goo blog サービス終了のお知らせ 

倭人語のすすめ

倭人の言葉が残されていた。古事記の神々の多くは、秘文とされた文書を基にしていた。一音一義の倭人語を解き明かしたいと思う。

弓前文書 第4章第1節

2025-07-29 09:22:12 | 弓前文書(神文)

4000アマツムカムロミチノリム[天真津威醸移現育延座醸 a ma tiumu ka mu ro mi tiu nou ri mu]
【原本訳】大宇は意図す、大自然変化の流れ行く道筋、秩序立てへの順応。
【一音訳】[天]ああ![真]真の姿[津]意図は[威]偉大な変化力[醸]進む[移]~ている[現]ありのままの姿[育]力の流れ[延]秩序立て[座]完了[醸]発展する。進展する
【文節訳】[天真津]大自然が意図したこと[威醸移]自然変化が進んでゆく[現育]道筋[延座醸]自然の秩序に順応する。自らの秩序立ての力に組み込んで発展して行く[延座]秩序立てそのもの※法(ノリ)の語源
【解釈訳】大自然の秩序に順応するという総まとめ編になっている。アマツムカムロミチは惟神(かんながら)の道の語源である。惟神の道の意味を調べると、人は自然の一員として生まれ、自然とともに生きる。現実を誠実に自然のままに生き、結果を素直に受け入れる。となっている。
【意訳】 大自然への順応(第4章章題)


第四章 第一節
4100パツイザナカムロプノリム[晴゜積親陜成威醸移震゜延座醸 pa tu iu tsau na ka mu ro pu nou ri mu]
【原本訳】この世の姿誘(いざな)うは、周囲の霊気を誘発し、秩序を立てて醸し出せ。
【一音訳】[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[積]積み上げる[親]自然の親しみ[陜]接近する[成]秩序が出来上がった[威]変わる[醸]進展する[移]進行中[震゜]自然の意志と力が発動する[延]秩序立て[座]完了、静止した[醸]発展する、進展する
【文節訳】[晴゜積]始まり[親陜成]生命有限。現象は分解、消滅して行く[威醸移]自然変化の法則。自然変化は進んで行く[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展[延座]秩序立てそのもの
【解釈訳】パツ、始まり。イザナ、現象の分解消滅の意味があるが、本来は、親しく雌雄交合して個を確立する。個を確立したがために、現象は続かず、分解消滅する過程をとる。つまり、現実化して生長し、維持し、衰退し、分解し、消滅するこの世での姿だ。、カムロプ、自然変化の法則に基づいて潜在力が発動する、ノリム、秩序立てが進行する。秩序立ての進行、つまり、自然の秩序に順応するとはどのようなものか、総まとめ編ともいうべきものである。
【意訳】現象の始まりは、自然変化の法則に基づいて潜在力が発動することによる。だから自然の秩序に順応しなさい。(第4章第1節節題)


4101カムアポナ[威醸会穂゜成 ka mu au po na]
【原本訳】自然の心分霊(わけい)となれり。
【一音訳】[威]大自然の変わり行く力[醸]進展[会]出会う[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[成]物事が完成した
【文節訳】[威醸]自然の不思議な営み[会穂゜成]アポナミ(3103)の世界、現世。分霊がエネルギーをどんどん吸収する成長期となった[会穂゜]独立した自然意志。分霊との出合い
【意訳】自然の潜在力から独立の意志を持つ分霊が出来る。


4102ピレプヨヤ[霊゜舞震゜因因゛piu rai pu you yau]
【原本訳】意志は籠りて倍々増える。
【一音訳】[霊゜]意志の潜在エネネルギー[舞]集中動作[震゜]自然の意志と力が発動する[因]定められた通り[因゛]益々
【意訳】自然の意志は集中し、活性化して、次々因縁をつくる。


4103ヤタヤマタ[因゛垂因゛増垂 yau ta yau mau ta]
【原本訳】力は溢れ、さらに増え行く。
【一音訳】[因゛]いよいよ[垂]力が溢れ出る[因゛]いよいよ[増]物質増加の最大の姿[垂]力が溢れ出る
【意訳】分霊は次々とエネルギーを取り込んで、力は溢れ、さらに増えてゆく。


4104トヨウツガ[充因美積母 tou you u tu xau]
【原本訳】道に生きたり、ああ生みの母。
【一音訳】[充]極めて物事が充実[因]世[美]生まれる[積]積み上げる[母]母体。生命を生む母体
【文節訳】[充因]満ち満ちたる世界、十分なる原因※豊の語源[美積]生まれる、動き出す、それが次々積み重なって行く
【意訳】豊かに次々と生み育てる母体


4105ヤモヤマエ[因゛萌因゛増重 yau mou yau mau yai]
【原本訳】さらに増え益し、弥(いや)重ね積む。
【一音訳】[因゛]更に[萌]目に見えて物質が増加して行く[因゛]益々[増]増加[重]原因・結果が次々と繰り返し繰り返し積み重なって行く
【意訳】母体により、さらに増え、いよいよ増えてゆく


4106イザナプル[親陜成震゜活 iu tsau na pu ru]
【原本訳】周囲の霊気誘われ震う。
【一音訳】[親]自然の親しみ[陜]接近する[成]秩序が出来上がった[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形。一般動作
【文節訳】[親陜]接近力[成震゜活]潜在力を誘い込む
【解説訳】イザは接近力、ナプルを付け加えると、潜在力を誘い込む。何が増えてる状況なのかというと、分霊が増えている、それは潜在力、目に見えない潜在力が増えている状況で近くにある潜在力を秩序立ってふるい起こす。それが誘い込むという意味なのだろう。誘い込まれて震え発動する、活性化したということだろう。
【意訳】分霊の周りの潜在力も巻き込んで活性化して行くく。


4107マパレピレ[真晴゜舞霊゜舞 ma pa rai piu rai]
【原本訳】自然の力集まり来たり。
【一音訳】[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力[舞]集中動作[霊゜]自然の意志と力[舞]集中動作
【文節訳】[真晴゜舞]自然のエネルギーが流れ込む。宇宙の持つ潜在力が集中し出した[霊゜舞]現象の命のもと。熱と力
【解説訳】マパレ、自然のエネルギー[晴゜]が集中する真の姿、つまり、自然のエネルギーが流れ込んできた。
【意訳】潜在力が大集結して命の素となる。


