ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『君の名は』(298) 岸枝の家出

2007-03-15 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(298)】 3月15日(木) 岸枝の家出

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
水沢悠起枝  田中好子
水沢謙吾   平田満
木村吾郎   大沢樹生
本間和子   羽田美智子
本間定彦   古舘伊知郎
加瀬田岸枝  中原ひとみ
屋台の店主  今西正男 :長屋近くのおでんの屋台
美村千枝子  川田美香
子供たち   浦野裕介 
         岩崎智裕 
後宮千景   渡辺亜里沙 :春樹と真知子の娘(赤ちゃん)

美村蘭子   佐藤友美
角倉信枝   佐々木すみ江
加瀬田修造  橋爪功

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
 加瀬田家

「お父さん、蘭子さんと会ってるわ」 和子が言う
「吾郎くんのことで何かご相談でしょ」
「御母さん、いつまでそうやって目をつぶっているの! 浮気してるわ」
「何もないわよ。あるにしても気持ちだけよ」
「‥‥もっとみじめじゃない! 気持ちが通い合ったら浮気以上じゃない!」

「それぐらいでやめとけ。
 事情は良く知らないけど、お義母さんだって考えてらっしゃるよ」
定彦がとめる。

「恥ずかしい話聞かせちゃって。 あの人のこと軽蔑しないでやってください」
「身内じゃないですか」と定彦はいい、「お義父さんの気持ちもわかる」とつけると
和子は「なによそれ、あなたも浮気するの?」とつっかかる。

今度は岸枝が
「いい加減なさい、夫婦喧嘩してないで赤ちゃんを早く。
 千景ちゃん見てると、ほんとうらやましいわ」と言う。

そこに修造が帰宅、「吾郎くんとちょっと‥」と言い訳すると、
和子が「蘭子さんって人がついてるんだから任せたら?」とピシリ

 蘭子の家

布団に横になりながら、屋台で聞いた修造の話をする蘭子と吾郎

「あんたも仕事で悩みがあるの?」
「あれは、加瀬田さんを引き止めるためだよ、たいしたことないよ。
 自分で始末つける」
「大人になったのね」

 長屋の路地

朝、岸枝は出勤前の吾郎に話し掛ける。
「昨日は、ずいぶんゆっくりだったわね、どんな話をしたの?」

吾郎は、蘭子から聞いた話をした。

「紙芝居のセリフを忘れたとか、朝はやく目がさめるとか、人の名前を忘れるとか。
 年とるってのも大変ですね、うちの親もああなっちゃうのかな」

岸枝は、ショックを受ける。
修造に老いの兆候が見えたことではなく、
自分には話してくれないのに蘭子にはうちあけた‥‥ということに である。

 後宮家

春樹は家での仕事なのをいいことに、飽きずに千景の顔を見る。

そこに修造が「うちのが来てないか?」と訊きに来る。
昼ご飯の用意はしてあるのだが、岸枝がいないというのだ。

 加瀬田家

昼ご飯の用意された卓袱台の上に、封筒。
それは岸枝からの手紙で
「考えたいことがございます、しばらく家に戻りません、申し訳ございません」と
あった。

 後宮家

久しぶりに5人で食べる夕飯

謙吾は、犬張子を売るためにおもちゃ屋をまわっているうちに、
メインは犬張子の、郷土玩具の店を開こうと考えたと言う。

信枝も、佐渡のおもちゃなら商いをしているひとがようけおるから紹介するという。

そして、悠起枝も謙吾も、その店に本腰を入れたいから
養護施設には参加できない という。
春樹も真知子も、それに賛成する。

すると信枝と悠起枝が「駅で加瀬田さんの奥さんを見かけた」と言い出す
旅行カバンを持っていた、旅行かな、と信枝。

顔を見合わせる真知子と春樹は、修造の家に行ってみる。

加瀬田家

「加瀬田さーーーん!?」 外で真知子たちは呼ぶ

修造は電気もつけずに一人、横になっていた


(つづく)





『君の名は』(297) 老いを感じる修造

2007-03-14 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(297)】 3月14日(水) 老いを感じる修造

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
本間定彦   古舘伊知郎
木村吾郎   大沢樹生
本間和子   羽田美智子  本日より本間姓に 
屋台の店主  今西正男  長屋近くのおでんの屋台
子供      浦野裕介 
子供たち    岩崎智裕 
         高橋智史 

       劇団東俳

美村蘭子   佐藤友美
加瀬田岸枝  中原ひとみ
加瀬田修造  橋爪功

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 長屋の路地

吾郎は、修造に「ちょっと悩みがある」と一緒に銭湯へ行く。

「仕事で、ずっと現場で倉庫番とか荷の積み下ろし。
 もっと会社に直接関わる仕事をさせてもらえるて思っていたし、
 役に立つ自信もある、大学やめてまで多比良さんのところに入ったのに
 多比良さんはわかっていないんじゃないか、俺は早まったんじゃないか」
と話す吾郎
「多比良さんにほれ込んで入ったんだろう? だったら信用しなさいよ。
 焦ることないんだから。まだ若いんだし」
「はやく年取って、いっちょ前の男になりたいっすよ」という吾郎に
「年なんてイヤだってとるよ。オレだって君ぐらいの時があったんだ、
 あっという間だよ、とりかえしのつかない年齢になっている」

話していると、蘭子が来る

「そういうわけ」と、吾郎。 相談があるというのは修造を呼び出すための方便だった。
吾郎は、二人を残して去るが、そこを実家を訪れた新婚の和子と定彦に見られていた。

 屋台のおでんや

「(会わない)約束破ってごめんなさい」と蘭子
「吾郎から元気がないと聞いたから」

修造は、ボケが来たのかもしれない、紙芝居のセリフが出てこなかったのだと言う。
蘭子に、たまたまよ と言われても
「人の名前は忘れるし、朝は早く目が覚める、考えが未来に行かない過去に行く
 不安でさびしくて‥‥」
そのことは、岸枝には話していないという修造に、蘭子はあたしには話してくれるの、うぬぼれるわと言う。

蘭子も修造もお互い、今さら取り繕うことはないから、全部さらけ出してきたから
安心するのだと今さら気がつく。

「あの頃が青春だったんだ。
 軍人の家に生まれてガチガチだった私がハメをはずして生きていたんだな‥‥」
「あの頃を取り戻したくて会っていたのかしら‥ そんなに前じゃないのに輝いていた」

「夜明け、考えるのはあなたのことです。
 朝のこれから明ける空なのに悲しくなる。胸につきささる。
 それはもう知ってしまったから‥‥ 
 朝の光に漲る空も、陽が照りわたる空も、やがてたそがれる。
 自分の生を閉じることを考えると足がすくむ‥‥
 
