最高裁判所裁判官の暴走を許さない

最高裁判所裁判官の国民審査は、衆議院選挙の時の「ついでに」ならないようにしましょう。

トンデモ判決:大阪地裁北朝鮮への不正輸出事件で無罪

2018-05-31 21:53:59 | 日記
共同通信の報道です。
北朝鮮にニット生地を不正に輸出したとして、外為法違反と関税法違反の罪に問われた大阪市の貿易商社の元社員で中国籍の女性被告(40)と同社の判決で、大阪地裁は29日、生地の最終的な行き先を「北朝鮮だと認識していたとは言えない」として、ともに無罪を言い渡した。求刑は女性に懲役1年6月、商社に罰金100万円。
 検察側は、売買契約書に北朝鮮の港の地名が記載されていたことなどから、最終陸揚げ地を北朝鮮と認識していたのは明らかとしたが、浅香竜太裁判長は「契約書には港名の『南浦』としか記載されておらず、国名も書かれていない。検察官の推認過程はかなり不合理だ」と退けた。



すごいですね。商社の元従業員で中国籍ですよね。中国と言っても広いですから、上海あたりだと知らない可能性は大ですが、少なくとも元商社従業員ですよ。知らないという方がおかしいですよね。
そもそも、輸出先が契約書にあれば送料の計算上調べるでしょう。調べないで送ることは可能なんですか?
この裁判官の事実認定は明らかにおかしいです。

しかも、知らなかったからと言って無罪にする案件ですか?不正輸出の事実は認定しておいて執行猶予とか罰金刑にするのが当然で、無罪はないでしょう。

詐欺未遂の範囲:受け子有罪確定

2018-05-29 06:36:48 | 日記
平成29(あ)322  詐欺未遂被告事件
平成30年3月22日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄自判  東京高等裁判所

 現金を被害者宅に移動させた上で,警察官を装った被告人に現金を交付させる計画の一環として述べられた嘘について,その嘘の内容が,現金を交付するか否かを被害者が判断する前提となるよう予定された事項に係る重要なものであり,被害者に現金の交付を求める行為に直接つながる嘘が含まれ,被害者にその嘘を真実と誤信させることが,被害者において被告人の求めに応じて即座に現金を交付してしまう危険性を著しく高めるといえるなどの本件事実関係(判文参照)の下においては,当該嘘を一連のものとして被害者に述べた段階で,被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても,詐欺罪の実行の着手があったと認められる。

ちょっと前に出た判決に関連しているようです。いわゆる騙されたふり作戦で、受け子が有罪になった件です。

日経新聞の報道です。
特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」として詐欺未遂罪に問われた愛知県の男(21)の上告審で、最高裁第1小法廷(池上政幸裁判長)は22日、無罪とした二審・東京高裁判決を破棄し、逆転有罪を言い渡した。懲役2年4月の実刑とした一審・長野地裁判決が確定する。
 二審判決は、特殊詐欺グループのメンバーらが被害者の高齢女性への電話で「口座にどのくらいの金額が残っているんですか」「全部下ろした方がいいですよ」と発言した点について「現金を渡すよう求めておらず、人を欺く行為はなかった」と無罪とした。
 第1小法廷は「電話の発言は現金交付に直接つながるウソが含まれており、被害者が現金を渡す危険性を著しく高めた」と指摘。現金を渡すよう具体的に求める発言がなくても詐欺未遂罪が成立すると結論づけた。
 一、二審判決によると、男は現金受け取り役の受け子で、詐欺グループの他のメンバーから指示を受けて高齢女性宅に現金を受け取りに向かい、警戒中の警察官に逮捕された


主文は、

検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
しかしながら,所論に鑑み,職権をもって調査すると,原判決は,刑訴法411条1号により破棄を免れない。


要するに事実認定は争わないが、警察が知らないふりして犯罪が行われるまでじっと待ち構えて、逮捕したのはおかしいと訴えたようです。

このような事実関係の下においては,本件嘘を一連のものとして被害者に対して述べた段階において,被害者に現金の交付を求める文言を述べていないとしても,詐欺罪の実行の着手があったと認められる。

