ブータンと中国人民解放軍
転載させていただきました
皇后さま(中央)は来日中のブータンの
ジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王(右)と
ジェツン・ペマ王妃(左)にあいさつにされた(ロイター)
http://sankei.jp.msn.com/images/news/111116/asi11111621370007-p1.jpg
ブータン国王夫妻(共同)
http://sankei.jp.msn.com/images/news/111027/asi11102708470002-p1.jpg
…..
「猫多摩散歩日記 2」
知ってますか?ブータンのこと
http://kkagayaki2.exblog.jp/16801207/
ひろすさんの日記
国土を奪われるということ
普段はウイグル問題にコミットして活動しているのですが、
私達の活動というのはウイグル人の悲哀を語り中国を
批判することだけではなく、その現状を解決させるべく、
日本の外交カードを徹底的に行使するような環境を
作っていくことが第一義だと思っています。
そして、それと同時に「国を奪われること」とは
どういうことなのか、そしてそれが一体国民にどのような
影響を及ぼしてきたのか、またどのようになっていくのか
ということをなるべく分かりやすく世論に訴えると
いうことも大切な仕事の一つです。
ブータンのワンチュク国王御夫妻が国賓として来日され、
20日まで滞在されるとのこと。ご療養されている
天皇陛下の名代として皇太子殿下が会見をされ、歓迎式典
では秋篠宮殿下、紀子妃殿下も列席されお祝いをされました。
ブータンはチベット仏教徒が多く暮らす小国で、金銭的な
豊かさの指標となる国民総生産(GNP)ではなく
「国民総幸福量(GNH)」を提唱する国家として知られ、
経済指標では捉えられないものを追求する国家として
報道されています。又、70万人の小国ながら
東日本大震災の義援金として100万ドルを寄付してくれた
国家です。
ちなみに余談ですが、ブータンのサッカー代表の監督は
日本人で、FIFAランキングは現在199位。2002年には、
日韓ワールドカップ決勝(ドイツvsブラジル)のその日に、
当時ランキングのブービーだったブータンと最下位の
モントセラトが裏世界一決定戦を行いブータンが勝利。
当日は競技場に25000人の観衆がつめかけ、その模様は、
「アザーファイナル」というドキュメンタリー映画として
記録されています。
(k-このニュース覚えています。)
さて、なぜこの日記の表題で、ブータンの話をしたのか、
もしかしたら不思議に思われるかもしれません。
ですが、このブータンも又、国家として主権を確保して
いるものの「国土を奪われた」国家の一つでもあるのです。
2006年、ブータンは中国に国土を奪われました。
ブータンは国土の北西部を中国と接しているのですが、
国境線を警備する人民解放軍が数年を掛けて南下し侵入、
ブータン領土内に小屋や施設を作り、さらには道路まで
作って実効支配したのです。侵略された土地は
約8000平方キロに及び、ブータンの国土面積の約20%にも及びます。
人民解放軍が南下した理由は、冬虫夏草の採集と
ヤクの狩猟であり、ブータンもこれには強い抗議を
しています。
そんな中で、やはり人民解放軍が冬虫夏草を投機目的の
中国人に売り捌き、さらにブータンの人々にとって
貴重なタンパク源として重要な食物であるヤクも激減
した事実も確認され、ブータンの主張は証明されました
(このあたりは、ノンフィクション作家の河添恵子さんが
WILLに詳細をレポートしています)。
当然、ブータンにも国防の為の軍隊がありますが、
陸軍がメインで空軍はありません。
広く人民解放軍の侵入を監視し、警告することは非常に難しい。
しかも、7000名程度の規模であり、もし仮に自衛戦争に
突入したとしても人民解放軍には太刀打ちできないでしょう。
中国はこのブータンの内情を理解しているので、
我物顔で実効支配をしているという訳です。
又、先日サッカーの日本代表がW杯予選で対戦した
タジキスタンも今年に入って、パミール高原の一部
(1000平方キロ)を中国に割譲しています。
しかし、中国はパミール高原の28500平方キロの割譲を
要求しており、今後タジキスタンへの経済的な浸透が
高まれば、中国はさらに割譲の要求を行うでしょう。
ブータン国王が来日した理由、それは単に国王御夫妻が
