最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。辞めさせるのは国民の権利です。

TVのブラウン管国際カルテル:海外で談合しても有罪

2018-03-06 19:09:31 | 日記
平成28(行ヒ)233  審決取消請求事件
平成29年12月12日  最高裁判所第三小法廷  判決  棄却  東京高等裁判所

1 我が国のテレビ製造販売業者の日本国外に所在する子会社等に対するテレビ用ブラウン管の販売価格についてテレビ用ブラウン管の製造販売業を営む事業者らが行ったカルテルが日本国外で合意されたものである場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該カルテルは我が国の自由競争経済秩序を侵害するものであり,これを行った事業者に対し,我が国の独占禁止法の課徴金納付命令に関する規定の適用がある。
(1) 我が国のテレビ製造販売業者は,自社及びその子会社等が行うブラウン管テレビの製造販売業を統括し,日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に対して製造等を指示し,これに従って当該子会社等が製造したブラウン管テレビの全部又は相当部分を自社又は子会社等において購入した上で販売していた。
(2) 我が国のテレビ製造販売業者は,上記(1)のとおりブラウン管テレビの製造販売業を行う一環として,その基幹部品であるブラウン管の購入先,購入価格,購入数量等の重要な取引条件を決定し,その購入を日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に指示し,当該子会社等に当該カルテルを行った事業者らからブラウン管を購入させていた。
(3) 我が国のテレビ製造販売業者は,当該カルテルを行った事業者らとの間で,テレビ用ブラウン管の取引条件に係る交渉を自ら直接行っていたところ,当該カルテルは,その交渉において上記事業者らが提示する販売価格を拘束するものであった。
2 我が国のテレビ製造販売業者の日本国外に所在する子会社等に対するテレビ用ブラウン管の販売価格についてテレビ用ブラウン管の製造販売業を営む事業者らが行ったカルテルが日本国外で合意されたものであり,当該カルテルの対象であるテレビ用ブラウン管が当該事業者らにより当該子会社等に販売され日本国外で引渡しがされた場合において,次の(1)~(3)など判示の事情の下では,当該ブラウン管の売上額は,独占禁止法7条の2第1項所定の当該商品の売上額に当たる。
(1) 我が国のテレビ製造販売業者は,自社及びその子会社等が行うブラウン管テレビの製造販売業を統括し,日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に対して製造等を指示し,これに従って当該子会社等が製造したブラウン管テレビの全部又は相当部分を自社又は子会社等において購入した上で販売していた。
(2) 我が国のテレビ製造販売業者は,上記(1)のとおりブラウン管テレビの製造販売業を行う一環として,その基幹部品であるブラウン管の購入先,購入価格,購入数量等の重要な取引条件を決定し,その購入を日本国外に所在するブラウン管テレビの製造を行う子会社等に指示し,当該子会社等に当該カルテルを行った事業者らからブラウン管を購入させていた。
(3) 我が国のテレビ製造販売業者は,当該カルテルを行った事業者らとの間で,テレビ用ブラウン管の取引条件に係る交渉を自ら直接行っていたところ,当該カルテルは,その交渉において上記事業者らが提示する販売価格を拘束するものであった


事件概要については、一般ニュースでは流れなかったようですが、産業界では大きな事件として捉えられたようです。報道1報道2がありますが、コピー制限がかかっているのと、登録しないと前文が読めないものでした。

事実認定から見ましょう。

1 サムスンSDIの子会社(マレーシアに本店)、MT映像ディスプレイ(我が国に本店を置く事業者)、中華映管(台湾に本店を置く事業者)、LGフィリップス・ディスプレイズ(韓国に本店)、タイCRT(タイ)が関連しており、サムスンSDIが上告した。
2 オリオン電機,三洋電機,シャープ,日本ビクター及び船井電機はH19年までブラウン管TVを作っていたが、海外生産であった。
3 現地生産子会社が、1の会社から買っていた。
4 1の会社は、ブラウン管製造事業者と間で、価格や数量を一括して交渉していた。
5 1の会社は海外で生産し、国内外で販売していた。
6 カルテルは国外でブラウン管の販売価格の最低目標価格等を設定する旨合意した。
7 平成15年から同19年までにおける現地製造子会社等の本件ブラウン管の総購入額のうち,上告人ほか7社からの購入額の合計の割合は約83.5%であった。
8 平成22年2月12日、上告人の現地製造子課徴金13億7362万円を納付することを命じる本件課徴金納付命令を発した。


論点は、国外に所在する現地製造子会社等であること等から、本件は我が国の独禁法の適用対象となるのか。

裁判所は
1 独禁法は,国外で行われた行為についての適用の有無及び範囲に関する具体的な定めを置いていないが,同法が,公正かつ自由な競争を促進することなどにより,一般消費者の利益を確保するとともに,国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としていること(1条)等に鑑みると,>国外で合意されたカルテルであっても,それが我が国の自由競争経済秩序を侵害する場合には,同法の排除措置命令及び課徴金納付命令に関する規定の適用を認めていると解するのが相当である。・・・独禁法2条6項にいう「一定の取引分野における競争を実質的に制限する」とは,当該取引に係る市場が有する競争機能を損なうことをいうものと解される(最高裁平成22年(行ヒ)第278号同24年2月20日第一小法廷判決・民集66巻2号796頁参照)。そうすると,本件のような価格カルテル(不当な取引制限)が国外で合意されたものであっても,当該カルテルが我が国に所在する者を取引の相手方とする競争を制限するものであるなど,価格カルテルにより競争機能が損なわれることとなる市場に我が国が含まれる場合には,当該カルテルは,我が国の自由競争経済秩序を侵害するものということができる。

趣旨は同意するのですが、捜査権はどうなるんでしょう。よほど条約か何か結んでいない限り、証拠を収集することは難しいのではないかと思います。証拠が十分に集まっているのであればこの判断は妥当と考えますが・・・今後同様の事件はどうやって立証するのでしょう。

結論として、
本件合意は,日本国外で合意されたものではあるものの,我が国の自由競争経済秩序を侵害するものといえるから,本件合意を行った上告人に対し,我が国の独禁法の課徴金納付命令に関する規定の適用があるものと解するのが相当である。


裁判長裁判官 戸倉三郎
裁判官 岡部喜代子
裁判官 木内道祥
裁判官 山崎敏充
裁判官 林 景一



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