これについては争わなかったようです。事実からして詐欺未遂は成立として、全員一致で有罪となりました。ただ一人補足意見を出しています。

裁判官山口厚の補足意見

1 詐欺の実行行為である「人を欺く行為」が認められるためには,財物等を交付させる目的で,交付の判断の基礎となる重要な事項について欺くことが必要である。
2 従来の当審判例によれば,犯罪の実行行為自体ではなくとも,実行行為に密接であって,被害を生じさせる客観的な危険性が認められる行為に着手することによっても未遂罪は成立し得るのである。
3 詐欺の実行行為である「人を欺く行為」自体への着手がいまだ認められないとはいえても,詐欺未遂罪が成立しないということを必ずしも意味するものではない。
本件では,預金口座から現金を下ろすように求める1回目の電話があり,現金が被害者宅に移動した後に,間もなく警察官が被害者宅を訪問することを予告する2回目の電話が行われている。・・・警察官の訪問を予告する上記2回目の電話により,その行為に「密接」な行為が行われていると解することができる。・・・1回目の電話の時点で未遂罪が成立し得るかどうかはともかく,2回目の電話によって,詐欺の実行行為に密接な行為がなされたと明らかにいえ,詐欺未遂罪の成立を肯定することができると解されるのである。

どうなんですかね。詐欺未遂として、2回目の電話を掛けた時点で成立すると山口裁判官は述べていますが、1回目の段階で十分詐欺未遂じゃないですか?
刑法246条
1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

詐欺の成立要件として、
1:欺罔行為
2:欺罔行為によって被害者が錯誤に陥る
3:財産の交付または財産上の利益移転
4:因果関係
1回目から実と違う事を言って騙そうとしているし、被害者も騙されていますよね

裁判長裁判官 池上政幸 当然
裁判官 小池 裕 当然
裁判官 木澤克之 当然
裁判官 山口 厚 今一つ
裁判官 深山卓也 当然


今一つの判決:保護責任者遺棄の範囲

2018-05-27 13:48:49 | 日記
平成28(あ)1549  保護責任者遺棄致死(予備的訴因重過失致死)被告事件
平成30年3月19日  最高裁判所第二小法廷  判決  破棄自判  大阪高等裁判所

1 刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為は,老年者,幼年者,身体障害者又は病者につきその生存のために特定の保護行為を必要とする状況(要保護状況)が存在することを前提として,その者の生存に必要な保護行為として行うことが刑法上期待される特定の行為をしなかったことを意味する。
2 低栄養に基づく衰弱により死亡した被告人の子(当時3歳)に対する保護責任者遺棄致死被告事件について,被告人において,乳児重症型先天性ミオパチーにり患している等の子の特性に鑑みると,子が一定の保護行為を必要とする状態にあることを認識していたとするには合理的疑いがあるとして被告人を無罪とした第1審判決に事実誤認があるとした原判決は,第1審判決の評価が不合理であるとする説得的な論拠を示しているとはいい難く,第1審判決とは別の見方もあり得ることを示したにとどまっていて,第1審判決が論理則,経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものとはいえず(判文参照),刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり,同法411条1号により破棄を免れない。
3 保護責任者遺棄致死罪として起訴されて公判前整理手続に付され,検察官が,公判前整理手続期日において,公判審理の進行によっては過失致死罪又は重過失致死罪の訴因を追加する可能性があると釈明をするなどした後,裁判員の参加する合議体により審理が行われ,第1審裁判所の裁判長が,証拠調べ終了後の公判期日において,検察官に対して訴因変更の予定の有無につき釈明を求めたところ,検察官がその予定はない旨答えたなどの訴訟経緯,本件事案の性質・内容等(判文参照)に照らすと,第1審裁判所としては,検察官に対して,上記のような求釈明によって事実上訴因変更を促したことによりその訴訟法上の義務を尽くしたものというべきであり,更に進んで,検察官に対し,訴因変更を命じ又はこれを積極的に促すべき義務を有するものではない。



