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倭人語のすすめ

倭人の言葉が残されていた。古事記の神々の多くは、秘文とされた文書を基にしていた。一音一義の倭人語を解き明かしたいと思う。

弓前文書 第3章第3節

2025-05-31 15:40:42 | 弓前文書(神文)
3300パツウツルトコオ[晴゜積美積活保堅覆 pa tu u tu ru to ko wo]
【原本訳】始まりあれば必ず移り行くあり、その軌跡は影を永久に残す(これを無限覆の法則という) 。
【一音訳】[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[積]積み上げる[美]生まれる[積]積み上げる[活]現在形。一般動作を表す[保]蓄えられている意志と力。動かぬ力の量。戸[堅]変わらない。不変[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す
【文節訳】[晴゜積]始まり[美積活]どんどん変化して行く※移るの語源[保堅]永久[覆]過去
【解釈訳】第一の法則は輪廻の法則、事象は繰り返すということ。第二の法則は有限の法則、始まった事象は必ず消滅するということ。これだけでは輪廻とはまるでラットの回転かごを回っているように堂々巡りをしていることにもなりかねない。そこで登場するのが時間軸。世は必ず一方に進む。未来へ進む。言い替えれば、過去を積み重ねることでもある。輪廻する世界は有限であって、一方的に進んで行き、再び過去に戻ることはない。パツ、潜在力が積み上がり、現象が始まる。ウツル、生まれ積み上がって行く、つまり、どんどん変化して行く。トコオ、永久に覆われたものになる、つまり、過去になる。輪廻する世界は必ず有限であり、一方的に進んで行き再び戻ることはない。この節で述べられているのは現世変遷の具体例である。第三法則は永久に過去は残る法則。つまり、時間は進み、過去となって行き、過去となったものが再び戻ることは無い。
【古事記】底筒男(そこつつのお)・中筒男(なかつつのお)・上筒男(うわつつのお)の三柱。住吉大社の祭神、祓戸大神(はらえどのおおかみ)の構成神、4206参照
【意訳】始まる現象は時間が経てば次々と移り変り、過去は永久に残る。(第3章第3節節題)(第三法則、過去は永久に残る法則)


3301タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】大自然の威大な有り余れる力が輪廻している。
【一音訳】[垂]力が溢れ出る[威]大自然の変わり行く力[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形
【文節訳】[垂威]溢れ出るさまざまな驚きの潜在カ[真晴゜活]輪廻する真の姿
【解釈訳】大宇宙、自然には潜在エネルギー、ポテンシャルが満ち満ちている。それがさまざまな現象となり、人間の生死もその一環である。これらの現象はすべて遠い昔からのさまざまな因縁の結果、潜在力の状態が刻々と変化している様である。現実の世にカが張り出すという意味のマパル。これは一つの輪廻の姿である。こんなところから回転するという意味のマワルという言葉が定着した。弓前理論のタカマパル(高天原)というものは、現実の世の時間と直行する。過去から未来へと続く因は果を生み、果は因を呼ぶ、輪廻する森羅万象の潜在カの姿なのである。
 自分なりの解釈を試みてみる。見えない力、潜在力、これは何だろう。生きている人は命がある。これは疑う余地がない。でも、命を見たことがあるだろうか。心臓が動いている現象は捉えられるが命は見えない。脈拍がある時と鼓動を打たなくなったとき。命がある場合とない場合、命の存在や不存在を見いだせるだろうか。現象だけで命の有る無しを判断しているだけで、命そのものは見えない。命は見えない力、潜在力だと言えるのではないか。
 潜在力が現象化、物質化をさせたのがこの世、物質化を維持する力が無くなった潜在力のあの世。このように考えると潜在力が物質化させ維持し消滅してまた元の潜在力に戻る。潜在力が力を蓄えまた物質化をさせるという循環の渦になっていると考えると、私には納得できる気がする。命は見えない力だ、潜在力だと考えると、その潜在力の循環、偉大な力の輪廻というものが、私にはおかしな理屈には感じなくなった。
 人間は食べ物を消化して血となり肉となり身体を作っている。構成する細胞は日々新陳代謝で入れ替わっている。骨でさえも3年から5年で入れ替わるらしい。数か月前の自分と今の自分は全然違うもので出来ていると言える。それでも同じ人間であると言えるのは命、即ち見えない力、命によってはじめて成り立つのではないか。
 潜在力に力がある間は現象をおこし続け、力が無くなると現象が維持できなくなる。これが人間の生と死、この世とあの世の違いかと思う。潜在力の最小の一因子をはピ[霊゜piu]という。自然の意志と訳されている。
 自然も同じだ。春夏秋冬、季節は移り変る。太陽の熱と光によるものだろう。だが何故春は芽生え秋は実りそして枯れるのか。それを動かすものは何だ。それを弓前文書ではカ[威ka]という。恐ろしい力とか偉大な力とか大自然の変わり行く力とか訳すが、これも見えない力、潜在力だろう。人間を維持しているものは食べ物、それと同じく自然を動かしているものは太陽と言えるが、その裏で本当に動かしている根本のものを考えると、見えない力、潜在力と言えるのではないか。推し量れない力の存在を否定できない。
【古事記】高天原(たかあまのはら)。八百万の神々が集まって相談するという所になっている。前二世紀ごろの倭人の言葉が、七世紀に古事記で、高天原という三字に当てたことによって、大空というイメージを与えてしまった。倭人の言葉には天空という意味は少しもない。
【意訳】潜在力は循環する。


3302イモトポツム[厳基保穂゜津 yi mo to po tiumu]
【原本訳】因縁の原点、大本の心の意図する所は。
【一音訳】[厳]原点[基]大本の姿[保]蓄えられている意志と力[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。性根、心、分霊[津]意図する
【文節訳】[基保]大本 
【解釈訳】誰の「心」かというと大自然の心
【意訳】大本の心の原点が意図するものは次のようなものだ。


3303イヌノナス[緒沼゜延成澄 yiu nu nou na su]
【原本訳】初めの緒(いとぐち)は混沌から秩序立て完成へと進んで行く。
【一音訳】[緒]始まり、糸口[沼゜]混沌[延]秩序立て[成]物事が完成した[澄]自然の意志と力を吸い込む
【解釈訳】自然の意志と力を吸い込むサ行。サ行はエネルギーの順番で小さい方からiuoaの順にシ[静si]ス[澄su]ソ[虚so]サ[爽sa]となる。小中大・最大。レベル1・2・3・4で表すことにする。
【意訳】始まりは混沌。混沌は秩序立てられて完成へと進んでゆく。自然の意志と力を吸い込む力はレベル2。


