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還暦おやじの洋楽日記

Year of the Horse / Neil Young & Crazy Horse [DVD]

ニール・ヤングは大好きなのだが、彼の旺盛な活動に追いつけず未だに全作品を制覇できていない。いや、それどころかここ数年の量産ペースに益々引き離されている。そんな情けないファンではあるが、クレイジーホースと組んだニール・ヤングは格別。だからクレイジーホースとのアルバムだけは欠かさず持っている。
2012年の「Psychedelic Pill」以来となるニールヤング&クレイジーホース名義のアルバム「Colorad」が昨年秋にリリースされたので勿論手に入れたのだが、聴きこみがまだ足りないせいか今のところピンと来ていない。

なんだかなあ・・・と訝しみつつネットを弄っていたら「Year of the Horse」のDVD、レンタル落ちの中古を見つけたので即購入した。この作品は音楽ビデオではなく劇場公開もされた、れっきとしたドキュメンタリー映画。1997年の作品で日本でも劇場公開された筈だが、たしか上映映画館がかなり限定されていたと記憶する。結局そのときは観られずじまいで、その後発売されたDVDもなんとなく買い逃し、いつの間にか絶版になっていたため長らく途方に暮れていたのだ。そんな訳で公開から四半世紀を経てやっと手に入れることができた。
監督のジム・ジャームッシュは「ストレンジャー・ザン・パラダイス」等で知られるインディーズ系の旗手だそうだが、ここ30年ぐらいロクに映画を観ていないので恥ずかしながら知らなかった。ネットで見る限りでは本作の評判は概ね芳しくないが、ニール・ヤングとクレイジーホースを知らずに監督目当てで観た人はきっとそういう評価なんだろうな。逆に彼等のファンならほぼ最高の評価をつけるであろう、彼等の魅力を存分に伝える素晴らしい映像作品だった。

披露される曲は以下の通り。因みに同時期にリリースされた同名の2枚組ライブアルバムの収録曲とは数曲しか重なっていない。

1. F*!#in' Up (from "Ragged Glory")
2. Slip Away (from "Broken Arrow")
3. Barstool Blues (from "Zuma")
4. Stupid Girl (from "Zuma")
5. Big Time (from "Broken Arrow")
6. Tonight's the Night (from "Tonight's the Night")
7. Sedan Delivery (from "Rust Never Sleeps")
8. Like a Hurricane (from "American Stars 'N Bars")
9. Music Arcade (from "Broken Arrow")

これらのライブ映像の合間に各メンバーのインタビューや70年代や80年代のバックステージあるいはオフタイムの映像が挿入されるという構成。8ミリか16ミリで撮影されたライブ映像はかなり粗くてザラザラしているが、それがクレイジーホースのラフでルーズな演奏と良くマッチしている。この頃の彼等は50代だったがライブのパフォーマンスもまったく衰えを感じさせず、まさに元祖ガレージバンドの面目躍如。インタビューでもオフタイム映像でも彼等の不良おやじっぷりが遺憾なく発揮されており、この監督はよくわかっているなあ。激しくて荒削りで野暮ったくて冗長で、でもその底流にある妙に楽観的な開放感がこのバンドの魅力。それがよく表現されていてなんだか嬉しくなってしまった。

翻って最新作の「Colorad」だが、このアルバムには上述のような開放感をあまり感じられず、寧ろ閉塞感のようなものを感じてしまったのだ。いちばんユルくて図々しそうなフランク・サンペドロが参加していないからか、それとも加齢によるニール・ヤングの心境の変化なのか。いずれ「Colorad」の感想も書いてみたいけど、今は四半世紀前のとんがった彼等の世界に没頭しておこうっと。

(かみ)
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