愛国保守のメルマガ特集

現在の日本は危険な状態です。国内に反日勢力が蠢いています。在日朝鮮人、中国人がいます。また、外国のスパイが野放しです。

韓国問題-現代編 第一部:「反日ナショナリズム」という病 1-4:イデオロギー国家が生む反日

2013-12-06 12:08:51 | 政治
韓国問題-現代編 

第一部:「反日ナショナリズム」という病 1-4:イデオロギー国家が生む反日


■1.長野に林立した中国国旗■

 聖火リレーを護るべく、長野の沿道を埋め尽くした巨大な真紅の中国国旗の林立ぶりに、多くの日本人は違和感や不安感を抱いたことだろう。日の丸とチベット旗を持って沿道にいた中川章さん(57)はこう証言している。[1]

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 市役所近くの交差点で中国人の集団にいきなり、巨大な中国国旗で通せんぼされましてね。若い中国人の男に旗ざおで左手の甲をたたかれ、小旗をもぎ取られ、後頭部に旗ざおでズコンですよ。旗ざおといっても長さ2メートル以上、直径3センチ以上もあるアルミ製。・・・

 70歳すぎの知人も若い女に腹をけられ、プラカードはビリビリに破られました。警察官が3人ほど駆けつけてくれましたが、彼らも旗ざおで殴られていました。・・・

 結局、私は後頭部に大きなコブが残り、おまけに頸椎(けいつい)ねんざで全治3週間。医師の診断書をとり、警察に被害届を出しました。20人近くの仲間も頭や背中にけがをしました。女性も老人もお構いなしです。一体ここはどこの国なんですか!
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 自らと異なる主張をする人々に対して暴力を振るうことに何のためらいも感じない精神構造は、およそ思想・言論の自由と人権を重んずる近代社会にはそぐわないものである。


■2.「漢奸(売国奴)」■

 もちろん、冷静に事態を考える中国人もいる。米国デューク大学で、チベット問題をめぐる学内対立の回避を呼びかけた中国人女子学生、王千源さん(20)はその一人だが、「民族敗類」(民族の面汚し)といった罵倒(ばとう)のメールや掲示板への書き込みが殺到し、その上、個人情報がネット上で暴露され、中国・青島の実家も、赤ペンキで「殺売国賊」(売国奴を殺せ)と落書きされたという。[2]

「売国奴」をかつて中国では「漢奸(かんかん)」と言った。中国での民主化運動に関わり、今は日本国内で言論活動を展開している石平氏[a,b]は、「漢奸」「売国奴」の持つ語感について、こう解説している。[3,p73]

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 漢奸とか売国奴とかはいちばんきつい罵倒語で、全人格を否定する言葉になります。あいつは泥棒だといわれても、泥棒には泥棒なりの人間性がある、あいつは悪いやつだとか人殺しだとかいっても人間性まで否定しているわけではない。でも漢奸となると、もう人格も人間性もまったくないわけです。これはお前は人間じゃないといっているのと同じです。漢奸はキリスト教でいえば悪魔にあたるでしょうね。いったん漢奸だと烙印を押されると、もはや名誉回復の可能性もなくなります。
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 石平氏自身は明らかには語っていないが、「今の中華人民共和国という国家自体に正当性がない[3,p43]」とまで公言している人物だけに、現代の「漢奸」「売国奴」として、王千源さん以上の罵倒が浴びせられているものと思われる。


■3.「自分が虫けらであるかのような気持ちにさせられる」■

 もう一人、祖国から「売国奴」と罵倒されている人物がいる。韓国から来日して日韓比較文化論などを著している呉善花(お・そんふぁ)氏である[c]。呉氏は自らの体験をこう語る。[3,p75]

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 韓国では、女性に対する最悪の非難言葉として売春婦という言葉が使われますが、売国奴という言葉もそれと同じ屈辱感を感じさせる言葉になります。国を売るというと抽象的に聞こえるかもしれませんが、韓国人には身体を売るのと同じ感覚で響くんです。

 ・・・これは人格の否定、もうお前を人間として認めないということですから、何をいってもいいわけです。どんな口汚くののしっても、相手が売国奴である限り許されます。私に対する非難でも、それはもう聞くに耐えない汚い言葉がズラッと並ぶんですね。・・・

 私の場合は、私を売国奴と非難する韓国の記事などを読んでいると、自分が何か毛虫のようになっていく気持ちになるんです。意識のうえでは何のやましさも感じてないのに、自分が虫けらであるかのような気持ちにさせられるところが、やはり韓国人なんでしょうか。自分でも嫌になってしまいます。

 日本をいろいろと知っていって、私を含めた韓国人がいかに日本をなめていたのか、何も知らずに威張ってばかりいたのかを思い知らされ、そこから自分なりに感じた日本評価と韓国批判を書いていったわけですが、書けば書くほど韓国で叩かれるのですね。こんな国って、ちょっとほかにないんじゃないでしょうか。
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 こんな思いまでしながらも筆を曲げない呉善花氏の節操には、敬意を表するばかりである。


■5.「韓国には歴史観というのはひとつしかない」■

「売国奴」と罵倒されるのは、まずその国家が唯一のイデオロギーや歴史観を定め、それを盲信する国民がそれへの一切の批判を許さない所から生ずる。呉善花氏は、自らの体験に照らして、こう語っている。[3,p127]

__________
 ・・・歴史にはいろいろな観点があるということを、私は日本に来てからはじめて理解しました。だから、日本では韓国や中国の歴史観に賛成する意見も、堂々と述べられるわけです。韓国ではそれは許されないことですね。

 韓国には歴史観というのはひとつしかない。ひとつのイデオロギー、国家のイデオロギー、国家宗教となっています。そうした歴史教育によって、ひとつの歴史観が国民のアイデンティティを形成してしまいます。
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 韓国の「ひとつしかない」歴史観は、「日韓合同歴史教科書研究会」での韓国側の主張によく現れているとして、呉善花氏はそれを次のように要約している。[3,p201]

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1. 日本には神功皇后の三韓征伐説、任那日本府説など、古代以来の根深い征韓論がある。
2. それは、豊臣秀吉の侵略前後に、学者たちによって朝鮮劣等論、蔑視論へと集約され、幕末の韓国征伐論となった。
3. 明治初期の征韓論はそれを受けて朝鮮侵略を引き起こした。
4. 征韓論は現在の日韓関係にまで延長している。
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 日本側の学者は韓国側から、「合同研究の大前提」として、まずこれを認めろ、と要求されたという。これを「一つの仮説」として、歴史的事実に照らして検証しよう、というなら、まだ学問的態度と言えるが、これを「前提」として認めよ、というのでは、自らのイデオロギーに従えと言っているに過ぎない。

 こんな要求を突きつけられた日本の歴史学者たちは、唖然としたことであろう。


■6.「間違いはすべてよそがやっていること」■

「ひとつしかない歴史観」というのは、中国も同じである。「歴史を鑑(かがみ)として」とは、江沢民や胡錦濤など中国側が繰り返し使っている言葉だが、これに関して、石平氏はこう論評している。 [3,p117]