3304チキミピル[雷゜岐現日活 ti ki mi pi ru]
【原本訳】力の集積体が出来上がり、それが明らかに照らし出す現世その太陽の下(もと)。
【一音訳】[雷゜]エネルギーの塊[岐]際立つ[現]見えているものの姿[日]光と熱[活]動く
【文節訳】[日活]太陽が動く。※昼の語源
【解釈訳】前行のイヌノナス[澄su]に対応してチキミピル[活ru]。同じ母音が対応している。スウという潜在力の低密度の現象が起こったために、現実のエネルギーが流れ込むことを表すのに[活ru]という動詞がある。
【意訳】潜在力の塊が明確な姿となって太陽の下に現れる。


3305ユピプミソ[結霊゜震゜実虚 yu piu pu miu so]
【原本訳】あるきっかけで大本の意志が分化し、発動し、その現れは物質化の種となった。
【一音訳】[結]縁が出来た[霊゜]自然の意志と力[震゜]自然の意志と力が発動する[実]物質[虚]大自然の意志と力を吸い込む高いレベルの動作を表現する動詞
【解釈訳】3201と同じユピプミ。
【意訳】あるきっかけで、自然の意志(潜在力)は発動し現実の物質の種となる。レベル3。


3306メキチヨロ[芽貴育因移 mai kiu tiu you ro]
【原本訳】芽は霊妙に定められた通り育ち行く。
【一音訳】[芽]自然の力が物に変わる局面、またその動作※芽の語源[貴]目に見えない変化[育]目に見えない力が流れて物事が増大して行く[因]定められた通り[移]進行中の動作を表す
【文節訳】[因移]これも定められた現象の掟である 
【解釈訳】前行の[虚so]に対応して[移ro]、共に進行形である。
【意訳】芽は定められた通り育つ。


3307ツムクコトサ[積醸奇凝充爽 tu mu ku kou tou sa]
【原本訳】集積、増殖、分化して妙なる現象となった。
【一音訳】[積]物事が増大して行く状況[醸]目にはよく分からないが、物質がどんどん増大している状況[奇]不思議なる変化[凝]固まる[充]極めて物事が充実[爽]晴゜の自然の意志と力を吸い込む最大の動作を意味する動詞
【文節訳】[積醸]反応が進む。そのように自然は動く[凝充]形成する
【解釈訳】「いろは」は自然の意志の順番。ここには、五六[積醸]と九十[凝充]が入っている。
【意訳】さらに増殖を続け不思議な変化をしながら形は定まってゆく。レベル4。


3308ヤタポモマラ[因゛垂穂゜萌増躍 yau ta pou mou mau ra]
【原本訳】余分のカは現象の増大に変化し。
【一音訳】[因゛]いよいよ[垂]力が溢れ出る[穂゜]ますます栄える[萌]目に見えて物質が増加して行く状況[増]物質増加の最大の姿[躍]最大の動作を表す
【解釈訳】前行の[爽sa]に対応して[羅ra]。最大形である。
【意訳】いよいよ力が溢れ出て益々発展して行き、目に見えて現象は増大する。


3309エテネメニシ[重与根芽和静 yai tai nai mai niu si]
【原本訳】現象が重ねられて行くうちに、根や木の芽のような秩序体に力は転換されて行く。
【一音訳】[重]原因、結果が次々と繰り返し繰り返し積み重なって行く状態[与]力と意志の変換[根]秩序を生み出す媒体物[芽]自然の力が物に変わる局面、またその動作[和]組織体[静]自然の意志と力を吸い込んでしまった完了の動詞
【意訳】現象が重ねられて行くうちに、根や芽のような組織体に転換されて行く。レベル1。


3310ケヂュペグウリ[異集゛放゜哈゛浮座 kai jiu pai gu wu ri ]
【原本訳】現象は異物、風化物に変わり消滅し、散り行く。
【一音訳】[異]別のものに変化する[集゛]物質の無秩序な群がり[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[哈゛]どんどん食べる[浮]軽いもの[座]完了形。動作が終わった
【解釈訳】前行の[静si]に対応して[座ri]。完了形である。[異集゛]無秩序な群りに変化し[放゜]力が失せる[哈゛浮座]どんどん食べて軽くなって動作が終わる。ということは風化物になり消滅、散るという事。風化とは原石や鉱物が大気や水にさらされて分解・破砕される現象をいう。それまで秩序を持って増大してきた現象が根や芽のような組織体に転換さるとともに、力を失い、バラバラになってゆくという事だろう。
【意訳】現象は風化物に変り散り散りになる。


3311ヌイワオイノイ[沼゜囲渡覆厳乃 nu wi wa wo yi noi]
【原本訳】混沌は行きわたり覆い尽くして、因縁の原点に返ってしまった。
【一音訳】[沼゜]混沌[囲]囲まれる[渡]行き渡る[覆]覆う[厳]原点[乃]~という結果である
【解釈訳】潜在力は、進行形ソ、最大形サ、完了形シ。それに応じて現実のエネルギーは、進行形ロ、最大形ラ、完了形リ、と流れ込んで密度は同じとなり、現象は終わってしまった。この現象を意図したものがツム[津]、すべての、一つの輪廻の完了、これがノイ[乃]。これこれの結果となった。[沼゜]何が渾沌とするのか。潜在力が渾沌としてしまうということだろう。[囲渡覆]囲まれ行き渡り覆われる。混沌状態に陥るということだろう。[厳乃]原点当結果になった。原点に戻ったということ。原点とは最初の状態、潜在力は潜在力の最小単位であるピ「霊゜piu]に戻ったということだろう。
【意訳】潜在力は混沌としてしまい、原点であるただの一因子に戻る。