4108カムロアパ[威醸移会晴゜ka mu ro au pa]
【原本訳】自然に種が姿を見せむ。
【一音訳】[威]変わる[醸]進展する[移]進行中の動作[会]出合いの時期到来[晴゜]大自然の持つ意志とその力
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く。自然の法則[会晴゜]意志自然力との出合い。自然のエネルギーは結実する
【解説訳】カムロ、自然の法則によって自然変化は進んで行く。アパ、潜在力の意志に出会う。出会った結果、自然のエネルギーが結実する、現実化する。
 この節で述べられていることは、少々の潜在力じゃなく、とてつもないほどの潜在力のエネルギーを集めて集中させることにより、ようやく一人の人間を誕生させることができる、ということだろう。
【意訳】自然の法則に従い潜在力は結実する。
 

弓前文書 第4章第2節

2025-07-29 09:21:54 | 弓前文書(神文)
4200ウツヂュグガカムロパノリム[美積集゛哈゛狩威醸移晴゜延座醸 u tu jiu xgu xa ka mu ro pa nou ri mu]
【原本訳】現実阻む罪穢れ、自然の流れ張り放つ、秩序を立てて醸し出せ。
【一音訳】[美]生まれる[積]物事が増大して行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[哈゛]いっぱいくっついている。何がくっついているかというと他人の身についている過去一切[狩]自然の掟を破る[威]変わる[醸]進展する[移]進行中[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[延]秩序立て[座]完了[醸]進展する
【文節訳】[美積]この世に生じた。[集゛哈゛狩]わが身の過去一切、他人の身についている過去一切、自然の掟を破ること。[威醸移晴゜]自然の掟に従って自然の力が流れ込む。[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展
【解説訳】ジュグガについて。過去一切ということは、罪や穢れをため込んでいる状態。人間生きていれば、必ず、いろいろな罪や穢れ。自分だけじゃなく、他人の罪や穢れも受け取ってしまう。つまり、人間が垢が溜まる、錆びて来るということで、その為、人間でいられるエネルギーが無くなって、維持できなくなるということだろう。ガ[狩]について、掟を破って来たことというのは、生きていれば木を切り燃やし動物を狩り、植物を刈る。自然に対して、自然ではないことをしている。獲得するという意味から、自然を犯して物を取るということで、自然の掟を破るという意味になるのだろう。カムロパについて、カムロで自然変化は進んで行く、そこのパという自然の力の流れに乗って行きなさいということだろう。
 ここで、弥生人の罪と汚れについてまとめておきたいと思う。罪の語源はヂュミ[集゛実ju miu]。現代の罪(つみ)という言葉の中には、多分に道徳的な意味を持っているが、古代人にとっては、日々の犯して来た過去のすべてが罪であり、それを身につけていることは自分の生命の損失に当たるという認識である。糞、尿、屁、汗、垢も含め日々生活するだけで罪になる。穢れの語源はケグ[異哈゛kai xgu]。異物を加えるという意味であり、他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く、他人の罪が自分にくっつく、異なったものをくわえ込むということ。すんだことはすべて汚れ、穢れになる。罪は自分自身で作った汚れ、穢れは他人から受け取った汚れといえるだろう。[集゛哈゛]は[集゛実]と[異哈゛]のこと。古代倭人は罪、穢れを溜めておくことは命を縮める、という思想を持っていた。そこで「罪、汚れを祓えたまえ清めたまえ]の祝詞(のりと)ができた。
【意訳】この世で生じた罪穢れは自然の流れに解き放ちなさい。自然の秩序に順応することが大事です。(第4章第2節節題)


4201タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】威大な力が輪廻する。
【解説訳】3301と同じ。潜在力が過去から未来へと流れ、未来から過去へと流れる。人間について考察すると、現世は潜在力が人間の肉体を保っているとき。死を迎えるとは、潜在力が肉体を維持できず死に潜在力だけが残る。それは過去となったことであり、あの世、黄泉の世界である。そして人間を維持する力を失った潜在力は時を経て汚れを落とし力を回復し、未来において再度人間を誕生させる。この繰り返しである。
【意訳】潜在力は循環する。


4202カムロキミユ[威醸移岐現結 ka mu ro ki mi yu]
【原本訳】現れにける大自然。
【一音訳】[威]偉大な変化力[醸]進展する[移]進行中[岐]現象[現]見えているものの姿[結]縁が出来た
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移岐]大自然の現象[現結]見えるようになった。現れた。
【解説訳】[威]とは潜在力です。見えない力です。見えない力が見えるようになった。潜在力が現象を起こして実体化し、見えるようになった。見えるようになったものは大自然。
【意訳】潜在力が現象を起こし、大自然が現れた。


4203イザナキヨ[親陜成岐因 iu tsau na ki you]
【原本訳】この現実の浮世にて。
【一音訳】[親]自然の親しみ[陜]接近する[成]秩序が出来上がった[岐]現象[因]世
【解説訳】[親陜成]生命有限。現象は分解、消滅して行く。雌雄の世界に入ったがため、個として有限の生命となった。雌雄によって生まれた子は、個々それぞれ独自の才能があり、それぞれ発展して行く。生まれ育ち維持し衰え死ぬ。この現象は現世である。この世、浮世ともいう。つまり、潜在力によって現象化、実体化した事物・生物の現実世界。
【意訳】生命有限の現実世界


4204ウツヂュケグマガ[美積集゛異哈゛真狩 u tu jiu kai xgu ma xa]
【原本訳】罪と犠れは行く道塞ぐ。
【一音訳】[美]生まれる[積]積み上げる[集゛]物質の無秩序な群がり。わが身についた過去の物事、罪[異]別のものに変化する[哈゛]どんどん加える[真]真の姿[狩]獲得する、刈り取る、食い尽くす、
【文節訳】[美積]生まれる、それが次々積み重なって行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[異哈゛]他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く。他人の罪が自分にくっつく。異物を加える。※けがれ、穢れ、汚れの語源[真狩]何を獲得するのか。それは自然の掟。自然の掟とは生命有限、エントロピーの法則等。
【解説訳】生れて積み上げてゆく生きることによって生じる自らの汚れ、他人から受ける汚れ。これらは自分自身を蝕んでゆく。人間生きるために食べればすべてをエネルギーに変換できるわけでなく、カスが出る。人間の中にカスが溜まる。そうなると、エネルギーが弱くなる。生きていれば必然的にエネルギーを得てゆく一方、不要物が溜まることにより、エネルギーを得られない状態となってゆく。これらは避けることの出来ないものである。
【意訳】生きることによって積み上がる自分の汚れや他人からの汚れは、自らをむしばんでゆく。


