「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

「傾国のラヴァーズ」その6・望まれない息子

2022-10-29 21:03:00 | 傾国のラヴァーズその1~10
 意外と食べ方が男っぽい彼を見ていると、この人に凶事が降りかかるとしたら、その理由は何なのだろうと思う。
 しかし、結局はアメリカとの輸出入交渉などに失敗して失脚した成田貞次である。
 成田の名前を使って欲しくない与党の自憲党の圧力か?
 今さら成田の名前を使って欲しくない旧成田派「緑雪会」?
 それとも、逆に使ってでも票が欲しい人?
それらを快く思わない闇の組織?
 自分だってわからないのに、俺はこの目の前の美少年な社長には幸せになって欲しいと思った。

「…社長、ごちそうさまでした…」
 食事を終えて店の外に出ると、親子連れが店に入ろうか悩んでいる様子だった。
 気がつくと両親に連れられた5歳くらいの女の子、ブルーの可愛いレースワンピに縦ロールの髪のおませそうな子を彼がまじまじと見ていた。
 俺は少し怖くなって声をかけた。
「まさか社長のタイプとか?」
「違うよ違う…」
と彼は笑ったが、すぐに寂しそうにつぶやいた。
「…3歳くらいまで、僕はあんな感じの女の子の格好させられてたんだよ。祖母も母も女の子が欲しかったから」
「えっ?」
「名前も聖奈って決まってた」



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