3312トコオ[保堅覆 to ko wo]
【一音訳】その軌跡の影だけは永久にのこる。
【一音訳】[保]蓄えられている意志と力[堅]変わらない[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す
【文節訳】[保堅]永久 
【解釈訳】「軌跡の影だけは永久に残ると」はどういう意味だろう。「軌跡」とというのは現象が起こりそれが終わる過程だろう。「影だけは永久に残る」とは現象が始まって終わったその事実が過去として残る。その事実は消えない。あったことの事実は過去としての残るという意味ではないだろうか。人間で言えば生きて死んだという事実は永久に残る。
 前行で輪廻は完結した。そしてこの行で過去になったと示している。つまり、一つの輪廻が終わったらそれは過去になる。ということは未来が始まる。過去は永久に過去のまま。輪廻は同じところをぐるぐる回るのではない未来へ進むことを示している。らせん階段のように、ばねのように時間軸を未来に進みながら輪廻を繰り返す。無限に未来へと進む四次元の世界に居るのだ。
 有限から無限への輪廻の一コマ。これを六十三字十二行の韻文にしたのが、3301から3312に至る現世変遷の具体例である。
【意訳】現象が生じそれが終わったという事実は永久に過去として残る。


 

弓前文書 第3章第2節

2025-05-08 13:46:42 | 弓前文書(神文)
3200ピミマペルトコヂュ[霊゜実増放゜活保堅集゛piu miu mau pai ru to ko jiu]
【原本訳】現実その裏に潜む意志の力は、現実が積み上がって行くうちに、意志は薄れ、力を失い、現実は永久の風化物となる(これを有限集゛の法則という) 。
【一音訳】[霊゜]自然の意志[実]物質。物の本質[増]増加する[放゜]力は消費されて行く[活]現在形の終動詞[保]蓄えられている意志と力[堅]変わらない[集゛]垢。物質の無秩序な群がり。
【文節訳】[霊゜実]現象の持つ潜在力[増放゜活]物質が増せば意志の力が減る[保堅集゛]永久の無秩序となる。
【解釈訳】前節で現象は永久に続かないものであることがわかった。ではどうして現象は永久に続かないのか。必ず消滅してしまうのはどういう訳なのか。その法則を示すのがこの節題。
 ピミ。自然の意志と物の本質、物質の持つ意志と力。
 マペル。増えると減る。何が増えると何が減るのか。物質が増えると自然の意志が減る。物質が増加するなら、その潜在力は減少して行く。現象の継続とともに潜在力は減って行く。潜在力とは自然の意志、つまり、認識できない、見えないエネルギーと理解すればよい。物質が増加したら、その反面で、潜在エネルギーが消費されて減少する。物理学にエネルギー保存の法則というのがある。「ある仕切られた領域の内部でいかなる反応が生じても領域内のエネルギーの総和は変化しない」というもの。ピミマペルはエネルギー保存の法則に相当する。
 トコヂュ。トコは永久。ヂュはわが身の過去一切、垢である。すべて人間を始め如何なる自然条件にあっても、エネルギーが出入りすると必ず垢というかゴミが溜ってくる。自分の作り出したものが[集゛]であり、他人の作り出した[集゛]を汚れという。
 自然の意志と物質の関係は、物質が増えればその反対に自然の意志が減ってゆく、そして永久の垢となる。物質が増えれば物質が持つ潜在エネルギーは減少して行き、最後は無秩序な物質の集まりとなる。エネルギーがなくなってしまえば何の意志もない、無秩序な物質の固まりにすぎない。つまり現象は必ず消滅するという意味になる。エントロピーの法則というのがある。無秩序の度合いを示す物理量の事。簡単に言ってしまえば、秩序は無秩序へ向かうということのようだ。トコヂュはエントロピーの法則に相当する。
 まとめると、第二の法則[霊゜実増放゜活保堅集゛]。[霊゜]は自然意志の力、潜在力である、[実]、現実の物、一つの現象である、[増]は増加する、物が成長して行く現象が増大する。そうすると[放゜]、地の力は弱まる、潜在力はなくなって行く。これを[集゛]。有限の法則または風化物の法則と言う。この法則を説明するため掲げられたのが、以下の四言五句の日本語数詞の原形であった。
【意訳】自然の意志の力は現象を積み上げていく。その反面、力は薄れて行き、最後には必ず消滅する。(有限の法則)(第3章第2節節題)


3201ユピプミ[結霊゜震゜実you piu pu miu]
【原本訳】あるきっかけで自然力は意志として活動して現実の種となった。
【一音訳】[結]縁が出来た[霊゜]自然の意志と力[震゜]発動する[実]物質
【解釈訳】直訳すると、縁あって自然の意志と力が発動し物質となった。日本数詞の「ひーふーみー(一二三)」にあたる。弓前文書は大自然変化の道[威醸移現育]、いかに自然の意志と力に順応して行くか、が書かれている。大自然の意志の順番が日本の数調である。
【意訳】あるきっかけで、自然の意志(潜在力)は発動し現実の物質となる。


3202ヨツムナ[因積醸成 you tu mu na]
【原本訳】定められた因縁に従って発芽増殖分化して雛形となった。
【一音訳】[因]定められた通り[積]積み上げる[醸]目にはよく分からないが、物質がどんどん増大している状況[成]物事が完成した
【解釈訳】直訳すると、定められた通り積み上がって増大し完成した。日本数詞の「よーいー(いつ)むーなー(四五六七)」にあたる。1番と7番、ピ[霊゜]とナ[成]で「ピナ」、ひな(雛)となる。一つの完成形だが、まだ真の完成段階ではない。
【意訳】定めのとおり増殖を続け、雛形ができる。


3203ヤコトタ[因゛凝充垂 yau kou tou ta]
【原本訳】その結果、定められた通り形成され充実し、有り余れる力を持つものとなった。
【一音訳】[因゛]原因結果が繰り返される。その結果は定められた通りである。いよいよ[凝]固まる[充]極めて物事が充実[垂]力が溢れ出る
[文節訳][凝充]形成する
【解釈訳】増殖は繰り返され定められた通り形成されて力が溢れ出る。日本数詞の「やー、こー、とー(八九十)」。日本数詞の1番と10番でピト[霊゜充]、人の語源である。形もはっきりしてきて大人となった完成した姿であり、エネルギーに満ち溢れた状態である。
【意訳】更に増殖を続け、形も定まり、パワーに溢れた状態となる。


3204エモマチ[重萌増育 yai mou mau tiu]
【原本訳】現実の積み重ねが増すにつれて、生まれる力は流れ去る。
【一音訳】[重]原因、結果が次々と繰り返し繰り返し積み重なって行く状態[萌]目に見えて物質が増加して行く[増]物質増加の最大の姿[育]力の流れ
【解釈訳】次々現象をつくって増え、同じことを繰り返していく。その一方で力は流れ去って行く。これが物、生物ならば、子孫をつくって行かねばならない。そのため余分の力が流れ去って行く。子孫を作るために力が消費される。また、自らの維持にも力が費やされる。子孫を作るというのも維持の一貫と考えられる。モマ[萌増]は日本数詞の百(もも)の原語である。チ[育]は同様に千(ち)、千歳(ちとせ)の原語である。
【意訳】増殖を繰り返す一方、維持するため力は流れ去る。


