4200ウツヂュグガカムロパノリム[美積集゛哈゛狩威醸移晴゜延座醸 u tu jiu xgu xa ka mu ro pa nou ri mu]
【原本訳】現実阻む罪穢れ、自然の流れ張り放つ、秩序を立てて醸し出せ。
【一音訳】[美]生まれる[積]物事が増大して行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[哈゛]いっぱいくっついている。何がくっついているかというと他人の身についている過去一切[狩]自然の掟を破る[威]変わる[醸]進展する[移]進行中[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[延]秩序立て[座]完了[醸]進展する
【文節訳】[美積]この世に生じた。[集゛哈゛狩]わが身の過去一切、他人の身についている過去一切、自然の掟を破ること。[威醸移晴゜]自然の掟に従って自然の力が流れ込む。[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展
【解説訳】ジュグガについて。過去一切ということは、罪や穢れをため込んでいる状態。人間生きていれば、必ず、いろいろな罪や穢れ。自分だけじゃなく、他人の罪や穢れも受け取ってしまう。つまり、人間が垢が溜まる、錆びて来るということで、その為、人間でいられるエネルギーが無くなって、維持できなくなるということだろう。ガ[狩]について、掟を破って来たことというのは、生きていれば木を切り燃やし動物を狩り、植物を刈る。自然に対して、自然ではないことをしている。獲得するという意味から、自然を犯して物を取るということで、自然の掟を破るという意味になるのだろう。カムロパについて、カムロで自然変化は進んで行く、そこのパという自然の力の流れに乗って行きなさいということだろう。
ここで、弥生人の罪と汚れについてまとめておきたいと思う。罪の語源はヂュミ[集゛実ju miu]。現代の罪(つみ)という言葉の中には、多分に道徳的な意味を持っているが、古代人にとっては、日々の犯して来た過去のすべてが罪であり、それを身につけていることは自分の生命の損失に当たるという認識である。糞、尿、屁、汗、垢も含め日々生活するだけで罪になる。穢れの語源はケグ[異哈゛kai xgu]。異物を加えるという意味であり、他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く、他人の罪が自分にくっつく、異なったものをくわえ込むということ。すんだことはすべて汚れ、穢れになる。罪は自分自身で作った汚れ、穢れは他人から受け取った汚れといえるだろう。[集゛哈゛]は[集゛実]と[異哈゛]のこと。古代倭人は罪、穢れを溜めておくことは命を縮める、という思想を持っていた。そこで「罪、汚れを祓えたまえ清めたまえ]の祝詞(のりと)ができた。
【意訳】この世で生じた罪穢れは自然の流れに解き放ちなさい。自然の秩序に順応することが大事です。(第4章第2節節題)
4201タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】威大な力が輪廻する。
【解説訳】3301と同じ。潜在力が過去から未来へと流れ、未来から過去へと流れる。人間について考察すると、現世は潜在力が人間の肉体を保っているとき。死を迎えるとは、潜在力が肉体を維持できず死に潜在力だけが残る。それは過去となったことであり、あの世、黄泉の世界である。そして人間を維持する力を失った潜在力は時を経て汚れを落とし力を回復し、未来において再度人間を誕生させる。この繰り返しである。
【意訳】潜在力は循環する。
4202カムロキミユ[威醸移岐現結 ka mu ro ki mi yu]
【原本訳】現れにける大自然。
【一音訳】[威]偉大な変化力[醸]進展する[移]進行中[岐]現象[現]見えているものの姿[結]縁が出来た
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移岐]大自然の現象[現結]見えるようになった。現れた。
【解説訳】[威]とは潜在力です。見えない力です。見えない力が見えるようになった。潜在力が現象を起こして実体化し、見えるようになった。見えるようになったものは大自然。
【意訳】潜在力が現象を起こし、大自然が現れた。