 (軍人のころを回想しながら) あたしは何をして生きてきたのか。
 すべてが借り物で役を演じただけのような。
 幕が閉じると、何も残っていない‥‥」

「そうかしら。
 演じていたにしても、ひとつの熱い花束みたいに残っているような気がすうわ」
「私に花があるとしたら、たったひとつ花が‥‥」と修造が言いかけると

「加瀬田さん?」と真知子の声 「蘭子さんも~」と春樹

屋台に一緒になって、おでんを食べる真知子と春樹

          おじゃま虫だわね~~ 

修造は、ひとっぷろあびると言って、先に帰る。

 加瀬田家

「遅いわねぇ」と岸枝

和子はついに言う「お父さん、蘭子さんと会ってるわ」


(つづく)
 

『君の名は』(296)

2007-03-13 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(296)】 3月13日(火)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
水沢悠起枝  田中好子
木村吾郎   大沢樹生
美村千枝子  川田美香
角倉信枝   佐々木すみ江
加瀬田岸枝  中原ひとみ
多田直二郎  高杉哲平 :長屋の住人
多田くめ    辻 伊万里 :長屋の住人
重松糸子   大坪日出代 :長屋の住人
丸山豊子   井上牧子 :長屋の住人
佐藤章子   久我陽子 :長屋の住人 喜志子の娘、女学生
後宮千景   渡辺亜里沙 :春樹と真知子の娘(赤ちゃん)

      鳳プロ

加瀬田修造  橋爪功
美村蘭子   佐藤友美
小野瀬綾   いしだあゆみ

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 後宮家

オムツを干す真知子を手伝う悠起枝

     昨日の紙おむつ疑惑を払拭するかのように、すごい枚数

長屋の奥さん連中が来て、謙吾が犬張子つくりではなく、外に出ているのはなぜかと
興味津々で聞く
犬張子を売るために営業に出ているのだと答える悠起枝、
「あら~安心したわ~」と去っていく奥さんたち

「相変わらずね」と、噂好きで と言外に含める悠起枝
「でもにぎやかなところでよかった」と真知子
「初めての子育てって神経質になるっていうけど、ここほっとけば育つわって感じ、
 それでもって、相談したら親切にしてくれるし」

悠起枝は「あなたを見ていると亡くなった母を思うの」と語りだす

「小さい時に亡くしてるでしょ? 母の思い出がないの。
 でも、千景を抱っこしているあなた見てると、
 私と春樹をこうして育ててくれたんだなーーって思うの。
 それにどうかした時に、千景の表情、母に似ているの。
 千景を産んでくれてありがとう」


しばらくして、綾が千景にお土産とオルゴールの箱を抱えてやってくる。

天井から吊るされたオルゴールを見る千景

 揺りかごの歌を~ カナリヤが歌うよ~ のメロディ

「おもちゃ屋さんに堂々と入ることなんてないから楽しかったわ」と綾

そこに蘭子がやってくる
「あら~、いいわね千景ちゃん、千枝子の時、こんなのなかったもの」
しぶりだからおしゃべりしましょうと綾は蘭子の部屋に行くことに。

千枝子と吾郎は映画を見に行くと出かけるが、途中、様子のおかしい修造とすれ違う
修造はぼーーーっとして帰ってきたのだった。

 蘭子の部屋

「どう? 忙しいの? 半分おもしろくて半分退屈してる感じ?」
「そうね、根付くのができないの。人にも仕事にも執着薄いの」
「多比良さんのことも?」
「考えたことないけど、今、心地いい関係。
 この前、雨降ってかさが1本しかなくって、1本の傘で歩いたの。さしかけてくれて
 男が肩、半分ぬらしてくれる優しさ‥‥ そういうことよ」

「私、変だったでしょ?」と蘭子 「神経ずれてた」
「原因加瀬田さん?」
「そうかなー、違うかなー。 あたし焦ってたのよ。女としての時間がなくなってく」
「そんなコト‥」
「あなた娘もってないからよ。千枝子、急に女っぽくなったわ。
 ドキッとすることある。 イヤでもわが身を振り返る‥‥」

 加瀬田家

修造はぼーっとし、「何かあったんですか」「具合、悪いんですか」と訊かれても
「いや」と答えるだけ

「和子をお嫁に出したからかしら?」「そうかもしれない‥‥、いや」

「あたくしじゃ、話相手になりませんか?
 あたくしとあなた、二人っきりなんですよ?
 それともあたくしとあなたの間に、もう一人いるんでしょうか」

 長屋の路地

吾郎が呼び止めても、章子がぷんぷんしながら帰っていく

「仕事をはじめて、相手してやってないだろ? だからだよ」と吾郎
しかし千枝子は
「今日の映画、吾郎兄ちゃんと二人で行きたかったのよ。女心がわんないんだから」
と一人前のくちを利く

 蘭子の家

ジャガイモをむきながら考え事をしている蘭子、吾郎と千枝子が帰ってくる。

「どうだった? 映画」
「つまんなかったわ」と千枝子
「多比良さんには黙ってろよ、多比良さんからもらったんだからな」

吾郎は蘭子にそっと言う

「最近、会ってないのか?
 元気がなかったんだ、普通じゃない感じで‥‥ 姉ちゃんと関係あんのかと思って」

 加瀬田家

修造はやはり力なく座っている



(つづく)


▼『君の名は』 第6部 第50週 (295)  千景に捧ぐ

2007-03-12 07:58:48 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
▼『君の名は』 第6部 第50週

原作:菊田一夫『君の名は』より
脚本:井沢満
音楽:池辺晋一郎 演奏:東京コンサーツ

題字:篠田桃紅
考証:松平 誠   考証協力:天野隆子
方言指導:佐渡稔、山中篤
犬張子指導:飯田省三
洋裁指導 :大沢洋子
協力   :紙芝居児童文化保存会

語り:八千草薫


出演


後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
石上梢     河合美智子
あさ      伊藤嘉奈子
浜口美子   とよた真帆
吉井勇      及川ヒロオ
水沢悠起枝  田中好子
水沢謙吾   平田満  
角倉信枝   佐々木すみ江
子供たち   鮎川昌平
        杉浦明彦
        上村裕樹
        常松めぐみ
        佐藤洋匡
        西谷卓統
        村山野々子
後宮千景   渡辺亜里沙  春樹と真知子の娘(赤ちゃん)

      鳳プロ

浜口徳枝   加藤治子
多比良良作  蟹江敬三
深野柳子   樹木希林
小野瀬綾   いしだあゆみ



制作統括:石井 愼

美術:藤井俊樹 技術:渡部浩和 音響効果:田中正男
撮影:川崎和彦 照明:高橋伴幸   音声:嶋岡智子 記録・編集:田中美砂

演出:長沖 渉

解説(副音声)関根信昭




・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

昭和29年9月 とナレーション

えっ! 9月って真知子の予定日は7月20日のハズ
もしかして、産まれたの? 