3205ヨヂュミペ[因集゛実放゜you jiu miu pai】
【原本訳】定められた通り現実は風化し力は失せた。
【一音訳】[因]定められた通り[集゛]物質の無秩序な群がり[実]物質[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する
【解釈訳】定められた通りというはこの場合3200ピミマペルトコジュ、エントロピー・エネルギー保存の法則による。天の定めによって潜在力は無秩序な物質に変わり、その力、すなわち生命は失せた。ピキル[日奇活](生)には寿命がある。
 ヨジュミは万(よろず)の語源である。日本語数詞の原型となったものは、この二大自然法則の説明するための韻文であった。
【意訳】定められた法則により、物質は無秩序な物質に変り、その力である生命エネルギーは無くなってしまう。


※閑話
 日本語の母音はエネルギーの小さい順からならべるIUOAであった。
 数詞は分配の為に必要だった。一つのものを半分にして2。二つになった物を半分にして4。四つになったものを半分にして8。物を平等に分けるために必要だったのだろう。これら母音に垂直因果関係を表すy音を付けて数詞は出来た。
 一(YI)二(YU)四(YO)八(YA)
 更に、物体を表すM音を付けて
 三(MI)六(MU)
 更に、物量を表すT音を付けて
      五(TU)十(TO)
 全て母音の順に倍数となっている。
 数詞では出てこなかったが、MO(もっと)MA(まったく)TⅠ(小さい)TA(たくさん)というように母音の順に並べられる。さらに、YMTの最大を並べるとYAMATA、八岐大蛇(やまたのおろち)のヤマタになる。
 これらの数詞を吟味して大自然の意志の順番を表す文章にして完成させたのが日本数詞の原形であった。語呂合わせ的なものだろう。母音はAOUIに加えてAU,OU,IU,AIが増えて母音は八つである。
 一(YI)⇒ピ[霊゜piu]、Y音からP音へ変更された。
 二(YU)⇒プ[震゜pu]、これもY音からP音へ変更された。
 三(MI)⇒ミ[実 miu]
 四(YO)⇒ヨ[因 you]
 五(TU)⇒ツ[積 tu]
 六(MU)⇒ム[醸 mu]
 七    ⇒ナ[成 na]、七番目が付け加えられた。
 八(YA)⇒ヤ[因゛yau]
 九    ⇒コ[凝 kou]、九番目が付け加えられた。
 十(TO)⇒ト[充 tou]
 現代の略した数え方はひーふーみーよーいー(いつ)むーなー(なな)やーこーとー。


[結霊゜震゜実因積醸成因゛凝充垂重萌増育因集゛実放゜]は関連を示す字[結yu)[因you][因゛yau][重yai]の順に、次次々と引き継ぎ完成させて、最後は原因と結果を表す[因you]という字を用いて前を振り返り、結論とした巧妙な構文例である。文字の無い弥生時代のものだ・・・・。


弓前文書 第3章第1節

2025-05-04 10:12:20 | 弓前文書(神文)
3000アマツムカムロミチトコノ[天真津威醸移現育保堅延a ma tiumu ka mu ro mi tiu to ko nou]
【原本訳】大宇は意図す、大自然変化の流れ行く道筋、永久の秩序立て。
【一音訳】[天]ああ![真]真の姿[津]意図は[威]偉大な変化力[醸]進む[移]~ている[現]ありのままの姿[育]力の流れ[保]蓄えられている意志と力[堅]変わらない[延]秩序立て
【文節訳】[天真津]大自然が意図したこと[威醸移]自然変化が進んでゆく[現育]道筋の[保堅]永久[延]秩序立て
【解釈訳】大自然の永久の秩序立てとは大自然の法則のこと。[保]という字は戸締まりの戸、ドアを意味する。戸締まりをして、おけば、中の物を保存しておける。こんなところから、[保]の字が使われたようだ。次の[堅]。堅固なものは壊れない。そこでこの二つを合わせてトコシナエ、常磐木、このような日本語が永久という意味でいまなお使われている。第3章では、現に我々が見ている自然の姿だけでなく、目に見えない世界も含めて三つの法則に従い自然は変転して行く、ことについて書かれている。
【意訳】大自然の永久の秩序(第3章章題)


3001カムロミ[威醸移現 ka mu ro mi]
【原本訳】大自然変化現相。
【一音訳】[威]大自然の変わり行く力[醸]進展する[移]進行中の動作を表す[現]ありのままの姿。現相
【文節訳】[威醸移]自然変化が進んで行く[現]ありのままの姿 
【解釈訳】カムロ、変わりゆくものというのは現代の言葉では大自然。春夏秋冬日々変わり続けている。過去と未来の時間軸の中で刻々と移り変わって行く現世をカムロミという。カムロミとは大自然そのもの、即ち、大自然がもつポテンシャル(潜在能力)そのものである。見えない力、自然を動かす原動力。
 見えない世界というと宗教的と思うかも知れないが、生物で例えれば命。命は見えない。命がないと動けない。けれど死んだ人間の心臓を生きている人間に移植して生かすことができる。命とは何だろう。見えない世界のエネルギーを送り出す命が現実のエネルギーを生み、人間を動かしていると考えられるのではないだろうか。
【意訳】大自然の姿。(第3章副題)
3002カムロキ[威醸移岐 ka mu ro ki]
【原本訳】大自然変化現象。
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く[岐]現象。際立つ
【解釈訳】カムロミに引き起こされる現象。現実をつくり出し、過去の力を吸収する、その意志と力がカムロキ。過去から未来へパ[晴゜]が循環し渦巻く潜在力の大運気の世界をタカマパル[垂威真晴゜活]といい、その姿がカムロミであり、その運気によって引き起こされる現象をカムロキという。タカマパルについては後に3301で説明する。
※ただあまり深く理解しようとしない方がいい。古代の神学を学ぶなら別だが、弥生の言葉が書いてあるという理解でもいいのではないかと思う。
【天津祝詞(あまつのりと)】高天原(たかあまのはら)に神留坐(かむづまりま)す神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命以(みことも)ちて・・・・
※弓前文書に比べると、カムロミを女神、カムロキを男神として、男女の順に並べ替えている。
【意訳】大自然の現象。(第3章副題)