4205プルクチミソユキ[震゜活奇育実虚結岐 pu ru ku tiu miu so yu ki]
【原本訳】霊気震えば妙なる流れ、障(さわ)りはすべて融(とか)し込む。
【一音訳】[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形[奇]不思議なる変化[育]力の流れ[実]実体[虚]大自然の意志と力を吸い込む[結]縁が出来た[岐]そこに起こるさまざまな現象
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[奇育]不思議なる力の流れ[実虚]実体は垢、罪、汚れがなくなった[結岐]次の新しき世界に因縁をつくる。次の世界と関係を結ぶ。新しい因縁を得る。新しい因縁を得て蘇ることができる。新しいエネルギーを呼び込んで甦がえる。※大嘗祭の悠紀(ゆき)殿の語源
[震゜活奇育実虚]秘儀を表す熟語であって、動的、あるいは命令形を表す。
[奇育実虚]実体にこもる潜在力、それを活性化することによって、身についた過去のもの一切を振るい出してしまう神霊行事、あるいは神霊現象※禊(みそぎ)の語源
【解説訳】自然の意志をふるい起こせば不思議な力の流れが出来て、身体から垢、罪(自分の汚れ)、穢れ(他人からの汚れ)が無くなる。そうすれば、新しい縁を得ることができ、再度、現象を生じ人間に生まれることができる。これは禊祓いのことである。汚れたままの状態では新しき縁に出会うことができない。汚れを取り去りなさいということだろう。人間を作って来た潜在力が汚れが溜まって潜在力が弱くなり人間を保つことができなくなり、人は死ぬ。そしてピクツムピ、生きる意志だけが残る。この生きる意志も汚れていたままでは再度人になることはかなわない。だから、汚れをふるい落としなさい。そうすれば新しき世界に生まれることができますよ。ということだろう。新しき世界というのは未来の現世ということになるだろう。汚れたままでは、罪穢れを持ったままでは、新しい縁と結ばれない。
【意訳】潜在力である汚れた魂から汚れを振り落とせば新しい縁を得ることが出来る。


4206パラペトノイオ[晴゜躍放゜保乃覆 pa ra pai to noi wo]
【原本訳】霊気張り出し過去の世界へ。
【一音訳】[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[躍]最大の動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[保]蓄えられている意志と力[乃]~という結果である[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す
【文節訳】[晴゜躍放゜]新しい自然の力が張り出して来て、罪、汚れを押し放った。※祓われる、祓えの語源[保乃覆]過去の世界(3312トコオ[保堅覆]の世界)。しっかりした戸によって隔絶された過去の世界。過ぎ去った時間の入り口。
【解釈訳】過ぎ去った事に対しては、何とも自分では処理出来ない。それでトノオの神にお願いして入り口を開いてもらう。そうすると、過去の怨霊なり、過ぎ去った事柄は、すべて吸い込まれて過去の世界に追い払うことが出来る。これが祓い。どうして吸い込まれて行くのか。倭人は、たくさん物が集まっていると、そこに吸い寄せられるという思想がある。このトノヲの中には、過去のたくさんな事、物が一杯詰まっているから、そこに吸い寄せられると倭人は考えた。
【古事記】祓戸大神(はらえどのおおかみ)。イザナギが禊した時現れた神々の総称。但し、天照大神やスサノオ等の一部の神々を除いたもの。
【意訳】汚れは全部過ぎ去ったこととして、過去の世界へ追い払え。


4207アポキパル[会穂゜岐晴゜活 au po ki pa ru]
【原本訳】かくして行く手晴れやかに。
【一音訳】[会]出会う[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[岐]現象[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形。一般動作を表す
【文節訳】[会穂゜]独立した自然意志、分霊との出合い[会穂゜岐]分霊がエネルギーをどんどん吸収する現象[晴゜活]自然の新しい潜在力
【解説訳】直訳すると、独立した自然意志に出会いで起こる現象は、潜在力の活性化。汚れを過去に追い払ったら、独立した自然意志が新たなエネルギーを得られるようになる。そして未来へと進んで行く。だから晴れやかというのだろう。
【古事記】阿波岐原(竺紫(ちくし)の日向(ひむか)の橘の小門(おど)の阿波岐(あはき)原
【意訳】独立した意思を持った潜在力がどんどんエネルギーを吸収して潜在力の流れに乗って未来へと張り出してゆく。


4208キヨメタモラム[岐因芽垂萌躍醸 ki you mai ta mou ra mu]
【原本訳】宜しき萌(きざ)しは弥(いや)萌え出でむ。
【一音訳】[岐]際立つ[因]原因[芽]自然の力が物に変わる局面、萌し、兆し[垂]力が溢れ出る[萌]目に見えて物質が増加して行く[躍]最大の動作、躍動[醸]発展する
【文節訳】[岐因]際立つ因縁[岐因芽]良き因縁[垂萌躍醸]萌えいずることでありましょう
【解説訳】キヨは際立つ因縁ということで、後に美しい、清らかな等の意味となった。綺麗にしないとよい因縁に巡り合えないので清という字が当てられたのだろう。キヨメは際立つ因縁がものに変る局面であり、良い萌(きざし)し、良いことが起ころうとしているという事。タモラムは力が溢れ、増加し、躍動、発展する。よい事が驚異的に起こるという事だろう。何がよい事かというと、潜在力パはキヨメとして現実世界に行く。つまり、再度人間として生まれることが出来るということだろう。
【意訳】とても素晴らしい縁が芽生えることだろう。




閑話
 古代倭人は罪、汚れを溜めておくことは命を縮める、このような思想を持っていた。だから罪・穢れを無くすることが重要だと考えたのだ。現在行われている神道の最もポピュラーな天津祝詞と対比てみよう。


高天原(たかあまのはら・たかまがはら)に神留坐(かむづまりま)す【4201タカマパル】
神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命(みこと)以(も)ちて【4202カムロキミユ】
皇親(すめみおや)神伊邪那岐(かむいざなぎ)の大神(おほかみ)【4203イザナキヨ】
筑紫(つくし)日向の(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あわぎはら)【4207アポキパル】
禊祓ひ(みそぎはらい)給ふ(たまう)時(とき)に【4205プルクチミソユキ】
生坐(あれま)せる祓戸(はらえど)の大神等(おおかみたち)【4206パラペトノイオ】
諸々(もろもろ)禍事(まがごと)罪穢(つみけがれ)を【4204ウツヂュケグマガ】
祓へ(はらえ)給ひ(たまい)【4206パラペトノイオ】
清(きよ)め給へ(たまえ)と申す事の由を【4208キヨメタモラム】
天つ神地(くに)つ神八百万神等共に聞食(きこしめせ)と畏み畏みも白(もう)す