4203イザナキヨ[親陜成岐因 iu tsau na ki you]
【原本訳】この現実の浮世にて。
【一音訳】[親]自然の親しみ[陜]接近する[成]秩序が出来上がった[岐]現象[因]世
【解説訳】[親陜成]生命有限。現象は分解、消滅して行く。雌雄の世界に入ったがため、個として有限の生命となった。雌雄によって生まれた子は、個々それぞれ独自の才能があり、それぞれ発展して行く。生まれ育ち維持し衰え死ぬ。この現象は現世である。この世、浮世ともいう。つまり、潜在力によって現象化、実体化した事物・生物の現実世界。
【意訳】生命有限の現実世界
4204ウツヂュケグマガ[美積集゛異哈゛真狩 u tu jiu kai xgu ma xa]
【原本訳】罪と犠れは行く道塞ぐ。
【一音訳】[美]生まれる[積]積み上げる[集゛]物質の無秩序な群がり。わが身についた過去の物事、罪[異]別のものに変化する[哈゛]どんどん加える[真]真の姿[狩]獲得する、刈り取る、食い尽くす、
【文節訳】[美積]生まれる、それが次々積み重なって行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[異哈゛]他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く。他人の罪が自分にくっつく。異物を加える。※けがれ、穢れ、汚れの語源[真狩]何を獲得するのか。それは自然の掟。自然の掟とは生命有限、エントロピーの法則等。
【解説訳】生れて積み上げてゆく生きることによって生じる自らの汚れ、他人から受ける汚れ。これらは自分自身を蝕んでゆく。人間生きるために食べればすべてをエネルギーに変換できるわけでなく、カスが出る。人間の中にカスが溜まる。そうなると、エネルギーが弱くなる。生きていれば必然的にエネルギーを得てゆく一方、不要物が溜まることにより、エネルギーを得られない状態となってゆく。これらは避けることの出来ないものである。
【意訳】生きることによって積み上がる自分の汚れや他人からの汚れは、自らをむしばんでゆく。
4205プルクチミソユキ[震゜活奇育実虚結岐 pu ru ku tiu miu so yu ki]
【原本訳】霊気震えば妙なる流れ、障(さわ)りはすべて融(とか)し込む。
【一音訳】[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形[奇]不思議なる変化[育]力の流れ[実]実体[虚]大自然の意志と力を吸い込む[結]縁が出来た[岐]そこに起こるさまざまな現象
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[奇育]不思議なる力の流れ[実虚]実体は垢、罪、汚れがなくなった[結岐]次の新しき世界に因縁をつくる。次の世界と関係を結ぶ。新しい因縁を得る。新しい因縁を得て蘇ることができる。新しいエネルギーを呼び込んで甦がえる。※大嘗祭の悠紀(ゆき)殿の語源
[震゜活奇育実虚]秘儀を表す熟語であって、動的、あるいは命令形を表す。
[奇育実虚]実体にこもる潜在力、それを活性化することによって、身についた過去のもの一切を振るい出してしまう神霊行事、あるいは神霊現象※禊(みそぎ)の語源
【解説訳】自然の意志をふるい起こせば不思議な力の流れが出来て、身体から垢、罪(自分の汚れ)、穢れ(他人からの汚れ)が無くなる。そうすれば、新しい縁を得ることができ、再度、現象を生じ人間に生まれることができる。これは禊祓いのことである。汚れたままの状態では新しき縁に出会うことができない。汚れを取り去りなさいということだろう。人間を作って来た潜在力が汚れが溜まって潜在力が弱くなり人間を保つことができなくなり、人は死ぬ。そしてピクツムピ、生きる意志だけが残る。この生きる意志も汚れていたままでは再度人になることはかなわない。だから、汚れをふるい落としなさい。そうすれば新しき世界に生まれることができますよ。ということだろう。新しき世界というのは未来の現世ということになるだろう。汚れたままでは、罪穢れを持ったままでは、新しい縁と結ばれない。
【意訳】潜在力である汚れた魂から汚れを振り落とせば新しい縁を得ることが出来る。
4206パラペトノイオ[晴゜躍放゜保乃覆 pa ra pai to noi wo]
【原本訳】霊気張り出し過去の世界へ。