朝日新聞の報道ではこんな感じです。
大阪府茨木市で2014年、難病の長女(当時3)を衰弱死させたとして保護責任者遺棄致死罪に問われた母親(23)=事件時未成年=の無罪が確定する。最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は19日、審理を地裁に差し戻した二審・大阪高裁判決を破棄、裁判員裁判だった一審・大阪地裁の無罪判決を支持する判決を言い渡した。
 母親は全身の筋力が弱い難病「先天性ミオパチー」の長女に十分な栄養を与えず、病院にも連れて行かずに衰弱死させたとして14年12月、同罪で起訴された。


産経新聞では
2審は母親が「長女が保護が必要な状態だったと認識していた」と判断したが、同小法廷は「長女のやせ方が著しいことなど以外に、2審は根拠を示していない」とした。
 1審は懲役6年の求刑に対して無罪を言い渡したが、2審は審理を地裁に差し戻した。
 長女の養父(26)も保護責任者遺棄致死罪で起訴されたが、検察側が重過失致死罪を訴因に追加。同罪で執行猶予付き有罪とされ、最高裁で確定した。母親も2審で同罪が訴因追加されたが、最高裁は同罪の成否については判断しなかった。


では事実認定を見ていきます。
(1)死亡したAは生まれてすぐに、先天性ミオパチーと診断され、鼻からのチューブで栄養を摂っていた状態である。
(2)Aは2歳11ヶ月で退院し母方の祖母と一緒に暮らし始め、身体障害者1級と診断された。
(3)母は、現夫と結婚し弟が生まれた。
(4)Aはチューブなしで生活できるようになり、3歳半の時に医師の診断を受けているが、それ以降は受けてなかった。
(5)Aは足の関節の形状が分かるほど痩せていたが、身長は伸びていた。
(6)Aは1日に1回、場合によっては丸一日食べない事があり、その代りにAが勝手にポテトチップスやアイスクリームを食べていた。
(7)死亡する4か月前も親戚や友人とAは会っていた。
(8)Aは3歳10ヶ月で死亡した。

検察官の取り調べに対して被告は
(1)Aが食事を取らない日の翌日にはたくさん食事を取るなどし,2日続けて何も食べない日はなかったので,十分な栄養が摂取できていないとは考えていなかったと弁解した。
原審2審では
(2)被告はおかしいとは思いつつも
①Aは,ミオパチーにり患していたため筋肉が付きにくく,出生時から体重が平均より軽かったから,そのような前提知識がある者とそうでない者との間では,痩せ方の異常性に関する認識が異なってしまう可能性があること,
②平成26年3月から同年6月までにAと会った親族,知人等の中には,Aの体格等から健康上の問題を被告人や夫に指摘した者がいないこと,
③人の体格や体重については,日々少しずつ変化していくため,毎日Aと接している場合には気付きにくい面があること,
④Aの身長は比較的順調に伸びていたこと,
⑤衰弱のためにAの運動能力に明らかな変化があったとの立証がないこと,
⑥被告人と夫との間で,Aが2日以上食事を取らなかったら病院に経鼻チューブをもらいに行こうと話していたとの事実は,被告人らにおいて,Aが経鼻チューブを必要とするほどの健康状態ではないと考えていたことを示すとも評価できること,
⑦被告人と夫は,同年6月に至るまで友人や夫の親族にAを会わせており,
この行為はAが衰弱しているとは認識しているとは思えないとして、保護責任者遺棄については無罪としました。

最高裁は、
刑法218条の不保護による保護責任者遺棄罪の実行行為は,同条の文言及び趣旨からすると,「老年者,幼年者,身体障害者又は病者」につきその生存のために特定の保護行為を必要とする状況(要保護状況)が存在することを前提として,その者の「生存に必要な保護」行為として行うことが刑法上期待される特定の行為をしなかったことを意味すると解すべきで、同条が広く保護行為一般(例えば幼年者の親ならば当然に行っているような監護,育児,介護行為等全般)を行うことを刑法上の義務として求めているものでないことは明らかである。