 綾の店

秋のファッションショーに向けて、一丸となってがんばっていた。
信枝は、午後2時を過ぎた時計を見ながらそわそわしている。

「おばさん、銀座で約束でもあるんですかぁ?」と、梢とあさは
あの子かわいや~カンカン娘ぇ~ と歌いながらからかう。

「いんや、おっぱいの時間だなーと思ってな」と照れる信枝

 後宮家

春樹は 花の三度傘 を踊って見せていた
真知子のヒザには女の赤ちゃん

真知子は女の子を産んでいた。 名前は千景、ゼンポウ寺の住職によって名付けられた。

千景は春樹が三度傘を踊って見せると、泣き止むのだった‥‥

真知子が寝かしつけて降りてくると
春樹は原稿用紙に向い「千景に捧ぐ」とタイトルを書いたところだった。

嫁入りの時にでも持たせてやろう と考えていたようだが、
嫁なんかやらないと言い出す春樹。

春樹は真知子にしみじみと言う

「俺たちは長生きしような。
 もしあの子がたった一人で町に放り出されたとしたら‥
 空襲のさなか、俺たちとはぐれたり死に別れたりして
 一人ぼっちで生きていかなければならないとしたら‥‥
 でも、実際にはそういう子がいっぱいいる」
「夢を持ちつづけて、養護施設、現実にしましょう」

 犬張子

謙吾は、親方の吉井に犬張子を売ることを提案している。

「丹精かけた犬張子、ほこりかぶったままになるのがイヤなんです。
 こんなに在庫かかえてちゃ、親方も俺も困りますよ。
 おもちゃ屋、回ります、外を歩かせてください! お願いします」

 多比良の借りている部屋

春樹は、吾郎が集めた子たちに読み書きを教えていた。黒板もちゃんとある。
多比良が様子を見に来て、足りないものがあれば言ってくれと言う。

吾郎はやはり大学には入学せず、多比良の所で働いていた。
「荷揚げをがんばってるよ」と笑う多比良

 柳子の家

徳枝はまだ柳子と一緒に住んでいた

「あんな目と鼻の先で教室やるなんて‥」と柳子、そして続ける
「こちらはお金いただいて、あちらはただでしょう? 
 お教室にしろ何にしろ、お金が介在しないのは信用ならないわ。
 素人ってことだわ。
 資本主義ですからね、お金が基本、あちらはルール違反」

「(折半している)電話代などが使用料金少ないのね」と柳子
「だって、かけるところないですもの」

美子の実家・清宮家

帰宅した勝則が着替えるのを手伝いながら美子が言う
「家ができたら、お母様もどってくるのかしら」
ちょっと顔をしかめる勝則
「あら、あたし‥そういう意味じゃないわ。何も言ってらっしゃらないんですもの」
「お袋の性格は知ってるだろう? 
 実際、いつお袋のところに行ってくれるのかと待ってたんだけどね」

後宮家

多比良が「おめでとう!」とできたばかりの『夢の足音』を持ってやってくる。

「‥もしかして読んで下さったんですか」
「ああ、読んだ! これはいいわ!
 赤線の女たちを子どもの視線で描いて‥唸ったね、泣いた、初めて本を読んで泣いた。
 子どもってのはたまらないね」
「多比良さん、そんなに子どもが好きでした?」
「ええ」

そこに信枝帰宅

「多比良さん、最近お店の方に見えんで」
「ファッションショーまであと少し、火 吹いてますからね」と多比良

真知子も出品作品のことでいろいろもめたらしいと聞いていた。


さて、春樹の書いていた 千景に捧ぐ が完成した。

音読する真知子


  千景に捧ぐ

  千景よ お前がこの世に現れ、はじめてその小さき顔を目にしたとき
  父の胸の扉は音を立てて開き
  何という、何という、かわいらしい奇跡だ
  知らずわが手、胸の前に組み合わされていた
  幼児よ、いとしきわが子よ
  お前のやすらけき眠りを妨げるなにものも、この世に存在しませぬように
  つぶらに眼(まなこ)を開くとき、美しく豊かな世界がありますように

(続けて春樹が音読)

  翠なす星の日本という国にお前は産まれた

  母の名は真知子、父の名は春樹

  母も誓う、父も誓う、お前を魂の限り愛します、守ります
 
(2人で)

  二度と二度と戦のない世界でありますように
  人々が笑顔で手をつなぎ生きていける世界でありますように 祈ります





(つづく)


千景ちゃん、春樹にだっこされて、たかいたか~いされるんだけど、もしや紙おむつでは‥‥ (^_^;)

『君の名は』(294)

2007-03-10 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(293)】 3月10日(土)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
水沢悠起枝  田中好子
水沢謙吾   平田満
木村吾郎   大沢樹生
石上梢     河合美智子
加瀬田和子  羽田美智子
あさ      伊藤嘉奈子
多比良良作  蟹江敬三
本間定彦   古舘伊知郎
角倉信枝   佐々木すみ江
小松      小池 榮 :バー・ピースのマスター
美村千枝子  川田美香
めぐみ    高橋千代美:かつて蘭子と吾郎の金品を盗んだ花売りの少女
             ( 【第6部(251)】 1月19日(金) )
石上俊樹   ジョージ・ネルソン :梢の息子

       鳳プロ

加瀬田修造  橋爪功
美村蘭子   佐藤友美
小野瀬綾   いしだあゆみ

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 綾の店

「クビ? 私、なにかしでかしたでしょうか」
「別に。でもこれから徹夜も続くし」
「覚悟しています」
「覚悟されちゃ困るのよ。
 お医者さんが大丈夫だって言っても、あなた一度ひどい流産しているし」
「私の体のため?」

みんなも、仕事も育児も‥‥と無理しそうだから、仕事はいいから‥と
真知子の退職に賛成する。

 後宮家

真知子が帰ると、春樹は赤ん坊にきかせるのだ、蘭子から蓄音機を借りてきていた。

「早いじゃないか」
「ええ。クビになりました」
「そうか」
「そうかって」
「多比良さんが来て出版社を紹介してくれた、書いただけじゃ作品にならない、
 活字にすべきだ、ってしつこくね」
「まぁ、じゃぁ」
「多分、僕たちの生活を考えてくれたんだと思う、多比良さんと綾さんで」
「あたしたち子どもみたい」
「お年玉のつもりなんだよ。必ず成功させるよ」

それから2ヶ月過ぎ‥‥

 美村家

今日は吾郎の合格発表で、みんなで集まっている。
真知子が妊婦健診を終えて帰ってきても、吾郎からの連絡はない。
赤ちゃんは順調、母子ともに健康だと言う

そこに何と、定彦が少女を連れてやってくる。
それは、かつて蘭子の宝石・金品と吾郎の金を盗んでいった花売り娘だった。

定彦を追いかけていたそのスジのところへ行ったら、彼らは暴力沙汰で逮捕され
その少女だけ残されていたのだと言う。
父親のせいで花売りだけでなくコソ泥もやらなくてはならなかったのだった。

「あのー」と、その少女は蘭子にハンカチに包んだ指輪を返そうと差し出す
「持ってたの?」
「これだけは父さんに隠してました」
「いいわ、これはあげる」と蘭子はハンカチごと渡す。

