「役に立たないメディアには死を」
マードック氏
2009年12月4日
日経BP
原文タイトル:Let Them Fail, Says Murdoch
メディア王マードック氏はFTC研究会で、
メディアの将来は明るいが誰もが生き残れる
わけではないと表明。
ワシントン発──ニュースメディアを
悩ませている問題に対する解決策とは何
だろうか。「淘汰」だとルパート・マー
ドック氏は言う。少なくとも一部の大規模
ニュースメディアはいずれ消えてゆかねば
ならない。そして政府はそれを妨げては
ならない。
これは1日午前に行われた米連邦取引委員会
(FTC)の研究会で、ジャーナリズムの将来に
ついてマードック氏が述べた内容である。
研究会には多くの人が詰めかけたが、その中
にはニュースサイト
Huffington PostのArianna Huffington氏や
調査報道専門サイトProPublicaのCEO、
Paul Steiger氏などもいた。
1時間遅れで会場に到着したNews Corpの
CEOマードック氏は、政府担当上級副社長の
Maureen O'Connell氏と席に着くと額を寄せて
発表内容をまとめていたが、マイクをとるや、
それまでの発言者の陰気な不満話を一掃した。
「我々はニュースの商売をしており、
(新聞や雑誌といった)旧メディアの商売では
ない。これまでにないようなイノベーションを
成し遂げなければならない」とマードック氏は
語った。だが同時に「質の良いジャーナリズム
には金がかかる。…無料のニュース記事などと
いうものはあり得ない」ことも認識している。
無料のランチもあり得ないのと同じだ。
質の悪い食事を出すレストランや、ポンコツ
車をつくる自動車メーカーと同じく、役に立
たないニュースメディアは消えるに任せるべき
だとマードック氏は語った。カギとなるのは
報道活動に対する適正な報酬であり、ここで
氏が示唆しているのは、先日発表された
グーグルからNews Corpのコンテンツを切り離す
計画のことである。
それによるとNews Corpは、そのニュース、
スポーツ、エンターテイメント情報をMicrosoft
の検索エンジンBingだけに提供する。
うち一部は有料とする予定だ。「人々は金を
出さないと指摘する批評家もいる。そこで私は
こう言います。読者は払う」。
マードック氏が正しいことを期待しよう。
ジャーナリスト教育機関Poynter Instituteの
メディアアナリストRick Edmonds氏は、新聞
事業においては倒産や失業が今後増加すると予測。
一部の地域では、科学や州議会関係の独自取材は
ほとんど消えるという。Edmonds氏によると、
インターネット広告の収益が減少した理由としては、
増加する一方のさわがしい広告の山をユーザーが
視覚的に無視するという「バナーブラインドネス」
がある。
ワシントンポスト紙のコラムニストRuth Marcus氏
の夫であるFTCのJon Leibowitz委員長は、新聞
各紙の広告収入が13四半期連続して落ち込んでいる
現象を「創造的破壊」と表現した。委員長によれば、
問題は「創造されるものより破壊されるもののほう
が多いかもしれない」ことだ。
Leibowitz氏によると、FTCは来年春にもう数回
ほど報道機関との会合を開き、著作権問題や行動
分析によるマーケティング、ウェブユーザーからの
個人情報収集活動などにおいて起こりうる変化に
ついて考察、「ジャーナリズムは苦境に陥っている」
と説明する。そして政府は支援したがっているのだ。
この問題で政府が積極的に果たせる役割はある
だろうか。マードック氏は「ある」と語った。
いまこそ連邦通信委員会(FCC)は、メディアの
クロス所有(新聞・放送メディアを一社が所有する
こと)規制を撤廃すべきだろう。
日本でも・・・・
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