 

弓前文書 第4章第3節

2025-07-29 09:21:31 | 弓前文書(神文)
 4300トコナポピカムロスノリム[充凝成穂゜日威醸移澄延座醸 tou kou na po pi ka mu ro su nou ri mu)]
【原本訳】現実の主その力、自然の力を吸い寄せる、秩序を立てて醸し出せ。
【一音訳】[充]充分に[凝]固まる[成]物事が完成した[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[日]認識出来るエネルギー[威]変わる力[醸]進展する[移]進行中の動作[澄]自然の意志と力を吸い込む最大の動作[延]秩序立て[座]完了[醸]発展する
【文節訳】[充凝]充実した[成穂゜]自然の分霊となった[成穂゜日]自然の分霊の持っている現実の力[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移澄]自然の力を吸い取る。自然の掟に従って自然の力を吸い取って行く[延座]秩序立てそのもの[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展。
【解説訳】トコナポピ、充実した自然の分霊の現実の力。分霊とは自然の潜在力から、独立した意思を持った潜在力に分かれた、個人個人を世に送り出す独立した潜在力ということになるだろう。個人個人の命と言っても良いのではないか。命は潜在力と言えるのではないかと、私は思っている。カムロス、自然の力を吸い取る。潜在力からエネルギーを得て、個々の独立した潜在力である分霊は成長して行く。ノリム、秩序立ての進展。秩序というのは自然の掟、自然の法則に従う事といえるだる。それを発展させるということは、自然に順応して行くという意味になるのだろう。
【意訳】充実した独立した意思を持つ潜在力である分霊は、大自然の潜在力からエネルギー得るために、自然に順応することで成長してく。(第4章第3節)


4301カムアパナポ[威醸会晴゜成穂゜ka mu au pa na po]
【原本訳】自然心凝(こ)りて分霊とまとまりて
【一音訳】[威]大自然の変わり行く力[醸]進展する[会]出会う[晴゜]大自然の持つ意志とその力[成]物事が完成した[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊
【文節訳】[威醸]自然の営み[会晴゜]意志自然力との出合い、自然の力が結実する[成穂゜]独立意志が出来上がった。自然の分霊となった。
【解釈訳】大自然の変わりゆく力が進展するのは自然の営み。パ(潜在力、[霊゜]の集まり)に出会うことで独立の意志、分霊が出来上がる。
【意訳】自然の営みの中で潜在力は結実し独立の意志を持った分霊が出来上がった。


4302ピトプタミミ[霊゜充震゜垂実現 piu tou pu ta miu mi]
【原本訳】力は横溢発動し、物の種とはなりにける。
【一音訳】[霊゜]自然の意志と力の一単位[充]極めて物事が充実している状[震゜]自然の意志と力が発動する[垂]力が溢れ出る[実]実体[現]見えているものの姿
【解説訳】潜在力ピが充実しその意志と力が発動し溢れ出ると、実体、現実、現象となる。分霊が現象の種となって現実の世に現れた。日本語数詞のひふみ一二三、3201ユピプミ[結霊゜震゜実]を補足したもの。
【意訳】潜在力は充実しエネルギーは発動し溢れだし、現象の種となり現実の世に現れた。


4303ヨウツムナル[因美積醸成活 you u tu mu na ru]
【原本訳】種の定めに従いて倍加、分裂、増殖し、かくは雛子(ひなご)となりにける。
【一音訳】[因]定められた通り[美]生まれる[積]積み上げる[醸]増殖する[成]物事が完成した[活]現在形。一般動作
【文節訳】[美積醸]生れ出て生長する[成活]一つの現象が出来上がった
【解釈訳】日本語数詞の四五六七、3202ヨツムナ[因積醸成]を補足したもの。原本訳で雛子としているのは、一と七、ピナ[霊゜成]で雛の語源だからだろう。
【意訳】自然法則に従って生まれ成長して一つの形が出来上がった。




4304ヤクコトタル[因゛奇凝充垂活yau ku kou tou ta ru]
【原本訳】さらに奇しくも成長し力余れる物となる。
【一音訳】[因゛]更に[奇]不思議なる変化[凝]固まる[充]極めて物事が充実[垂]力が溢れ出る[活]現在形。一般動作
【解釈訳】日本語数詞の八九十、3203ヤコトタ[因゛凝充垂 ]を補足したもの
【意訳】更に不思議な変化を遂げ、ゆるぎない充実した段階となり、有り余る力を持つ


4305エモマチヨロ重萌増育因移yai mou mau tiu you ro
【原本訳】己の維持と後のため齢(よわい)を重ね力失せゆく
【一音訳】[重]原因、結果が次々と繰り返し繰り返し積み重なって行く状態[萌]目に見えて物質が増加して行く[増]物質増加の最大の姿[育]力の流れ[因]定められた通り[移]進行中の動作
【文節訳】[萌増育]次々現象をつくって行く。そのため力は流れ去って行く。[因移]これも定められた現象の掟である
【解釈訳】3204エモマチ[重萌増育 ]を補足したもの。
 同じ現象が幾度も幾度も繰り返されて行く。現象は最盛期に入っている。現象の種の持っているノウハウも、これ以上は現象は大きくならない。その余った力は何に使われるのか。有限の法則に従って、このまま放っておけば現象は衰微して、ついになくなってしまう。すなわち、次々その現象を補給して行かなければならない。それによってはじめて現象が維持される。次々現象をつくって行く。そのため力は流れ去って行く。これが物、生物ならば、そうしながら、さらに子孫をつくって行かねばならない。そのため余分の力が流れ去って行く。これも定められた現象の掟である。
【意訳】現象維持を繰り返すことによりカスが溜まり、結局、繰り返す力が無くなってゆく定め。


4306ヂュプルペヨロ[集゛震゜活放゜因移 jiu pu ru pai you ro]
【原本訳】垢は霊気に洗われて霊気も力失いつ。
【一音訳】[集゛]物質の無秩序な群がり。わが身についた過去の物事、罪[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形。一般動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[因]定められた通り[移]進行中の動作
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[因移]これも定められた現象の掟である
"【解釈訳】3205ヨヂュミペ[因集゛実放゜]の補足。
自身がつくって行った過去。いままでの過去、罪は現象の中に次第に溜まって行く。それは持っている力が変わって行ったものである。これが溜まってくると、それが邪魔になって、たとえ十の力を消費しても半分の力しか出せない。そこで自然というものは、自らの力で払い除けようとする。しかしそのためには、その分だけ力は消費されて行く。この自然の掟は続いて行く。"
【意訳】溜まったカスを落とそうとした分だけ力は消費され無くなってゆく。それが定めだ。


