佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

『うつむけば 答えのように出る涙 泣いて流れる何もないのに』 Ⅰ

2019-12-15 16:31:41 | 日記
雪というのは、外からながめ
ているぶんには、きれいだと
思う。でも、ひとりで立ち
向かうのはつらい。

白さもつらい。

寒かった。手がかじかんで、
自転車のハンドルにそのま
ま凍りつきそうだった。

耳が切れるように痛い、冬
の寒さも考えず、手袋もせず、
毛糸の帽子もかぶらず、飛び
出した自分があさはかに思え
た。

夜中の電話が迷惑なのは承知
だが、それ以上に熱く突き
上げる思いで、いっぱいだっ
た。

断られるのも、わかっていた。

夜中の訪問をOKするとは思え
なかった。それでも、話の途中
で電話を切られるとは思っても
みなかった。

・・・それだけの私だったの
     だろうか・・・・

さまざまな想いが交錯する。雪
に変った空模様に、しばらくは
酔っていた自分がいたけれど、

ずっと立ち向かっているのは悲しく
つらい。自転車がどこを走っている
のかさえ、わからなくなった。

私には、うちひしがれたクリスマス
になった。

しかし、今夜、おさえ切れぬ想いで
彼のそばまで行き、電話をしたのだ
った。

雪は時として、残酷だ。白くすべて
を覆って、今までの経過や、自分の
想いまで、閉じこめてしまうようで
・・・・。

白い雪が、顔にたたきつけるように
降る。自宅がやっと近くに見えて、
自転車を降りた。街灯に照らされ
て、舞う雪はきれいだった。

寒さを忘れてしばらくながめてい
ると、涙がこみ上げそうになった。

・・もう、会えない。だぶん・・・

彼は、白い雪のベールにはばまれ
て、遠くへ行ってしまった。

ほんの小さな記憶だけれど、かけ
がえのない思い出が、粉々になっ
て舞っていくようだった。

そして、白く、白く、包みこんで
しまう。 
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