今回は、本シリーズの最終回です。「(4)利権創造を目的とした制度の廃止」の残りを投稿いたします。
②地デジ
2011年に完全移行される地上波デジタル放送を受信するためには、B-CASカードの導入が必須とされていますが、昨夏まで財務内容すら公開されていなかった一民間企業で、NHKから元総務局長が社長として天下っているB-CAS社が独占的に管理しており、公正取引委員会からも新規参入を阻害する行為があれば独占禁止法上の問題が生じる旨指摘されています。
ところが、地デジに移行しても、双方向通信を利用せず、ハイビジョン放送に興味のない普通の視聴者には何のメリットがあるのかさっぱりわかりませんし、ブロードバンドでインターネット接続している方であれば、ほぼ同様のサービスを享受できますので、放送事業という概念自体が消滅する可能性すらあるのです(世界金融危機をうけてか、2009年3月期には、B-CAS社は、営業目標未達のために赤字に転落しました)。
しかし、このままでは計4000万人を超える国民がB-CASカードをいやでも購入しなければならなくなり、経済的弱者はテレビを見ることができなくなります。
それでも総務省はなお、低所得者向けの補助金等を含む総合対策費として、計約477億円の血税を投入し、総務省外郭団体の社団法人デジタル放送推進協会に全国52箇所にはテレビ受信者支援センターの設置を委託したりしています。
③駐車禁止取締り
駐車禁止違反の取り締まりは警官が行い、反則金が課され、国庫に収められます。しかし2006年にスタートした放置違反金(違反者に対する 「反則金」とは別立てで、使用者責任を追及する)は、委託された民間会社の「駐車監視員」が行い、都道府県の収入となります。
つまり年間300億円あまりの財源が、財務省の管理をはなれて、実質、都道府県公安委員会(≒警察)の懐に入ることになり、駐車監視を受託した会社(≒警察OBの天下り先)に流れている訳です。
また、従来路上駐車していた車両は、パーキングメーター付路駐スペースに停車しますので管理している交通安全協会(=警察OBの牙城)が潤いますし、一般の駐車場管理会社も典型的な警察天下り先です。
受託会社は、警察官と異なって営利企業ですから、容赦なしに摘発してまいりますので、効果はてきめんで、警視庁によれば、都内主要10路線における瞬間路上駐車台数(放置車両)は平成18年5月24日の1051台から平成21年5月20日の198台に激減しておりますし、交通渋滞の緩和にも繋がっていることは、喜ばしいことです。
ただ、駐車場を準備する資金がないロードサイドの零細な飲食店のことを考えると、むごい話です。ルールを守らない彼らが悪いというのは簡単ですが、駐車場利権とリンクしつつ、予め守れないことを知りながら駐車禁止場所を無軌道に指定し、押し付けていくことが正義とも思えないのですが・・・。
④千代田区禁煙条例
施行当初、年1億2000万円の予算を組んで、約60人態勢で巡回していましたが、平成15年度からは非常勤職員(現在16名)を採用し、区の係長級以上の職員(約300名)を織り交ぜ、現在は当初の2倍以上の最大9班編成で巡回しているそうです(表面上の予算以上のマンパワーが「ストレス発散アトラクション付の散歩」に浪費されているということです)。 その結果、施行後6年が経過した昨年上半期までの累計で、計38,396件の過料処分を行い、徴収総額は約9400万円にもなっています。
確かに、路上喫煙し、吸殻をポイ捨てするというのは、マナーに反する行為であるのは間違いありませんが、条例で罰則までつくって行うほどのことでしょうか?
私は一切たばこを吸いませんが、別に年に億単位の血税を投入してまで路上喫煙者を排除しなければならないとまで思いつめたことはただの一度もありません。
千代田区の予算規模は約500億円ですから、なんとその500分の1が禁煙のために使用されているわけです(年収500万円のあなたは1万円払ってでも路上喫煙をやめさせたいですか?)。同じことを全国1800弱の自治体でやりはじめたら1000億円を超える予算が必要となってくるわけで・・・(恐ろしいことに猿真似する自治体が後を絶ちません)。
最近急増している生活保護世帯に対する補助等、喫緊の課題は他にも山積しているのではないのでしょうか?