【一音訳】[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[躍]最大の動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[保]蓄えられている意志と力[乃]~という結果である[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す
【文節訳】[晴゜躍放゜]新しい自然の力が張り出して来て、罪、汚れを押し放った。※祓われる、祓えの語源[保乃覆]過去の世界(3312トコオ[保堅覆]の世界)。しっかりした戸によって隔絶された過去の世界。過ぎ去った時間の入り口。
【解釈訳】過ぎ去った事に対しては、何とも自分では処理出来ない。それでトノオの神にお願いして入り口を開いてもらう。そうすると、過去の怨霊なり、過ぎ去った事柄は、すべて吸い込まれて過去の世界に追い払うことが出来る。これが祓い。どうして吸い込まれて行くのか。倭人は、たくさん物が集まっていると、そこに吸い寄せられるという思想がある。このトノヲの中には、過去のたくさんな事、物が一杯詰まっているから、そこに吸い寄せられると倭人は考えた。
【古事記】祓戸大神(はらえどのおおかみ)。イザナギが禊した時現れた神々の総称。但し、天照大神やスサノオ等の一部の神々を除いたもの。
【意訳】汚れは全部過ぎ去ったこととして、過去の世界へ追い払え。
4207アポキパル[会穂゜岐晴゜活 au po ki pa ru]
【原本訳】かくして行く手晴れやかに。
【一音訳】[会]出会う[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[岐]現象[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形。一般動作を表す
【文節訳】[会穂゜]独立した自然意志、分霊との出合い[会穂゜岐]分霊がエネルギーをどんどん吸収する現象[晴゜活]自然の新しい潜在力
【解説訳】直訳すると、独立した自然意志に出会いで起こる現象は、潜在力の活性化。汚れを過去に追い払ったら、独立した自然意志が新たなエネルギーを得られるようになる。そして未来へと進んで行く。だから晴れやかというのだろう。
【古事記】阿波岐原(竺紫(ちくし)の日向(ひむか)の橘の小門(おど)の阿波岐(あはき)原
【意訳】独立した意思を持った潜在力がどんどんエネルギーを吸収して潜在力の流れに乗って未来へと張り出してゆく。
4208キヨメタモラム[岐因芽垂萌躍醸 ki you mai ta mou ra mu]
【原本訳】宜しき萌(きざ)しは弥(いや)萌え出でむ。
【一音訳】[岐]際立つ[因]原因[芽]自然の力が物に変わる局面、萌し、兆し[垂]力が溢れ出る[萌]目に見えて物質が増加して行く[躍]最大の動作、躍動[醸]発展する
【文節訳】[岐因]際立つ因縁[岐因芽]良き因縁[垂萌躍醸]萌えいずることでありましょう
【解説訳】キヨは際立つ因縁ということで、後に美しい、清らかな等の意味となった。綺麗にしないとよい因縁に巡り合えないので清という字が当てられたのだろう。キヨメは際立つ因縁がものに変る局面であり、良い萌(きざし)し、良いことが起ころうとしているという事。タモラムは力が溢れ、増加し、躍動、発展する。よい事が驚異的に起こるという事だろう。何がよい事かというと、潜在力パはキヨメとして現実世界に行く。つまり、再度人間として生まれることが出来るということだろう。
【意訳】とても素晴らしい縁が芽生えることだろう。
閑話
古代倭人は罪、汚れを溜めておくことは命を縮める、このような思想を持っていた。だから罪・穢れを無くすることが重要だと考えたのだ。現在行われている神道の最もポピュラーな天津祝詞と対比てみよう。
高天原(たかあまのはら・たかまがはら)に神留坐(かむづまりま)す【4201タカマパル】
神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命(みこと)以(も)ちて【4202カムロキミユ】
皇親(すめみおや)神伊邪那岐(かむいざなぎ)の大神(おほかみ)【4203イザナキヨ】
筑紫(つくし)日向の(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あわぎはら)【4207アポキパル】
