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還暦おやじの洋楽日記

映画の見方がわかる本 / 町山智浩

町山智浩は週刊文春にアメリカ時事ネタのコラムを連載していて、これが毎回面白い。本業は映画評論家だそうで映画関連の著作も多い。この本では1960年代後半から70年代後半にかけてのアメリカの名作映画を取り上げているが、これは映画評論ではない。それぞれの映画の背景や製作過程にまつわる経緯を綴った解説本と言える作品。
対象となっている作品は以下の通り。

2001年宇宙の旅
俺たちに明日はない
卒業
イージー・ライダー
猿の惑星
フレンチ・コネクション
ダーティーハリー
時計じかけのオレンジ
地獄の黙示録
タクシードライバー
ロッキー
未知との遭遇

さすがに有名な作品を揃えてあるので、全部観たものばかりであった。この本の良いところは当時のインタビュー記事や脚本など事実に基づいた考証をしていること。お陰で映画を観たときの疑問のいくつかを解くことができた。
「2001年宇宙の旅」が何故あんなに難解で意味深なのかは想像はできたが、やっぱり意図的なものだったのだと納得したし、「地獄の黙示録」が訳のわからない駄作である理由も合点した。
ただ、60年代末にハリウッドの映画会社の経営がそこまで追い詰められていたとは全く知らなかった。その結果としてハリウッドはニューシネマの台頭を許した、ってことね。だが、それまでの映画のお約束事や、世の中の既成の価値観をひっくり返したニューシネマあるいはニューシネマ的な動きが70年代後半から急速に退潮してしまったのは今もって残念だ。結局、生き残ったのはスピルバーグやルーカスといった人達で、ハリウッド資本を背景に今もなお彼等はその立場に君臨し続けている訳で、この時代の映画が持っていたドキドキ感は今の映画にはないものね。

大学生の頃は「ぴあ」を頼りに年に50本ぐらい映画を観ていた。今は時間もなくすっかり映画から遠ざかってしまったが、またいつか映画三昧の日々を過ごしてみたい。そのときに懐古趣味以外に観たい映画はどれほどあるだろうか。

(かみ)
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