第三章 第一節
3100ミキマパルトコヨ[現岐真晴゜活保堅因 mi ki ma pa ru to ko you]
【原本訳】森羅万象は、大自然保有力が起こす因果の永久輪廻(りんね)運動である(これを輪廻因の法則という)。
【一音訳】[現]現相。この世の姿[岐]現象[真]真の姿[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形。一般動作を表す[保]蓄えられている意志と力[堅]変わらない[因]世。日本数詞の4番目
【文節訳】[現岐]森羅万象[真晴゜活]輪廻する[保堅因]永久に繰り返される世
【解釈訳】ミキとはこの世の起きる様々な現象、見えない世界から流れ込んだ現実のエネルギーがつくりだしたもの、森羅万象のこと。マパルは力が張り出して循環している状況で「まわる」の語源。仏教用語を借りて再生復活を繰り返す輪廻と訳せる。トコヨとは永久に繰り返す世をいう。「常世(とこよ)」の語源である。ミキマパルトコヨとは様々な現象が回って永久に繰り返すと訳せるだろう。
 何が回る、何が輪廻するのか、それはこの節に書かれている四つの世。アパナミ、アポナミ、イザナミ、イザオミの四つの消長を繰り返すので「よ(四・世)」という。因は果を生み、果は因を生んで、次々と永久に繰り返されるのである。
 森羅万象は、さまざまな因果の果てに引き起こされた、その潜在力の消長の段階に応じて、それに向かって流れ込んだ現実エネルギーがつくり出したものである。この潜在力の消長を相といい、流れ込んで来る現実のエネルギーを象という。潜在力とは見えない力であり、見えない力が現実のエネルギーに変換され、現象を起こすという意味だろう。見えないという表現は認識できないという意味でとらえて欲しい。
 カムロミ・カムロキ(大自然の姿・現象)は必ず四つの段階を経て生まれては消えて行く。これを永久に繰り返す。
【意訳】森羅万象は大自然の見えない力が起こす現実のエネルギーによってつくり出された消長の永久の繰り返しの姿である。(第一法則、輪廻の法則、トコヨの法則)(第3章第1節節題)


3101アパナミ[会晴゜成現au pa na mi]
【原本訳】因縁結実相。
【一音訳】[会]出合いの時期到来[晴゜]大自然の持つ意志とその力[成]物事が完成した[現]見えているものの姿。現相
【文節訳】[会晴゜成]現実に現れる機会を得た[現]姿
【解釈訳】パとは大自然の意志とその力、つまり、見えない世界のエネルギー。そのパに出会って完成する姿。パのエネルギーとは生命エネルギーと考えてもよいと思う。パという大自然の持つ潜在エネルギーが物質に変わってゆく姿という意味になる。現実に現れる機会を得た姿。
 原本訳で使われている「相」は潜在力の消長、「象」は流れ込んでくる現実のエネルギー。つまり「相」とは認識できないエネルギー、見えない世界のエネルギーであり、潜在力という言葉も使われている。「象」とは現実のエネルギー、現実の力の状態。
【意訳】大自然の持つ潜在エネルギーが現実の物質に変わってゆく姿(輪廻四つの世の第一段階)。


3102アパナヨ[会晴゜成因 a pa na you]
【原本訳】自然力吸収象。
【文節訳】[会晴゜成]現実に現れる機会を得た[因]定められた通り。世
【意訳】大自然の持つ潜在エネルギーが現実の物質に変わってゆく状態。


3103アポナミ[会穂゜成現 au po na mi]
【原本訳】事物発現相。
【一音訳】[会]出会う[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[成]物事が完成した。秩序が出来上がった[現]見えているものの姿。現相
【文節訳】[会穂゜成]現象という自然の中の一つの意志、独立した自然意志である分霊がつくられた[現]姿
【解釈訳】独立した自然意志が出来るということは、現実に起こる事象が出来てゆく、現象が成長して行く。そこには現実のエネルギーが流れ出している。アポナミは現世。
【古事記】沫那美(あわなみ)の神
【意訳】現実のエネルギーが流れ出して、現象が成長してゆく姿(輪廻四つの世の第二段階)。


3104アポナキ[会穂゜成岐 au po na ki]
【原本訳】自然力集中現象。
【文節訳】[会穂゜成]現象という自然の中の一つの意志、分霊がつくられた[岐]現象
【解説訳】アポナで現象という自然の中の一つの意志、分霊がつくられた、その姿がアポナミ、力の状態がアポナキ。
【古事記】沫那藝(あわなぎ)の神
【意訳】現実のエネルギーが流れ出して、現象が成長してゆく。


3105イザナミ[親陜成現 iu tsau na mi]
【原本訳】事物分解相。
【一音訳】[親]自然の親しみ。愛憎[陜]接近する[成]物事が完成した[現]見えているものの姿
【文節訳】[親陜成]現象は分解、消滅して行く。[現]姿
【解釈訳】イザナは1408でも出てきたが、親しく接することにより生命は生まれ、そして他に代えが利かない個として存在し、よって、同位体の分裂増殖、新陳代謝とは異なり、個は消滅して行く。アポナミが成長して行く姿であり、イザナミは消滅へと向かう段階を示す。アパナミとイザナミがウツヨ[美積因]の世界、現世(うつしよ、げんせい)である。生物に限らず、森羅万象の姿の一つの段階。
【古事記】伊邪那美(いざなみ)の命。但し、1407参照のこと。
【意訳】成長が止まり分解、消滅して行く姿(輪廻の第三段階)。


3106イザナキ[親陜成岐 iu tsau na ki]
【原本訳】自然力解放現象。
【文節訳】[親陜成]現象は分解、消滅して行く[岐]現象
【解説訳】現象は分解、消滅して行く力の状態。
【古事記】伊邪那岐(いざなき)の命。但し、1408参照。
【意訳】現象は分解、消滅して行く。


3107イザオミ[親陜覆現 iu tsau wo mi]
【原本訳】余韻因果相。
【単語訳】[親]自然の親しみ。愛憎[陜]接近する[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す[現]見えているものの姿
【文節訳】[親陜]分解して行く状況[覆現]覆われた姿 
【解説訳】オミとは覆われた姿、つまり、現象が消滅し過去となってしまった姿。消滅したとは、見えない世界、認識できない世界、潜在力の世界に行ってしまった。分解した潜在力は未来社会に進んで行き、また最初に戻ってアパナミで潜在エネルギーが現実の物質に変わってゆく。
【意訳】過去のものとなった現象の姿(輪廻の第四段階)。