日本が好きであることと、被災地の慰問を行いたいという
理由だけではないはずです。
国王の口からは絶対に語られることはないですが、一人でも
多くの日本人にブータンという国家の実情を知ってほしい
ということも含まれているはずだと私は思います。
マスメディアが語る「桃源郷=ユートピア」、国民の
9割が幸せを感じるという報道の裏には、中国という
脅威によるブータンの伝統文化、チベット仏教、そして
主権の明らかな危機が迫っているという明明白白な
事実があるのです。
(メディア批判は本来、こういう一方の側面からしか
報道しないという怠慢という点でもされるべきです。)
日本の大災害に心を寄せ、多額の義援金まで送り、
自身の新婚旅行に日本のそれも被災地訪問を選択した
ブータン国王御夫妻。ブータンという国家の深層海流と、
御夫妻の口には出来ない真実を理解しない限り、
本物の外交そして「友好」は成されないと強く思います。
日本人が知らなければならないことを大きく報道しないせいか
親日国のことも広く伝わっていない。
日本の上層部とマスゴミが伝えないのなら我々が積極的に
知る努力をし、伝えて行く必要がある。
チベットと共にブータンも好きな国です。大切にしましょう。
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ブータンVS中国
http://ihasa.seesaa.net/article/10910278.html
抜粋
ーーーそもそもの原因なのですが、South Asia Networkの
記事によるとブータンと中国との間で1998年に
ブータン-中国国境470キロの策定協定を結んだよう
なのですが、中国側がその協定を破る形でブータン側に
道路建設を行ったということが原因のようです。
この為、ブータンでは「このまま建設した道路の地域を
中国に編入するのではないか?」という疑念が生じ、
抗議しているということのようです。
至極真っ当な疑念と抗議だと思います。
では、中国側はなぜ道路を建設したのか?Independentの
記事のよると「Cordyceps(冬虫夏草)」と呼ばれている
珍しいキノコ(1キロ当たり4000ポンド)を狩るための
道であるようです。
中共中央が噛んでいるというか、単に諸侯が勝手に誤って
建設したのでしょうね。それに対して抗議するも、
中共中央は面子を気にして引き下がれないというのが
実情なような気がします
(もしかしたら深慮な目的があるのかも知れませんが)。
7月には、この道を使ってブータン側に密入国しキノコ狩り
を行う中国人が多いと抗議を行っていますが、中国側は
「大げさな」と一蹴し、道路建設を黙認していたようです。
中国のこのような回答と態度に対してブータンの議員の一人は
次のように言っています。
ブータンは限られた土地の小さな国です。
我々がほんの小さな地域を失うとすれば、それは
我々の将来の世代に大きな問題を残すことになりますし、
更には国家主権に関わる問題でもあります。
Independent「Bhutan's rare and exotic fungi 'stolen to order'」
中国が領土侵犯を犯しているのは、6キロの道路のうちの
4キロに過ぎませんが、将来の世代へ禍根を残さないために
国家の威信にかけて抗議を行っているわけです。
また、政府に対して国境警備隊の派遣を要請しています。
ブータンが軍隊を持っているのかどうか知りませんが、
問題となっている地域に警備隊は常駐していないようです。
せめて、4月~8月のキノコ狩りシーズンの間だけでも
派遣して欲しいと要請しています。中国は、ブータン側が
無防備なことをよいことに、協約を破棄して侵略を
行っているわけです。
外交部の会見にあるように口では問題解決に前向きな
ポーズを示しながら、自ら問題を更に拡大し、その手を
緩めることなく既成事実をどんどん積み上げていく。
そうです、東シナ海で日本に対して行ってることと全く同じ手法です。
その他のソース記事
HindustanTimes「Democracy gets royal sanction」
Times of India「Bhutan accuses China of intrusion」
Save Tibet「Bhutan's Deputies Concerned By Border Issues with China」
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