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◎奥山篤信の映画批評 スペイン映画『オリーブの樹は呼んでいる』原題El OLIVO 2016 月刊日本7月号より

2017-06-26 07:56:59 | 映画

◎奥山篤信の映画批評 スペイン映画『オリーブの樹は呼んでいる』原題El OLIVO 2016 月刊日本7月号より
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~自然を通じた祖先との心と血と地の絆こそ、本物の民族の文化と愛の継承だ~

オリーブというのは3000年も生き続け実をつける、それも必ずしも肥沃でない土地に力強く根付くものであり、ギリシャ神話のみならず聖書でも色々な意味で位置付けがある。

そんな地中海の代表とも言えるオリーブ、その農園を舞台に描くこの映画は決して派手な映画ではないが、農園を守ってきた祖父とその祖父に幼女の頃から親しんだ孫娘とのオリーブの樹をめぐっての愛の物語だ。

舞台はつい3月から4月にかけて僕が4週間スペイン語習得のために滞在したバレンシア州首都バレンシアその州に属するAlto Maestrazgoが舞台だ。

4週間の滞在だったが、スペインでも、スペイン語と異なる自らの言語があり、むしろバルセロナのカタロニア語に近いもので、この地は地中海気候のもとオレンジ・農産物や海産物などに恵まれ(日本人の好きなパエーヤの発祥の地)、

歴史的にもカトリック・イスラム・ユダヤ教の影響を受ける魅力のある地域だ。しかも民度は高くまたスペイン的な熱い情に接することができる快適な魅力満載の場所だ。
E

U内にはドイツや北欧を中心に高度な物質文明の地域とスペインやギリシャのような非物質文明というか農業中心の地域の南北問題は深刻だ。

この映画はそのコントラストとして片やバレンシア地方の<血と地の絆>の<南>とドイツ・デュセッルドルフと云うまさに先進商業都市の<偽善と欺瞞>の<北>を対極として描いていることに注目せねばならない。

バレンシアから南フランス・イタリーを経てデュセッルドルフへの、大型クレーン付きトラック旅のロード・ムービー的要素もその面白さを浮き彫りにする。

日本も同様だが農業地帯は資本主義の競争原理からは必ず行き詰る。だからこの映画で描く<血と地の絆>の代表たる祖父のオリーブの樹に対する思いとは別に次世代は生き残るために<祖父の心の源泉>(ローマ帝国時代の2000年の樹齢)であるオリーブ樹を、目先の金目当てに企業論理の欺瞞に囚われたドイツ資本に売り飛ばしてしまう。

しかもそのドイツ企業はいわゆる水やエネルギーの独占資本で環境破壊の尖兵でもある。その環境破壊者が、宣伝の為に偽善と欺瞞を込めて、この2000年の樹齢のオリーブを本社のロビーに環境保護の謳い文句(象徴)として飾っているのだ。

その欺瞞に対して、孫娘はネットを通じ、悪の企業として環境団体を扇動するが、これとてどこの世界にもあるように、単なるサヨクの反対のための反対であり、まさに形を変えた偽善と欺瞞でしかないのだ。

まさに日本においてと同様顎足付きで駆り出される衆愚に過ぎないのだ。どちらの側も<偽善と欺瞞の虚構>でしかない。

そんな虚しい孫娘の努力は挫折するが、オリーブの一枝を死の床の祖父に持ち帰り、かって大木があった場所に植林する。果たして2000年後の子孫がいかに対処するか?

そんな真心と愛に満ちた孫娘の心の旅を描いて感動させる作品だ!伝統や文化は日本では歌舞伎・浄瑠璃から神道まで色々ある、もちろん国家として象徴として、これらを断固守らねばならないが、概ね商業化してしまい形骸化されている。

丁度滅びの悲哀を込めたアメリカ・インディアンがその手芸品を観光客に、それがインディアンの象徴かのように土産物屋で売るように!

しかし本物の日本の誇るべき美しい文化は、農業すなわち緑と水に満ちた水田風景を背景に存在することが理解されていない。そんなことを、じっくり考える機会になれば良いと考える。

映画はスペインの女流監督イシアル・ボジャインの演出で、脚本は彼女の夫で尊敬するケン・ローチ監督の作品の『麦の穂をゆらす風』や『わたしは、ダニエル・ブレイク』などのポール・ラヴァーティだ。

コミカル性を取り入れた社会派ドラマで才能を見せる脚本家だ。第31回ゴヤ賞では新人女優賞(アンナ・カスティーリョ)を受賞した。



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