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還暦おやじの洋楽日記

No Secrets / Carly Simon

このブログのメインテーマは70年代の洋楽なのだが、自分自身の趣味嗜好が著しく偏っているため網羅性は全然ない。中でも女性ミュージシャンの洋楽はあんまり聴かなかったため殆んど取り上げていないのであった。
でもカーリー・サイモンのこのアルバムは一時期よく聴いたなあ。言わずと知れた彼女の代表作。1972年のリリースだけどヒットしたのはその翌年だった。

1. The Right Thing to Do
2. The Carter Family
3. You're So Vain
4. His Friends Are More Than Fond of Robin
5. We Have No Secrets
6. Embrace Me, You Child
7. Waited So Long
8. It Was So Easy
9. Night Owl
10.When You Close Your Eyes

それまでのカーリー・サイモンは新進気鋭の女性シンガーソングライターであったが、作風はどちらかと言えば地味め。リチャード・ペリーをプロデューサーに迎えた本作でイメチェンしてシングル「You're So Vain(うつろな愛)」が全米1位の大ヒットを記録し、このアルバムもまた全米1位に輝いた。私生活ではアルバムリリースと前後してジェイムス・テイラーと結婚。制作時点では婚約中だったテイラーとはこのアルバムでも共演している。

大方はリチャード・ペリーの人脈なのだろうけどゲストミュージシャンが凄い。ぱっと目につく名前を挙げるだけでも、クラウス・ヴーアマン、ジム・ゴードン、ポール・バックマスター、ジム・ケルトナー、ニッキー・ホプキンス、ローウェル・ジョージ、ビル・ペイン、ボビー・キーズ、ボニー・ブラムレット、ポール&リンダ・マッカトニー等々。前述のジェイムス・テイラー、それに「You're So Vain」でのミック・ジャガーも勿論。
なにしろ「You're So Vain」という大ヒット曲があるのでその印象で語られがちだが、ロック調の楽曲はこの曲とテイラー作の「Night Owl」ぐらい。残りはフォーキーで牧歌的な楽曲が多い。サイモンは裕福な家庭に育ったそうで、歌詞を追っかけていくと60年代の良きアメリカの時代に育った若い女性の乙女チックな感性が随所に感じられる作品集となっているのだな、これが。
「The Right Thing to Do」では人を愛することの無上の幸福感が歌われ、それは「We Have No Secrets」も同様のモチーフだが、こちらは幸福すぎることへの一抹の不安感も顔を覗かせる。どちらも名曲。「The Carter Family」「It Was So Easy」では子供の頃の思い出が綴られる。「Embrace Me, You Child」の邦題は「私を抱いて」というドキッとするものだったが、内容は大好きだった亡き父の回想。そんな少女時代を過ごした彼女もいつまでも子供でいられる筈もなく自立した大人の女性になっている訳で、「Waited So Long」では処女でなくなったことを父に詫びているのだけど、許婚者のテイラーに"Yes, She's no virgin"とまで歌わせるのは、ちょっと悪趣味でないかい。

その後、次作の「Hotcakes」ではマタニティ姿も披露してテイラーとの間に二児をもうけたものの、二人は十年後に離婚してしまう。彼女の作品も成熟して憂いを帯びた大人の女性の音楽に変わっていった。
だが、このアルバムを歌詞カードを眺めながら聴き直すと、まだ若かったカーリー・サイモンの多幸感や不安感、センチメンタリズムとか気負いとか、色んな気持ちのゆらぎを感じ取ることができるし、全編を通して瑞々しさに溢れた作品となっている。

(かみ)
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