が担うので加工食品・外食産業について表示を徹底してほしい。(消費者)
・表示をして消費者の選択にまかせる考えは賛成できない。(消費者)
・BSE検査を外国では30ヶ月齢以上としているのに、日本では21ヶ月齢以上としているのはおかしいのではないか。(外食)
・20ヶ月齢以下が検査対象からはずれたが、将来30ヶ月齢以下となるのではないかと危惧をいだく。(消費者)
・外食チェーンは、バイイングパワーで米国に安全性の確保を強く要求すべき。(消費者)
・食品安全委員会のパブリックコメントでは、全頭検査の廃止に7割が反対の意見であったが、これをどう受けとめているのか。(消費者、生産者)
・全頭検査を継続すべき。国内生産をもっと振興すべき。(生産者)
・国内でピッシングが7割で行われているが、どう指導していくのか。(消費者)
・よりよい検査方法が確立されるよう努力すべき。(消費者)
どこまで考えているのでしょう。
どこまで対処しているのでしょう。
今回の検査で引っ掛かったから『ちゃんと検査していますよ!』というアピールになったと思っているのでしょうか?
いえいえ、
検査すると言っていたアメリカのザル検査(やる気ナッシング)が明らかになっただけです。
(上記の意見にもあります。「・米国のリスク管理がいい加減であるとの報道がある。」報道だけではなかったわけです。)
所詮、検査で引っ掛かるのは氷山の一角にすぎないのではないでしょうか。
12月に輸入再開された際の農林水産省、厚生労働省のQ&Aです。
(この二つの省は人名に関わるトラブルにはよく出てきますけど学習しているのでしょうか)
Q5 報道によると米国で特定危険部位(SRM)除去に関し、1000件以上の違反があったようだが、管理は大丈夫なのですか。
A 米国においては、と畜場に常駐する農務省の検査官がSRMの除去を含むと畜場の衛生管理について検証を行っています。検査官は連邦規則に適合していない事例を発見した場合には、と畜場に対し文書(Noncompliance Record)による指摘をし、関係製品の安全性を評価して必要に応じて廃棄等を行うとともに、違反内容の改善措置の検証を行っていると承知しています。
この報道について在京米国大使館を通じて確認したところ、2004年1月から2005年5月までの間に農務省が検査を行った6000カ所の食肉処理施設等において農務省の検査官が1036件のSRM除去関係規制への不適合を指摘したもののその指摘文書に対して改善措置がとられ、この結果安全性は確保されているとのことでした。
ハイ、事務的文章、ありがとうございました。
そもそも、なし崩し的に20ヶ月齢以下OKになっていますが、単にBSE感染の前例がないだけであって、BSEに感染しないことの証明ではありません。
ちょっとだけリスクが軽減されたに過ぎません。
また米国産がダメでカナダ産がOKというのも現状ではまったく意味をなしません。
両国では物品の輸送はスルーだからです。
ダメなものはダメ! と言えない政府に命を預けるしかない現状。
10年の潜伏期間が過ぎたあと、ミドリ十字事件のようにならない事を祈るばかりです。
オージービーフでいいやんか
ま、宅では牛肉なんて目にしませんけどね(苦笑)
注)加工食品(ビーフパウダー、ブイヨン)飼料用の骨砕粉など突き詰めて行けばキリが無いので、感染したら運が無かったと思って諦めるしかないのでしょうね。
追記:
昨年の6月にも同じような事を書いていました。
馬肉の輸出と牛肉の輸出
更にブログを立ち上げる前の日記を読んでいたら(
過去の日記)2002年あたりにもBSEで憤慨していました。(2001/10/2、2001/10/21、2002/3/22、2002/4/4、2002/5/14)
昔から大して私も役所も変わっていないなーと思いました(苦笑)
そんな中、農水省の丸投げ体質を批判している記事がありました。
(一般の記事は1,2ヶ月で削除されるのですが、ここは残っているようです)
具体策は政府に丸投げ 食品安全に国民監視不可欠:KYODO NEWS
BSE(狂牛病)調査検討委員会の報告書は、食品の安全性を包括的にカバーする行政機関の設立などを含め、具体化に向けた取り組みを政府に゛丸投げ″した。同委員会の公開論議などを通じ、これまで国民の目にさらされてきた議論が再び水面下に潜る恐れが強く、今後の動向を注意深く見守る必要がある。
最終報告書は食品の安全確保に向け、法制度と行政組織の二つの側面で改革を急ぐよう求めた。
しかし、具体策については「包括的な食品の安全を確保するための法」の制定や「新たな食品安全行政機関」の設置などあいまいな表現にとどまり、「政府が六カ月をめどに必要な措置を講ずるべきである」とげたを預けた格好だ。
報告書は、今後の具体策の検討に当たり、常に情報を公開し広く国民の意見を聞くことを求めているが、全面公開を原則とし、専門家や消費者の代表が比較的自由に発言できた委員会並みの透明性が確保されるかは未知数だ。
さらに調査委員会の報告ではこんなことを言っています。
調査検討委の報告書原案のポイント:KYODO NEWS
▽農水省の政策決定に最も大きな影響を与えているのが、自民党を中心とする農水族議員。BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題でも、農水省が打ち出した政策に対し、農水族が陰に陽に影響を及ぼしている。
▽BSE問題は短絡的な生産者優先政策の論理的破たんを象徴するもので、チェック機能の不在が最悪の結果を招いた。
▽これまで生産段階は農水省、食品衛生は厚生労働省と農水省が役割分担してきた。互いにすみ分けて口を差しはさまない内政不干渉が慣例になり、チェック機能はほとんど働いていない。
▽EUのリスク評価案の内容が国民に知らされ、対策が取られていれば、今回の発生時に起きた社会混乱は防げた可能性が高い。
(記事抜粋)
また2001年度の「食料・農業・農村の動向に関する年次報告」(農業白書)では、「重大な失政」と指弾したBSE問題に関する調査検討委員会(農相と厚生労働相の私的諮問機関)の報告を掲載。白書としては異例の措置で、「将来の戒めとしたい」と言ったそうです。
ま、5年やそこらでは将来ではないから戒めしなくていいのかな。
おぼえがき:
牛海綿状脳症 (BSE)
農林水産省:牛海綿状脳症(BSE)関係
厚生労働省:「牛海綿状脳症(BSE)関係」ホームページ(Q&Aなど)
厚生労働省:変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る感染経路について