つまり、意図的に遺棄をした場合は罪にあたるが、健常児のように扱っていたら問題ないとしています。そして原審は(2)①-⑦は、通常の監護をしていると判断しました。
最高裁は、逆に
平成26年2月22日を最後にAと全く会わせていないことからすれば,被告人らを非難しそうな者だけを遠ざけていた可能性もあり,被告人の行動は不作為犯の故意がある者の行動として不合理ではない,④被告人と夫が,Aが2日以上食べない場合には経鼻チューブをもらいに行くと会話したことについては,経鼻チューブによる栄養摂取も考えなければならない事態に陥ったこと自体が,被告人においてAの栄養摂取に一定の問題があると認識していたことをうかがわせる事情である,⑤食事以外の時間帯に米飯やアイスクリームを勝手に食べたり,ニンニクチップを食べるなどというAの行動を全体としてみれば,当時,Aが空腹を感じる状況に継続的に置かれていたことを客観的に推認させる特異な事情といえ,Aの体格等の変化や痩せ方とAの行動全体を認識すれば,通常は,Aの個々の食事の状況如何にかかわらず,Aには栄養不足の問題が生じていることを認識するものといえる,などと判示する。

Aを親戚に合わせているし、自分からAは出てきたので隠そうつぃていたのではないし、会いに来た親戚も特に激しき痩せたという感じはなく、あまり違いがないように見えた。親も、Aが御菓子を食べているのでカロリーは足りると思っていたということでした。

結論
本件保護行為を行わなかったという不保護による保護責任者遺棄致死罪の故意に関し,Aが本件保護行為を必要とする状態にあることを被告人が認識していたとするには合理的疑いがあるとして被告人を無罪とした第1審判決について,原判決は,論理則,経験則等に照らして不合理な点があることを十分に示したものとは評価することができない。そうすると,第1審判決に事実誤認があるとした原判断には刑訴法382条の解釈適用を誤った違法があり,この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかであって,原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる

差し戻しですが、要するに無罪です。

裁判長裁判官 菅野博之 今一つ
裁判官 鬼丸かおる  今一つ
裁判官 山本庸幸 今一つ


でもどうなんでしょうか。御菓子を食べていたとはいえ、カロリーは何とかなっても栄養に偏りが出ると言う知識は持ちえなかったのでしょうか?小学校中学校の家庭科や保健体育の授業で少しはやっているはずです。2日間も食べないとなれば、親としてお菓子を取り上げてご飯を食べさせるでしょう。これは通常の監護の範囲ではないのでしょうか。

当たり前判決:子の連れ去り事件ハーグ条約に従え

2018-05-17 20:06:36 | 日記
平成29(受)2015  人身保護請求事件
平成30年3月15日  最高裁判所第一小法廷  判決  破棄差戻  名古屋高等裁判所  金沢支

1 拘束者(母親)により国境を越えて日本への連れ去りをされた被拘束者(子)が,現在,13歳で意思能力を有し,拘束者の下にとどまる意思を表明しているとしても,次の(1),(2)など判示の事情の下においては,被拘束者が拘束者の下にとどまるか否かについての意思決定をするために必要とされる多面的,客観的な情報を十分に得ることが困難な状況に置かれているとともに,当該意思決定に際し,拘束者が被拘束者に対して不当な心理的影響を及ぼしているといえることから,被拘束者が自由意思に基づいて拘束者の下にとどまっているとはいえない特段の事情があり,拘束者の被拘束者に対する監護は,人身保護法及び同規則にいう拘束に当たる。
(1) 被拘束者は,出生してから来日するまで米国で過ごしており,日本に生活の基盤を有していなかったところ,上記連れ去りによって11歳3箇月の時に来日し,その後,米国に居住する請求者(父親)との間で意思疎通を行う機会を十分に有していたこともうかがわれず,来日以来,拘束者に大きく依存して生活せざるを得ない状況にある。
(2) 拘束者は,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,拘束者に対して米国に被拘束者を返還することを命ずる旨の終局決定が確定したにもかかわらず,被拘束者を米国に返還しない態度を示し,子の返還の代替執行に際しても,被拘束者の面前で激しく抵抗するなどしている。
2 国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求において,国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき,拘束者に対して当該子を常居所地国に返還することを命ずる旨の終局決定が確定したにもかかわらず,拘束者がこれに従わないまま当該子を監護することにより拘束している場合には,その監護を解くことが著しく不当であると認められるような特段の事情のない限り,拘束者による当該子に対する拘束に顕著な違法性がある。