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 歴史を鑑にするということは、歴史を見て今の自分たちが間違っていることはないかと、歴史に照らして正しいことをしているのかと、あらためて自分たちの今をみつめることでもありますよね。でも今の中華人民共和国は、最初から自分たちが間違っているとは思っていません。間違いはすべてよそがやっていることで、自分は間違ってないと思っているんですから、歴史を鑑にする必要はまったくないんです。
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 中国が日本の「侵略」で苦しみを受けた歴史を「鑑」にするというなら、現在の中国自身がチベットを武力侵略して同じ苦しみを与えているわけで、まずはそれを反省する必要がある。そんな事をおくびにも出さずに、日本政府に「歴史を鑑に」というのは、中国側の「ひとつしかない歴史観」を受け入れよ、という事に他ならない。それは学問的な歴史観というより、一つの政治的イデオロギーに過ぎない。


■7.中国・韓国はイデオロギー国家■

 政府が「ひとつしかない歴史観」を定め、民衆はそれに従わない人間を「売国奴」として罵倒する。そういうイデオロギー的・全体主義的な風潮がなぜ中韓に強いのか、呉善花氏はこう説明している。[3,p232]

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 日本は江戸時代に地方分権のシステムが根付いていましたが、韓国や中国は最後まで中央集権国家の歴史でした。そういう歴史性の違いもあって、日本は韓国や中国の全体主義的な動きには、最初からアレルギー反応が強いように思います。

 根本的な違いは、中国・韓国は明らかなイデオロギー国家ですが、日本は国家や民族をまとめる中核思想や中核的な宗教、つまりイデオロギーを持っていない非イデオロギー国家だということです。

国家、民族、人間の行動を貫く基本的な考え方はこれだという、一個の大きな観念形態が規定する原理原則をもつのがイデオロギー国家ですが、日本はまったくそうではない。そして、そうではないということが、中国や韓国にはまったく理解できないんです。

 それでも日本は現実の外交関係では、ちょっとやりすぎと思えるほど、相手の立場や事情を考慮しながらつきあおうとします。しきりに理解を示そうとするんですが、相手のほうにはそういう理解を示そうという発想がない。すでにそこのところで、価値観や倫理観の違いによる行き違いが出てくるんですね。
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 今回の胡錦濤訪問でも、まさに福田首相の姿勢は「ちょっとやりすぎと思えるほど、相手の立場や事情を考慮」したものだった。しかし「相手のほうにはそういう理解を示そうという発想がない」。こういう行き違いの中では、ガス田問題、毒ギョウザ問題、チベット問題などに関して、本質的な議論がなされるはずもなく、当然、何ら具体的な成果も上がるはずもなかった。


■8.ナショナリズムという反抗期■

 日本の地方分権的に対して、中韓の中央集権的という歴史的個性の違いもあるが、もう一つは国民国家としての発展段階の違いもある。

 意見の異なる相手を「売国奴」と罵倒する傾向は、かつての我が国にもあった。たとえば、日露戦争の講和に賛成した『国民新聞』の徳富蘇峰は、「売国奴」として罵られ、暴徒が社屋に押しかけて焼き討ちを図った。[d]

 一つの国民国家が生まれ、成長していく過程では、程度の差はあれ、こういう熱烈なナショナリズムが燃え上がる時期がある。それはちょうど少年が大人になる過程で、反抗期を迎えるのと同じである。

 周囲の大人たちに反抗していく過程で、自我が確立し、やがて社会の中で自立した人間となっていく。国家もナショナリズムという反抗期を経験し、それを乗り越えた段階で国際社会の中で自立した国民国家になっていく。

 こうして成熟した国家の国民が抱く自国の個性や特長に対する自然な「祖国愛」とは、反抗期のイデオロギー的な「ナショナリズム」とは、本質的に異なるものである。

 こうした反抗期のナショナリズムを、我が国は19世紀後半から20世紀前半にかけて体験し、卒業したわけだが、韓国は今、ようやく卒業しつつある段階のようだ。かつては慰安婦問題や竹島問題が燃え上がるたびに、群衆が日本大使館を取り巻き、日本国旗を焼くという騒動を起こしていたが、ここ数年はそういうナショナリズム的激情はだいぶ沈静化しつつある。
(韓国政府はまだしきりに反日政策で人気取りを図ろうとしているが、民衆レベルでは「反日」疲れか。H250902付記)

 逆に中国はまさに政府が煽っている面もあって激烈なナショナリズムの時代に突入しつつある。北朝鮮に至っては、中世的専制独裁体制のもとで、国民国家の入り口にも到達していない。

 こうして東アジアの国々が異なる歴史的段階を生きている現象を古田博司・筑波大学教授は「東アジア異時代国家群」と呼んでいる。[e]

■9.相手に聞く耳を持たせるには■

 こういう反抗期のナショナリズムに燃える国とどう付き合っていったら、いいのだろうか。呉善花氏は、自らの体験をこう語っている。[3,p239]

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 私の場合は、アルバイト先の仕事の関係で、韓国のことをよく知ったビジネスマン、ジャーナリスト、弁護士などのグループがあって、そこに参加して歴史認識の議論なんかをしたんです。彼らは私が反日韓国人であることなど一切かまわず、自分たちの考えを隠すことなくストレートに表現するのです。それで私の方も激しくストレートな主張をする。ですからほとんど喧嘩になるんですが、その会の後では必ずみんなで飲み会をして楽しく騒ぐんです。
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 呉善花さんはこの人たちの考えには強く反発しながらも、彼らが韓国の歴史や文化をよく知っており、さらに堂々と自分の意見を述べる姿勢・態度に、ともかく聞く耳をもったという。

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 韓国人なら誰でもそうだと思います。日本人は何かといえば衝突を避けようとして、いいたいことをあまりいわない。それで場をとりつくろうとして謝ったり、相手の下に出ようと謙虚な姿勢をとろうとしたりする。これが韓国人に不信感をもたせることになってしまうんです。・・・

 韓国人は、この人は自分の国のことをよく知っていてくれるなあと感じ、しかも相手が堂々と自分の意見を主張していると感じられると、まず聞く耳をもちますね。もちろんこれは出発点ですが、ここが第一のポイントだと私は思っています。これは公的な場面のことですから、外交関係にも通ずることだと思います。
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 反抗期の若者がオートバイで暴走したり、弱い者いじめをしたりしているのを、下手に出てご機嫌取りなどをしてはいけない。相手としっかり向き合って、「悪いことは悪い」と注意しなければならない。それが本人の健全な成長のためでもある。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(487) 中国の覚醒(上) ~ 中国共産党の嘘との戦い
「毛主席の小戦士」から「民主派闘士」へ、そして「反日」打破の論客へ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog487.html
b. JOG(488) 中国の覚醒(下) ~ 日本で再発見した中国の理想
 中国で根絶やしにされた孔子の理想は、日本で花開いていた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h19/jog488.html
c. JOG(246) トウガラシの韓国、ワサビの日本
 日韓共催のワールドカップは、隣人同士の異質さを明らかにした。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog246.html
d. JOG(466) 徳富蘇峰 ~ 文章報国70余年
 近代日本最大のオピニオン・リーダーは、なぜ忘れ去られたのか。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog466.html
e. JOG(265) 「反日」ナショナリズムという病 ~ "日韓"関係の正常化に向けて
 韓国の「反日」ナショナリズムを分析すれば、日韓関係がうまく行かない理由が見えてくる。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog265.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
  →アドレスをクリックすると、本の紹介画面に飛びます。