話を聞きながら涙ぐむ真知子と春樹。


 長屋の路地

「本間くん、帰ってこないのかな」「知らない!いいわ、あたしお嫁なんかに行かない」
などと言いながら修造と和子が帰ってくると、加瀬田家の前に定彦。

「本間君!」

「どこ行ってたの?? 何してたの??」 かけ出す和子 

「かねてより念願の映画プロデューサーとして生きていこうと決心した次第でして。
 ついてはお約束の弁当をいただきたく思い‥」

定彦の胸に飛び込む和子 


 バー・ピース

多比良が飲んでいる。 吾郎もいて、吾郎は合格したのだった。
「みんな待っているからそろそろ帰らないと」という吾郎に「待たせておけ」と多比良

「じゃ、4月から俺んところで働くんだよな?」
「‥‥せっかく合格したのに、とりやめるのももったいない気もする」
「合格してみたら、卒業証書がほしくなったか。
 人生、勝負は一回きりだ。ものを決めるのに保険はナシ。そうやって生きてきた。
 ま、自分で決めろ。
 でも、俺んところに来たら卒業証書は俺がやる」

 美村家

待ちくたびれている一同、蘭子はビールを飲む。

すると真知子が「動いた!」と言う
みんなが触ってみる中、春樹は「俺はいい」と言い、悠起枝に「春樹!」と怒られる。



真知子と春樹の愛の結晶が日、一日と育ちつつあった。
小さな命の胎動を一同が見守り、たたえていた‥



(つづく)

『君の名は』(293) 昭和29年1月1日

2007-03-09 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(293)】 3月9日(金)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
水沢悠起枝  田中好子
木村吾郎   大沢樹生
石上梢     河合美智子
あさ      伊藤嘉奈子
美村千枝子  川田美香
少年      鮎川昌平 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         杉浦明彦 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         上村裕樹 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         古原鉄平 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
少女      常松めぐみ :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         勝又祐子 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
石上俊樹   ジョージ・ネルソン :梢の息子

        劇団ひまわり
        劇団いろは
        劇団若草
        鳳プロ

美村蘭子  佐藤友美
多比良良作 蟹江敬三
角倉信枝  佐々木すみ江
小野瀬綾  いしだあゆみ

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 蘭子の家

千枝子に「吾郎兄ちゃんが怖い」と言われた春樹は、一応様子を見に行くことに。

蘭子と吾郎は睨みあっていた 

吾郎は「大学には行かない」と言い出し、飛び出していった。

「2、3日前まで勉強してたのに‥‥」と蘭子は春樹に言う。
「誰に言われたのでもない、あの子が望んだ大学なのに! 受験料だって払ったのよ」
「一種の神経衰弱じゃないですかね、試験日が近くなってきて急に怖くなった‥」
春樹は言う。

 多比良ルーム

吾郎は多比良の借りている部屋に入っていった。

春樹はおじゃまhしますと入ろうとするが
「ここは俺と多比良の親分以外の大人は入ってほしくない」と断る
しかし春樹は「何事にも例外はある」と入り込み、説教なんてしないから‥と、
子どもたちと一緒にトランプで遊ぶのだった。

 後宮家

そんな時、多比良が春樹に用事がと年始がてらやってくる。

 多比良ルーム

トランプをしながら春樹と吾郎が話す。

「大学受けたほうがいいんじゃないか?」
「4年間、身につかないことを勉強するより早く社会に出て 
 一人前の社会人として働きたいんだ」
「そんな何でも簡単に割り切っていいのか?」
「ものごとは簡単に割り切るもんだ」と吾郎
「この子たちのこともか?」
「ああ、そうだ。 結局俺一人じゃ何もできないってことがわかったんだ
 寝床みつけて風呂入れてやって、メシ食わせてやって‥‥
 でも世の中から浮浪児が消えるわけじゃない!
 だいたい、春樹さんは施設のこと、どうしたんだよ!
 忘れちまって作家気取りで、よく俺のこと批判できるな」
「‥‥批判してるわけじゃないんだ、生きていくということは割り切れないこと、
 みんなひきずっていくこと、割り切れないこともかかえていくことだ。
 忘れてなんかないよ。確かに資金面でみなさんに迷惑をかけた。
 でも毎日、施設のことを考えたよ。 楽になりたくなかった」
「楽で何が悪いんだよ」
「この心だけは死ぬまでつきあっていくからな、裏切れないんだよ、自分だけは。
 もう一度考えてみたらどうだ? この子たちのことは俺も相談にのる。
 吾郎くんには、目標、見失ってほしくない」

玄関の外で聞いている多比良

「よし、勝負だ!」と、トランプの残りの札を見て言う吾郎

春樹のJとジョーカーの2枚の札から、吾郎はジョーカーをひく
春樹は吾郎のJとジョーカーの2枚の札から、Jをひき、上がり!

「うわぁ~~~~~~!」と叫ぶ吾郎、びっくりして入ってくる多比良
「何だ、トランプか」

子どもたちに「お年玉だ」とおもちゃや菓子を渡し、「外で遊んで来い」と言う多比良。

「吾郎、しっかり勉強してるか。今が正念場だぞ」
しかし、吾郎は「親分! 親分の手下にしてくれ」と言い出す。
「会社で働かせてほしい、大学は試験に合格することが目標で入る入らないは俺の自由、 あいつらの面倒を見ていきたい、金もかかるし」

「合格しても行かないのか?」と多比良

 綾の店

一同が集まり、新年会が始まる。
そこで綾は「真知子さん、クビにします」と言い出す。

 後宮家

多比良の用事とは、春樹の作品を活字として出版すしないかということだった。



(つづく)

『君の名は』(292)

2007-03-08 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(292)】 3月8日(木)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
本間定彦   古舘伊知郎
加瀬田和子  羽田美智子
美村千枝子  川田美香
叶 哲司   でんでん :長屋の住人(畳屋)
丸山邦夫  青柳文太郎
重松糸子  大坪日出代:長屋の住人
叶 さつき 平野早苗 :長屋の住人
丸山豊子  井上牧子 :長屋の住人
獅子舞     鏡味仙寿郎  お正月の獅子舞

        東京宝映
        劇団いろは
        鳳プロ

角倉信枝   佐々木すみ江
加瀬田岸枝  中原ひとみ
加瀬田修造  橋爪功

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 後宮家

火事騒ぎの翌日の朝、後宮家にはもうひとつ騒ぎの種がいた

定彦がもう起きていて、長屋の住人たちの正月の準備風景を見ている
春樹にもう8時ですよ、下はまだゆっくりみたいですね と声をかける
「昨日はいろいろあったから、ふたりとももう少し休むつもりでしょう」

「正月はどうするんですか」と定彦
「真知子もおばさんも年末まで仕事だし、ボクも取材があるし
 普段とかわらないないお正月になりそうです」と春樹が答えると
「いいですね、普段とかわらないお正月を最愛の奥さんと‥」

