「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その36・聖名は両方好き?

2023-04-22 10:24:10 | 傾国のラヴァーズその31~40
 すると今度は聖名が笑ってしまい、

「いや これは 前座。 大人のメインはこれからだよ。さあセンパイ、ここに座って」

 言われるがままに俺は彼の横に座った。「大人のメイン」という言葉が少し気になったが…

 彼は無言のまま、猫の動画を途中で終わらせ、手慣れた様子で、テレビで検索画面からお目当ての動画を見つけ出した。

 すぐに動画は表示されたが…

 黒い画面に赤い文字で、

〈警告〉
〈閲覧注意〉
〈不思議な現象が起こります〉

…とか書いてある…つまり、心霊動画のチャンネルだったのだ。俺には選択権がなかった。
「センパイ、ほんとに面白いんです。おすすめです。センパイは怖いの苦手?」
「見たことがないからわからないけど…そんなに苦手ではないと思う」
「よかったあ」
…ってことは、彼は実は怖がりなのか?

「これは〈ホラージャパンTV〉っていうチャンネルで、リュウ君と真弓ちゃんの男女ペアでやってるんだけど、真弓ちゃんの声がもう可愛くって、癒やしボイスなのぉ~」

と、クッションを抱いて身悶えする聖名の姿に、なぜか俺はモヤっとした。

「そしてリュウ君も俳優ばりのイケメンなの~」

 またもや俺はモヤっとした。

 しかし聖名はもちろんそれには気づかないようで、

「霊感体質の真弓ちゃんが動けなくなっても、1人でも霊の声がする深夜の廃墟の中を突き進んでいくリュウ君が、もうカッコ良くって…」

 もうこれ以上そんな言葉を続けないで欲しい…と思う自分にも戸惑っていると、動画の方では今日訪れた廃校や、これから検証する心霊に関するリュウ君の説明が始まり、


ーでは早速、中に入ってみたいと思います。

と、キリっとした表情でその場は締められる。





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