1. 産経新聞、H20.05.05、「胡主席 本当の聖火リレーご存じですか」
東京朝刊、1頁、総合1面
2. 産経新聞、H20.05.01、「米大学チベット問題仲介の王さん 同
胞が攻撃 家族も標的『文革』想起」、大阪朝刊、7頁
3. 黄 文雄/呉善花/石平『売国奴』★★★、ビジネス社、H19
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828413871/japanontheg01-22%22

韓国問題-現代編 第一部:「反日ナショナリズム」という病 1-3 : 「反日」は中・朝・韓の屋台骨

2013-12-03 19:02:51 | 政治
JOG Step 韓国問題-現代編 
第一部:「反日ナショナリズム」という病
1-3 「反日」は中・朝・韓の屋台骨
 


http://blog.jog-net.jp/201309/article_9.html
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■1.「東アジア異時代国家群」■

 平成16(2004)年のサッカー・アジア杯での騒擾事件に、筑波大学教授の古田博司氏は、こんな感想をもらしている。

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 筆者はサッカー・アジア杯の「反日」騒擾事件を見ていて、かつてこのような風景の只中にいた自分を思い出した。80年代の韓国でも、何かしらスポーツ競技のたびに、滞在者である私たちは同様な敵意に囲まれるのが常であったのだ。[1,p25]
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 古田教授の韓国での「反日」経験とは、こういう具合である。

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 酒場で日本語を話していると、灰皿や特大マッチ箱がわけもなく飛んでくる。なぜか分からぬうちに、酔客に殴られたこともいく度かあった。大学に行けば学生たちが、「日本文化は教えるな、日本語だけ教えろ」と無理難題をふっかけてくる。日本の野蛮な文化など習いたくない、そんなものは韓国から流れ出ていった亜流だ、という。[1,p31]
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 中韓の反日構造は同じものだと、古田教授は指摘する。

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 つまりは、日本を仮想敵国として国家主義ナショナリズムを高め、国民を統合しつつ、資本主義をテイクオフさせるとともに、そのストレス発散を日本人に向けていくという精神構造はどちらも同じである。[1,p32]
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 すなわち、韓国が20年前に入った近代国民国家ナショナリズムに、今、中国が入ろうとしている。北朝鮮はその手前の中世の時代にある。そして我が国は、19世紀後半から20世紀にかけて、近代国民国家ナショナリズムの時代を経験し、現在はポスト近代にいる。

 このように東アジアの各国は、異なる時代を生きている「異時代国家群」であり、我々は「過去からの攻撃」を受けている、というのが古田教授の見方である。


■2.近代国民国家ナショナリズムの古層をなす中華思想■

 中韓の近代国民国家ナショナリズムを一皮むけば、その古層をなしているのが中華思想である。それは、自国が世界にそびえ立つ大国でなければならない、という強制観念を彼らに与える。

 たとえば、2003年に国家主席の地位についた胡錦濤は、同年12月の「毛沢東生誕110周年を記念する講演」の中で、こう言っている。


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 社会主義の現代化と中華民族の偉大な復興を実現するには、和平崛起(くっき、平和裡に世界の超大国としてそびえ立つ地位につくこと)という発展の道を堅持しなければならない。[a]
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 明の時代に中国を宗主国と仰いでいた韓国は、17世紀に明が女真族に征服されると、自分こそが中華の伝統を受け継ぐ者という「小中華主義」を抱くようになる。

 韓国民がサッカー・ワールドカップや先のベースボール・クラシックで異様な興奮を見せたのも、彼らの「小中華主義」が一時的にせよ刺激されたからである。

 北朝鮮が努めてアメリカとのみ対等な交渉をしようとするのも、この中華思想のゆえであろう。こんな具合である。

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 たとえ領土と人口数は少なくとも、世界『唯一超大国』として自認するアメリカと堂々と張り合い、民族の尊厳と気概をとどろかせる我が祖国の現実は、軍隊がつよく千万軍民が渾然一体をなせば、天下大敵も恐れることはない。(『労働新聞』2003.1.23)
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■3.「礼」に欠けた「東夷倭人」には何をしてもよい■

 中華思想の骨格をなすのが、朱子派の儒教の「礼」の概念である。これを古田教授は、以下のように簡潔明快に説明している。

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「礼」とは、日本で言うお辞儀やお礼のことではなく、彼らが道徳的と見なす行儀作法や行動規範のことを指している。たとえば、儒教では火葬してはならない。でも日本人はする。同じ氏族同士では結婚してはならない。でも日本人はイトコ婚をする。

男女の混浴などもってのほかだが、日本の温泉には平然と混浴と書いてあるし、江戸時代には銭湯まで混浴だった。このような「礼」外れは、日本人の道徳性の欠如を示すものであり、ゆえに「東夷倭人」(東の野蛮な日本人)と言われてきたのである。[1,p29]
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 彼らの反日は、この「礼」において、自らを上位に置き、「東夷倭人」を見下すという構造をなしている。

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 靖国参拝問題は一枚皮を剥げば、彼らを害した者を祀った社に関する典礼問題であり、歴史教科書問題は彼らの正当性・道徳性を記述した「正史」に対する東夷の非礼であり、国連安保理常任理事国入り問題は「中華」と比肩しようとする無礼なる夷狄の、小賢しきふるまいとでも言えるだろう。[1,p29]
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■4.中朝韓が執拗に道徳面で日本を見下したがる理由■

 我が国も「皇国史観」という形での近代国民国家ナショナリズムを経験したが、それが生まれたのは、江戸時代後半、日本が長期の平和裡に、未曾有の経済的繁栄を謳歌した事から来ている。

 この泰平と繁栄の原因を、徳川期の儒学者・国学者らは、日本の国体に求めた。日本は万世一系の皇室が治める「皇国」であるがゆえに、治乱興亡定めなきシナよりもよほどよく治まっているのだ、という自信である。

 そして明治以降は、その国体のもとで西洋文明を積極的に吸収し、軍事力・経済力で世界列強の仲間入りをしていった。同時に西洋の近代文明を機敏に吸収できず、変革の進まないシナ・朝鮮に対する侮蔑が生じた。

 日本のプライドとは、万世一系の皇国という歴史的事実、および、軍事力や経済力という、いずれも現実的・客観的な要因が基盤になっている。だから、自らを道徳的に高い、と無理にでも主張する必要はないのである。

 それに対して、中朝韓の中華思想は、「礼」という彼ら独自の基準に基づく「道徳性」で自らを高みに置くというきわめて主観的なものである。それを証明するためにも、中国・韓国・北朝鮮は「慰安婦」やら「侵略」やら「植民地主義」などで、日本を道徳的に劣っていると攻撃し、執拗に自分たちを道徳の次元で上位に置きたがるのである。