これは実に酷い事件です。親のわがままで子供を振り回した件でした。

毎日新聞の報道です。
「子の返還拒否は著しく違法」最高裁初判断
 国境を越えた子の連れ去り防止を定めた「ハーグ条約」に基づく裁判所の返還命令に従わないのは違法だとして、米国在住の父親が息子(13)を連れて帰国した母親に子の引き渡しを求めた人身保護請求の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は15日、「父親の請求を認めるべきだ」として、父親側敗訴とした1審判決を破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。
父敗訴の1審破棄
 最高裁は「裁判所の返還命令に従わず子を保護下に置くことは、特段の事情がない限り著しく違法な身体拘束に当たる」との初判断を示した。国内では、子を連れ帰った親がハーグ条約に基づく裁判所の返還命令に従わないケースが相次いでおり、最高裁は条約手続きの順守を強く促した形だ。
 判決によると、争っているのは米国で暮らしていた日本人夫婦。母親が2016年に息子を連れて帰国したため、父親がハーグ条約の国内実施法に基づいて東京家裁に息子の返還を申し立てた。家裁は返還を命じたが、母親は応じず、強制執行のために執行官が自宅を訪れた際にも引き渡しを拒んだ。
 父親は息子の引き渡しを求めて人身保護請求の裁判(2審制)を起こしたが、1審の名古屋高裁金沢支部は昨年11月、「息子は自らの意思で日本に残ることを選んだ」として請求を退けた。
 これに対し最高裁は、息子の意思について「11歳で帰国して母親に依存せざるを得ず、母親の不当な心理的影響を受けていると言わざるを得ない」と指摘し、本人の自由な意思とは言えないと判断した。その上で、息子の引き渡し手続きを行わせるために高裁に差し戻した。裁判官5人全員一致の意見。
 ハーグ条約は、親の一方が断りなく16歳未満の子を国外に連れ出した場合、残された親の求めに応じ、原則として子を元の国に戻さなければならないとしている。日本は14年に加わり、昨年10月までに98カ国が加盟する。


事実確認から見ましょう。
夫Aさんは米国在住、妻Bさんは国内に居住しています。二人とも日本国籍です。
この二人の間には男女の二人子供がいますが、子供は日本で生まれ、アメリカと日本の二重国籍になっています。
子供が6歳と4歳の時に移住しました。
移住後2年後に米国で生まれ、その子は二重国籍になっています。
移住して6年後あたりから夫婦仲が悪くなり、移住から14年後にBさんは子供3人を連れて日本に帰りました。
Aさんはこの連れ去りから、半年後に米国内で連れ去りから子供を取り戻すように裁判を起こしました。
そして日本でも、人身保護請求により引き渡しを求める裁判を起こしました。
翌年、保護請求が認められ執行官が行きましたがBさんは引き渡しを拒否をしました。
Aさんは、米国内で離婚を訴え、単独で子供を監護できると認定しました。
Bさんは、子供(高裁での裁判時11歳)を米国に送り返せば、向こうになれるのが大変である。監護能力もあると主張しました。

実にふざけた話です。日本では、子供を片方の親に黙って別居することは、連れ去りと言い不法行為になります。しかし、アホな弁護士はこういった不法行為をそそのかすのがいます。これは不法行為のそそのかしで、懲戒請求の対象です。ですが、なぜか不思議な話で今までそれで懲戒請求が行われたことは1回もないそうです。おそらく弁護士会は互助会になり下がって、不法行為をそそのかしたことにもかかわらず、なかったことにしているのでしょう。
日本では、連れ去っても監護期間が長ければ「子の福祉の為」と言う意味不明な言葉によって、泥棒に追い銭状態で、不法行為の結果が認められてしまうのです。
おそらくその感覚で、連れ去ったものと思われます。ですが、これはハーグ条約により、思いっきり不法行為とみなされ、連れ去った側が不利になります。日本はこれに加盟しており、世界標準です。

原審では
現在,日本での生活環境になじみ,良好な人間関係を構築し て充実した学校生活を送っており,家庭内においても被上告人と親和して,情緒も 安定し,年齢相応に発達を遂げて健やかに成育しているものと見受けられ,・・・上告人の本件請求は,被拘束者の自由 に表示した意思に反するというべきである。