感傷的な定彦

「ゆうべ眠れなくて。詩人を志してたこともあったなーなんて。
 群集の中の孤独なんて憧れてやってきて、ところが仕事を転々として
 雑踏の中にいるとむしょうに人恋しくて‥‥。
 だから袋ダタキにあって吾郎くんと加瀬田さんに発見されてお世話になった時
 無上の喜びだった」

語りつづける定彦

「後宮さん」 「春樹君でいいですよ」
「いや、あえて後宮さんとよばせてください。
 人を好きになるということは、その人のお父さんもお母さんもみんな好きになるということなんです。
 だからボクはみんな好きで、ボクも好かれたくて尊敬される人間になりたい。
 でもボク、好かれていないみたいなんです‥
 和子さんのお父さんに“下さい”と言った時のあの冷たい目で見返されて
 出て行けといわれて‥‥ 悲しいんです‥‥ うぅぅ 」
泣き出す定彦

「参ったなー」と春樹

1階では、その泣き声を聞いた信枝が寝ぼけて「産まれたか!」と起きる

「本間さん、違うんですよ。結婚申し込まれて加瀬田さんに相談されたんですよ」
「相談?」
「戦争から帰ってくるまで、奥さんと和子さんをずっと支えていたのは本間さんだって、
 感謝してましたよ。
 でも花嫁の父って、どんな男が来たってかっとくるモンだって。
 だから会うことがあったら追い出したりして悪かった、と言っといてくれって」

定彦は話を聞きながら、身の回りをキチンとしてからもう一度挨拶に来ると言い
「お世話になりました」と後宮家を出て行く。

路地で和子と会い、和子がお弁当を渡そうとしても
「しばし、待っていて下さい。一人前の男として生まれ変わるその時まで‥‥。
 そのお弁当、必ずいただきに参ります」
と大げさな言い方をして去っていく。

「どうしたの?」と真知子と信枝も出てくる

「追われている身では一緒になれない とケジメをつけにいったんですよ」と
春樹は言った

こうして、昭和28年は暮れていった

昭和29年、正月、獅子舞がきている


 加瀬田家

着物を着て「明けましておめでとう」と雑煮を食べる修造たち

「しかし本間君、一度もあらわれなかったね」
「あの時、お父さんが追い出したりするからよ」と和子
「だって和子も一緒に責めたじゃないの」と岸枝
「あの時は、順序が違ったからよ」

「今はどうなんだ」と訊く修造

「わからないわ。でも今は本間さんのこと考えると胸がぎゅっと痛くなるの」

 後宮家

春樹もキチンと着物を着て原稿用紙に向かい、『夢の疋音』とタイトルを書く。

雑煮を食べ始めると、千枝子がやって来る
「明けましておめでとうございます」と言ってから
「怖い! 吾郎兄ちゃん、怖い!」と訴える。


(つづく)

『君の名は』(291) 美子の告白

2007-03-07 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(291)】 3月7日(水) 美子の告白

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
本間定彦   古舘伊知郎
加瀬田和子  羽田美智子
浜口美子   よとた真帆
小松      小池 榮 :バー・ピースのマスター

        鳳プロ

深野柳子   樹木希林
角倉信枝   佐々木すみ江
浜口徳枝   加藤治子

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 バー・ピース

「結婚? 結婚って、和子さん、あなた」驚く真知子

ゆうべ、定彦は和子の気持ちも確かめずいきなり修造に「下さい」と宣言し
修造も驚いて、そういうことなら娘とひとつ屋根には泊められないからと
出て行ってくれと言った。
定彦は自分のアパートに行ってみたが、怖い人たちがまだウロウロしていて
結局、知り合いの映画館で座席で夜を過ごしたと言う。

和子の相談とは、定彦は行く所がないから真知子の所に置いてもらえないか
ということだった。

「春樹さんと伯母さんと相談してみるけど、お二人はどうするの?
 結婚するつもりはあるの?」

和子は「迷っている、順番は逆だったが嬉しかったし、でもわからない」と答える。

そこに、すすだらけでヨレヨレの美子が入ってくる
「美子さん!」 倒れる美子‥!

 後宮家

勝則が「まだ見つからない」とやって来る
信枝が「奥さんに何かあったのか?」と不思議そうにしているところに
柳子が「真知子さんから電話があって、美子さんが見つかった」と知らせに来る。

ちょうど勝則がいるので「バー・ピースっていうお店に」と教える。

走り出す勝則、「ボクも行きます!」と春樹

「何があったんら?」と信枝、「えーと‥‥どこまでご存知?」と柳子

 バー・ピース

1杯飲んで気を落ち着かせたら? という真知子たちに、
美子はアルコールはもういらないと答える。

「ゆうべ、何を話したの?」と訊く真知子に「ご存知ないんですか」と美子

「ゆうべ、あたし家から火を出してしまったんです。
 ゆうべこの店で勝則さんと話をしたんですけど、カギを戻したって言えなくて、
 喧嘩別れのようになってしまって、家に帰ったら急にこわくなったんです
 このまま別れることになるんじゃないかって‥‥
 台所しながら、前の日のシャンパンに手を出して、寝てしまった。
 気がついたら、鍋から壁まで火が‥ こわくて家の外に逃げ出して、
 そのまま町じゅう歩き回っていました‥‥」

バー・ピースの入り口で美子の話を聞いている勝則と春樹。

「私、浜口の家を憎んでいました。
 この家があるから、お母様の守り通した家があるから、あたしと勝則さん、
 うまくいかないんだ、幸せになることはないんだって
 だからお母様にかわって守り抜こうと思う意地もあったんです」
「わかるわ、そのつらさ。その気持ちを正直にぶつければ‥」と真知子
「わかってくれないわ。お母様も勝則さんもあたしが故意に火をつけたとしか
 受け取ってくださらない」

「美子!」と入っていく勝則
「勝則さん」

「誰もお前が火をつけたなんて思っちゃいないよ。
 家なんて建替えればいいじゃないか、母さんも心配して待ってる。
 みんな心配してたんだよ」
「勝則さん 」 美子は勝則の胸で泣く

そんな様子を見ながら、和子は定彦の手に自分の手を重ねるのだった

 柳子の家

美子は事情聴取をうけてから、柳子の家で徳枝と対面した。

「良かったわ、ケガがなくて。心配してたのよ」
「お母様 
「しめっぽくなるのはやめて、明るく行こう」と勝則

「今夜からのねぐらだけど、美子の実家が遠慮せずどうぞと言ってくれてるんだ」
「そりゃ、結構じゃないの」と徳枝
「じゃ、3人でさっそく」という勝則を遮り、徳枝は
「2人でいらっしゃいな。こんなことがあったから言うんじゃないけど、
 あたし、あなたたちと別々に暮らしたいと思っていたの」と言う