■5.「自分に欠けたものがあることを絶対に認めたがらない」■

 古田教授は、もう一つ、中華思想の面白い特徴を指摘している。

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 中華思想の徒は、自分に欠けたものがあることを絶対に認めたがらない。はじめから自分に全的にそなわっていないと嫌なのである。[1,p109]
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 自国が文明的に世界の中心だとすれば、他国から何かを学んだり、取り入れたり、という事は認め難くなる。したがって、何でも自国内で内発的に発展したものと主張しないと気が済まない。

 だから韓国は、茶道や剣道や空手や柔道や合気道からソメイヨシノまで、何でもかんでも自国に起源がある、と主張する。他国民からすれば、なぜ、ことさらかくも執拗に、自国起源説を振り回すのか理解できないが、それは彼らの中華思想の必要性からくるものなのだ。

 この「なんでもかんでも自国起源説」が発展すると、「万葉集は朝鮮語で書かれいる」「皇室のルーツは百済人の末裔」、さらには「日本は朝鮮民族が作った国」などというトンデモ歴史観となる。[b]


■6.「彼らの研究の多くは現実に目を背けたものだ」■

 そんなに文明的にも道徳的に優れた国民が、なぜ経済的には「東夷倭人」の後塵を拝しているのか、という疑問に対する答えが、「日本の侵略」や「日帝(日本帝国主義)36年の搾取」なのである。

 韓国で言えば、自国内に近代化の萌芽があったのに、日本の植民地とされた36年間に徹底的に搾取され、その芽が摘み取られてしまった、というのである。

 しかし、実証的な歴史学では、日本統治時代に朝鮮経済は近代化し、高度成長を実現したことが明らかにされている。併合時代の前期20年間だけで、人口も米の生産量も倍増した。これは30年で内地(日本)の生活水準に追いつく事を目標に、農村植林、水田開拓、河川・砂防工事、ダム建設などの積極的な国土開発が図られ、また医療や教育の制度が整備された結果である。しかも、その予算の多くは日本からの税金や、金融市場で集めた公債によってまかなわれた。これらの社会資本は、戦後そのまま、韓国と北朝鮮に引き渡されたのである。[c]

 ハーバード大学のカーター・J・エッカート教授は、その著書『日本帝国の申し子』の中で、韓国のある民族資本が日本の総督府と殖産銀行の支援を受けて大発展していった事実を実証し、こう述べている。

__________
彼ら(韓国人-JOG注)の研究の多くは現実に目を背けたものだ。まず日本が朝鮮を植民地化したことを非難し、次には植民地の開発が朝鮮のためでなく、日本の国益のためだった点を非難する。しかし、彼らの研究においては、論理よりも日本の行為を弾劾することで得られる感情的満足の方が重要視されているようだ。[1,p112]
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 また日本は満洲にも巨大な資本を投下して、近代的な重工業化を進めた。日本の降伏後、毛沢東は「もし、我々がすべての根拠地を失っても、東北(満洲)さえあれば、それで中国革命の基礎を築くことができる」と言って、満洲の確保に走った。全中国の重工業の約90%を満洲が占めていたからである。[d]


■7.日本軍とは戦わなかった「大韓臨時政府」■

 中朝韓3国は、こうした事実を隠したまま、日本の侵略や搾取によって、彼らの経済発展が大幅に遅れたと主張する。そして、その「悪逆きわまりない」日本を駆逐したという「正史」が、彼らの政権の正統性の根拠となっている。しかし、これも客観的・学問的な歴史学から見れば、「現実に目を背けた」ものである。

 韓国の場合、大東亜戦争勃発当時に「大韓臨時政府」が上海にあったが、日本に対して宣戦布告をしただけで、あとは内部抗争を続けるのみであった。

 そのために「大韓臨時政府」はアメリカにも中国にも承認されていなかった。終戦時、朝鮮独立派のリーダーの一人・金九は重慶で祖国上陸を夢見て韓国光復軍を編成し、訓練を積んでいたが、日本降伏の報に接して、天を仰いで長嘆息し、次のように言ったと伝えられている。

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 韓国軍は日本軍を打ち破ることは一度もなかった。わたしは、日本軍を撃滅してわが同胞を解放したかった。
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 日本降伏後、有志が「朝鮮人民共和国」の樹立を宣言したが、米ソ両国はこれを無視した。そして米軍による3年間の軍政の後で、ようやくアメリカから「光復」を与えられたのである。[e]


■8.米ソから与えられた中朝の政権■

 一方、北朝鮮は多少は戦った実績があるだけ、まだましである。キム・ソンジュは、19歳の時に中国共産党に入党、抗日遊撃隊に所属して、ゲリラの一隊を率いて戦った。1941年には日本の討伐部隊に追われて満洲からソ連領に逃げ込み、ハバロフスクでソ連軍の大尉となった。それ以降、出番のないまま、日本の降伏後、ソ連軍司令部から北朝鮮の首班に選ばれた。そして1920年代から抗日闘士として伝説的な人物であった「金日成将軍」に扮して登場するのである。[f]

 中国においても、日本軍と正面で戦ったのは蒋介石の国民党であり、中国共産党は日本軍の侵攻以前に「長征」と称して、北西部の奥地・延安に逃げ込んでいた。

 中国共産党が政権を取れたのは、アメリカが日本を降伏させ、さらに、戦後、米政権内に巣くう親ソ勢力が、さまざまな形で共産党を根絶しようとする国民党の足を引っ張ったからである。[g]

 中朝韓いずれにせよ、米ソから政権を与えられたのであり、自力で勝ち取ったものではない。だから、「抗日」というフィクションによって、自らの政権の正統性を訴え続けるしかないのである。


■9.反日と中華思想のボルテージが下がるのを待つのみ■

 以上を要約すると、中朝韓3国の「反日」は、次の3つの要素からなる。

1) 欧米や日本が卒業した近代国民国家ナショナリズムの時代を現在の韓国は生きており、中国はその入り口にさしかかった所である。そして我が国は、彼らの近代国民国家ナショナリズムに不可欠の仮想敵にされている。

2) 中華思想に基づいて、日本を「礼」を知らない道徳的に劣った国と見下すことで、国家的プライドを満足させている。

3) 経済的な後進性を、日本の侵略や搾取に責任転嫁しつつ、その日本を駆逐したのは現政権であるという「正史」によって、現政権の正統性を自国民に訴えている。

 こうしてみると、「反日」は彼らの国家の屋台骨をなしている事が分かる。古田教授は、こう結論する。

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 東アジアの人びとが、ある程度平和に互いが仲良く暮らすには、彼らの近代の成熟に期待し、反日と中華思想のボルテージが下がるのを待つという以外にすべはなさそうである。とすれば、この三つとも日本が主体的にどう努力しても、かなう問題ではないということである。