4307トプルペユラ[充震゜活放゜結躍 tou pu ru pai yu ra]
【原本訳】統(すぶ)る霊気は震い立て新たな縁を求めなむ。
【一音訳】[充]極めて物事が充実[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形。一般動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[結]縁が出来た[躍]最大の動作
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[結躍]新たな縁を呼び込む
【解説訳】現象というものは、自然の掟に従って、次第々々に衰微して行く。そこで、現象の中に残っている潜在力を充分に震わせることにより罪、穢れはすべて払い落とすことが出来る。汚れを払い落された所は潜在力のまばらな所となる。潜在力のまばらな所には、自然の力、パ[晴゜]が流れ込んで来るので新たな縁を呼び込むことが出来る。つまり、魂の汚れを落とすと、身軽になり、新たな縁に出会える、と言えるだろう。新たな縁とは、再度、人間に生まれる縁に出会うということだろう。4205プルクチミソユキ、禊の秘儀の実体である。
【意訳】充分に震わせて弱っている潜在力を追い払うと、新たな縁に出会える。


4308スプルペユラ[澄震゜活放゜結躍 su pu ru pai yu ra]
【原本訳】空虚を造れ震い立て、ここに縁をば迎えなむ。
【一音訳】[澄]自然の意志と力を吸い込む[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形。一般動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[結]縁が出来た[躍]最大の動作
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[澄震゜活]新たな潜在力を招き入れる[結躍]新たな縁を呼び込む
【解説訳】天族は古来吸い込む力を以て力の根元とした故に、人間は生まれる時吸い込む力を持つ袋、珠を貰って世に出るという思想がある。現実の社会に人間として生まれるために潜在力の袋を与えてくれ、人間はそれを使って現実のエネルギーを吸い込み成長して体を作り、子供を生み段々その潜在力がなくなって必ず死ぬ訳だが、その過程において必ず過去という垢が溜って、現実のエネルギーを吸収する効率が悪くなって行く。そこで自分の持っている潜在力ピ[霊゜]を震動させることで垢を振い落としまばらな所、空疎にすると新たな潜在力を招き入れることが出来る。スプル[澄震゜活]と言っている。
【意訳】弱った潜在力のカスを振り落としてまばらになったところに、新たな潜在力を引き寄せることで、新たな縁に出会える。


4309ソユキマパレ[虚結岐真晴゜舞 so yu ki ma pa rai]
【原本訳】空虚が迎えし大霊気。
【一音訳】[虚]大自然の意志と力を吸い込む[結]縁が出来た[岐]現象[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出しす[舞]集中動作
【文節訳】[結岐]次の世界と関係を結ぶ[真晴゜舞]宇宙の持つ潜在力が集中し出した
【解説訳】潜在力の密度がほとんどまばらになると、悪い空気を抜くと新しい力を持った空気が入ってくるように、次の世界と関係を結ぶ宇宙の持つ潜在力が集中し出す。潜在力が集中して初めて人が生れることが出来る。死んだら早く未来社会に行って、人間として生まれてきなさい、ということだろう。
【意訳】空疎が未来の世界で潜在力の集中を招く


4310サピアパピレ[爽霊゜会晴゜霊゜舞 sa piu au pa piu rai]
【原本訳】新たな力得たりける。
【一音訳】[爽]何もない。パの自然の意志と力を吸い込む最大の動作を意味する動詞[霊゜]自然の意志と力[会]出会う[晴゜]大自然の持つ意志とその力[霊゜]自然の意志と力[舞]集中動作
【文節訳】[爽霊゜]タカマパルに存在する自然因子[会晴゜]意志自然力との出合い[霊゜舞]現象の命のもと。熱と力
【意訳】潜在力が集中し機会を得て結実し命の素である熱と力になった


4311シイマスパル[静厳真澄晴゜活 si yi ma su pa ru]
【原本訳】統ぶる霊気を鎮めませ。
【一音訳】[静]まばらな所[厳]原点[真]真の姿[澄]自然の意志と力を吸い込む[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出しす[活]現在形。一般動作
【文節訳】[厳真]因縁の原点のまことの姿※今の語源[澄晴゜活]低レベルの潜在力に向かって高レベルの潜在力が流れ込む。疎密運動。[厳真澄晴゜活]因縁の原点はまばらな所に自然の力が張り出して来る
【解説訳】1001アマツムイマスパルヌでも出ていたイマスパル、疎密運動。大自然を生み出した原点だ。このイマスパルにシ、まばらな所という言葉がついた。潜在力がまばらになったところで疎密運動が起こり、ピレ、命の素、熱と力を引き込んで、新たな因縁が始まった。新たな因縁とは人として生まれてくることだろう。疎密運動とは、エネルギーの濃いところから薄いところへ吸い込まれて行く運動のこと。
【意訳】潜在力のまばらな所に自然の力、命の素が張り出して来る。


4312ピムロナポム[霊゜醸移成穂゜醸 piu mu ro na po mu]
【原本訳】霊気の流れ分霊の力また新たなり。
【一音訳】[霊゜]自然の意志と力[醸]増殖が進む。発展する[移]進行中の動作[成]物事が完成した[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの[醸]発展する
【文節訳】[霊゜醸移]自然の意志、その潜在力の掟に従って[成穂゜醸]分霊は発展する
【解説訳】自然の意志は発展して行く、その中から現れた分霊は更に完成に向けて発展して行く。ピから分霊が生れ、分霊は一人の人となって行くということだろう。自然の意志、その潜在力の掟に従って、その分霊は、さらに新しく発展して行くことだろう。
【意訳】自然の意志は分霊を生み、分霊は更に完成に向かって発展して行く。


