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還暦おやじの洋楽日記

The Story of Wish You Were Here (炎~あなたがここにいてほしいの真実) / Pink Floyd [DVD]

抒情的なフロイドサウンドが好きだった身にとって、「The Dark Side of The Moon」は優れたアルバムとは思うものの、あんまり感情移入できない。ウォ-ターズが主導権を握ってからの説教臭いフロイドなんて好きではない、というより嫌い。でも、まだフロイドがバンドの態を為していた最後のアルバムであろう「Wish You Were Here」は結構好き。「Welcome to the Machine」「Have a Cigar」は今にして思えば後の「Animals」「The Wall」に繋がる、外部に向けた攻撃的なメッセージを発信した曲ではあったが、アルバム全体のトーンにはむしろ内省的で抒情的な印象を覚えたものだった。だからこのアルバム制作のインサイドストーリーをドキュメンタリーで描いたというDVDが2012年頃に発売されたときには思わずポチっと買ってしまった。邦題は「炎~あなたがここにいてほしいの真実」。

このドキュメンタリー制作時点では既にリック・ライトは亡くなっていたので(過去のライトのインタビュー映像が少し挿入されているが)、ロジャー・ウォーターズ、デイヴ・ギルモア、ニック・メイソンの三人のインタビューを中心にアルバム制作当時の状況やシド・バレットの思い出話等が語られる。マネージャーやエンジニアといった関係者の話もあり、「Have a Cigar」のリードボーカルを助っ人したロイ・ハーパー、バックコーラスを務めたブラックベリーズのインタビューなんてのもある。またヒプノシスのストーム・トーガソンも出ていて、あの凝りまくったアルバムジャケット制作話を語るのも興味深かった。
「Wish You Were Here」制作時の有名なエピソードとして、シド・バレットが突然スタジオに現れ、その変わり果てた姿にメンバーが思わず涙したという話があるのだが、このドキュメンタリーでもその話がハイライトになっていた。日本盤DVDの惹句に「筋金入りのピンクフロイドマニアでも驚くシーンがあります」と書かれており、どうやらこのエピソードの場面を指しているらしいのだが、別に驚くようなシーンはなかったぞ。

このDVD、もともとは英国で制作されたテレビのドキュメンタリー番組で日本でもWOWOWで放映されたそうな。だが、このDVDの見どころは特典映像にある。インタビュー中の余興と思われるのだが、アルバムタイトル曲の「Wish You Were Here」を共作者であるウォーターズとギルモアがアコギを弾いてそれぞれソロで歌うのだ。ちゃんと居住まいを正して歌っている訳でもないから歌としての出来はあんまり良くないが、できるだけ原曲に忠実に弾いて歌っているギルモアと、低いキーで時には原曲と異なるメロディを情感たっぷりに歌うウォーターズの姿に二人のパーソナリティの違いがまざまざと見えた。本編に収録しきれなかった三人のインタビューも面白い。音楽ビジネスや社会が抱える諸問題について熱っぽく語るウォーターズに比べ、ギルモアは複雑な思考をすることにあんまり興味なさそう、メイソンに至ってはなーんも考えとらんことがよくわかる。それにしても皆、老けたねえ。

この手の作品は日本語字幕がないと辛いのだが、日本盤DVDは発売から8年ほど経っているので現在も入手可能かは心許ない。但し、トップメニューの言語オプションで日本語も選択できる仕様になっているので輸入盤でもひょっとしたら日本語字幕が表示可能かも知れない。

(かみ)
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