これは家裁の調査官が書いたものと思いますが、頓珍漢にもほどがあります。連れ去られて、一方の親の悪口を延々と言えば、これは片親引き離し症候群愛着障害の原因になります。ここについては何も触れられていませんし、調査が入ったのも、裁判が始まってすぐではないですし、そもそもが調査以前の問題です。


被上告人の被拘束者に対する監護状況,被拘束者の年齢及び意向などを考 慮すると,被上告人の被拘束者に対する監護が人身保護法及び同規則にいう拘束に 該当するとしても,その違法性が顕著であるとは解されず,本件返還決定が確定し ていることは,本件の帰すうに影響しない。

一緒にいる期間が長ければそうなりますよ。それが加味されていない報告書は紙くず同然です。
そこで最高裁は
本件のように,子を監護する父母の一方により国境を越えて日本への連れ 去りをされた子が,当該連れ去りをした親の下にとどまるか否かについての意思決 定をする場合,当該意思決定は,自身が将来いずれの国を本拠として生活していく のかという問題と関わるほか,重国籍の子にあっては将来いずれの国籍を選択する ことになるのかという問題とも関わり得るものであることに照らすと,当該子にと って重大かつ困難なものというべきである。また,上記のような連れ去りがされる 場合には,一般的に,父母の間に深刻な感情的対立があると考えられる上,当該子 と居住国を異にする他方の親との接触が著しく困難になり,当該子が連れ去り前と は異なる言語,文化環境等での生活を余儀なくされることからすると,当該子は, 上記の意思決定をするために必要とされる情報を偏りなく得るのが困難な状況に置 かれることが少なくないといえる。これらの点を考慮すると,当該子による意思決 定がその自由意思に基づくものといえるか否かを判断するに当たっては,基本的 に,当該子が上記の意思決定の重大性や困難性に鑑みて必要とされる多面的,客観 的な情報を十分に取得している状況にあるか否か,連れ去りをした親が当該子に対 して不当な心理的影響を及ぼしていないかなどといった点を慎重に検討すべきである。

ここはさすが、最高裁ですね。ちゃんと見ています。ですが、これは国境を超える云々ではなく、国内でも同様に見てほしいところです。

現在13歳
被拘束者は,出生してから来日するまで米国で過ご しており,日本に生活の基盤を有していなかったところ,上記のような問題につき 必ずしも十分な判断能力を有していたとはいえない11歳3箇月の時に来日し,その後,上告人との間で意思疎通を行う機会を十分に有していたこともうかがわれず,

ここで片親引き離し症候群になっているとうかがえます。

結論
以上によれば,被拘束者が自由意思に基づいて被上告人の下にとどまっていると はいえない特段の事情があり,被上告人の被拘束者に対する監護は,人身保護法及 び同規則にいう拘束に当たるというべきである。

国境を越えて日本への連れ去りをされた子の釈放を求める人身保護請求におい て,実施法に基づき,拘束者に対して当該子を常居所地国に返還することを命ずる 旨の終局決定が確定したにもかかわらず,拘束者がこれに従わないまま当該子を監 護することにより拘束している場合には,その監護を解くことが著しく不当であると認められるような特段の事情のない限り,拘束者による当該子に対する拘束に顕 著な違法性があるというべきである。


第一小法廷判決
裁判長裁判官 山口 厚 素晴らしい
裁判官 池上政幸 素晴らしい
裁判官 小池 裕 素晴らしい
裁判官 木澤克之 素晴らしい
裁判官 深山卓也素晴らしい

これは明らかに違法な連れ去り行為であり、しかも面会もさせていなかったようですから、この時点で親として失格でしょう。今のところ国際間ではこのようになりますが、国内法の整備を強く求めます。
連れ去ったもん勝ち、しかも長引かせれば長引かせるほど連れ去ったもん勝ちは、繰り返しになりますが泥棒に追い銭です。到底、法治国家とは思えません。判例を見直すことを求めます。

