「傾国のラヴァーズ」

ボディーガードの翔真は訳有の美青年社長・聖名(せな)の警護をすることに…(閲覧者様の性別不問) 更新情報はX🐦にて

小説「傾国のラヴァーズ」その38・聖名は小首を傾げて誘う

2023-04-26 21:50:00 | 傾国のラヴァーズその31~40
 それにしても聖名は怖がりだ。
 まあ、個人差だから、怖がる基準はまちまちだろうけど…

 照れくさそうに俺から離れた聖名は、ビールをひと口飲むと、もう次の動画を見ようとしている。

「次は何見るの?」

「せっかく 先輩がいて1人じゃないから、続いてまた心霊モノ見ようかなって」

 俺は必死で笑いをこらえた。

「いやあんなに怖がってるのになぜ見るの?」

「いや 大好きだから」

 まあ 現実逃避にはいいのかも…
 でも テーブルの上のビールの缶をひっくり返しそうになりながら大騒ぎになるのはどうなんだろう。

「ホラー映画も好きなの?」
「いやああ いう作り物はダメで」
「そうだよね。それに時間も長いし」
「そうですよね」

聖名は適当に相槌を打つと、

「さあ 次も おすすめの…」
 
 俺は何だかからかいたくなって、

「一人でトイレに行けますか?」

 すると聖名も負けじと(?)

「ついてきてよ。 ボディーガード なんでしょ」

「会社の暗いトイレにも?」

「おうともよ」

 そんなおっさん臭いことを言った… 次には

「だから見よ」

 女の子のような顔立ちだが…小首をかしげて誘う社長ってどうなんだろう。
 でも困ったことにすごく可愛いんだよな。


 次の動画はさっきのような心霊スポットの突撃ものではないが、東京に移住して以来霊障に悩まされている地方の旧家の話で、じわじわと恐怖が迫ってくるものだった。
 本当に怖かった。





コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。