3108イザナヤ[親陜成因゛iu tsau na yau]
【原本訳】自然力拡散象。
【文節訳】[親陜成]現象は分解、消滅して行く[因゛]原因結果が繰り返される。益々。
【解釈訳】過去のものとなった現象はさまざまになった。ということは、分解して消滅してバラバラになって、素材になったということだろう。これも見えない世界の話。
【意訳】過去のものとなった現象はさまざまになった。


弓前文書 第2章第1節

2025-04-19 14:37:59 | 弓前文書(神文)

2000アマツムカムロミチウツノ[天真津威醸移現育美積延 a ma tiumu ka mu ro mi tiu u tu nou]
【原本訳】大宇は意図す、大自然変化の流れ行く道筋、移り行く秩序立て。
【一音訳】[天]ああ![真]真の姿[津]意図は[威]偉大な変化力[醸]進む[移]~ている[現]ありのままの姿[育]力の流れ[美]生まれる[積]積み上げる[延]秩序立て
【文節訳】[天真津]大自然が意図したこと[威醸移現育]自然変化が進んでゆく道筋[美積]移り行く[延]秩序立て
【解釈訳】第2章には大自然の移り変わりの裏に潜む力がどのようなものか書いてある。[美積]とは生まれ積み重なってゆく、つまり、動きだす、移るという意味となる。古代倭人がウツヨ(現世)と言ったのはここからきている。[延]その秩序はどのようなものなのか、どのような力が潜んでいるのかについて書かれている。
【意訳】大自然の移り変り(第2章章題)


2001アオピルメムチチ[天大日活芽醸雷゜育 a o pi ru mai mu ti tiu]
【原本訳】ああ威大なる熱と光の太陽の恵み、与え続ける力の流れ。
【一音訳】[天]ああ[大]大いなる[日]光と熱[活]~している[芽]物質への転換、恵み[醸]反応が進む[雷゜]エネルギーの塊[育]力の流れ
【文節訳】[天大]ああ!素晴らしい[日活芽]木、物を生み育てる熱エネルギーの恵み。太陽の熱と光。[醸雷゜]反応を続けるエネルギーの塊[育]力の流れ
【解釈訳】「ひるめ」と辞書を引くと、天照大御神の美称と書いてある。弥生語のパ行はハ行に移行した。ピル[日活]は太陽が動くの意味で、昼の語源。 
【古事記】天照大御神(あまてらすおおみかみ)【日本書紀】大日孁貴(おおひるめのむち)
【意訳】なんて素晴らしい、エネルギーの塊を変換し、熱と光の恵みを与え続ける太陽よ。(第2章副章題1行目)


2002アオナツムヂ[天大成積醸 a o na tu mu diu]
【原本訳】ああ威大なる総合秩序、さまざまの与え続ける力の流れ。
【一音訳】[天]感嘆詞[大]大きいという感嘆詞[成]秩序が出来上がった[積]実体。積み上げる[醸]物質がどんどん増大している[育゛]さまざまな力の流れ
【文節訳】[天大]ああ!素晴らしい[成積]大地[醸育゛]尽きることのないさまざまな力が流れ合っている
【解釈訳】アオナツ[天大成積]とは、大地の力。大地の自然現象をコントロールする力。大地の自然秩序。[成積]秩序が積み上がったもの、この場合、太陽に対して大地となる。[醸育゛]山、海、川、夜昼、四季の移り変わり、自然という大地。そこには尽きることのないさまざまな力が流れ合っている。アオナツムヂは天地変化の力、大地の力。
【古事記】大國主(おおくにぬし)の神。またの名は大穴牟遲(おおあなむぢ)の神、葦原色許男(あしはらしこお)の神、八千矛(やちほこ)の神、宇都志國玉(うつしくにたま)の神。併せて五つの名が有る。【日本書紀】大己貴神(おおなむち)
【意訳】なんて素晴らしい、大地の自然現象をコントロールする尽きることなき力よ。(第2章副章題2行目)




2100アマツソラトヨクモヤエル[天真積虚躍充因奇基因゛重活 a ma tu so ra tou you ku mo yau yai ru]
【原本訳】大空この虚空に踊るもの(それは次に示す通り)、充ち充ちたる不思議なる大本は、因果は幾重にも重なり動いている。
【一音訳】[天]感嘆詞[真]真の姿[積]実体。積み上げる[虚]何もない[躍]躍動する[充]充分に[因]原因[奇]不思議なる変化[基]大本の姿、基礎[因゛]原因結果が繰り返される[重]次々と繰り返し繰り返し積み重なって行く[活]~している
【文節訳】[天真]我を含めてまわりすべて。大宇宙。自然。[積]実体[虚躍]何もない空間が躍動している[充因]十分なる原因[奇基]奇しき大本[因゛重活]因果は幾重にも重なり動いている 
【解釈訳】アマツソラで天空の意味となる。大空、虚空に踊るもの。何もない空にエネルギーが躍動しているということ。トヨクモは充ち充ちたる原因があって不思議な大木となっている。ヤエルは因果は幾重にも重なり動いているということ。
まとめると、天空、虚空に踊るものは、様々な因果により、不思議な根本の基礎となって、因果が幾重にも重なり動いている。第1章第1節で宇宙ができ満天の星空が現れた。それに対応してこの第2章第1節(2101から2108)がある。つまり、満天の星空はどのようになっているかが述べられている。
【意訳】大空にはさまざまな因縁があってできたものが幾重にも重なり動いている。(第2章第1節節題)


2101アオテルナチ天大与活成雷゜[a o tai ru na ti]
【原本訳】ああ威大なる照り輝く実体。
【一音訳】[天]ああ[大]大いなる[与]光を反射する。力を自由自在に変換する媒体[活]~している[成]秩序が出来上がった[雷゜]固定しているエネルギー、エネルギーの塊
【文節訳】[天大]ああ大いなる[与活]]光反射する、照り輝く[成雷゜]物体、実体。秩序整然としたエネルギーの塊。
【解釈訳】テ[与]という字は、力の媒介を表す。手は力をあっちに向けたり、こっちに向けたり、もっとも自由な力の媒体である。光を反射している物体とはこの場合、月のこと。月は自ら光を放つのではなく、太陽の光を受け反射して輝いていたことを弥生人は知っていたことになる。テル[与活]は照るの語源。
【意訳】なんて素晴らしい、太陽の光を反射し照り輝く物体、月。