禊祓ひ(みそぎはらい)給ふ(たまう)時(とき)に【4205プルクチミソユキ】
生坐(あれま)せる祓戸(はらえど)の大神等(おおかみたち)【4206パラペトノイオ】
諸々(もろもろ)禍事(まがごと)罪穢(つみけがれ)を【4204ウツヂュケグマガ】
祓へ(はらえ)給ひ(たまい)【4206パラペトノイオ】
清(きよ)め給へ(たまえ)と申す事の由を【4208キヨメタモラム】
天つ神地(くに)つ神八百万神等共に聞食(きこしめせ)と畏み畏みも白(もう)す
【原本訳】現実阻む罪穢れ、自然の流れ張り放つ、秩序を立てて醸し出せ。
【一音訳】[美]生まれる[積]物事が増大して行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[哈゛]いっぱいくっついている。何がくっついているかというと他人の身についている過去一切[狩]自然の掟を破る[威]変わる[醸]進展する[移]進行中[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[延]秩序立て[座]完了[醸]進展する
【文節訳】[美積]この世に生じた。[集゛哈゛狩]わが身の過去一切、他人の身についている過去一切、自然の掟を破ること。[威醸移晴゜]自然の掟に従って自然の力が流れ込む。[延座醸]自然の秩序に順応する。秩序立ての進展
【解説訳】ジュグガについて。過去一切ということは、罪や穢れをため込んでいる状態。人間生きていれば、必ず、いろいろな罪や穢れ。自分だけじゃなく、他人の罪や穢れも受け取ってしまう。つまり、人間が垢が溜まる、錆びて来るということで、その為、人間でいられるエネルギーが無くなって、維持できなくなるということだろう。ガ[狩]について、掟を破って来たことというのは、生きていれば木を切り燃やし動物を狩り、植物を刈る。自然に対して、自然ではないことをしている。獲得するという意味から、自然を犯して物を取るということで、自然の掟を破るという意味になるのだろう。カムロパについて、カムロで自然変化は進んで行く、そこのパという自然の力の流れに乗って行きなさいということだろう。
ここで、弥生人の罪と汚れについてまとめておきたいと思う。罪の語源はヂュミ[集゛実ju miu]。現代の罪(つみ)という言葉の中には、多分に道徳的な意味を持っているが、古代人にとっては、日々の犯して来た過去のすべてが罪であり、それを身につけていることは自分の生命の損失に当たるという認識である。糞、尿、屁、汗、垢も含め日々生活するだけで罪になる。穢れの語源はケグ[異哈゛kai xgu]。異物を加えるという意味であり、他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く、他人の罪が自分にくっつく、異なったものをくわえ込むということ。すんだことはすべて汚れ、穢れになる。罪は自分自身で作った汚れ、穢れは他人から受け取った汚れといえるだろう。[集゛哈゛]は[集゛実]と[異哈゛]のこと。古代倭人は罪、穢れを溜めておくことは命を縮める、という思想を持っていた。そこで「罪、汚れを祓えたまえ清めたまえ]の祝詞(のりと)ができた。
【意訳】この世で生じた罪穢れは自然の流れに解き放ちなさい。自然の秩序に順応することが大事です。(第4章第2節節題)
4201タカマパル[垂威真晴゜活 ta ka ma pa ru]
【原本訳】威大な力が輪廻する。
【解説訳】3301と同じ。潜在力が過去から未来へと流れ、未来から過去へと流れる。人間について考察すると、現世は潜在力が人間の肉体を保っているとき。死を迎えるとは、潜在力が肉体を維持できず死に潜在力だけが残る。それは過去となったことであり、あの世、黄泉の世界である。そして人間を維持する力を失った潜在力は時を経て汚れを落とし力を回復し、未来において再度人間を誕生させる。この繰り返しである。
【意訳】潜在力は循環する。
4202カムロキミユ[威醸移岐現結 ka mu ro ki mi yu]
【原本訳】現れにける大自然。
【一音訳】[威]偉大な変化力[醸]進展する[移]進行中[岐]現象[現]見えているものの姿[結]縁が出来た
【文節訳】[威醸移]自然変化は進んで行く[威醸移岐]大自然の現象[現結]見えるようになった。現れた。