トンデモ判決:さいたま地裁長期に渡りヤクザのプライバシーを侵害したから無罪

2018-05-11 19:14:23 | 日記
なんだかとんでもない判決が出ました。長期に渡りヤクザを撮影し続けて尾行したことは、プライバシーの侵害に当たる。プライバシーの侵害は不法行為であり、不法行為によって収集された証拠は採用されない。したがって、放火については無罪という判決が出ました。

日経新聞によると
暴力団組長が管理する車に放火したとして建造物等以外放火などの罪に問われた暴力団神戸山口組系組員、渡辺一也被告(37)=埼玉県東松山市=の判決で、さいたま地裁は10日、「県警の約7カ月にわたったビデオ撮影による証拠収集は違法」と指摘し、一部の罪については無罪とした上で懲役2年(求刑懲役6年)を言い渡した。
 判決理由で高山光明裁判長は、県警が被告宅を隣家に設置したビデオカメラで2015年10月~16年5月、撮影し続けた捜査手法を問題視。録画には、放火に使われたとみられるガソリン携行缶を被告が運ぶ様子に加え、玄関内部や近隣住民も映っており「被撮影者のプライバシーを軽視し、順法精神を大きく欠いた」と指摘した。その上で長期間の撮影は「任意捜査として相当と認められる範囲を逸脱し違法だ」と結論付けた


地裁なので判決文が公開されておらず、どういうプロセスで判断したのか分かりません。少なくとも次の疑問が残ります。

1 ただの監視カメラと警察が尾行して撮影するのと、どこがどう違うと判断されるのか。
2 長期に渡る尾行はプライバシーの侵害とありますが、その長期とはどのくらいの期間を言うのか。麻薬捜査であれば2年ぐらいの尾行はざらにあると聞いたことはあります。

この裁判官について調べると、過去にトンデモ判決を出している事が分かりました。8年前の判決

その他の情報さいたま地裁遠征①、乳児揺さぶり死で母親に猶予判決 さいたま地裁

なんと「寺内樺風」の裁判官のようです。トンデモな判決が出ない事を祈るしかありません。

共同正犯成立しない事例:判決文が雑すぎ

2018-05-08 19:39:29 | 日記
平成28(あ)1869  傷害致死被告事件
平成30年2月26日  最高裁判所第一小法廷  決定  棄却  東京高等裁判所
原判決が理由中において訴因外の共同正犯が成立するとしたことが是認できないとされた事例

1枚判決文です。

弁護人浦城知子,同木本茂樹及び被告人本人の各上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,いずれも刑訴法405条の上告理由に当たらない(なお,原判決が,理由中において,訴因外の被告人の妻との傷害致死の共同正犯が成立するとしたことは,原審では当事者双方ともこのような共同正犯の成立を主張せず,被告人に対する不意打ちを防止するための措置も何ら採られていないなどの本件事案の下においては是認できないが,記録によれば,訴因どおりに傷害致死の単独犯を認定して被告人を懲役9年に処した第1審判決は相当と認められるから,これに対する控訴を棄却した原判決の結論に誤りはない。)。
よって,同法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する


これが前文です。事実認定もなければ、単なる法令のみで何が何だかわかりません。雑すぎますね。これでは、他の事件での参考になりません。

色々探してみたのですが、TKCのHPでそれらしきものを見つけました。

傷害致死被告事件
LEX/DB25449344/最高裁判所第一小法廷 平成30年 2月26日 決定 (上告審)/平成28年(あ)第1869号
傷害致死被告事件につき、原判決が理由中で、訴因外の被告人の妻との傷害致死の共同正犯が成立するとしたことは、原審では当事者双方とも共同正犯の成立を主張せず、被告人に対する不意打ちを防止するための措置も何ら採られていないなどの本件事案の下では是認できないとし、訴因どおりに傷害致死の単独犯を認定して被告人を懲役9年に処した第1審判決は相当と認められ、控訴を棄却した原判決の結論に誤りはないとし、本件上告を棄却した事例。


推測するに、夫婦が誰かを殴って殺したようです。殺人としていないので、殺意はなかったのでしょう。夫は懲役9年の判決を受けましたが、妻の行為についてい緒に殴ったとは言わす、また妻も夫と一緒に殴ったとは言わなかったので、共同正犯にはならないとしたようです。