日本はその都度対処し、微笑むべき時は微笑み、押し返すべきときは力強く押し返すということである。毅然として彼らの卑しめの手に乗らぬこと、そして戦うべきは戦わねばならないだろう。[1,p93]
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(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(367) 「日中友好2千年」という虚構
 日本は、中国の冊封体制と中華思想を拒否し、適度の距離感を保ってきた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h16/jog367.html
b. JOG(261) 韓国製トンデモ日本史
 日本は百済の残党が土着原住民を制圧して作った国?!
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog261.html
c. JOG(056) 忘れられた国土開発
 日本統治下の朝鮮では30年で内地(日本)の生活水準に追いつく事を目標に、農村植林、水田開拓などの積極的な国土開発が図られた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h10_2/jog056.html
d. JOG(239) 満洲 ~ 幻の先進工業国家
 傀儡国家、偽満洲国などと罵倒される満洲国に年間百万人以上の中国人がなだれ込んだ理由は?
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog239.html
e. JOG(190) 「お家の事情」の歴史観
「抗日史観」を国家の「背骨」にせざるをえない韓国の「お家の事情」。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog190.html
f. JOG(281) 金日成 ~ スターリンのあやつり人形
 スターリンは、朝鮮人のソ連軍大尉を伝説の英雄・ 金日成に仕立て上げ、朝鮮戦争を仕掛けた。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h15/jog281.html
g. JOG(441) 中国をスターリンに献上した男
 なぜ米国は、やすやすと中国を共産党の手に渡 してしまったのか?
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog441.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
1. 古田博司『東アジア「反日」トライアングル』★★★、
文春新書、H17

韓国問題ー現代編:第一部 「反日ナショナリズム」という病 1-2:日韓関係正常化に向けて

2013-12-02 16:41:16 | 政治
韓国問題ー現代編:第一部 「反日ナショナリズム」という病

1-2 日韓関係正常化に向けて


■1.親たちは、みんな無学な田舎者だったのだ■

 日本で数多くの著書を出版している呉善花(おそんふぁ)さんは、韓国済州島の出身。呉さんが学んだ小学校の教室には大統領の大きな写真が掲げられ、その両脇に「反共」「反日」と大きく書かれたポスターが貼られていた。「反共」の「共」は北朝鮮のこと、共産主義がいかに邪悪で危険な思想であるかを徹底的に教えられた。

「反日」については、日本人が韓国人に対してどれだけ悪いことをしたかが教えられた。「日帝(日本帝国主義)は植民地統治の中枢機関として朝鮮総督府をソウルに設置し、全国いたるところで韓民族に対する徹底的な弾圧と搾取を行ない、支配体制の確立に力を注いだ」といった調子である。

 呉さんの両親は、終戦前の3年間、鹿児島で父の兄弟が経営する箸工場で働いていた。両親は日本人の家に間借りして、「その家族も近所の人たちも大変親切にしてくれた。何かといっては果物やミカンをくれたりしたし、畑をただで貸してくれて野菜を自給することもできた」と、母親は幼い呉さんによく思い出話をしてくれていた。

 その話のはしばしから日本という土地と日本人にとても親しい感情を抱いていることが伝わってきた。それで呉さんは日本に憧れ、大きくなったら日本に行きたいと思っていた。

 しかし、小学校での反日教育を受けた結果、「日本人は親切だ、なんて私にいい聞かせていた親たちは、みんな無学な田舎者だったのだ。日本人がほんとうはどれほど残酷なことを韓国に対して行ってきたかを教わってこなかったから、何も分かっていないのだ」と呉さんは思うようになった。


■2.「反日」を鏡とした韓民族のアイデンティティ■

 呉さんが学んだ民族主義は常に「反日」とセットだった。韓民族が高度な文明を教えてあげたので、日本はなんとか国の形を取れるようになった、その恩も忘れて野蛮な日本民族は、平和的な韓民族を侵略した、、、優れた文明を持ち平和的な韓民族という自画像は、すべて「日本」を鏡としていた。[a]

 そんな呉さんが実際に日本にやってきて、現実の日本人に接すると、、、

__________
 ガチガチの反日思想に身を固めてやってきた私が接した日本人たちは、まるで拍子抜けしたというか、振り上げた拳のもっていき場がないというか、野蛮といえば韓国人の方がよほど野蛮だといいたくなるほど、みんなおとなしくてやさしかったのです。猫っかぶりしているだろう、本国でいわれていたように、やはり日本人は二重人格者なのだ、そのうち本性をあらわすだろう・・・そんな期待も長くは続きませんでした。

 実生活のなかで日本および日本人を知れば知るほど、日本人が「侵略的かつ野蛮な民族的資質」を持っているとは、とうてい真実ではないと思うしかなくなりました。また、「反省も謝罪もする気がない」ということも明らかな嘘だと知ることになりました。[1,p111]

 その結果、私のなかから「反日」が消え、いったい自分は何者なのかということでひどく悩むことになりました。前述のように韓国の民族主義は「反日」と不可分なものです。その「反日」が消えたとき、自分のアイデンティティがガラガラと崩れそうになったのです。

 日本人がどんな人たちかとは関係なく、そこから独立した韓国人としての自分があれば問題はないのですが、常に日本人を鏡にして見る自分、そして韓国人としての自分という存在があったのに、敵対すべき日本人が消えてしまうことで、自分自身の存在すら消えてしまいそうになったのです。[1,p112]
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■3.日本に謝罪させる事が韓国新大統領の試金石■

「反日」が自らのアイデンティティとなっている韓国では、新大統領は、就任後に自ら日本からの謝罪をとりつけなければ、大統領としての権威を確立できない。

 平成10年10月の金大中大統領来日に際して、「日韓共同宣言」が発表された。その冒頭には次のような一節がある。

__________
 小渕総理大臣は、今世紀の日韓両国関係を回顧し、我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。
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 この共同宣言には、「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」という副題がつけられていた。その新たなパートナーシップは、毎回大統領が替わるたびに繰り返される日本の謝罪と反省から始まっていたのである。拓殖大学の田中明教授は、この宣言について、次のように述べている。

__________
 過去史問題にケリをつけるためには、たとえ、いままでの大統領が日本の謝罪を受け、それを了承したとしても、現職大統領がみずから確認しなければダメだ---というのが韓国指導者の立場である。

 なぜなら韓国政治において、前政権はつねに後継政権の否定的対象にされるという"伝統"があるからである。・・・韓国政治の伝統に生きる金大中政権も、自身がはっきりと日本から謝罪を受けるのでなければ、政権のアイデンティティが確立したことにならないのである。[2]
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 日本からの謝罪を取り付けなければ、大統領としての権威が確立できない、というのは、逆に言えば、それだけ国家としての精神的な自立ができていない、という事である。


■4.「反日」に踏み潰された日韓交流■

__________
 朴政権は別として、その後の韓国政権は、初期には対日関係をうまくやっていこうとするが、中盤以降レームダック現象(JOG注:任期切れ間近で実権を失うこと)が生じ、反対勢力が激しくなると、反日というカードを用いて、攻撃を逸らしてきた。だから金大中大統領もそうすると考えておいた方がいいだろう。[2]
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 田中教授のこの予言は、平成13(2001)年夏の歴史教科書問題で見事に的中した。日本の民間会社が作成した歴史教科書の内容を修正するよう韓国政府が日本政府に要求し、それに従わないからといって、日韓の民間交流を制限するという政府命令を下した。