閑話
 旧事記に記載されたフルへの言。「一二三四五六七八九十。百千寓。布留閉布留閉由良由良止布留閉。称之則死者甦」これを称うれば死者も甦るベし。第4章第3節は古神道の日本語数詞の呪文となった、その元種の弥生語の韻文である。この呪文はものの順序だ。これを唱えると体の中に潜むいろいろな霊魂が飛び出して来る。悪い奴は追い出し、よいものには天からの力を授けてやる。
 神道での解釈は良くわからない。私自身の解釈としては、死者も甦るとうのは、来世甦るということで来世も人として生まれ変わるというとこだと思う。決して死んだ当人が息を吹き返すことでは無い。死んだら、汚れた魂の汚れを取って、未来に於いて新しい縁を得て人に生まれ変わることを願ったのだろうと思う。
 私は生まれ変わりがあろうとなかろうと構わない。なぜなら、私は前世を知らない。だから、来世の私も私を知らない。潜在力の世界ではどうか知らないが、現実の世界では全くの他人だ。「死者も甦る」について証明できないので否定も肯定もしない。


弓前文書 第4章第4節

2025-07-29 09:20:12 | 弓前文書(神文)
4400ピクツムタマカムロマノリム[日奇津垂増威醸移真延座醸 pi ku tiumu ta mau ka mu ro ma nou ri mu]
【原本訳】生きる意志なる生垂増(いくたま)はいずこへ道を辿(たど)るやら。真の姿教えなむ。
【一音訳】[日]目で見える大自然の力と意志[奇]不思議なる変化[津]意図する[垂]あり余れる意志と力[増]物質増加の最大の姿[威]変わる力[醸]進展する[移]進行中の動作を表す[真]真の姿[延]秩序立て[座]完了[醸]発展する
【文節訳】[日奇津]生きようとする意志[垂増]エネルギーを入れた袋[日奇津垂増]生魂の語源[威醸移]自然の掟に従って[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展
【解説訳】ピクツムは生きようとする意志、タマはそのエネルギーを入れた見えない袋。今では生魂という言葉で残っている。万物を生み出す活き活きとした生命力ということである。生きようとする意志のエネルギーを入れた見えない袋である生垂増(いくたま)が自然の掟に従ってたどる真の姿は、次の韻文4401から4416で示すように、タカマパル、潜在力の循環、潜在力の渦の世界にに組み込まれて行く
【意訳】生きる意志の魂が自然の掟に従って順応して行く。(第4章第4節節題)


4401タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】威大な力が輪廻する。
【一音訳】[垂]力が溢れ出る[威]大自然の変わり行く力[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形
【文節訳】[真晴゜活]輪廻する真の姿※まわるの語源
【解説訳】前の章の3401垂威真晴゜活因゛重爽霊゜、3402会晴゜成因現基保積因の世界である。大本の世界である。
【意訳】潜在力が渦巻く世界。


4402カムロミチユ[威醸移現育結 ka mu ro mi tiu yu]
【原本訳】自然変化の道筋に。
【一音訳】[威]変わる[醸]進展する[移]進行中の動作[現]ありのままの姿[育]力の流れ[結]つながる。それに由来する
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行くを表す[現育]力が流れて行く有り様。道※道の語源[威醸移現育]自然変化の流れ行く道
【解説訳】3403[垂増育震゜活美積成実)、3405[会穂゜成岐現美積移因]、ウツロヨの世界、生長の世界である。
【意訳】潜在力が渦巻く世界は自然変化の流れ行く道として、生長の世界につながっている。


4403イザナミヨ[親陜成現因 iu tsau na mi you]
【原本訳】浮世の世界を歩むうち生きる力を失いて。
【一音訳】[親]自然の親しみ。愛憎[陜]接近する[成]物事が完成した[現]見えているものの姿[因]世
【文節訳】[親陜成]現象は分解、消滅して行く。
【解説訳】3405[垂増育放゜活美積充実]、3406[親陜成岐現美積育因]、ウツチヨの世界である。現世(うつしよ)のこと。完成した現象、大人になってからの世界。
【意訳】完成した現象、大人は成長が止まり、やがて、維持するも失って行く。


4404チサタマユプ[育爽垂増結震゜tiu sa ta mau yu pu]
【原本訳】生きる力を失いて辿るは何処生垂増は。
【一音訳】[育]力の流れ[爽]何もない[垂]あり余れる意志と力[増]物質増加の最大の姿[結]つながる[震゜]自然の意志と力が発動する
【文節訳】[育爽]もはや現実のエネルギーを出すことが出来なくなった[垂増]エネルギーを入れた袋[生魂垂増結震゜]生魂は現実の力を出そうと、それ自身の潜在力を振り動かしている。
【解説訳】3407[垂増育爽活日奇津霊゜]、3408[親陜覆因゛現狩哈移因]、カクロヨの世界。もはや現実のエネルギーを出すことが出来なくなった。現実のエネルギーがなくなれば現象は停止する。人間ならば肉体が腐ってしまう。ところが生魂はそれでも一生懸命に現実の力を出そうと、自身の潜在力を振り動かしている。それは次の世と因縁を結んでいるのである。肉体を失ったピクツムピ(世間のいう生霊)、イクタマがこの世界を歩んで行く、その道筋を説いたもの。その次の世界とはどこか。
【意訳】生きる力を失った魂は次の世界へと歩むためけ懸命に潜在力を振り動かす。


4405イザオヤミ[親陜覆因゛現 iu tsau wo yau mi]
【原本訳】因果の影へと迷い込む。
【一音訳】[親]自然の親しみ。愛憎[陜]接近する[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す[因゛]その結果は定められた通りである[現]見えているものの姿
【文節訳】[親陜]分解して行く状況。現世、浮世[親陜覆]現世をそのまま延長して来た陰[因゛現]いままでの因果の果て
【解釈訳】直訳すると現世の影である因果の姿。個体は生命有限であり肉体は滅びるが、魂は現世をそのまま延長してきたつもりで、肉体を持ちながら生きているつもりで歩いて行く。つまり、死んでも魂自体は肉体を維持できなくたったことを理解していないで、魂がさまよっている状況。
【意訳】現世を終えても魂は生きているつもりでいる。


4406カムロスノリム[威醸移澄延座醸 ka mu ro su nou ri mu]
【原本訳】自然の力を吸い取りし。
【一音訳】[威]変わる[醸]進展する[移]進行中の動作[澄]自然の意志と力を吸い込む最大の動作[延]秩序立て[座]完了[醸]発展する
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移澄]自然の力を吸い取る[延座]秩序立てそのもの[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展
【解説訳】カムロスノリムは前節の節題だ(4300)。潜在力の世界であるタカマパルで現実の分霊となり、潜在力を吸い取りながら活動してきた。そうして、潜在力を吸い取る力が無くなる。それが自然の秩序だ。
【意訳】潜在力を吸収してきたが吸収できなくなった。


