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還暦おやじの洋楽日記

Caught Live + 5 / The Moody Blues

今や消滅してしまったムーディーブルースが1969年に発表した「To Our Children's Children's Children(子どもたちの子どもたちの子どもたちへ)」が、同時期のレアトラックやリミックス音源等を追加した5枚組のボックスセットとして発売されるというニュースに接して、心が躍った。しかも今回は国内盤も発売されるそうだから驚き。と言うのも、日本では70年代を除いて彼等の評価は低く、最後のスタジオアルバム「December」に至っては国内盤も出なかったほどだったから。
これまでの彼等の大掛かりな未収録音源お蔵出し企画としては、2006~2008年頃に行なわれたリマスタリング+ボーナストラック付きの旧作品の再リリースがあった。その後、発売50周年版として「Days of Future Passed」は3枚組、「In Search of Lost Chord」は5枚組のセットでリリースされたものの、その後が続かなかったが、今回はその50周年企画の少し遅れ気味の続編なのかも知れない。
そこで「To Our Children's Children's Children」5枚組ボックスセットの内容を事前に調べてみたのだけれど、2006年のデラックス版2枚組と収録曲がかなり重なっていた。また5枚組のうちの1枚は「Caught Live + 5」としてリリースされた、1969年12月にロンドンのロイヤルアルバートホールでのライブをそのまま収録している。してみると今回の5枚組ボックスセットは、2006年のデラックス版に「Caught Live + 5」のライブ音源を加えた音源に、新たにリミックスしたバージョンを追加したものだと言えそうだ(もっと正確に言えば「Candle of Life」のシングルバージョンも新たに追加されているが)。
うーん、久しぶりの国内盤発売には食指が動くけれど、たったこれだけの差のために1万円以上のお布施をする価値はあるかなあ。断捨離生活で持ち物を減らしている最中だし、多少音質が向上したとしても俺にはそれを生かせる高級な機材もないし高性能な耳も持っていないし。
という訳で、安易に飛びつくのはやめて暫く静観することとし、代わりに「Caught Live + 5」を久しぶりに聴いてみた。

1. Gypsy
2. The Sunset
3. Dr. Livingstone I Presume
4. Never Comes the Day
5. Peak Hour
6. Tuesday Afternoon
7. Are You Sitting Comfortably
8. The Dream
9. Have You Heard(Pt.1)
10.The Voyage
11.Have you Heard(Pt.2)
12.Nights in White Satin
13.Legend of a Mind
14.Ride My See Saw
(Previously Unreleased Tracks)
15.Gimme a Little Somethin'
16.Please Think About It
17.Long Summer Days
18.King and Queen
19.What Am I Doing Here?

リリースされたのは1977年、彼等がバンドとしての活動を停止して各々ソロ活動を行なっていた時期。今から考えればファンを繋ぎとめるためのお蔵出し企画だったと納得するが、当時はジャスティン・ヘイワードもジョン・ロッジも意欲的な初ソロアルバムを出した直後だったから、唐突な印象しかなかった。
ライブ音源はCDだったら1枚にすっぽり収録できる長さだが、アナログ時代にはLP1枚には収録できず2枚組となり、SideAからSideCまでが上記ロイヤルアルバートホールでのライブ、余ったSideDには1967~1968年頃に録音されたアルバム未収録音源が5曲収められた。アルバムジャケットは従来のフィル・トラヴァースに代わって、ヒプノシスがイラストを担当している。

で、ライブの出来についてはあんまり言及したくないな。彼等はスタジオで緻密に音を重ねて制作したアルバムで勝負するタイプのバンドであって、コンサートホールのライブではその魅力があまり生かされない、とだけ言っておこう。ライブでのマイク・ピンダーのメロトロンさばきのテクニックはかなり興味深かったが。
それよりもこのアルバムの最大の魅力はSideDの未収録音源だった。当時の彼等はトータルアルバムを作っていたから、これらの曲はおそらくアルバムコンセプトに合わずにお蔵入りになってしまったのだろうが、ハズレがなく、如何にも彼等らしい作品が並んでいる。特にヘイワード作の、快活な「Long Summer Days」とドラマティックな展開を見せる「King and Queen」がとても気に入った。前述のように、このアルバムがリリースされた時点ではその後に再結成されることも知らなかったから、未収録音源を聴きながら彼等の復活を祈念していた日々を思い出す。

(かみ)


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