《シャンソン》
16世紀に全盛を迎えたフランス語による多声世俗歌曲。
庶民の生活を生き生きと、時には官能的に表現している。
シャンソンは概して模倣による技巧的手法で作曲されていたが、16世紀に入ると次第に声部数も増え、和声的手法によることも珍しくなくなった。
その変化はイタリアからの影響にあった。
イタリアで流行していたフロットラの書法がフランスに導入されたためだ。
シャンソンの代表的な作曲者はクロダン・ド・セルミジ、クレマン・ジャヌカン。
1540年代になると、格調高いロンサールらの詩を歌詞にもつ、対位法的な書法によるシャンソンが作曲された。
フランドル楽派の作曲家の貢献があった。
《上記担当執筆者:黒坂俊昭氏(1954年兵庫県生。相愛大学教授)》
【西洋音楽の歴史】(東京書籍〔編著:高橋浩子、中村孝義、本岡浩子、網干毅〕)より