きれいごとで固めた正義の押し売りはもう勘弁してほしいと思います。国家戦略局には、ぜひ利権がらみの過剰な法令の整理をお願いしたいところです。
筆:猿山太郎
②地デジ
2011年に完全移行される地上波デジタル放送を受信するためには、B-CASカードの導入が必須とされていますが、昨夏まで財務内容すら公開されていなかった一民間企業で、NHKから元総務局長が社長として天下っているB-CAS社が独占的に管理しており、公正取引委員会からも新規参入を阻害する行為があれば独占禁止法上の問題が生じる旨指摘されています。
ところが、地デジに移行しても、双方向通信を利用せず、ハイビジョン放送に興味のない普通の視聴者には何のメリットがあるのかさっぱりわかりませんし、ブロードバンドでインターネット接続している方であれば、ほぼ同様のサービスを享受できますので、放送事業という概念自体が消滅する可能性すらあるのです(世界金融危機をうけてか、2009年3月期には、B-CAS社は、営業目標未達のために赤字に転落しました)。
しかし、このままでは計4000万人を超える国民がB-CASカードをいやでも購入しなければならなくなり、経済的弱者はテレビを見ることができなくなります。
それでも総務省はなお、低所得者向けの補助金等を含む総合対策費として、計約477億円の血税を投入し、総務省外郭団体の社団法人デジタル放送推進協会に全国52箇所にはテレビ受信者支援センターの設置を委託したりしています。
③駐車禁止取締り
駐車禁止違反の取り締まりは警官が行い、反則金が課され、国庫に収められます。しかし2006年にスタートした放置違反金(違反者に対する 「反則金」とは別立てで、使用者責任を追及する)は、委託された民間会社の「駐車監視員」が行い、都道府県の収入となります。
つまり年間300億円あまりの財源が、財務省の管理をはなれて、実質、都道府県公安委員会(≒警察)の懐に入ることになり、駐車監視を受託した会社(≒警察OBの天下り先)に流れている訳です。
また、従来路上駐車していた車両は、パーキングメーター付路駐スペースに停車しますので管理している交通安全協会(=警察OBの牙城)が潤いますし、一般の駐車場管理会社も典型的な警察天下り先です。
受託会社は、警察官と異なって営利企業ですから、容赦なしに摘発してまいりますので、効果はてきめんで、警視庁によれば、都内主要10路線における瞬間路上駐車台数(放置車両)は平成18年5月24日の1051台から平成21年5月20日の198台に激減しておりますし、交通渋滞の緩和にも繋がっていることは、喜ばしいことです。
ただ、駐車場を準備する資金がないロードサイドの零細な飲食店のことを考えると、むごい話です。ルールを守らない彼らが悪いというのは簡単ですが、駐車場利権とリンクしつつ、予め守れないことを知りながら駐車禁止場所を無軌道に指定し、押し付けていくことが正義とも思えないのですが・・・。
④千代田区禁煙条例
施行当初、年1億2000万円の予算を組んで、約60人態勢で巡回していましたが、平成15年度からは非常勤職員(現在16名)を採用し、区の係長級以上の職員(約300名)を織り交ぜ、現在は当初の2倍以上の最大9班編成で巡回しているそうです(表面上の予算以上のマンパワーが「ストレス発散アトラクション付の散歩」に浪費されているということです)。 その結果、施行後6年が経過した昨年上半期までの累計で、計38,396件の過料処分を行い、徴収総額は約9400万円にもなっています。
確かに、路上喫煙し、吸殻をポイ捨てするというのは、マナーに反する行為であるのは間違いありませんが、条例で罰則までつくって行うほどのことでしょうか?
私は一切たばこを吸いませんが、別に年に億単位の血税を投入してまで路上喫煙者を排除しなければならないとまで思いつめたことはただの一度もありません。
千代田区の予算規模は約500億円ですから、なんとその500分の1が禁煙のために使用されているわけです(年収500万円のあなたは1万円払ってでも路上喫煙をやめさせたいですか?)。同じことを全国1800弱の自治体でやりはじめたら1000億円を超える予算が必要となってくるわけで・・・(恐ろしいことに猿真似する自治体が後を絶ちません)。
最近急増している生活保護世帯に対する補助等、喫緊の課題は他にも山積しているのではないのでしょうか?
きれいごとで固めた正義の押し売りはもう勘弁してほしいと思います。国家戦略局には、ぜひ利権がらみの過剰な法令の整理をお願いしたいところです。
筆:猿山太郎