母さんに一人暮らしなんてできっこない、どこに住むんだという勝則に
柳子が「お部屋代はちゃんといただきますから」と言う。

 路地

真知子と春樹は「ああ、今日は疲れたなー」と家に向かう
おなかに「今日はゆっくり寝ようなー」と話し掛ける春樹

家に入ると信枝が居眠りしているそばに、定彦がいて「おかえりさない」

真知子は「ああ、そうだった」といわんばかりの苦笑い


(つづく)

─ 『君の名は』(290) あの頃あの歌 ♪あまんじゃくの歌

2007-03-06 08:00:00 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(290)】 3月6日(火)

あの頃あの歌  あまんじゃくの歌

作詩・   深尾須磨子
作曲・編曲 高木東六
唄・    美空ひばり

28年12月24日、奄美群島の日本復帰決まる
よく25日に奄美大島などの22万人が8年ぶりに復帰
島の人々にとって長い苦難を忘れさせるクリスマス・プレゼントとなった

『君の名は』(290)

2007-03-06 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(290)】 3月6日(火)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
加瀬田和子  羽田美智子
小松      小池 榮 :バー・ピースのマスター
水沢悠起枝  田中好子
本間定彦   古舘伊知郎
角倉信枝   佐々木すみ江

       鳳プロ
       早川プロ

加瀬田修造  橋爪功
深野柳子   樹木希林
浜口徳枝   加藤治子

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
 柳子の家

向かい合う勝則と徳枝。 周りに座る柳子、春樹、修造。
しかし、勝則は告げられないでいた。

「あのー、ここにいていいんでしょうか、わけありのようなので」
と、席をはずしましょうかと修造が口を開くと
「いいえ、いて下さい。
 これからざっくばらんにお付き合いしたいと思っているんで、
 ご迷惑でなければ」と徳枝。

「勝則さん、昨日、美子さんと話したことを聞かせてちょうだい。
 私が戻るの、反対なんでしょ?」

「母さん、美子のことそういう風に見るのやめて下さい。
 母さんにはいたらない嫁に見えるかもしれませんが、がんばったと思います」
「あの、お話がよく見えませんわね。何がありましたの?」と柳子
「浜口さん」と春樹も話すようにと促す。

「言います、燃えたんです  浜口の家が火事で焼けてしまったんです」
「何で連絡してくれなかったの‥‥」
「何て言えばいいんです。
 母さんが1人で守ってきた浜口の家が一晩で灰になったなんて言えませんでした。
 家に帰りたいと言ってくれた、やり直したいと言ってくれた、
 それが頭にこびりついて‥‥」
「原因は?」と徳枝
「火元は台所だそうです」
「え、じゃぁ」と柳子
「違いますよ 」きっぱり言う勝則
「美子はそんなことするヤツじゃない。
 どうしていいかわからないのは美子だと思うんです。
 ボクたちを締め出して、その間に火を出して、その責任を感じているのは
 美子だと思う。責めないでほしいんです」

「今、美子さんは?」

「わからないんです。実家にも戻っていないようだし。
 ボクたちがここにいるのは知っているからそのうち現れると思うんですが」
「美子さんにケガでもあったらどうするんです! 心あたりを捜すしなさい」
「え」
「さっさと捜してらっしゃい!」 
「ハイ」

徳枝に言われて勝則は柳子の所を出る。
「浜口さん、ボクも行きましょうか」 春樹が追って来る
「いえ。 嬉しいんです。美子のこと心配してくれて‥‥ 家のことより美子を」

「おーい、あそこに残さないでくれよ」と修造が出てくる。

そして「実はさ、家でもゆうべ問題が起こって‥」と言い出し
「ここでは何だから、うーん君んちで」と紙芝居は休むことにした修造。

柳子と徳枝は話をする。

「それにしても過失とはいえ、お嫁さんが火をねぇ」
「浜口の家は美子さんが勝則と一緒になった時から、あたしのものじゃなくなっていたんです。
 家が燃えて、返ってよかったかもしれない。
 とらわれていた自分にやっと気がついたんですもの」

 綾の店

綾は忘年会が続き、店には戻ってこないと電話連絡が来る。

真知子は
「(和子から相談をうけにピースに行くから)伯母さん、春樹さんの夕飯お願いします」
と頼む。

 バー・ピース

和子は定彦と並んで座っていた。
「どうしていつも順番が違うの?」と和子
「和子さんへの気持ちは正真正銘、偽りない‥ でもやっぱりはやまったのかな」

真知子が入って来て、定彦も一緒なことに驚く
「折り入ってお話がって‥‥? どういうことなんでしょう?」

「本間さん、言ってよ」
「実はボクですね、思い余って、こちらのお父さんに結婚したいと言ったわけで」



(つづく)

▼『君の名は』 第6部 第49週 (289) 火事の翌朝

2007-03-05 07:55:50 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
▼『君の名は』第6部 第49週

原作:菊田一夫『君の名は』より
脚本:小林政広
音楽:池辺晋一郎 演奏:東京コンサーツ

題字:篠田桃紅
考証:松平 誠   考証協力:天野隆子
方言指導:佐渡稔、山中篤

語り:八千草薫


出演


後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
石上梢     河合美智子
あさ      伊藤嘉奈子
水沢悠起枝  田中好子
角倉信枝   佐々木すみ江
浜口美子   とよた真帆

早川プロ

加瀬田修造  橋爪功
深野柳子   樹木希林
浜口徳枝   加藤治子



制作:石井 愼

美術:岡本忠士 技術:沖中正悦  音響効果:矢島清
撮影:安田熙男 照明:阿部周一    音声:坂野伊和男  記録・編集:田中美砂

演出:長沖 渉


解説(副音声):関根信昭


・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
 後宮家

朝、春樹を起こす真知子。勝則からは朝まで連絡はなかった。

真知子は信枝・悠起枝と仕事に行く。
寝不足の真知子を気づかう春樹、信枝がちゃんと見ているから‥‥と約束する

悠起枝は「ここに春樹の子どもがねぇ」と嬉しそうにし、
名前の候補を考えたいと言う。

春樹もまた原稿用紙に子どもの名前をいっぱいに書く。

そこに勝則がやって来る。
なんと浜口家は火事で全焼し、一人いた筈の美子も行方不明だと言い、
今まで現場検証と事情聴取を受けていた。
ボヤで済むところが夕べは風が強く、全焼したらしく、
美子は実家にもいない、連絡をとろうにも住所録もすべて灰になってしなった、
火元は台所というので勝則はひどく心配していた。


徳枝は、柳子と朝ご飯を食べながら、連絡がないことを気にしていた。
「美子さん、私と住むの、いやなんだわ」
「きっと2人でまだゆっくりお話なさってるのよ、
 ご飯食べてからでも遅くないでしょ」と励ます柳子。

