ゆう’sful LIFE

感染予防と看護について考えたことや勉強したことを綴っています。

次亜塩素酸水について

2020年06月19日 | 感染管理
次亜塩素酸水についてよく質問をいただくので、現時点での備忘録

次亜塩素酸水は、もともとは食品衛生法で生成方法が指導されている食品添加物で、殺菌効果と安全性が確かな次亜塩素酸水とは「食塩や塩酸を水に溶かして電気分解したもの」と定義しています。
しかし、実際は次亜塩素酸ナトリウムを希釈したり、クエン酸などを混ぜてpH調整した水溶液を次亜塩素酸水や次亜塩素酸水溶液として販売していることもあります。
たとえば、ある製品は、ウェブサイトを見ると、次亜塩素酸水とは記載されておらず、次亜塩素酸ナトリウムとの表記もあります。
また、「次亜塩素酸ナトリウムと酢酸を組み合わせた」とあるので、現在経済産業省が検証している次亜塩素酸水とは異なるものと解釈できます。
この製品にはいくつか種類があって、たとえば80ppm製剤であれば、消毒液として0.008%の次亜塩素酸ナトリウムという解釈ができるかと思います。
0.008≒0.01%なので、ノロウイルスでいうところの、目視で汚染が認められない高頻度接触部位の消毒には使用できると考えていただいてよいと思います。
手指衛生には使用しない方がよいと思います。

次亜塩素酸水については、経済産業省からファクトシートが出ており、現時点では有効性が確認できないので、評価を継続することとなっています。
https://www.nite.go.jp/data/000109500.pdf
評価しているのは、NITE(ナイト:製品評価技術基盤機構)で、特に、噴霧での利用は安全性が確認されていないと注意喚起しています。
ちなみに次亜塩素酸ナトリウムの人体噴霧は特に有害で、塩素ガスによる間質性肺炎を引き起こす可能性があるので絶対禁忌です。

この検証では、新型コロナウイルスに対して有効なアルコール以外の消毒方法として界面活性剤 11種も検証試験が行なわれています。https://www.nite.go.jp/data/000108034.pdf
有効と判断された界面活性剤は、以下の7種です。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
アルキルグリコシド(0.1%以上)
アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)
塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)
ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)
これらを含んだ住宅・家具用洗剤のリストは以下になります。
消毒用なので、手指には使用しないでください。
噴霧も禁忌です。
https://www.nite.go.jp/data/000109226.pdf

次亜塩素酸ナトリウムは、アルコールほどの即効性がないので、対象物によっては汚れも落とす界面活性剤の方が経済的で効率的なものもあります。
使い分けをされるとよいと思います。


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