4407トコヤウムツ[充凝因゛美醸積 tou kou yau u mu tu]
【原本訳】生まれ出て来た元の道。
【一音訳】[充]十、とう[凝]九、ここのつ[因゛]八、やっつ。[美]生まれる[醸]六、むっつ[積]五、いつつ
【解説訳】ツムヤコト[積醸因゛凝充]、ナ[成]の七つは抜けたが、日本数詞の五から十までのさかさまだ。かつてこの生魂は七つの[成]というのは自分自身であるから、ツムヤコト、この道をたどって大人になった。このためには自然の力をどんどん吸い取って成長して来た、いわゆるカムロスノリムだ。ところがこのさかさま、トコヤウムツ、その逆の道をいまたどって行くのである。
 ナ[成]の代りにウ[美]を使っているのは、ナは雛のナであり、この世に誕生したということでウ[美](生まれる)と語を変えたのだろうと思う。ピプミヨツム(一から六)までは、潜在力から母体にとどまっている状態でナでこの世に生まれるということだろう。ツまで来たということは、生まれる前まで来た。
【意訳】自然の力をどんどん吸い取って成長して大人になった道を、いま逆にたどって行く。


4408ヨミグペパラム[因現哈゛放゜晴゜躍醸 you mi gu pai pa ra mu]
【原本訳】罪も穢れもその道に通り過ぎれば何もなし。
【一音訳】[因]世[現]見えているものの姿[哈゛]どんどん加える[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[晴゜]大自然の持つ意志とその力[躍]最大の動作[醸]進展する
【文節訳】[因現]定められた世界[因現哈゛]現世において、一つの現象として自然の力を次々いろいろな罪、汚れを受けて来た[放゜晴゜躍醸]すべてなくなってしまう
【解説訳】ヨミグ、現実の世界でどんどん加えてきたもの、何を加えてきたかというと罪穢れ。これは現世の事。弓前文書では成長のアポナミ(3103)、分解のイザナミ(3105)の段階である。これら罪穢れは生まれる時点まで戻ってくると、ペパラム、すべて無くなってしまう。生れ出る前まで来れば現実の影である過去のイザオミ(3107)の世界とは縁が切れる。ということは結実のアパナミ(3101)の段階に戻るということだろう。
 生まれた時点まで戻って来ると、すべてなくなってしまう。これを言い換えると、生まれ出る前まで来れば、もう現実とは縁が切れた。この現実の世の陰であるイザオヤミ(3408)の世界とは縁が切れたというな意味となる。
 現世で生きていくとたくさんの汚れ錆が身につく。死んだら過去の世界に行くのが普通の事だろう。だが、罪穢れを過去に追い払って、生まれる前まで遡って行けば、縁を得て結実、つまり人間になって生まれてくることが出来るということだろう。
【意訳】現世において、いろいろな罪、穢れを受けて来たが、生まれた時点まで戻れば、すべてなくなってしまう。


4409ピクツムパル[日奇津晴゜活 pi ku tiumu pa ru]
【原本訳】浮世の心霧晴れむ。
【一音訳】[日]目で見える大自然の力と意志[奇]不思議なる変化[津]意図する[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形
【文節訳】[日奇津]生きようとする意志[晴゜活]タカマパルのこと
【解釈訳】未来、現実、過去。過去から未来へ潜在力は輪廻しているのが潜在力の世界、タカマパルである。生まれ出る前はこのタカマパルにあった。そうしてタカマパルで分霊となって現実の世に出て来た。肉体は死に、現実の世に生きようとしてきた意志が生まれる前に居たタカマパルの世界に戻って来た。現実の世で溜め込んだ罪穢れを生まれる前に戻ったことにより、罪穢れが無くなって、すっきりしたので原本では「浮世の心霧はれむ」と訳したのだろう。
【意訳】生きようとする意志がタカマパルに戻って行く。


4410ノリムカムロス[延座醸威醸移澄 nou ri mu ka mu ro su]
【原本訳】流れ来たりし始まりの。
【一音訳】自然の意志と力を吸い込む最大の動作[延]秩序立て[座]完了[醸]発展する[威]変わる[醸]進展する[移]進行中の動作[澄]
【文節訳】[延座]秩序立てそのもの[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移澄]自然の力を吸い取る
【解説訳】4406カムロスノリム(自然の力を吸い取って、現象の秩序立てを行って来た。)の逆。秩序立ての進行が起こった。それは自然の力を吸い取ることだった。
 今までは、自然の力を吸い取ったエネルギーを使って秩序立ててきた。自然の力、潜在力の力を得て秩序を進展させてきた。ところが、生きようとする意志がタカマパルに戻ってくると、秩序立てのために自然の力を吸い取る。
 カムロスノリムとノリムカムロスの違いは何か。
 この節の節題のピクツムタマ[日奇津垂増]の[垂増]に注目して欲しい。3403での説明を再度書くと、タマ[垂真ta ma]とはエネルギーを貯め込んで行く見えない袋である。タマに現実のエネルギーが出入りするようになると、[真ma]の代わりに[増mau]を使いタマウ[垂増ta mau]となる。器がタマでエネルギーが充填されたものがタマウ。ガソリンタンクがタマでガソリンが入れられた状態がタマウと私はイメージしている。
 ピクツムタマがタカマパルに戻って来た。生きる意志のタマウ[垂増]はエネルギーを使い果たしている。つまりエネルギーが空っぽなのでタマ[垂真]になっている。秩序を立てるためにエネルギーを充填する必要がある。
 カムロスノリムは、溜めてたエネルギーを使っている段階のタマ(タマウ)[垂増]。ノリムカムロスは、空っぽでこれからエネルギーを溜める段階のタマ[垂真]と理解したらよいと思う。
【意訳】秩序立ての進行の為、自然の力を吸い取る必要がある。


4411タマイナポリ[垂真厳成穂゜座 ta ma yi na po ri]
【原本訳】分霊(わけい)となりしはこのところ垂増(たま)は垂真(たま)なり今覚めぬ。
【一音訳】[垂]自由エネルギーの発動[真]真の姿[厳]原点[成]物事が完成した[穂゜]分霊。自然の持つ意志と力が分派、独立したもの[座]動作が終わった
【文節訳】[垂真]大自然の自由エネルギーをため込む袋[成穂゜]自然の分霊
【解釈訳】現実の世界からタカマパルに戻ってきたとき、[垂増]のエネルギーを使い果たし空っぽの[垂真]になっていた。現世の陰から持って来たエネルギーの袋は、タカマパルまで来ると、タマウはタマに変わっていた。原点であるタカマパルから、かつては分霊となって現実のエネルギーを吸って来た垂増が帰って来て元の垂真に戻った。読むときには特に気にせず垂真も垂増もタマと読むが、必要な時は区別する。
【意訳】分霊となっていた垂増は原点のタカマパルに帰り、分霊としての活動が終わり垂真に戻った。