 ある日本の高校は、韓国の高校と姉妹校提携を結び、生徒達が互いの国を訪問して、ホームステイするという交流を続けていた。「文化、生活習慣、食べ方の違いなど、びっくりすることがいろいろあったけど、とにかく楽しくてあっという間に仲良くなれたし、すごく勉強になった。帰ってきてからも、メールでやりとりしている」と生徒達が語るほど、有意義な交流となっていた。

 平成13(2001)年夏も、日本の生徒達が7月に韓国に行くために、飛行機のチケットをとっていたのだが、韓国政府の命令で韓国側から「来ないでください」と断られた。直前のキャンセルで旅費は戻らなかったという。日本の高校生の中には、韓国への抜きがたい不信感を抱いた生徒も多かったであろう。

「21世紀に向けた新たな日韓パートナーシップ」は、本来、こういう交流の中からこそ生まれるべきものであろうが、その小さな芽は金大中政権の自己防衛のための「反日」に踏みつぶされたのである。

■5.アイデンティティの代用品としての「反日」■

 なぜ、韓国で「反日」なくしては自らの「アイデンティティ」もないような事態となったのか。筑波大学の古田博司教授は、次のように述べる。

__________
 韓国のナショナリズムは病であり、おそらくその病は癒えることがない。なぜか。

 国家がその成り立ちにおいて正統性を欠いているからである。いうまでもなく韓国の国是は反日と自ら勝ち取った日本植民地からの独立である。しかるに韓国にはこの闘争を勝ち取った者の姿が当初より存在しない。武器を持って戦った者は皆北に渡った。南の政府の直系の祖たちは上海にのがれて臨時政府を形成したが、セクト対立と内部の暗殺を繰り返して堕落したことは歴史上の事実である。[3]
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 上海にあった「大韓臨時政府」は、内部抗争を繰り返すばかりで、アメリカにも中国にも承認されなかった。日本政府は敗戦後に朝鮮を独立させようとしたが、その動きはすぐにアメリカ政府に拒否され、米英ソ3国は朝鮮の独立を当面認めず、信託統治をする事に決めた。その後、アメリカが国連監視下の選挙で韓国を成立させると、ソ連は対抗して北朝鮮を独立させた。[b]

 インドネシアやインドのように自ら戦って独立を勝ち取った国々では、その勝利の歴史が国民と国家のアイデンティティを支え、それゆえに精神的にも自立して、旧宗主国とも大人の付き合いができる。不幸にもそうした歴史を持たない韓国は、自らのアイデンティティの拠り所を持たない。「反日」ナショナリズムは真のアイデンティティの代用品なのである。


■6.日本の左翼勢力が燃料供給してきた反日ナショナリズム■

 もう一つ韓国にとって不幸だったのは、日本側にも「反日」ナショナリズムに唱和する左翼勢力がいたことである。

 平成4年1月、宮沢首相の訪韓のわずか5日前、朝日新聞は狙いすましたように、日本軍が「慰安所」に関与した証拠が見つかったと報道した。それに激高した韓国民は、ソウル市内で抗議・糾弾のデモ、集会を相次いで開き、日の丸を焼いた。

 ソウルでの宮沢首相は事実を確認する余裕もなく、8回も盧泰愚大統領に謝罪を繰り返した。朝日の発見した「証拠」とは、民間の悪徳業者による慰安婦募集を軍が止めさせようと「関与」した内容であった。[c]

 教科書問題にしても、そのメカニズムは同様だった。

__________
 韓国マスコミは「新しい歴史教科書」問題を昨年(JOG注:平成12年)夏ごろからしきりに取り上げてきた。この背景には韓国マスコミが「良心的」とする日本の左翼・進歩派を中心にした「新教科書」反対勢力の熱心な働きかけもあり、日本で非公開の検定申請本の中身まで引用しながら「侵略美化」「歪曲」と非難を続けてきた。[4]
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 慰安婦問題も歴史教科書問題も、日本の左翼勢力が自民党政権攻撃のために騒ぎを作り、それを韓国のマスコミが政府攻撃の材料に流用して、韓国政府が強硬な対日姿勢をとらざるを得なくなる、という政治メカニズムの繰り返しなのである。呉善花さんは次のように語る。

__________
 韓国の反日民族主義と左翼の思想とは相容れませんから、韓国では反日に呼応して運動する彼らを、終始「日本国内の平和勢力」といい続けてきました。このいい方はいまもなお変わっていませんが、私も韓国にいる時分は「平和勢力」がまさか左翼の人たちとは思わず、ずっと良心的な一般市民だとばかり思っていました。
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 かくして反日ナショナリズムの火は、「日本国内の平和勢力」から何度となく新たなガソリンを供給されて、燃え続けてきたのである。


■7.韓国の孤立性と同質性■

 もう一つ、韓国にはナショナリズムが燃え盛りやすい原因がある。東京都立大学の鄭大均教授は、こう指摘する。

__________
 この国の国民のほとんどすべてはエスニック・コリアンで構成されており、アイヌや沖縄人のような先住民型のマイノリティもいなければ、被差別民のようなカースト型の少数者もいない。人口4700万人のこの国で、ほぼ唯一のエスニック集団といえるのは、1万6000人ほどの台湾籍の華僑であるが、そのプレゼンスは在日韓国人・朝鮮人とは比べものにならない。・・・

 韓国はその一卵性双生児である北朝鮮を除けば、世界で最も同質性の高い国であり、・・・ こうした韓国社会の同質性という条件は、ナショナリズムを燃え上がらせるには恰好の環境である。[5,p103]
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 さらに韓国語の国際的な孤立性という問題を鄭教授は指摘する。

__________
 韓国語は基本的に朝鮮半島に住む韓国・朝鮮人にしか通じない言語であり、しかも韓国人の多くは韓国語以外の言語には通じていない。

・・・韓国語の孤立性は、ナショナリズムの世界ではもっぱら固有性や優秀性の表象として活用されるとともに、それは内で何をいっても外には通じないし、外で何をいわれても内には通じないというナショナリズムの跋扈を支える条件になるのである。[5,p104]
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 我々日本人は、自分自身が世界でも孤立し、かつ最も同質性の高い民族国家だと思っているが、上には上が、それもすぐ隣にいたのである。


■8.日韓関係、正常化への道■

 反日ナショナリズムは韓国人の病である。しかし、日本人には日本人の病があると、鄭教授は言う。

__________
 配慮の精神は日本人の美徳であるが、最近の日本人を見ていると、配慮のメカニズムが働きすぎて、人間関係そのものが希薄となっているという印象を受ける。そんな日本人を見ていると、これは文化というよりは病気ではないかと思うくらいである。[5,p46]
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「日本人が心の底から謝罪しないから、韓国人がいつまでも許してくれないのだ」という自虐的思想は、「配慮のメカニズム」の働き過ぎだろう。そういう気疲れするような配慮は、結局、相手を遠ざけ、日韓関係を希薄なものにするだけである。この日韓のそれぞれの病気をいくらぶつけ合っても、両者の関係の正常化は望み得ないだろう。

