このアルバムは、ギター+ベース+ドラムスだけの最小構成の3人組がハードなサウンドをぶっ放していた時代の最後の作品。1971年発表。
洋楽を聴き始めた頃にちょうど発表されたので自分にとっても思い出深い。あの頃、当時としては珍しく洋楽を映像つきで紹介する「Now Explosion」という深夜のTV番組が放映されていたが、「戦争をやめよう」のプロモーションビデオみたいな映像も流れていたのを懐かしく思い出す。
1. Footstompin' Music
2. People, Let's Stop The War
3. Upsetter
4. I Come Tumblin'
5. Save The Land
6. No Lies
7. Loneliness
「アメリカンバンド」以降はドラムスのドン・ブリューワーが前面に出ることが多くなったが、この時代はまだギターのマーク・ファーナーのワンマンバンド状態、全曲マーク・ファーナーの作品。
滑り出しの「Footstompin' Music」はノリの良いロックンロールで、軽快なオルガンの音色が実に心地良い。この音色、今の音楽では聴くことができないけど好きだったなあ。
続く「People, Let's Stop The War」の邦題は「戦争をやめよう」で、このアルバムの邦題にもなっている。アルバムからの第一弾シングルでもあり、ハイライトナンバーだろう。ベースがメロディを刻むイントロからカッコ良いのだが、ベトナム戦争を背景にロックそのものが反戦歌の時代であったとは言え、この歌詞はあまりにストレートで単純すぎる。ついでに言うと何のひねりもない直訳邦題も馬鹿っぽい。
「Upsetter」は再び軽快でメロディアスな曲で、最初のこれら3曲だけでも掴みは充分。だが、それ以降の曲も秀逸なのが多くて、ヘヴィな「I Come Tumblin'」も良いし、ストリングスを導入しブルージーで重厚長大な「Loneliness」なんて「ハートブレイカー」にも通ずる名曲だ。
最近このアルバムをMP3プレーヤーに入れて40年ぶりによく聴いているのだが、マーク・ファーナーの才能の高さに改めて感じ入った。表情豊かなボーカリストとしての才能もそうだが、特にブルースに根ざしたメロディメーカーとしての才能は大したものだ。40年前はそのまま通り過ぎちゃったけど、それは自分自身が冒頭に書いたような彼等に対する先入観を持って軽んじていたからかも知れない。これを機に彼等の昔のアルバムも発掘してみようかな。
(かみ)
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