勝則は、美子の居所を突き止めるのと、徳枝にどう話そうかで混乱していた。


その頃美子は、煤だらけの格好でスリッパを履いたまま、
あてもなく街を彷徨っていた。

 綾の店

あさたちは年内に500着いけそうだと頑張り、真知子も営業から帰ってくる。
そこで、あさは「おめでとう」と真知子に声をかける。

「あさちゃんに言ってなかったわね‥‥、ありがとう!
 なんとか母になれそうです」
「だめよー! 何とかなんて。もう母になってるのよ、なれそうなんてだめ」
と悠起枝
「うわー、こわい伯母さんだの」と信枝
「おばさんだって、おばあちゃんになるんじゃないのー」とあさ
笑いがあふれる。

 長屋の路地

修造が紙芝居に行こうとして柳子に出会う

「寒くて布団から出られません、歳ですなぁ」
「今から寒いってどうするんですか、若そうに見えて意外と‥‥
 愛だの恋だの言っていられませんわね」

勝則からなかなか連絡が来ないことを気にする柳子、修造がさっき会ったと言うと
「いつのさっき?」と、後宮家に押しかける柳子

 綾の店

和子から真知子宛に電話が入り、相談があるという


(つづく)
 



『君の名は』(288) 

2007-03-03 09:15:12 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(288)】 3月3日(土)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
木村吾郎   大沢樹生
美村千枝子  川田美香
水沢悠起枝  田中好子
水沢謙吾   平田満
加瀬田岸枝  中原ひとみ
角倉信枝   佐々木すみ江
叶 哲司    でんでん
小松      小池 榮 :バー・ピースのマスター
   
       鳳プロ  
       早川プロ

加瀬田修造  橋爪功
深野柳子   樹木希林
浜口徳枝   加藤治子

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

昭和28年12月 クリスマスの夜


 バー、ピース

春樹がやってきた

「何も言ってくれないからわけわかんなくてさ
 ずっと二人がいいなんて、そんなことないのに‥‥
 2人より3人が、いや4人が、4人より」
「春樹さん」胸に飛び込む真知子
「映画俳優になった気分だな。お客さん一人しかいないけど」

マスターがニコッと笑い、お祝いだとアルコールを出してくれる。
「赤ちゃんがいるとアルコールはね‥、でも乾杯だけでもしたらどうでしょう」

「若いってのはいいよね~~」とマスターは言いながら
「タバコ買ってくるから」と店を出る

乾杯する2人

「男の子かな、女の子かな」
「もうそんなこと言ってる」
「元気に育って欲しいよな、母子ともに健康に」

真知子は春樹に自分の夢(書きたいこと)を諦めないでほしいと話す。

「いいんだよ」
「あたしイヤ。子どもができたから諦めるなんて」
「体を大事にしないと」
「お医者さまは今の生活を続けてかまわないと言ってくれました、
 だから綾さんのところギリギリまで働きます。
 だから春樹さんにも自分の意志を押し通してほしい。
 半年収入がないなんて何ですか、あたしたちずっと貧しかったんだし、
 今更気にしないわ」
「ありがとう、わかったよ。作品作りにかけてみる。
 戦争の傷あとを今も引きずっている人たちのことを書きたいんだ。
 戦後10年経ち、過去のモノになろうとしている、
 でも戦争によって虐げられている人は今も生きている、忘れちゃいけない。
 それが養護施設を開くことにもつながる。
 僕を甘やかさないでこき使ってほしい」
「春樹さん‥‥」
「帰ろうか、帰ってみなさんにご報告しくちゃな」



 深野家

倒れた徳枝が寝ている。
駆け込んできた勝則に「ただの軽い貧血ですから」と柳子

叶がここまで連れてきたという。
目をさました徳枝は泣きながら言う。
「おぶってもらって恥ずかしかったけど嬉しかった、
 人と人とのつながりってこういうことなのね」


真知子と春樹が帰って来て、倒れたと聞き、深野家に飛び込む

「軽い貧血」
「銭湯の富士山見ててのぼせちゃったのねー」

修造たちも心配で外で待っている‥‥、手招きする悠起枝

みんなが揃ったところで春樹は真知子の妊娠を告げる。

「あまりにも思いがけず、私もどう喜んでいいかわからなくて‥‥、
 皆様にすぐ報告したかったんですけど。まず春樹さんにと思いまして。
 予定日は7月20日です、
 健やかな子を産みたいと思います、みなさまよろしくお願いいたします」

「おめでとう」
「おめでとう」

夜もふけ、徳枝は
「鍵あけてもらえるかしら。あたし家に帰りたくなっちゃった。
 まだやり直せると思うの」
と言い出す。

「ありがとう、ありがとう母さん」

勝則は急いで家に電話する。
徳枝の言ったことをそのまま好子に伝えるつもりだった

しかし電話には誰も出ない。


浜口家の台所からは炎があがっていた



(つづく)

『君の名は』(287)

2007-03-02 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(287)】 3月2日(金)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
水沢謙吾   平田満
石上梢     河合美智子
石上俊樹   ジョージ・ネルソン :梢の息子

       鳳プロ
       早川プロ

角倉信枝   佐々木すみ江
小野瀬綾   いしだあゆみ

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 長屋

勝則は柳子の家の前をウロウロ、春樹は勝則に留守番を頼み真知子を捜しに行く。
「もしボクの(妊娠だという)推測が当たっていたら、喜んであげるんだよ」
勝則は言う。

 梢のアパート

俊樹が鏡に向かって、金髪に墨汁を塗っている。

「やなんだ! こんな色」
「人と違うのが何だっていうの! 
 ボクの髪はこんなにステキだってどうして自慢できないの?
 あたしは俊樹のこと、誇りに思ってるのよ? 産んで良かったと思ってるの。
 今の俊樹が、金髪の俊樹がいるから、あたしはこうしていられるのよ」

「お母さん、ごめんなさい。ごめんなさい」と泣く俊樹を抱きしめる梢。

 綾の店

春樹は最初に綾の所に真知子を捜しに来る。
綾は招き入れ、お茶を出しあれこれ話をする。

 長屋

勝則は、表に出て柳子の家を見るが、まだ灯りはつかず帰って来ていないようだ。
そこに謙吾が犬張子の吉井のところから出てくる。

「犬張子の型抜きを、そのほどほどの手加減を神の啓示のごとく覚えた」と興奮気味に話す謙吾
「ほどほどね‥ 夫婦もそうなんだろうな」と呟く勝則

 綾の店

春樹と綾が話しているところに、梢がやって来る

「春樹さ~ん! 真知子さんね、ずっとあたしのところにいて‥話し込んじゃって。
 で、今夜中に話したいっていうのよ、だから連絡しようと思って」

あわてて出て行く春樹。

 後宮家

勝則は寿司をとって、謙吾と一緒に食べていた。
するとそこに信枝が「真知子さん、春樹さん!」とあわててやってくる。
勝則を見て「勝則さん、徳枝さんが倒れた」と言う

 綾の店

綾は、梢から真知子の妊娠を聞き、感慨深そうにしている。

梢を迎えに来た俊樹は「女の夜道は危ないから」など生意気を言い
2人で帰っていく。

1人になってから、「あの2人に赤ちゃんか‥ 」と涙ぐむ綾

 バー・ピース

真知子が待っているピースに春樹がやってくる 


(つづく)