 呉善花さんの母親が語る日韓交流の心温まる歴史、そして日韓の高校生同士がお互いの家庭にホームステイして、「とにかく楽しくてあっという間に仲良くなれたし、すごく勉強になった」というような、お互いのエスニックな特質の楽しい行き交い。そういう所からお互いのナショナル・アイデンティティを積極的に認め合う--「ここに拠ることでしか、日韓関係を正常化できる可能性はありません」とは、呉善花さんの結論である。
(文責:伊勢雅臣)

■リンク■
a. JOG(261) 韓国製トンデモ日本史
日本は百済の残党が土着原 住民を制圧して作った国?!
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog261.html
b. JOG(190) 「お家の事情」の歴史観
「抗日史観」を国家の「背骨」にせざるをえない韓国の「お家の事情」。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h13/jog190.html
c. JOG(106) 「従軍慰安婦」問題(上)
日韓友好に打ち込まれた楔。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h11_2/jog106.html

■参考■(お勧め度、★★★★:必読~★:専門家向け)
1. 呉善花、「『反日韓国』に未来はない」★★★、小学館文庫、H13
2. 田中明、「金大中訪日--日韓関係の非対称性」「現代コリア」H10.10、
([5,p18]より再引)
3. 古田博司、「大航海」H13.4、([5,p50]より再引)
4. 産経新聞、「日本の教科書検定 韓国で反日キャンペーン再燃
  マスコミ、政権批判の材料に」、H13.02.21、東京朝刊、5頁
5. 鄭大均、「韓国ナショナリズムの不幸」★★、小学館文庫、H14

アメブロ読者様からのメッセージ

2013-12-02 14:13:58 | 日記
アメブロの親切な読者様からメッセージがありました。
それによりますと、アメブロの私のフリープラグインの下記のアフィリエイトのスクリプトを削除すれば、アメブロの読者が私のブログ「護国夢想日記」を見ることが出来るかも知れないと書いてありました。

そこで早速削除しました。メッセージへの返信が何故か出来なかったので一応ここに記載しておきます。
スクリプト内のURLをクリックしましたら何と中国語で書かれていました。
管理人か担当者に中国人がいる可能性があります。




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韓国問題-現代編:第三部「日韓友好」に隠された欺瞞: 3-1「従軍慰安婦」問題(上)

2013-12-01 17:24:20 | 政治
■■■ Japan On the Globe ■■■ 国際派日本人養成講座 ■■■

韓国問題-現代 第三部「日韓友好」に隠された欺瞞
3-1「従軍慰安婦」問題(上)~日韓友好に打ち込まれた楔

「従軍慰安婦問題」は、こうして仕組まれた。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 転送歓迎 ■■■■■


>■1.米軍がレポートする慰安婦の実態■
 米軍情報部は、北ビルマのミチナ慰安所で収容された慰安婦からの聞き取りをもとに、以下のような報告書を残している。

__________
 女性たちはブローカー(および経営主)が、300~1000円の前借金を親に払って、その債務を慰安所での収入で返還している。経営者との収入配分比率は40~60%、女性たちの稼ぎは月に1000~2000円、兵士の月給は15日~25円。[1,p270]

 慰安婦たちは、通常、個室のある二階建ての大規模家屋に宿泊して、・・・寝起きし、業を営んだ・・・彼女たちの暮らしぶりは、ほかの場所と比べれば贅沢ともいえるほどであった。

 慰安婦は接客を断る権利を認められていた・・・負債の弁済を終えた何人かの慰安婦は朝鮮に帰ることを許された[1,p275]
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 また、ビルマのラングーンで慰安婦をしていた文玉珠さんの手記では、その生活ぶりを次のように語っており、米軍のレポートを裏付けている。

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 支那マーケットにいって買物した。ワ二皮のハンドバッグと靴をわたしのために買った。母のためにもなにか買った。

 将校さんたちに連れられてジープに乗って、ぺグーの涅槃像をみに行った・・・・ヤマダイチロウ(日本兵の恋人)と大邱の母の無事を祈って帰ってきた。[1,p276]
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 ちなみに文玉珠さんは、平成4年に日本の郵便局を訪れ、2万6145円の貯金返還の訴訟を起こして敗れている。千円もあれば故郷の大邱に小さな家が一軒買えると体験記で述べているが、現在の貨幣価値なら、4~5千万円程度の金額を、3年足らずで貯めたことになる。[2,p301]

「従軍慰安婦」というと、海外では"military sexual slavery (軍用性奴隷)"などと呼ばれるように、日本軍によって郷里から強制連行され、戦地では何の自由もなく、もちろん無給で、ひたすら兵士にもてあそばれた、というイメージが定着している。しかし、この米軍の報告書では、まったく違う実態が報告されている。一体、どちらが真実に近いのか?


 ■2.慰安婦問題の経緯■
 まず慰安婦問題の経緯を時系列的に見渡しておこう。

1) 昭和58(1983)年、吉田清治が、著書「私の戦争犯罪・朝鮮人連行強制記録」の中で、昭和18年に軍の命令で「挺身隊」として、韓国斉州島で女性を「強制連行」して慰安婦にしたという「体験」を発表。朝日新聞は、これを平成3('91)年から翌年にかけ、4回にわたり、報道。

2) 平成3年8月11日、朝日新聞は、「女子挺身隊」の名で戦場に連行され、売春行為を強いられた「朝鮮人従軍慰安婦」の一人が名乗り出た、と報道。

3) 同4年1月11日、朝日新聞は、一面トップで「慰安所、軍関与示す資料」、「部隊に設置指示 募集含め統制・監督」と報道。この直後の16日から訪韓した宮沢首相は首脳会談で8回も謝罪を繰り返し、「真相究明」を約束。

4) 同5年8月4日、河野官房長官談話、政府調査の結果、「甘言、弾圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接に荷担したこともあった」と発表。

 この河野談話によって日本政府は、慰安婦が軍によって強制徴集されたことを公式に認めてしまったことになる。これを契機として、中学高校のほとんどの歴史教科書に、「従軍慰安婦」が記述されることになっていった。

 今日では、各方面の調査が進み、以上の報道、発表がどれだけの事実に基づいていたのかが明らかになってきた。以下、この4点を検証する。


 ■3.吉田清治の慰安婦狩り■
 
 まず1)、吉田清治の「私の戦争犯罪・朝鮮人連行強制記録」では、韓国斉州島での、慰安婦強制連行を次のように、描写している。

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 若くて大柄な娘に、山田が「前へ出ろ」とどなった。娘がおびえてそばの年取った女にしがみつくと、山田は・・・台をまわって行って娘の腕をつかんで引きずりだした・・・女工たちはいっせいに叫び声を上げ、泣き声を上げていた。隊員たちは若い娘を引きずり出すのにてこずって、木剣を使い、背中や尻を打ちすえていた。・・・女工の中から慰安婦に徴用した娘は十六人であった。
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 当時は、戦地での強姦事件を防ぐために、公娼業者に戦地で開業させていた。戦地であるから、業者の指名、戦地への移動、営業状態の監督などは、軍の関与が当然あった。これらは当時、合法であった公娼制度の戦地への延長で、特に問題はない。

「従軍慰安婦」問題とは、本人の意思に反した「強制連行を、軍が組織的に行ったか、どうか」の問題なのである。したがって、吉田の言うような強制連行が事実であったら、これは日本の国家的犯罪となる。


