実は日本の技術力は宇宙産業においてすでに世界のトップクラスです。たとえば昨年9月、日本の無人補給機「HTV」は自動制御によって秒速8キロメートルの超音速で動く国際宇宙ステーションに見事なドッキングを果たしました。惑星探査機「はやぶさ」(今年6月帰還予定)は、5年前に地球から約3億キロメートル離れた小惑星「イトカワ」への着陸に成功し、世界で初めて月以外の天体に到達するという偉業を成し遂げています。その気になれば、日本は独自に有人飛行や月面着陸を実現できる力を持っているのです。
必要なのは気概
今、日本に必要なのは「実力」ではなく「気概」なのです。
地球の人口は70億人に近づき、40年後には100億人に達すると言われるなか、世界中で食料やエネルギーの奪い合いが起きる懸念が高まっています。この問題を根本的に解決するためには、宇宙というフロンティアを開く必要があります。
本格的に宇宙開発に乗り出せば、国内外から高度な知識を持つ優秀な人材が集まり、最先端技術が次々と生まれ、新たな産業を創出し、多くの雇用が生まれます。宇宙分野は新たな基幹産業となり得るのです。
今こそ、かつてのアポロ計画のように“人類の夢”となる大きな国家プロジェクトを打ち出すべきです。私たちが目指すべきフロンティアは、月や火星への移住です。そのくらいの気概なくして、人類の未来は開けませんし、長期不況の克服も成し得ないでしょう。
【プロフィル】木村智重
きむら・ともしげ 1958年、大阪府生まれ。京都大学法学部卒、米国エール大学経営大学院修了(MBA)。東洋信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)ニューヨーク支店などに勤務。94年、宗教法人幸福の科学に入局。理事長、国際本部長などを経て、2009年9月、幸福実現党党首に就任。妻と2人の息子の4人家族。趣味は森林浴と街ブラ。