『君の名は』(286)

2007-03-01 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(286)】 3月1日(木)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
浜口勝則   布施博
木村吾郎   大沢樹生
石上梢     河合美智子
小松      小池 榮 :バー・ピースのマスター
石上俊樹   ジョージ・ネルソン :梢の息子
少年      鮎川昌平 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         杉浦明彦 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         上村裕樹 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         古原鉄平 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
少女      常松めぐみ :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
         勝又祐子 :吾郎が連れてきた孤児、多比良ルームに住む
 
        鳳プロ

多比良良作 蟹江敬三
美村蘭子  佐藤友美

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 梢の部屋

俊樹は部屋で一人で泣いているが、梢は
「いつまで泣いてるの! ちょっといじめられたぐらいで!」と厳しい。
俊樹は「ちくしょう!」とゲンコツで畳を叩いている。

「いいの? 晩ご飯もまだでしょう?」と真知子
「いいのよ、いつものことなんだから」

梢は抱きしめたいのをじっとこらえている‥‥母親の姿だと真知子は思うのだった。

 長屋

勝則は春樹の家の前で徳枝の帰りの様子を窺いつつ、春樹を待つ。
春樹は真知子を捜しきれず戻って来て、二人ともお互いの靴が泥だらけなのを見て
並んで靴を磨く。

「あれ? おばさんは?」と勝則
「風呂でしょう」
「2~3日、風呂に入ってないもので、急に思い出しちゃって‥‥
 身も心もさっぱりしたいよ。
 ところで、そっちのケンカの原因は?」

 バー・ピース

多比良が1人飲んでいるところに蘭子が入ってくる。
2人とも、待ち合わせではなかったので、一緒に飲むことに。

「昨日のパーティはいかがでした?」
「結局、入りきらなくて、私のところで‥」
「そうですか、出かける用事がなければ行きたかったんですが」
「遠出って、お仕事?」
「ちょっと法事でね。お墓をきれいにしてきました」

奥さんじゃないわよね (・_・、) 誰のご法事だろう

「吾郎、あいつは何か目的があって大学行くんでしょうかね」
「とりあえず入っておこうかってとこじゃないでしょうか」
「やっぱりね。落ちたらまた来年とか思ってるんだな。
 ここ1番の時には、そのことに打ち込まないといかん!
 勝負は一回きりと自分を厳しく律するべき」
「なんだか父親みたいなご発言」
「死んだ身内に似ているところがあって、あいつにはひかれるところが‥」
「母親代わりの私が言うのもなんですが、そのこと吾郎に直接言ってあげてもらえませんか?
 困ってる子を助けてくるのは偉いけど、まず自分の足元ですものね」

 後宮家

「半年も仕事休むんですか?」
「どうしてもひとつの作品にしたいことがあって。
 前から取材はしてたんですが、時間が取れなくて‥‥
 確かに勝手な言い分だと思います、独身ならまだしも、女房もちで。
 でも、真知子ならわかってくれると思ったんです」
「真知子さん、怒ることはあっても、飛び出すことはないと思うんですが」と勝則

「そういえば」と昨日パーティに来る前に真知子に会った時の様子を話す勝則
「妙に興奮してるっていうかはしゃいでるっていうか」と言い、
「あとで考えたら、あの路地さ、医者があるだろう、町田産婦人科って」

「え、真知子、病気なんでしょうか」と春樹

「いや、もしかしたらできたんじゃないかな?」
「え ‥‥ でも、可能性はないって」
「あの時、伊豆の医者は可能性はゼロとは言わなかったよ」


(つづく)

挿入歌で 君、いとしき人よ が流れる

『君の名は』(285)

2007-02-28 07:55:55 | ’06(本’91) 46 『君の名は』
【第6部(285)】 2月28日(水)

後宮真知子  鈴木京香
後宮春樹   倉田てつを
水沢悠起枝  田中好子
浜口勝則   布施博 
石上梢     河合美智子
浜口美子   とよた真帆
小松       小池 榮 :バー・ピースのマスター
石上俊樹   ジョージ・ネルソン :梢の息子

        鳳プロ

深野柳子   樹木希林
角倉信枝   佐々木すみ江
浜口徳枝   加藤治子

・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

 長屋

信枝と悠起枝が銭湯へ行こうとすると、柳子が徳枝とやはり風呂の準備をして出てくる
一緒に行く4人。


 後宮家

バー・ピースでは話ができなかった真知子と春樹が帰ってくる。

「話って何だ?」と春樹
「『ずっと二人がいい。この先ずっと、僕たちは二人がいい』って、言ったわよね」
「2人きりの方が、お互いに好きなことができていいだろう?」
「本心じゃないわよね?」
「本心だよ、2人きりでずうっと離れないでいよう、2人きりがいいよ 


 バー・ピース

話を続ける勝則と美子

「あなたのようには考えられないわ」と美子
「とにかく、玄関のカギをもとに戻してくれ」と勝則は言うが
「いやです! カギは私が持ちます!」と頑なな美子

「誰の家だと思ってるんだ!」
「私たちの家です! お義母さまのものなんかじゃありません!
 結婚した時から、私たちの家よ」

ピースを出て行ってしまう美子、勝則は追って出るが、水たまりにはまる。

水たまりにはまること‥‥ うちの実家方面の方言では、「きゃっぱり」と言いますが (^_^;)


 後宮家

春樹の話というのは、自分が書きたいことを書きたい ということだった。

「今しかないんだ。 書きたい者を書く時期だ。
 不本意な仕事を続けていくのはイヤなんだ。 わかるだろ?
 ボクのたどってきた道のりを書き綴っていこうと思う。
 1年、いや、半年 ボクはボクの作品を書こうと思う。
 生活費ならなんとかなる‥‥ 」
 
「春樹さん、あたし、あたし ‥‥」 真知子は泣き出し、家を飛び出していく。

「真知子!」春樹は追って出るが、水たまりにはまる。

あらま、春樹もですか。
でもって水たまりにはまること‥‥ うちの実家方面の方言では、「きゃっぱり」と言います (^_^;) ってシツコイ


「何があったんです?」 勝則がちょうど後宮家にやって来たときだった。

 綾の店 & 梢の家

真知子は綾に話を聞いてもらおうと店にやってきたが、綾は留守。
残業中の梢が出てきて、アパートに連れてきてくれた。

俊樹は今日はソロバンで遅いと言う。
「春樹さんたら、勝手なのよ!」と真知子はぶちかました後、

「子どもかわいいでしょ?」
「生まれたときのこと思い出すでしょ?」と梢に聞く。

「もしかして、できたの?」と、ぴんとくる梢

頷く真知子


そこに俊樹が泥だらけでおなかの辺りを押さえて帰宅する。

「どうしたの?」 と梢が訊いても、答えずに自分の部屋に入る俊樹


(つづく)