 ■4.日本人の悪徳ぶりを示す軽薄な商魂の産物■
 
 吉田の記述は済州島の城山浦にある貝ボタン工場という設定だが、この記事に疑問をもった済州新聞の許栄善記者が現地で調査し、以下のような記事を書いている。

__________
 島民たちは「でたらめだ」と一蹴し、この著述の信想性に対して強く疑問を投げかけている。城山浦の住民のチョン・オクタン(八五歳の女性)は「250余の家しかないこの村で、15人も徴用したとすれば大事件であるが、当時はそんな事実はなかった」と語った。

 郷土史家の金奉玉は「1983年に日本語版が出てから、何年かの間追跡調査した結果、事実でないことを発見した。この本は日本人の悪徳ぶりを示す軽薄な商魂の産物と思われる」と憤慨している。
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 現地調査を行った秦郁彦日大教授は、許栄善女史から、「何が目的でこんな作り話を書くのでしょうか」と聞かれ、答えに窮したという。[1,p232]

 この吉田清治を、朝日新聞は、宮沢首相の訪韓前後1年の間に、4回も紙面に登場させたのだが、秦教授の調査の後は、ぷっつりと起用をやめた。今日では、慰安婦問題の中心的糾弾者である吉見義明中央大教授すら、吉田清治の著作は採用しなくなっている。


 ■5.名乗り出た慰安婦■
 
 次に2)の自ら名乗り出た慰安婦について。平成3年8月11日付け朝日新聞は、社会面トップで「思い出すと今も涙」「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」とのタイトルで、「日中戦争や第二次大戦の際、女子挺身隊の戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた朝鮮人従軍慰安婦のうち、一人が」名乗り出たと報じた。

 しかし、この女性、金学順さんは、「女子挺身隊」として連行などされていない事を、8月14日の記者会見で自ら語っている。ある韓国紙はそれを次のように報じた。[2,p291]

__________
 生活が苦しくなった母親によって14歳の時に平壌のあるキーセン検番(日本でいう置屋)に売られていった。三年間の検番生活を終えた金さんが初めての就職だと思って、検番の義父に連れていかれた所が、華北の日本軍300名余りがいる部隊の前だった」「ハンギョレ新聞」'91年8月15日付
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 当時、内地でもよくあった気の毒な「身売り」の話なのである。国家による組織的な強制連行とは関係ない。

 そもそも「女子挺身隊」とは、昭和18年9月に閣議決定されたもので、金学順さんが17歳であった昭和14年には存在していない制度である。さらに「女子挺身隊」とは、販売店員、改札係、車掌、理髪師など、17職種の男子就業を禁止し、25歳未満の女子を動員したものであり、慰安婦とは何の関係もない。

 さらに「従軍慰安婦」という言葉自体が、当時は存在しなかった。従軍看護婦は、軍属(軍隊の一部)であり、従軍記者、従軍僧は、法令により定められた身分で指定された部隊につく。

 慰安婦は公娼業者が雇ったもので、それはたとえば、県庁の食堂に給食業者を入れていた場合、その業者の被雇用者は、県の職員ではなく、身分も契約も県とは関係ないのと同じ事だ。「従軍慰安婦」とは、従軍看護婦などとの連想で、あたかも部隊の一部であると読者に思い込ませるための造語である。

 金学順さんは、その後、日本国を相手とした訴訟の原告の一人となるが、それを支援しているのが太平洋戦争犠牲者遺族会であり、この記事を書いた朝日の槙村記者は、会の常任理事の娘と結婚している。当然、韓国語も達者であり、金学順さんの話した内容はよく知っていたはずである。

 金学順さんが「売られた」という事実を隠し、「女子挺身隊として連行された」というこの記事は槙村記者による、意図的な捏造記事である。その後の訂正記事も出していない。


 ■6.強制連行された慰安婦はいたか?■
 
 韓国で慰安婦問題の取組みの中心となっている「挺身隊問題対策協議会」は、元慰安婦として登録された55名のうち、連絡可能な40余名に聞き取りをした。論理的に話が合うか、など、検証をしつつ、その中から信頼度の高い19人を選んで、証言集を出版した。

 今まで何らかの機会に、強制連行されたと主張しているのは、9人だが、信憑性があるとしてこの証言集に含められたのは、4人のみ。さらにそのうちの二人は富山、釜山と戦地ではない所で慰安婦にされたと主張していて、「従軍慰安婦」ではあり得ない。残る二人が、金学順さんと、冒頭の4~5千万円相当の貯金をしたという文玉珠さんなのだが、この証言集では、強制連行されたとは述べていない。

 結局、韓国側調査で信憑性があるとされた証言のうち、従軍慰安婦として強制連行されたと認められたものは、ひとつもない、というのが実態である。[2,p275]


 ■7.軍の関与とは■
 
 次に宮沢首相の訪韓直前に発表され、公式謝罪に追い込んだ3)の「慰安所、軍関与示す資料」の朝日新聞記事はどうか。

 発見された文書とは昭和13年に陸軍省により、「軍慰安所従業婦等募集に関する件」であり、その中では、

__________
 民間業者が慰安婦を募集する際、(1)軍部諒解の名儀を悪用、(2)従軍記者、慰問者らを介した不統制な募集、(3)誘拐に類する方法を使って警察に取調べられるなどの問題が多発しているので、業者の選定をしっかりし、地方憲兵警察と連繋を密にせよ[2,p267]
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と命じている。すなわち「関与」とは、民間の悪徳業者による「強制連行」を、軍が警察と協カしてやめさせようとした事なのである。

 この内容を「慰安所、軍関与示す資料」、「部隊に設置指示 募集含め統制・監督」とタイトルをつけて、一面トップで報道し、さらに次のような解説を載せた。

__________
従軍慰安婦。1930年代、中国で日本軍兵士による強姦事件が多発したため、反日感情を抑えるのと性病を防ぐために慰安所を設けた。元軍人や軍医などの証言によると、開設当初から約八割は朝鮮人女性だったといわれる。太平洋戦争に入ると、主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる。
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 これらをあわせ読めば、ほとんどの読者は、「日本軍が組織的に強制連行に関与した」と思い込むであろう。まことに巧妙なひっかけ記事である。

 この記事が、狙い済ましたように、宮沢首相訪韓のわずか5日前に発表されたことから、絶大な効果を発揮した。ソウル市内では抗議・糾弾のデモ、集会が相次ぎ、日の丸が焼かれる中で、宮沢首相は事実を確認する余裕もなく、8回も盧泰愚大統領に謝罪を繰り返した。(続く)


■ 参考 ■
1. 「慰安婦の戦場の性」、秦郁彦、新潮選書、H11.6
2. 「闇に挑む!」、西岡力、徳間文庫、H10.9
3. 「慰安婦強制連行はなかった」、太子堂経慰、展転社、H11.2
4. 「歴史教科書への疑問」、日本の前途と歴史教育を考える  若手議員の会編、展転社、H9.12.23
5. 「日本人が捏造したインドネシア慰安婦」、中嶋慎三郎、  祖国と青年、H8.12
6. 産経新聞、H11.08.27 東京朝刊 4頁 国際2面