2102アカテルナチ[会威与活成雷゜au ka tai ru na ti]
【原本訳】明るく照り輝く実体。
【一音訳】[会]出会う[威]大自然の変わり行く力[与]反射する[活]~している[成]秩序整然[雷゜]エネルギーの塊
【文節訳】[会威]明るくなった[与活]]照り輝く[成雷゜]物体
【解釈訳】明るく照り輝くもの、この場合、他の星と違う動きをしていて、目視できる太陽系の惑星の事。
【意訳】明るく太陽の光を反射し照り輝く物体、水・金・火・木・土星。


2103ピカルムチ[日威活醸雷゜pi ka ru mu ti]
【原本訳】光り輝き続ける星。
【一音訳】[日]認識出来るエネルギー[威]大自然の変わり行く力[活]現在形。一般動作を表す[醸]反応が進む[育]エネルギーの流れ
【文節訳】[日威活]威大な力に変わる[醸雷゜]反応を続けるエネルギーの塊 
【解釈訳】ピカはピカっと光ったのピカ。ピカルは光るの語源。前行のナチに対してムチなので、エネルギーの反応を続ける、つまりは、自ら光を出し続けるということ。月や五惑星と違い、太陽と同じく自ら発光しているに違いない、と弥生人は考えたのだろう。
【意訳】自ら光輝く星々。


2104プタカルチ[震゜垂威活雷゜pu ta ka ru ti]
【原本訳】巨大な力が流れ出ている星。
【一音訳】[震゜]潜在エネルギーの発動、震える[垂]力が溢れ出る[威]大自然の変わり行く力[活]現在形。一般動作を表す[雷゜]エネルギーの塊
【文節訳】[震゜垂]潜在エレルギーが溢れ出る[威活]恐ろしき大いなる変化[雷゜]エネルギーの塊
【解釈訳】プタは振動しながらエネルギーが溢れ出ている。カルチは恐ろしき大きな変化しているエネルギーの塊。振動しながらエネルギーを出している星。星のまたたき。夜空で瞬くのは恒星で、瞬かない星というのは惑星。惑星は近いので光の屈折の影響が受けにくく瞬かない。瞬く遠くにある恒星から恐ろしい力、巨大な力が瞬きながら溢れている。夜空の恒星の瞬いていることから、大きなエネルギーを発していると弥生人は感じたのではないか。
【意訳】瞬いて巨大な力を溢れさせている星々。


2105ピコチ[霊゜凝雷゜piu kou ti]
【原本訳】目に見えぬ力を持つ星。
【一音訳】[霊゜]自然の意志と力[凝]固まる[雷゜]エネルギーの塊
【解釈訳】ピ[日pi]は認識できるエネルギー、例えば熱と光。太陽は[日]を発生させている。一方、ピゥ[霊゜piu]は認識できないエネルギー。大自然の意志。ピコチで認識できない、目に見えないエネルギーが固まったエネルギーの塊。瞬いている星以外にも見えない星がいっぱいあることを認識していると思う。見えない星もエネルギーを出し続けている。見えないけれど、エネルギーを持った星があると感じることは不自然ではない。
【意訳】目に見えぬ力を持つ星々。


2106ポカチ[火゜威雷゜pou ka ti]
【原本訳】燃える恐ろしい星。
【一音訳】[火゜]燃えるもの[威]大自然の変わり行く力、恐ろしいという圧迫感[雷゜]エネルギーの塊
【解釈訳】燃える恐ろしいエネルギーの塊。流れ星。火球。彗星。炎を伴うような星ということだろう。大きな隕石の落下も経験しているかも知れない。ピコチが目に見えないのに対して、ポカチは目に見える星。
【意訳】燃える恐ろしい星々。


2107ピコ[霊゜凝piu kou]
【原本訳】目に見えぬ力を持つもの。
【一音訳】[霊゜]自然の意志と力[凝]固まる
【解釈訳】節題のアマツソラとは何もない空に踊るもの、因縁。因縁とは何か、この場合エネルギーと解釈するとよいのではないか。何もない空には、実は、エネルギーに満ち溢れている。第1章第1節のタカミムツピも物質がない宇宙に物質を生み出した、その前提にマナカヌチという無限のエネルギーがあった。何もない空間は何かを生み出すエネルギー、潜在エネルギーがある。というのが、弥生人の発想ではないかと思う。ピコも見えないけれどある。力、エネルギーを持ったものがあるということだろう。現代の知識に当てはめれば、ガス、微塵、隕石、星間物質が該当するだろう。
【意訳】星空を埋める目に見えぬ力を持つもの。


2108ポチ[火゜微 pou tsiu]
【原本訳】映える粒子。
【一音訳】[火゜]炎[微]極めて小さい
【解釈訳】原本の解釈ではオーロラのような高エネルギーを持つ粒子だとあるが、弥生時代日本からオーロラが見えただろうかという疑問がある。じゃ何だろう。星としては認識されないものだろう。天の川は地上から観察される銀河系の姿だという。肉眼では遠すぎで星として見分けることができない。その為、夜空を横切るような雲状の光の帯として見える。織姫と彦星は天の川をはさんで東とに西に引き離されたという物語がある。ピコポチは彦星の名の由来だという。
【意訳】とても小さい輝きを持つもの。