【解説訳】[威]とは潜在力です。見えない力です。見えない力が見えるようになった。潜在力が現象を起こして実体化し、見えるようになった。見えるようになったものは大自然。
【意訳】潜在力が現象を起こし、大自然が現れた。
4203イザナキヨ[親陜成岐因 iu tsau na ki you]
【原本訳】この現実の浮世にて。
【一音訳】[親]自然の親しみ[陜]接近する[成]秩序が出来上がった[岐]現象[因]世
【解説訳】[親陜成]生命有限。現象は分解、消滅して行く。雌雄の世界に入ったがため、個として有限の生命となった。雌雄によって生まれた子は、個々それぞれ独自の才能があり、それぞれ発展して行く。生まれ育ち維持し衰え死ぬ。この現象は現世である。この世、浮世ともいう。つまり、潜在力によって現象化、実体化した事物・生物の現実世界。
【意訳】生命有限の現実世界
4204ウツヂュケグマガ[美積集゛異哈゛真狩 u tu jiu kai xgu ma xa]
【原本訳】罪と犠れは行く道塞ぐ。
【一音訳】[美]生まれる[積]積み上げる[集゛]物質の無秩序な群がり。わが身についた過去の物事、罪[異]別のものに変化する[哈゛]どんどん加える[真]真の姿[狩]獲得する、刈り取る、食い尽くす、
【文節訳】[美積]生まれる、それが次々積み重なって行く[集゛]わが身についた過去の物事、罪[異哈゛]他人のつくった過去のものがわが身に引っ付く。他人の罪が自分にくっつく。異物を加える。※けがれ、穢れ、汚れの語源[真狩]何を獲得するのか。それは自然の掟。自然の掟とは生命有限、エントロピーの法則等。
【解説訳】生れて積み上げてゆく生きることによって生じる自らの汚れ、他人から受ける汚れ。これらは自分自身を蝕んでゆく。人間生きるために食べればすべてをエネルギーに変換できるわけでなく、カスが出る。人間の中にカスが溜まる。そうなると、エネルギーが弱くなる。生きていれば必然的にエネルギーを得てゆく一方、不要物が溜まることにより、エネルギーを得られない状態となってゆく。これらは避けることの出来ないものである。
【意訳】生きることによって積み上がる自分の汚れや他人からの汚れは、自らをむしばんでゆく。
4205プルクチミソユキ[震゜活奇育実虚結岐 pu ru ku tiu miu so yu ki]
【原本訳】霊気震えば妙なる流れ、障(さわ)りはすべて融(とか)し込む。
【一音訳】[震゜]自然の意志と力が発動する[活]現在形[奇]不思議なる変化[育]力の流れ[実]実体[虚]大自然の意志と力を吸い込む[結]縁が出来た[岐]そこに起こるさまざまな現象
【文節訳】[震゜活]ふるい起こす[奇育]不思議なる力の流れ[実虚]実体は垢、罪、汚れがなくなった[結岐]次の新しき世界に因縁をつくる。次の世界と関係を結ぶ。新しい因縁を得る。新しい因縁を得て蘇ることができる。新しいエネルギーを呼び込んで甦がえる。※大嘗祭の悠紀(ゆき)殿の語源
[震゜活奇育実虚]秘儀を表す熟語であって、動的、あるいは命令形を表す。
[奇育実虚]実体にこもる潜在力、それを活性化することによって、身についた過去のもの一切を振るい出してしまう神霊行事、あるいは神霊現象※禊(みそぎ)の語源
【解説訳】自然の意志をふるい起こせば不思議な力の流れが出来て、身体から垢、罪(自分の汚れ)、穢れ(他人からの汚れ)が無くなる。そうすれば、新しい縁を得ることができ、再度、現象を生じ人間に生まれることができる。これは禊祓いのことである。汚れたままの状態では新しき縁に出会うことができない。汚れを取り去りなさいということだろう。人間を作って来た潜在力が汚れが溜まって潜在力が弱くなり人間を保つことができなくなり、人は死ぬ。そしてピクツムピ、生きる意志だけが残る。この生きる意志も汚れていたままでは再度人になることはかなわない。だから、汚れをふるい落としなさい。そうすれば新しき世界に生まれることができますよ。ということだろう。新しき世界というのは未来の現世ということになるだろう。汚れたままでは、罪穢れを持ったままでは、新しい縁と結ばれない。
【意訳】潜在力である汚れた魂から汚れを振り落とせば新しい縁を得ることが出来る。
4206パラペトノイオ[晴゜躍放゜保乃覆 pa ra pai to noi wo]
【原本訳】霊気張り出し過去の世界へ。