4412アキメタカラム[会貴芽垂威躍醸 au kiu mai ta ka ra mu]
【原本訳】奇しき廻(めぐ)りに生き会いて、妙なる所に至るべし。
【一音訳】[会]出会う[貴]目に見えない変化[芽]自然の力が物に変わる局面[垂]力が溢れ出る[威]大自然の変わり行く力[躍]最大の動作[醸]進展する
【文節訳】[貴芽]物質の兆しを持った潜在力、情報、ノウハウ。現実のノウハウを経験して来た潜在力。良き因縁(キヨメ[岐因芽])の元種。現実の世から続々と送られて来る数多の情報[垂威]この場合はタカマパルの意味
【解説訳】タマ[垂真]はエネルギーが空っぽだから、様々なエネルギーを引き付けるマイナス潜在力である。密度の低いところに力は集まって来る。タマはキメと出会う。キメとは様々な情報、ノウハウのある潜在力で物質の萌しを持つ。つまり、再度人として生まれる力を持った潜在力ということになるだろう。キメに出会ってタカマパルで最大に発展して行く。過去の世界から未来へと向かう輪廻の流れに乗って、人として生まれて行けるだろうということだろう。
【意訳】垂真は良き縁と出会い、輪廻の波に乗れるだろう。


4413タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】威大な力が輪廻する。
【意訳】潜在力が渦巻く世界。
[垂威真晴゜活]は3301・3401・4201・4401・4413にも登場する。詳しくは3301。


4414モトツムカムロス[基保津威醸移澄 mo to tiumu ka mu ro su]
【原本訳】生まれる基のこの力。
【一音訳】[基]大本の姿[保]蓄えられている意志と力[津]意図する[威]変わる[醸]進展する[移]進行中の動作[澄]自然の意志と力を吸い込む最大の動作
【文節訳】[基保]大本。基、元、本の語源[威醸移澄]自然の力を吸い取る
【意訳】人として生まれるための大本は自然の力を吸い取ること。


4415タマイモトリ[垂真緒基充座 ta ma yiu mo tou ri]
【原本訳】元の垂真(たま)とて改まり。
【一音訳】[垂]自由エネルギーの発動[真]真の姿[緒]始まり。その糸口は。スタートにつく[基]大本の姿[充]極めて物事が充実[座]完了形
【文節訳】[垂真]大自然の自由エネルギーをため込む袋。珠。
【解釈訳】かつて人として生き、生きることによって生じるカスである罪穢れをため込んで、死に至る。肉体を失ったピクツムピ。生きる意志だけが残る。当然ピクツムピも罪穢れをため込んでいるので、そのままでは過去の世界、死後の世界に行ってしまう。そこで、罪穢れを払って、生まれてきた元の道を辿って生まれる前まで行けば、罪穢れは無くなってしまう。その時ピクツムピが持っていた従来の垂増(たまう)はエネルギー使い果たしてしまい垂真(たま)に戻る。垂真はマイナスの潜在力と言える。つまり、エネルギーをどんどん溜め込んで行けるのだ。溜め込んで自由に動けるようになったら垂増(たまう)になる。
【意訳】垂増が垂真になり、大本の充実した姿であるマイナスの潜在力としてスタートにつく。


4416サピマパツムラム[爽霊゜真晴゜津躍醸 sa piu ma pa tiumu ra mu]
【原本訳】輪廻の流れの一因子、自然の心と融けて行くらむ。
【一音訳】[爽]何もない。パの自然の意志と力を吸い込む最大の動作を意味する動詞[霊゜]自然の意志と力[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力[津]意図する。反応が進む。そのように自然は動く。自然の意思が働いている[躍]最大の動作[醸]進展する
【文節訳】[爽霊゜]タカマパルに存在するピのこと。自然因子。潜在力の一因子[真晴゜]輪廻する真の姿[躍醸]~となるだろう
【解説訳】マパはタカマパルのマパであるから、タカマパルのことと解釈できる。サピは潜在力の一因子。サピは人の誕生に大きくかかわる潜在力。4409から4412までは、カクロヨから生まれ出て来たモトツヨまでの、つまり、3402モトツヨ(大本の世界3404ウツロヨ(生長の世界)3406ウツチヨ(力の移り行く世界)3408カグロヨ(見えない世界)の、いままでにどこにも描写されなかった世界である。
【意訳】潜在力の一因子として、潜在力の渦巻く世界で、自然の力を吸収しながら進んで行くだろう。






【弥生の言葉と思想が伝承された家】より抜粋
 最後に結論しておこう。藤原神道は大自然の心と語らう学問であり、その技術をナカツミといい、その理論をユマニという。大自然をカムロミといい、現実に起こる力をタカミムツといい、その潜在力をカムロキという。その天から降り注ぐ現実の力の流れをピカツチといい、地球内部から流れ出る力をプツノチという。その内なる太陽の熱と光をピルメといい、これらによって起こされる大地の自然秩序をアオナツという。この秩序の因果応報の流れをタカマパルという。ここにタカマパルを二律相対的に観じ四次元の世界としたのが弓前和の哲理であった。すなわち刻々と変わってゆく現実、それ自体をウツヨ、その時間をトコヨとした。そしてその各々の二律相対、ウツロ(生)、ウツチ(死)、トコユ(未来)、トコヲ(過去)、この四つを大本とし、それぞれの次元を関連させて、四つの立場からその理論を展開させていったのがアマツカムロミチ、大自然変化の流れゆく道筋という意味の弓前文書本文であった。


【日本曙史話】より抜粋
 ピ[霊゜]これは大宇宙自然に存在する無数の意志を言う。意志はすべて潜在力である。大きい意志もあれば小さい意志もある。私、それは一つの意志がある。然し私の体の中には、血液中の一個の白血球にしても赤血球にしても各意志を持っている故に、ピというものは表れては消え又合併し、刻々と変化してゆく。これは何も現世浮世には限らない。ピは未来世界トコユとて、又過去の世界トコオとて一切それには制約されることがない。