弓前文書 第2章第2節

2025-04-19 14:37:35 | 弓前文書(神文)
2200アオメツチムナヤコトタル[天大芽積育醸成因゛凝充垂活 a o mai tu tiu mu na yau kou tou ta ru]
【原本訳】ああ威大なる恵みを与える総合力の流れ(それは次に示す通り)、自然に醸され、形成され溢れ出た力の流れである。
【一音訳】[天]ああ[大]大いなる[芽]自然の力が物に変わる局面、またその動作[積]物事が増大して行く[育]力の流れ[醸]醸し出す[成]物事が完成した[因゛]その結果は定められた通りである[凝]固まる[充]充実している[垂]力が溢れ出る[活]~している
【文節訳】[天大]ああ大いなる[芽]恵み[積育]増幅する力[醸成]熟成される[因゛]その結果は定められた通りである[凝充]形成される[垂活]溢れ出ている
[天大芽積育]ああ偉大なる恵みを増幅する力[醸成因゛凝充垂活]熟成され、その結果、形作られ溢れだしている。
【解釈訳】アオメツチとは天地の恵み、その流れる力のことで、天地(あめつち)の語源である。前節でアマツソラ、天空、宇宙について述べているが、この節ではアオメツチ、天地、つまり地上、地下、空、生物が生きている空間について述べている。
 大地は熱と光を太陽から、地下から湧き出るエネルギーは水の中を通って大空から雨となって降り注ぎ、大地に染み込んで行く。だから大地の表面は、様々なエネルギーが形を変えて溶け合っていることとなる。これをアオメツチといった。
 太陽からのエネルギーをウカ(ガ)[美母]といい、大地、地下からのエネルギーをカタ[威垂]といい、アオメツチで溶け合っている。故にこれを一つの大きな珠とみたてた。個々の生物というものは、この大きな珠から小さな珠をいただいたものだと弥生人は考えた。三種の神器(鏡・勾玉・剣)の勾玉にあたる。
【意訳】天地の恵みの力は、熟成し形成され溢れ出ている。(第2章第2節節題)



2201ソラピカ[虚躍日威 so ra pi ka]
【原本訳】大空より降り注ぐ威大な力の流れ。
【一音訳】[虚]何もない[躍]躍動する[日]光と熱[威]大自然の変わり行く力
【文節訳】[虚躍]大空。この虚空に躍るもの。[日威]太陽の熱、光、宇宙から来るあらゆるエネルギー、パ[晴゜]も含むまれる
【解釈訳】ソラとは空の語源。空とは、まさに何もないところに、昼は太陽、夜は、月や星が躍動している。ピカとは太陽の熱、光を始め、宇宙から降り注ぐ不可視のエネルギー。パ[晴゜]のエネルギー(生命エネルギー)も含む。単なる物理的な流れだけでない目に見えぬ潜在的な力の流れ。
【古事記】建御雷之男(たけみかづちのお)の神、またの名は建布都(たけふつ)の神、またの名は豐布都(とよふつ)の神。建御雷(たけみかづち)の神。ピカ[日威]にツチ[積育]増幅する力、を付け、さらに、タケ[垂異]粉砕する、武、を頭につけ、タケピカツチ[垂異日威積育]とした。[日威]はpika⇒hika⇒ika⇒mikaと変化。
【祭神】鹿島神宮の祭神、武甕槌(たけみかづち)。
【委細心得】御雷(ぴか)。ピカは剣に例えられている。
【意訳】大空より太陽の熱と光を含むあらゆる力が降り注ぐ。


2202プツツムノ[震゜積津延pu tu tiumu nou]
【原本訳】大地から湧き上がる組織的な力の流れ。
【一音訳】[震゜]自然の意志と力が発動する[積]物事が増大して行く状況[津]意図する[延]秩序立て
【文節訳】[震゜積]圧力を積み上げ[津延]秩序立てることを意図する
【解釈訳】圧力、地圧により地表からも様々なエネルギーが溢れ出ている。このエネルギーが大地を秩序立てる力である。単なる物理的な流れだけでない目に見えぬ潜在的な力の流れ。
【古事記】建布都(たけふつ)の神、またの名は豐布都(とよふつ)の神。前行のソラピカとプツツムノは表裏一体。古事記では建御雷之男(たけみかづちのお)の神の別名として載っている。
【祭神】香取神宮の祭神、経津主大神(ふつぬしのおおかみ)
【委細心得】布土(ぷつ)。プツは鞘に例えられている。
【意訳】大地を秩序立てる力が地表に溢れ出ている。


2203ピナツ[日成鋭 pi na tsu]
【原本訳】稲妻の流れ。
【一音訳】[日]熱と光、認識出来るエネルギー[成]秩序が出来上がった[鋭]極めて狭い。突き刺す。鋭い
【解釈訳】熱と光が整って鋭く突きさす。雷のこと。稲妻の(いなづま)の語源。
【意訳】稲妻の力。


2204カグチ[威哈゛育 ka xgu tiu]
【原本訳】火炎の流れ。
【一音訳】[威]恐ろしい[哈゛][哈xu]の複数形。どんどん食う[育]力の流れ
【解釈訳】恐ろしきいろいろなものを食ってしまう力の流れ。天の雷に対して、地の炎。炎はいろいなものを燃やしてしまう、食ってしまう力がある。
【古事記】火(ほ)の夜藝速男(やぎはやお)の神、またの名を火の炫毘古(かがびこ)の神、またの名を火の迦具土(かぐつち)の神。
【意訳】火炎の力。


2205スナチ[澄成育su na tiu]
【原本訳】風の流れ。
【一音訳】[澄]吸い込む[成]秩序が出来上がった[育]力の流れ
【解釈訳】吸い込むと澄み切る。澄み切っできたものは空気。その流れは風。
【古事記】風の神、名は志那都比古(しなつひこ)の神。
【意訳】風の力。


2206ズミチ[澄゛実育zu miu tiu]
【原本訳】水の流れ。
【一音訳】[澄゛]どんどん吸い込む[実]物質[育]力の流れ
【解釈訳】どんどん物質を吸い込む力の流れとは地上では水の流れ。地上の風に対して地表の水。ズミに近い言葉で泉がある。水という言葉は朝鮮語の水、ミル(mul)とズミチとの合成語と考えられる。
【意訳】水の力。


2207モノツチ[萌延積育 mou nou tu tiu]
【原本訳】生き物が造り出す力の流れ。
【一音訳】[萌]目に見えて物質が増加して行く[延]秩序立て[積]物事が増大して行く[育]力の流れ
【文節訳】[萌延]生物。生き物[積育]増幅する力
【解釈訳】モノは生き物のモノ。
【意訳】生物の力。


2208イワツチ[厳渡積育 yi wa tu ti]
【原本訳】岩石土砂が造り出す力の流れ。
【一音訳】[厳]不動[渡]行き渡る[積]物事が増大して行く[育]力の流れ
【文節訳】[厳渡]岩石・土砂[積育]増幅する力
【解釈訳】イワは岩の語源で岩石・土砂の事だという。私は、生き物を育む大地、生物が踏みしめる地面の意味ではないかと思う。イワとは不動で広がりをもつものというのが倭人語の意味。イワは岩の語源なら、ツチは土の語源ではないかと思う。
【古事記】石土毘古(いはつちびこ)の神
【意訳】岩と土の力。