【一音訳】[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[躍]最大の動作[放゜]自然の意志と力が失せ、意志と力は他のものに変換する[保]蓄えられている意志と力[乃]~という結果である[覆]覆う。またその状況から影および過去も表す
【文節訳】[晴゜躍放゜]新しい自然の力が張り出して来て、罪、汚れを押し放った。※祓われる、祓えの語源[保乃覆]過去の世界(3312トコオ[保堅覆]の世界)。しっかりした戸によって隔絶された過去の世界。過ぎ去った時間の入り口。
【解釈訳】過ぎ去った事に対しては、何とも自分では処理出来ない。それでトノオの神にお願いして入り口を開いてもらう。そうすると、過去の怨霊なり、過ぎ去った事柄は、すべて吸い込まれて過去の世界に追い払うことが出来る。これが祓い。どうして吸い込まれて行くのか。倭人は、たくさん物が集まっていると、そこに吸い寄せられるという思想がある。このトノヲの中には、過去のたくさんな事、物が一杯詰まっているから、そこに吸い寄せられると倭人は考えた。
【古事記】祓戸大神(はらえどのおおかみ)。イザナギが禊した時現れた神々の総称。但し、天照大神やスサノオ等の一部の神々を除いたもの。
【意訳】汚れは全部過ぎ去ったこととして、過去の世界へ追い払え。
4207アポキパル[会穂゜岐晴゜活 au po ki pa ru]
【原本訳】かくして行く手晴れやかに。
【一音訳】[会]出会う[穂゜]自然の持つ意志と力が分派、独立したもの。分霊[岐]現象[晴゜]大自然の持つ意志とその力が張り出して行く[活]現在形。一般動作を表す
【文節訳】[会穂゜]独立した自然意志、分霊との出合い[会穂゜岐]分霊がエネルギーをどんどん吸収する現象[晴゜活]自然の新しい潜在力
【解説訳】直訳すると、独立した自然意志に出会いで起こる現象は、潜在力の活性化。汚れを過去に追い払ったら、独立した自然意志が新たなエネルギーを得られるようになる。そして未来へと進んで行く。だから晴れやかというのだろう。
【古事記】阿波岐原(竺紫(ちくし)の日向(ひむか)の橘の小門(おど)の阿波岐(あはき)原
【意訳】独立した意思を持った潜在力がどんどんエネルギーを吸収して潜在力の流れに乗って未来へと張り出してゆく。
4208キヨメタモラム[岐因芽垂萌躍醸 ki you mai ta mou ra mu]
【原本訳】宜しき萌(きざ)しは弥(いや)萌え出でむ。
【一音訳】[岐]際立つ[因]原因[芽]自然の力が物に変わる局面、萌し、兆し[垂]力が溢れ出る[萌]目に見えて物質が増加して行く[躍]最大の動作、躍動[醸]発展する
【文節訳】[岐因]際立つ因縁[岐因芽]良き因縁[垂萌躍醸]萌えいずることでありましょう
【解説訳】キヨは際立つ因縁ということで、後に美しい、清らかな等の意味となった。綺麗にしないとよい因縁に巡り合えないので清という字が当てられたのだろう。キヨメは際立つ因縁がものに変る局面であり、良い萌(きざし)し、良いことが起ころうとしているという事。タモラムは力が溢れ、増加し、躍動、発展する。よい事が驚異的に起こるという事だろう。何がよい事かというと、潜在力パはキヨメとして現実世界に行く。つまり、再度人間として生まれることが出来るということだろう。
【意訳】とても素晴らしい縁が芽生えることだろう。
閑話
古代倭人は罪、汚れを溜めておくことは命を縮める、このような思想を持っていた。だから罪・穢れを無くすることが重要だと考えたのだ。現在行われている神道の最もポピュラーな天津祝詞と対比てみよう。
高天原(たかあまのはら・たかまがはら)に神留坐(かむづまりま)す【4201タカマパル】
神漏岐(かむろぎ)神漏美(かむろみ)の命(みこと)以(も)ちて【4202カムロキミユ】
皇親(すめみおや)神伊邪那岐(かむいざなぎ)の大神(おほかみ)【4203イザナキヨ】
筑紫(つくし)日向の(ひむか)の橘(たちばな)の小門(おど)の阿波岐原(あわぎはら)【4207アポキパル】
禊祓ひ(みそぎはらい)給ふ(たまう)時(とき)に【4205プルクチミソユキ】
生坐(あれま)せる祓戸(はらえど)の大神等(おおかみたち)【4206パラペトノイオ】
諸々(もろもろ)禍事(まがごと)罪穢(つみけがれ)を【4204ウツヂュケグマガ】
祓へ(はらえ)給ひ(たまい)【4206パラペトノイオ】
清(きよ)め給へ(たまえ)と申す事の由を【4208キヨメタモラム】
天つ神地(くに)つ神八百万神等共に聞食(きこしめせ)と畏み畏みも白(もう)す