どういう状況で暴行したのか、時間差なのか同時なのか、それすら分かりません。この文章でどうして共同正犯が成立しないと言えるのか全く分かりません。論旨よりも、判決文の書き方そのものでトンデモです。

第一小法廷決定
裁判長裁判官 木澤克之 トンデモ
裁判官 池上政幸 トンデモ
裁判官 小池 裕 トンデモ
裁判官 山口 厚 トンデモ
裁判官 深山卓也 トンデモ

抵当権の時効は20年

2018-05-06 19:20:29 | 日記
平成29(受)468  建物根抵当権設定仮登記抹消登記手続請求事件
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87485
平成30年2月23日  最高裁判所第二小法廷  判決  棄却  福岡高等裁判所
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/485/087485_hanrei.pdf

抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,民法396条は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係においても,当該抵当権自体が,同法167条2項所定の20年の消滅時効にかかる。

事実確認です。
1 Aさんは、300万円を限度に建物を根抵当にして登記をしました。
2 Aさんは、借入を返せなくなり、破産手続きとなり破産が確定しました。

なお、根抵当と抵当の違いはこちら
しかし、Aさんは借入金の返済義務については2から17年過ぎており時効が発生しているので、根抵当も消滅したと訴えました。何で破産する前に抵当権を実行しておかなかったのでしょうか。

原審は
(1) 本件貸金債権は,免責許可の決定の効力を受ける債権であるから,消滅時 効の進行を観念することができない。
(2) 民法396条により,抵当権は,債務者及び抵当権設定者に対してはその 担保する債権と同時でなければ時効によって消滅しないから,上告人の請求は,そ の余の点について判断するまでもなく理由がない。

ところが最高裁は、(1)については認めましたが(2)にはおかしいと言っています。
その理由として、
a この債権については,もはや 民法166条1項

に定める「権利を行使することができる時」を起算点とする消滅 時効の進行を観念することができないというべきである(最高裁平成9年(オ)第 426号同11年11月9日第三小法廷判決・民集53巻8号1403頁参照)。 このことは,免責許可の決定の効力を受ける債権が抵当権の被担保債権である場合 であっても異なるものではないと解される。


この判決は保証人に関するものでした。

b 民法396条は,抵当権は,債務者及び抵当権設定者に対しては,被担 保債権と同時でなければ,時効によって消滅しない旨を規定しているところ,この 規定は,その文理に照らすと,被担保債権が時効により消滅する余地があることを 前提としているものと解するのが相当である。
c 抵当権は,民法167条2項の「債権又は所有権以外の財産権」に 当たるというべきである。

結論は、
抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合に は,民法396条は適用されず,債務者及び抵当権設定者に対する関係において も,当該抵当権自体が,同法167条2項所定の20年の消滅時効にかかると解するのが相当である。

今回の裁判では、20年経過していないのでAさんの訴えは全員一致で棄却になりました。
裁判結果だけ見れば、当然中の当然でしょう。
しかし、抵当権と保証人と同列で論じているところに無理がありませんか?他に議論するための条文を無理やり引っ張ってませんか?と思ったところ、山本裁判官も同じように感じたようです。

裁判官山本庸幸の補足意見
民法396条は,債務者及び抵当権設定者が被担保債権について弁済をしないで 抵当権の時効消滅を主張することは信義に反するため,これらの者については抵当 権自体の時効消滅を認めないという趣旨の規定であると解される。本件のように, 抵当権の被担保債権が免責許可の決定の効力を受けることにより訴えをもってその 強制的実現を図ることができなくなっている場合には,債務者及び抵当権設定者が そのような被担保債権に対する弁済をせずに抵当権の時効消滅を主張しても,信義 に反するとはいえないのであり,上記のような同条の趣旨に照らしても,抵当権の 被担保債権が免責許可の決定の効力を受ける場合には,同条の適用はないというべ きである。

おそらく、山本裁判官はこの人の意見と同じだと思います。こちらの方が非常に筋が通っています。

第二小法廷判決
裁判長裁判官 鬼丸かおる まあまあ
裁判官 山本庸幸 非常によい
裁判官 菅野博之 まあまあ